さくらいろ

ダッシュでシャワーを浴びた後、湯船に浸かる事無くバスルームを飛び出した「ごめん。　ちょっと出かける。」「えっ？」テーブルの上に夕食の配膳をしている使用人に声をかけるそこには色とりどりの野菜や肉が盛られているあの時代には無かった物ばかりだそれに戦国時代に詳しいのならまだしも、武将の名前と活躍ぐらいしか知らないのに、あんな料理がイメージできたのは明らかにおかしい「携帯を落としたから探してくる。　夕食は...

花沢類と男が木を挟んで格闘している男は武器を持っているが花沢類は何も持っていないこれでは不利だすると花沢類の周りを、一匹の黒蝶がひらひらと舞っているのが見えたそういえば、、、綺麗な黒蝶を見つけ、それをあの綺麗な石で写真という物を撮ろうとしていたらここに来ていたと言っていなかったか？もしかして、、、元の時代に戻れる？そう思うと寂しさがこみ上げる会えなくなるもう二度と、、だがこのまま男に刺されるよりは...

「危ない！　逃げて！」その声に振り返ると、きらりと光るものが視界に入りサッと避けるすると男が俺の横をスッと追い越したその手には短刀が握られ、勢いよく突進したことが分かる「お前なんか、、お前なんか、、消してやる！」そう言いながら短刀を振り回すそれを必死で避ける頭に血が上りやすい奴だだがこれだと何時まで経っても埒が明かない俺は脇道に逸れ、そこに生えている木々を盾にしながら対抗できる武器を探すが見当たら...

グダグダ考え事をしていたせいで、思いのほか時間が経っていたあたしは急いで女物の服に着替えると、籠の中に男物の服を入れそれを背負う早くしないと夕方までに帰ってこられなくなるそうなると花沢類に気づかれ、、問い詰められ、、それを思うと足がすくむ進ノ介の為と割り切っていても花沢類に知られ嫌われたらと思うと、、それが怖くて仕方ないかといって嘘をつきとおす自信もない最低な女だ花沢類の前では可愛く貞淑な女であり...

類は冷たい水を水筒に入れると家の中に入るそして進ノ介の器に水を注ぐと枕元へ近づいた「コンコン」と乾いた咳をしている進ノ介は、珍しく上半身を起こしているその背中を摩りながら器を差し出す「冷たい水だから少し飲むと楽になる。」「ありがと。」進ノ介は器を手に取ると、一口飲む冷たい水が喉を通り咳が少し治まり楽になる「ところで槙乃とお母さんは？　玄関先には脱穀途中の穂があるけど。」進ノ介は話すべきか悩むだが今...

あたしは滝へ来ていたそこで、花沢類から貰った手拭いを浸し、顔や体を拭くこうして女性に戻る時は、花沢類の前だけでありたかった花沢類の言葉、行動何もかも嬉しかった本当に花沢類とこのまま過ごしたいと思ったでも、、彼はこの時代の人ではないあたしはジッと滝を見る明らかに水量が減っている雨もずっと降っていないこういう年は必ず戦が起きるその時までに花沢類を元の時代に戻さないと、、あの人は、本当にあたしたちの代り...

類は少し太い薪を背負い、手には細い薪を持ち家へ向かったすると玄関先には脱穀の途中と思われる粟の穂と干からびた芋らしきものがあるが、槙乃と母親の姿はない休憩中か？と思いつつ先に薪を下ろす家の中からは咳き込む声が聞こえ、進ノ介がいることが分かる冷たい水でも飲めば少しは咳も落ち着くだろうか？俺は水筒を取り出すと水がめへと向かった＊母親は男に組み敷かれながら、自分の生い立ちを嘆いていた幼い頃、父親に地主の...

槙乃は家に入ると女物の服を手に取る「姉ちゃん？」外で母さんと何やら話をしていたのは分かっていただが、咳が出て上手く聞きとれなかったでも姉ちゃんが女物の服を手にしたときは、必ず薬を持って帰っていることぐらいは分かっている薬がどれだけするのか分からないが、薪を売ったぐらいでは買えないだろうだから姉ちゃんは、、、普段は男のフリをし村へ出かけるのに、この時だけは女になるその意味は、僕も分かっている「姉ちゃ...

槙乃はすぐに声が出なかった今までの自分ならすぐに返事をしただろう「行ってきます」と、、、でも花沢類との出会いがその考えを失くした――これからは一緒に乗り越えよう――俺が守るから「もちろん、このことは花沢類さんには内緒にしておくわ。だからこの話も聞かれないように、あの人を一人で山へ行かせたのよ。出来た母親でしょ？」どこが出来た母親なのか？普通の母親なら娘が侍に嫁ぐと分かれば、喜んでくれるはずもう他の男に...

朝食後、、「花沢類さんは薪拾いや枝打ちに行ってくださいな。私と槙乃で昨日刈り取った粟の脱穀作業をしますから。」今まで槙乃と行動を共にしていたが、脱穀作業は二人で十分という事か？それにそんなに人手がいらないのなら、薪を売って収入源も確保した方が良いだろう野菜など、少しでも進ノ介に栄養ある物を食べさせたいから「分かりました。」「一人で大丈夫？」心配そうに槙乃が尋ねるそりゃ寂しいが、いずれは一人でやらな...

翌朝、、誰よりも早く起きた俺は、桶を持ち水を汲みに行くすると母親が来た「おはようございます。」「あっ、、おはようございます。」「いつもありがとうございます。」「いいえ、こちらこそお世話になり申し訳ありません。」母親は水がめに近づくと、マジマジそれを見る「これ、、凄いですね。　水汲みが楽になりました。」「いえ、でもそう言ってもらえると嬉しいです。」「村には井戸があって羨ましかったんですよ。　今まで畑...

花沢類は結核にはかからないというかからない薬を体入れているというその薬は何時出来るんだろう？それさえあれば、、と思ったのだが、まだまだ遥か遠い未来になるらしいそうなんだ、、という絶望そのはるか遠い未来にはかからなくなる病気に、何故進ノ介はかかったのか？きっとあの時だろう進ノ介が男を刺したとき、大量の血を浴びたから、、何故あたしは動けなかったんだろう進ノ介は自らの手を汚し、、そして病気になってしまっ...