FC2ブログ

Welcome to my blog

第四章<完>

4-39 離婚祝い

0

キャサリンは、クレマンの会社を後にした後、ショッピングをして帰宅した
テレビをつけると、類が記者会見を行っている
その報道を、一言一句聞き漏らさない様、テレビの前に陣取った

その報道で、花沢と父親の会社の提携が解除され、耐震偽装の件でも疑いをもたれいている事を知る
そんな中、父親のデュポンが帰宅した
その顔は、かなり青白い

デ『キャサリン。 大変な事になった。
  花沢から提携を解除されたうえ、耐震偽装の件で告訴された
  式の時の私達の会話を録音されていて、全てばれているんだ
  もう言い逃れも出来ない
  先程、告訴状が届いたんだが、耐震偽装で被った損害額を請求されている
  あれ程の金額となると、私の全資産はもちろんの事、会社、工場、農園に至るまで、
  すべて売り払ったとしてもまだ足りん』

キ『えっ? そんなに多額なの?』
デ『あぁ、、もう全て終わりだ。 もうどうする事も出来ん。
  それに事が事だけに、どこも金を貸してくれないだろう』

キャサリンは、言葉を失う
ソファーには、先程買ったばかりのブランド服が、紙袋に入れられたまま置かれている
その袋を見ながら思案していると、一つの名案を思いついた

キ『パパ、、減額をして貰いましょ?』
デ『減額? それは無理だろう。 花沢社長も、そして類君も、かなり怒っているんだぞ』

キ『大丈夫よ。 ほらっ、類には致命的な欠陥があるじゃない
  それをマスコミにばらすと脅せば、、かなり減額が見込めるわ
  それに、既に負債額は返済できているんだし、、そこまでお金に拘らないと思うの
  多分、、私達にお灸を据えたいだけなのよ。 だから、、きっと大丈夫よ』
と、呑気に答えた



会見を終えた類の元には、親友達から<報道を見た>というメールが、続々と入ってくる
ただそのどれもが、離婚はめでたいことだが、キャサリンに対する仕打ちもキッチリしろ!と酷評ばかりだ
それに苦笑しながらも、次の段取りを話し合っていた

そんな中、受付から来客を告げられる
相手は、司の第二秘書だと言う
何だろう?と思いつつ、執務室にまで来て貰った

佐「花沢様、突然で申し訳ございません。
  私、司様の第二秘書をしております、佐々木と申します」
と、一枚の名刺を差し出してきた

確かに、西田の後ろにいる姿を、何度か見た事がある、、と思いながら、その名刺を受け取る

佐「これを司様から言付かりましたので、お届けに参りました」
と、紙袋を差しだす

類「これを? 何だろ?」
佐「大切な物ですので、確実に手渡しする様にと言われました」

確かにフランスでは、郵便物など、数日待っても届かない事がある
それ程、重要な物?

類「って言うか、、わざわざこれを届ける為だけに、ここまで来た訳?」
佐「はい、、そうでございます。 
  司様は、どうしても仕事で抜ける事が出来ないらしく、
私に託された次第です」

類「これ、、何時頼まれたわけ?」
佐「昨日の夜でございます」

昨日の夜?と言う事は、離婚報道のスクープを受け、この品を俺の所へ届けさせたと言う事?

類「分かった。 ありがとう。 司には、俺から電話をするよ」
佐「畏まりました。 それでは失礼致します」

深々とお辞儀をした後、司の第二秘書は踵を返し、部屋を出て行った
西田さんに負けず劣らず律儀な面持ちの彼は、すぐさまNYへ帰るんだろうな、、と思いながら、紙袋を開ける

そこにはDVDが二枚
一枚は、ディズニー映画<アナと雪の女王>
もう一枚は、ケースの上に、司のメモが添えられている

<離婚祝い。 一人で見ろよ>

中を開けると、ごくごく普通のDVD
特に、何も書かれていない
とにかく受け取った事を連絡しよう、、と司に電話を入れた
すると、数コールで司が出た

司「類か?」
類「ん、、司、今、秘書がDVDを持って来たんだけど、、これ何?」

司「離婚祝い、、つって書いてあるだろ?
  んで、ハッキリさせときてぇんだけど、お前どうするつもりだ?」

類「もう少しかかりそう。 まだあの親子との決着がついていないしね。
  その後、、きちんと迎えに行くよ」
司「だな。 とにかくキッチリ潰せよ。
  分かっていると思うが、話しはそれからだぜ?」

今は、牧野と子供の事を聞くなよ、、と先手を打たれてしまった
まあ、何もかも終ってから、、と俺も考えている

類「悪いけど、、もう少し頼んどく」
司「あぁ、、それとそのDVDは、お前の為の栄養剤って所だ
  ディズニーの方は、俺がこっちで買った物だ
  かなり良い作品だぜ? あっ、歌も覚えとけよ」

ディズニ―映画、、
これって、愛樹が好きな映画って事じゃない?
なんか、、妬けるんだけど、、
でも今は、司に嫉妬をしている場合じゃないよな、、

類「司がディズニー?  何か似合わないんだけど、、」
司「俺もそう思うわ。 じゃあな」

類「えっ?」

俺の驚きの声に対する返答はなく、無情にも電話は切られてしまった
その電話を見ながらも、今でもかなり仕事が忙しい親友の身を心配しつつ、こうして俺の事にも気を掛けてくれる司に、脱帽する思いだ

それと共に、この6年、、
牧野と愛樹を、ひっそりと守り抜いてくれた事にも、感謝の気持ちで一杯だ

類は、一枚の何も書かれていないDVDを手に取り、パソコンにセットする
そして、再生された画像を見て、目を見開いた
そこには、お腹の大きい牧野の姿
マタニティを着てソファーに座り、愛おしそうにお腹を撫でている

つ『ふふっ、、よく動くんだよ? それにもうすぐ会えるね』

その表情に、迷いは全く見られない
もうすぐ会えると言う喜びで、一杯のようだ

そこから画面が変わり、病院のベッドで横になっている牧野
その横には、すやすやと眠っている赤ちゃん
生まれたばかりだろうか?
まだ全体に赤く、所々白い物が付いている

つ『愛樹です。 凄く安産でした。 ママ思いの優しい男の子です』

赤ちゃんの小さな手を握り、嬉しそうに話している
愛樹も大きく欠伸をした後、再び眠り始めた

そこから、牧野と愛樹の日々が少しずつ撮られている
寝返り、離乳食、一人でお座り、ハイハイ、つかまり立ち、一人立ち
その子供の成長を、母親の眼差しで見つめ、あやす牧野の姿

一歳の誕生日から、愛樹のやんちゃぶりや、育児に奮闘している牧野の姿
言葉も、日本語だったりフランス語だったり
それでも、何時も二人は、カメラの前で笑顔で映っている

それらを見ながら、涙が頬を伝う
牧野、、、愛樹を生んでくれてありがとう
愛樹、、、ママの心の支えになってくれてありがとう

必ず、、
必ず迎えに行くから、、
もう少しだけ待ってて、、と心に強く誓う

そして司に対しては、一生頭が上がらないな、、と思いつつ
どう言う気持ちでこの二人を守り、見ていたのだろう、、とも思ってしまう

多分司もまだ、牧野の事が好きなはず
だから皆に嘘をつき、こっそり二人を匿っていた

好きな女に危害が及ばないように
その女の子供が、元気に育つように

今更だが、司は凄いよ
二人を守りながら、俺を鼓舞してくれた
だからここまでやってこれた

ありがとう、、司
この栄養剤、、かなり良く利くよ










関連記事
スポンサーサイト



0 Comments

There are no comments yet.

Leave a reply