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第四章<完>

4-44 満面の笑み

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裁判所から外に出ると、周りをマスコミに囲まれる

マ『デュポン氏側が、全面的に罪を認めましたが、何かおっしゃりたい事は?』
マ『元妻のキャサリンさんとの夫婦生活で、何かおっしゃりたい事は?』
マ『類氏との結婚を画策しての事件ですが、どういう心境ですか?』
マ『キャサリンさんの不倫相手に、おっしゃりたい事は?』
マ『類氏がずっと愛していらっしゃる方とは誰ですか? お子様の存在は、いつ知ったんですか?』

矢継ぎ早に類への質問が飛び交う
それを類は、片手を挙げて制止した
そして、マスコミの多数のマイクが、類に向けられる

類『今回の件で、私の人生は大幅に狂わされました
  しかし、やっと元の位置に戻る事が出来ました
  同じように、私の愛する人も人生を狂わされ、絶望の淵に立たされながらも、
  私の子供を一人で産み育てている事に、感謝の気持ちで一杯です
  これからは、この6年間を埋めるように、彼女とそして天使のような我が子を大切にし、
  幸せで笑いの絶えない家庭を築いていきます
  その為には、この6年間の不義理を詫び、離婚歴のある私を受け入れてくれるよう説得しなければ
  なりません
  子どもも5歳という多感な時期です
  どうかマスコミの方々、遠くから見守って頂けるようお願いします』

マ『その方の名前は? どこに住んでいるのですか? 彼女におっしゃりたい事は?』

類『親友が匿ってくれていたので、住んでいる場所までは分かりません
  これから聞いてみます
  ただ彼女に言いたい事は、、、』

類は、少し考え込む
そして正面のカメラに向かって

類「つくし、、愛してる。 6年も待たせてゴメン。 今すぐ迎えに行くから待ってて」
と、満面の笑みで、日本語で呟いた

記者たちも初めて見る類の笑顔に驚く
そして日本語で発せられた言葉の為、すぐに意味が分からない物の、プロポーズの言葉だろうと察し、その場は拍手で包まれた




類は、その足で会社へ戻り、社長室へ向かう
すると麗もそこに待機し、類の帰宅を待っていた

類「終わったから、、」
聡「そうらしいな。 ご苦労だった」
麗「それで、、どういう事かしら? 牧野さんは、親友が匿っていたって、誰?
  子どもがいる? 何で今まで黙っていたの?」

類「俺も、ほんの一ヶ月前、偶然知ったんだよ
  司に頼まれてドイツにワインを持って行ったら、、、」
ここまで話し、ふと気づく

あれは偶然では無く、必然だったのか?
司に頼まれた品は、ワインと、、、ブドウジュースだった
このブドウジュースって、、、愛樹に飲ませる為?
そして愛樹に俺の姿を見せる為に、あの場で会う事にした?
ただ愛樹が予想外の行動をとったから、司は焦っていたのでは?

急に類が黙り込んだ事に、麗が続きを急かす
麗「何なの? 司君にワインを持って行ったら、どうしたの?」

類「あぁ、、そこに牧野と愛樹が居たんだよ。司が二人を匿っていたんだ
  あの当時、万が一にも牧野が妊娠していると分ったら、父さん達もデュポン側も、
  何が何でも堕ろさせるだろ?
 それを阻止する為にね」

その言葉に、聡と麗は黙り込む
確かに、あの当時、妊娠していると告げられていたら、きっとそういう選択をしただろう
自分達が堕胎を迫らなくても、デュポン側はきっと、、あらゆる手を使って行ったはず

聡「本当にすまなかった」
麗「ごめんなさいね。 本当に、取り返しのつかない事になる所だったわ。 本当に、ごめんなさいね」
と、あの当時の選択を、二人は悔やみ反省の言葉を述べる

類「もう良いから、、その辺は、直接牧野と愛樹に謝って!」

その類の言葉に、麗が疑問を投げかける

麗「類君、、さっきから天使、天使と連呼するけど、天使のような子供って事?
  名前は? 子どもの名前は、何て言うのかしら?」

あっ、、そうか、、
両親は、子供の名前を知らないんだった

類「子供の名前が愛樹。 男の子だよ。
  親の欲目抜きにしても、凄く可愛くて天使のような子供だった。
  じゃ、、俺はこのまま、長期休暇に入るから、、
  それぐらいで、二人に6年分の愛は注げないと思うけど、少しでも距離を縮めたいからさ」

聡「そうだな。 だが無事再婚できる運びとなったら、私達にも会わせてくれないか?
  きちんと謝罪をしておきたい」
類「分かった。 じゃ」

類は、手を上げ、サッと社長室を出る
そして専務室へ戻り、簡単に身の回りの整理をし始めた
そこへ、田村がやってくる

田「類様、、お疲れ様でした」
類「あっ、、田村。 お前もお疲れ様」

田「牧野様に会われましたら、是非私も謝罪させて下さい」
類「あぁ、、分ってる。 とりあえず、休暇に入るから、お前も休むと良い。
  ずっと休暇を取らなかっただろ? どうせ俺が休みの間は、やる事も無いはずだろうしさ」

田「ありがとうございます」
類「しっかり休養して、、、また、俺の片腕になってくれよな
  お前が一番信用できるし、やりやすいんだ」

その類の言葉に、田村は胸が詰まる思いだ

田「あっ、、ありがとうございます。頑張ります」
と頭を下げる物の、やはりこの6年間を思い出してか、涙声になっている
そして、田村も片付けをする為に、部屋から出て行った

デスク上の片付けが終わり、引出しに取り掛かったその時、司から貰った2枚のDVDに気付いた
全ての片付けを終え、、田村に、、「じゃ」と一言だけ告げ、その2枚のDVDを手に持ち、再び社長室へ向かった

類「父さん、母さん、、とにかく牧野に会ってプロポーズしてくる
  それでOKを貰ったら、この前貰った婚姻届で、直ぐに籍は入れておく
  それと、、父さん達にも、おじいちゃん、おばあちゃんとしての愛情を養う時間が必要だと思うから
  これを見ておくと良い」

そう言いながら、2枚のDVDを渡す

類「これ、、司から離婚祝いとして貰った物なんだ
  言っとくけど、大切に扱ってよ? 後で返してもらうからさ
  ディズニー映画の方は、歌も覚えとけって、司が言ってた。 じゃあね」

類は、それだけを伝えると、足早に社長室を出る
そして歩きながら、司に電話を掛け始めた



一方、、
二枚のDVDを受け取った聡と麗
二人は、頭をひねりながらも、何も書かれていないDVDを、デッキに挿しこみ再生ボタンを押した

そして映像が映し出された途端、言葉を失い画面を食い入るように見つめる
麗は、ハンカチを取り出し涙を拭き始め、聡はその麗の肩を優しく抱きながらも、目頭に涙が溜まってくる

麗「ほんと、、私達って、人を見る目が無かったですね」
聡「あぁ、、ほんとうだな」

麗「最悪の事態にならなくて良かったわ」
聡「あぁ、、牧野さんと司君には、感謝をしてもしきれないな、、」

麗「私、、牧野さんに土下座して謝るわ」
聡「あぁ、、私も一緒に謝ろう。 許してもらえるまで、、何度でも」
麗「えぇ、、」

この日、聡は仕事にならず、定時になるとすぐさま帰宅する
そして二人で、繰り返し繰り返し、、何度もDVDを見続けた









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