FC2ブログ

Welcome to my blog

第四章<完>

4-41 さらし者

0

クレマンが、排ガス問題で会見を行った
その報道を見て、一番驚いたのはキャサリンだ

思いの外、損害は少なく、多少赤字に転じるも、倒産に至る事はなさそうだ
今更ながら、失敗したと思う

しかし既に子供を中絶し、あれだけの捨て台詞を吐いた手前、もうどうする事も出来ない
彼と再婚していれば、今頃こうしてお金の心配をする事も無く、悠々自適の生活が出来たはずなのに

キャサリンは、深い溜息を一つ吐くと、身支度を整え花沢物産へ向かった
ここへ来るのは2度目になるが、扱いが前回とかなり違っていた

今回は、前もってアポを入れていたにもかかわらず、ロビーで数十分も待たされた
その間、通り過ぎる社員達が、ジロジロと見ていく
しかも、ヒソヒソと話しをしながら

その行動が、見世物にされているようで、キャサリンをイラつかせる
そしてやっと類の秘書がやってきた

田『キャサリンさん。お待たせしました。こちらへどうぞ』

その態度までが、軽んじて見える
頭の下げ方、敬い方などが、以前と違うからだ
しかし他人となった今では、それを咎める事が出来ない

渋々、田村の後ろについて案内された場所へ行く
そこは、応接室のようだ
そこに腰掛け、更に待つ事数十分で、やっと類が現れた
ただし一人では無い
隣には、いかにもと言う風貌の男性を従えていた

類『何? 忙しいんだけど?』
キ『あの、、そちらは?』

類『あぁ、、弁護士。 今、あんたんとこと訴訟中だろ? そんな中、二人で会うのは不味いだろ?
  だから同席して貰ったんだけど、、、何の用?』

キャサリンは少し躊躇う物の、話をするなら今しかないとばかり切り出す

キ『訴訟の事なんだけど、、あれ、減額して貰えないかしら?』
類『何を今さら。それだけの痛手を我社は負った訳だし、妥当な額だと思うけど?』

キ『どうしても無理かしら?』
類『無理。 そう言う話なら、法廷の場所で話し合えば充分だろ? じゃ!』

類は、もう用は無いとばかり、立ち上がろうとする
その類に向かい、啖呵を切る様に叫ぶ

キ『バラすわよ!』

その言葉に、類はピタリと動きを止めた
キャサリンは、類が焦り始めたと思い込み、さらに追い打ちをかけるように言葉を述べる

キ『良いの? あなたの身体の事、、バラすわよ?』
類『俺の身体? バラされるような事は、何も無いけど?』

キ『良くもそんな事が言えるわね。 あなたの下半身って、役立たずじゃない!
  まともな夫婦生活も出来ない様な体でしょ? それを裁判所で訴えるわよ! 
  もれなく世間に広まるけど良いのね!』

弁『今の発言は、脅迫罪と侮辱罪に当たりますが、宜しいのですか?』

その冷静な声に、キャサリンも次の言葉が言い出せず、グッと言葉を詰まらせる

類『とにかく、減額はしない。 あんたもいい加減、罪の意識を持って反省したらどう?』
キ『本気よ! 今の内に、私に謝罪をしなさいよ!』

類『御冗談。 何であんたに謝んのさ。
  あんた達親子のせいで、どれだけの苦痛を味わったと思う?
  これぐらいで済んで、良かったと思うんだね。 じゃ』

類と弁護士は、今度こそ部屋を後にする
残されたキャサリンは、未だに納得がいかず、逆に沸々と怒りが湧いてきている

もとはと言えば、キャサリンとデュポンが類欲しさに画策した事が原因だ
それを棚に上げ、自分達だけが不幸になるのはおかしいと思い始めている
それなら、類も世間の笑いものにさせ、道連れにさせてやる、、とも

類が不能だと分かれば、今後女性から見向きもされないはずだし、花沢も直系の跡取りがいなくなる
それに、不能の夫を持った私に、かなりの同情が集まり、賠償金が減額されるのでは?と、相変わらず反省する事無く話をすり替え、自分に陶酔し、都合の良いシナリオを描き始めた



執務室に戻った類と弁護士
そこには聡も待っていた

類『やはり、俺の身体の事を持ち出して来たよ』
聡『そうか、、今更だが、気の強いと言うか自己中な人だな』

類『そんな奴だから、こういう事をやったんだろう?
  多分あの女、法廷の場で、俺の身体の事を持ち出し、情に訴えると思う
  そして、俺に恥をかかせ、自分に有利に働かせるつもりだと思う』

聡『そうだな。 これだけ世間の注目を集めている事だし、判決後しっかり自分の言葉で締めてくれ
  でも本当に良いのか? お前も、世間のさらし者になるんだぞ?』

類『俺の6年間の結婚生活の真実を、メディアを通して牧野に分かって貰えれば、それで充分
  世間が何を思おうが、牧野さえ俺の事を判ってくれれば、、
  その為には、事実を話せる公判が一番手っ取り早いだろ?
  あっ、その後、長期休暇を貰うから』

聡『あぁ、、牧野さんを探しに行くんだろ?
  この6年間、休みなく働いた事だし気を付けて行って来い』

類『ん、、分かった。 とにかく、この裁判で片を付けてくる』

こうして決戦は、法廷の場へと移された
先に行われた造反者たちの裁判は、全ての罪を認め、背任罪での懲役刑と罰金が、次々と言い渡されていく、、

それらを見ながら、、

もうすぐ終わるから、、
待ってて、、、牧野、、愛樹










関連記事
スポンサーサイト



0 Comments

There are no comments yet.

Leave a reply