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さくらいろ

エピローグ

つくしは類の腕に手を絡め、ゆっくりと歩くその左手には、盲導犬のハーネスが握られている「足元に気を付けて。 ここは整備されていないんだ」「うん」「あっ、風華(ふうか)が転んだ」「えっ!!」「あっ、大丈夫。 立ち上がってまた走り始めた」「ちょっ、風華~~。 走ったら危ないでしょ~~!!」大きな声を出すつくしすると風華はクルッと振り返ると、つくしに負けないくらい大きな声を出す「だいじょうぶ~~。 もうす...

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つくしは屋外訓練センターで盲導犬を連れて歩いている信号では立ち止まり、障害物はきちんと除ける大きい音が鳴っても動じる事は無いつくしはヨシヨシと盲導犬を労わるすると、、風に乗りコロンの香りがかすかに匂ったえっ!と、つくしの身体はフリーズするその香りが段々と近付き、ギュッと抱きしめられたしっかりと香る懐かしい香りそれは、記憶の中に深く刻まれた香りであり、忘れる事など出来ない香りだその人物が、ここに来る...

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聡が帰宅し、親子水入らずの夕食を取ると言っても、それはどこかピリピリとした物だった初めは仕事の話に終始し、食事があらかた終わった頃に、類が切り出した「父さん。 俺、牧野と結婚したいと思う。 だから反対しないで欲しい」聡は手が止まるそしてナイフとフォークを皿の上に置いた「本気か?」「本気!」「牧野さんは以前と違って」「目が悪いんだろ?」「それを知った上でか?」「そう。 決して同情や義務とかじゃない。...

28

それから10日後類は田村と共にフランスへ向かった到着後、二人は直ぐに会社へ向かうそしてボジョレー解禁からホワイトデーまでの予定表や推計を提出する「前年よりアップを目指した目標値ですが、最近はワインブームも去り厳しい状況です。 代わりにラクレットなどのチーズに感心が多いようなので、そちらで補填を予定しています」「分かった」聡は、緻密に練られた試算表にザッと目を通し了承する「それでは先に帰らせて頂きま...

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月曜日類は田村に告げた「なるべく早く社長に会いに、フランスへ行きたい。  スケジュール調整してくれる?」「えっ! 直接お会いしたいのですか? 電話やスカイプではなく?」「そう。 直接会いたい」「畏まりました。 至急スケジュール調整いたします」類はその日の帰り、つくしの実家へ向かった突然の訪問に三人は驚きつつも中に招き入れる類は三人を前にすぐ頭を下げた「何も知らなかったとはいえ、謝罪が遅くなり申し訳...

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翌日曜日は、つくしの家へお邪魔した家での生活を見せて貰う為だもちろん二宮には、予め連絡をし口止めしている「どうぞ」「お邪魔します。 凄く大きな家ですね」類は白々しく初めて来た様に演じる「西門さん始め、私を心配してくれる親友達が建ててくれたんです。 かなり恵まれていますよね。 すみません」その言葉に胸が詰まる何処が恵まれているんだ?ほんとうは、目が不自由になる事など無かったはずなのに「えっと。 こう...

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翌日、類は田村にある物を依頼した「変声器を用意して欲しい。 小さければ小さい方が良い。 それと身体のどこかに装着できる物。 両手は自由に動かしたい。」田村は何に使うのか?と思う物の、直ぐに希望に沿ったものを用意する週末、類はそれを持ち盲導犬センターへ向かったつくしは、施設長に呼ばれ、応接室へ向かうコンコン「牧野です」「どうぞ入って下さい」「はい」つくしはドアを開けると杖を突きながらゆっくり中に入る...

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類は邸に戻ると、出迎えた佳代に告げる「牧野と盲導犬センターで会った」「そうでございますか」それに対し、佳代はさして驚いた様子は見られないという事は、知っていたのだろうもしかして牧野が佳代に話し、佳代から父親に話が行ったのかもしれない事前に別れる事を知ったからこそ、静に話をしたのだろうそういえば以前電話をした時、『それ以上の事は言えない』と口を濁していたな一つ疑問が解けた物の、まだまだ乗り越えなけれ...

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その日の夜、、個室の料理店に三人の姿があったあの後、かなり動揺している類を引きずるように車に乗せ、東京へ戻っただが仕事になるはずもなく、電話で田村に体調不良と伝え半休を貰い、そのまま此処へ移動した「あきらも呼ぶから、それまで待て」と総二郎が告げた後から、ずっと重い空気が漂っていた類はずっと下を向いたまま一言も話さない初めは、総二郎が気を遣い「飲み物でも頼むか?」「何か食べるか?」と声をかけたがそれ...

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訓練センターの隣にある家に、総二郎は類を案内する「ここは?」「牧野の家」家から訓練センターまではアーケードと手すりがついているそして駐車場から家まで点字ブロックもある信じられない事だが、これが今の牧野の現状だと思い知らされるインターホンを押すと、中から女性が出てきた「お待ちしておりました。 どうぞ」総二郎が連絡していたのか直ぐ通される「この人は二宮さん。 道明寺邸の使用人なんだが、牧野が此処に住む...

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花沢物産に総二郎が来た「じゃ行くか?」「あぁ、、」田村は会社に残り、雑務を熟す事にしている今回は、ちょっと視察に行く程度わざわざ田村を従える必要はないと判断した為だ二人は地下駐車場へ行き、西門の車に乗り込んだその車内で、総二郎はコロンを類に渡す「これを着けろ」「何で? コロンなら、何時ものを付けているけど?」「それ柑橘系だろ? 犬は嗅覚が発達していて、柑橘系は興奮するんだよ」「ふ~ん」初めて聞く事...

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更に一ヶ月半が過ぎ、季節は秋になろうとしていたその日、千恵子がつくしの家にやってきた「つくし。 体調はどう?」「うん。 全然問題ない」つくしが千葉に来てから、牧野家の三人は直ぐにこの家を訪れただが目の前の娘は眼鏡をかけてもあまり見えないのか、父親が髪を切りすぎほぼ坊主頭になっている事も、千恵子が調理中に油が跳ね、手の甲に大きな絆創膏を貼っている事も、進が更に身長が伸びた事にも気付かなかったそして心...