33 ニヤついた顔
2018/05/30
総二郎が発した言葉、、、牧野つくし
その言葉を聞き、皆の空気がぴんと張り詰める
司 「おい、、、それって、、、英徳の入学式で代表挨拶した奴? だよな?」
あ 「類の親父さんの、、、恋人、、」
二人も、思案顔をしている
それくらい、久しぶりの名前だから
それくらい、久しぶりの名前だから
なぜ、総二郎が今、牧野の名前を出す?
一体、総二郎は、何を知っている?
俺が黙っていると、、、
総 「今日、偶然会っちまってよ、、、」
総二郎が、その疑問に答え始めた
司 「どこで?」
総 「花沢物産の本社ビルの角、、、曲がり角で思いっ切りぶつかってさ
彼女、派手に転んじまって、、、俺が手を差し出したんだけど
その手も取らずに立ちあがって、、、ペコペコ謝ってどこか行っちまった」
司 「どこか、、、ってどこだ?」
総 「たぶん、、、、花沢物産、、、」
あ 「って事は、まだ、類の親父さんと、繋がってんのか?」
司 「総二郎、、、お前の見間違いじゃ、ないだろうなぁ?」
総 「アホか、、、俺が、女の顔を見間違うはずが、ないだろ?」
司 「確かにな、、、」
あ 「それに、お前の手も取らず立ち上がるって、、、、珍しい女だな」
総 「それは、俺も思った。 んで、類君。 そろそろ観念して話して貰おうか?」
三人の視線が、俺に集中する
隠しても仕方ないか、、、どうせ何時かは、ばれるんだし
俺は、降参、、、と言う風に話始める
類 「牧野は、、、ずっと父親とフランスで暮らしてた
花沢物産フランス支店に勤務してたけど、明日から日本本社に移動
ついでに、俺ん家に住んでる」
皆 「「「 はぁ? 」」」
と、三人が驚いた表情で同時に言う
あ 「父親とフランス邸に住んでたのか?
じゃあ、英徳入学式の後、留学って、フランスの親父さんの所か?」
じゃあ、英徳入学式の後、留学って、フランスの親父さんの所か?」
司 「でも、何でだ? 親戚でも無いだろ? 牧野と類の親父さんの接点が、見つからないぞ?」
総 「やっぱり、親父さんの恋人って事か? あれからずっと続いていたって事だろ?
どうなんだよ、、、類」
どうなんだよ、、、類」
矢継ぎ早に、三人が攻めたてるように、俺に問いかける
類 「俺も、ちゃんと聞いた訳じゃ無いけど、父親は、牧野の事をつくしちゃんと呼んで、、、
牧野の方は、おじ様、、、と呼んでた。 後、凄く信頼し合ってるみたい、、だったけど?」
司 「じゃあ何で、フランスの親父さんの所を離れてまで、日本へ帰って来たんだ?」
類 「さあ?、、、『そろそろ、日本へ帰らないと、もう二度と帰れなくなりそう』って言ってたけど?」
あ 「じゃあ、、、そろそろ親父さんと結婚か? だから、今のうちに、日本へ帰っておこうって事?」
総 「でも、あっちは事実婚ってのも普通になるし、それだと籍を入れなくて良いし」
司 「おい、、、明日から、本社勤務って、、、配属先は?」
類 「俺の第二秘書、、、」
その答えに、三人は再び驚愕した表情をする
あ 「親父さん、何考えてんだ? 普通、大事な恋人を息子の秘書にするか?」
総 「だからじゃねぇ? 大事な恋人だから、類にも認めて貰いたいとか?」
司 「でも、類の秘書なら、、、、」
皆のニヤ付いた顔、、、どうせ、皆、牧野に興味があるんだろ
類 「分かってる。 出かける時やパーティーに、牧野を連れて行けば良いんだろ?」
皆 「「「 ああ 」」」
その日は、11時頃まで飲んでいた
12時前に帰宅し、部屋に入りスーツの上着を脱ぎ、ネクタイを緩める
その時、ふと中庭に人影を見る
こんな時間に誰だろう?、、、と、窓辺に近寄る
中庭には、数か所の屋外灯が点いている
そのボーとした明かりの中に、牧野が立っていた
そして、夜空を見上げている
俺も、窓越しに、夜空を見上げる
そこには、星が輝いていた
また、星を見てる?
星が好きなのか?
俺が、外を見ている事に気付いた牧野は、淡く微笑んで、ゆっくりと部屋へ戻っていった
不思議な奴、、、と、この時は、そう思った
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