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今でも…<完>

66 家族会議

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類 「とにかく俺としては、牧野以外考えられない。
   でも、祖父がいる限り、きっとまた邪魔をしてくると思う。
   知っていると思うけど、牧野ん家って、普通の、、いやもっと貧しい方の家庭だと思う。
   そんな相手と結婚したいと言ったら、何が何でも引き離そうとするだろ?
   血の繋がりはどうにも出来ないけど、仕事を含めて、俺を縛り付けるのは我慢ならない。
   それに、高崎テクノロジーも邪魔。
   俺にこんな事をしておいて、今後、平気な顔して取引なんてできない」

聡 「つまり、高崎を切り、祖父も会長職から辞したい訳だな?」
類 「そう、、俺なりに、いろいろ考えたんだけど、なかなか良い案が見つからなくて」

聡はしばらく考え込む

聡 「あの会社は、最先端技術では、日本でもトップクラスだ。
   その技術を花沢が独占契約し、製品化している手前、切るとなると、会社はかなりの減収になる。
   それに、それは日本だけにとどまらない。
   製品化した物を、ここヨーロッパでも販売しているからな」

つまり、日本だけの減収にとどまらない、、
ヨーロッパ支店も、かなりの減収になり、最悪会社自体の存続が危ぶまれる、、
と言う事を、言っているのだろう

麗 「高崎に代わる別な会社って、無いのかしら? 
   ヨーロッパになら、そのような会社があるんじゃない?」

聡 「ある事はあるんだが、そのどこも企業と独占契約してるんだ。
   二社三社と契約をすると、情報が漏れる可能性があるし、似たような製品しか作れない
   すると、共倒れになる可能性が大きい」

麗 「じゃあ減収を覚悟したうえで、高崎を切ったら?」
聡 「祖父の思う壺だな。 花沢の減収の責任を類に負わせ、新たな政略結婚をさせるだろう。
   そして類自身も、今後こそ拒めなくなる」

類 「そうなんだ。 
   一番良い方法は、高崎テクノロジーと匹敵する新企業を見つけ、そこに移譲する事なんだけど、無理だよな」
その言葉に、両親は言葉が出ない
その姿を見ながらも、坦々と話を続ける

類 「俺自身が、もう祖父と高崎とは、仕事をしたくないんだ。
   それに何とかして、この二つを切り捨てたとしても、祖父とは血縁関係がある以上、
   何時までも俺の人生に口出ししてくると思う。
   あの人は、俺の気持ちより、自分が考えた人生を、俺に押し付けたいんだ。
   だから、牧野との結婚は、絶対に認めないと思う」

聡 「そうだな、、」
聡も、色々な事をかんがみ、納得する

類 「だから、最終的には、会社を辞めるしかないと思う。
   そして、祖父の目の届かない所で、静かに暮らすしか方法は無いんだ。
   でもその前に、牧野を見つけ、キチンと告白し、あいつの気持ちを確かめないといけないんだけど、、
   ここでもう一つ問題が生じる」

麗 「何かしら? 私達は、類君が牧野さんと結婚しても、反対しないわよ?」
と、類にとっては嬉しい言葉を言ってくれる

類 「牧野が、、多分反対すると思う。
   あいつ、、自分と一緒になる為に、俺が会社を辞めると知ったら、
   責任を感じて、俺と一緒になる事を拒むと思う。
   あっ、、誤解しないで、、決して花沢ブランドが欲しい訳じゃないんだ。
   俺を一人の男として見てくれるんだけど、俺の周りの人達を、凄く気にする奴なんだ。
   つまり、父さんや母さん、、そしてジュニアとして育てられた背景なんかをね。
   だから、牧野を見つけ告白する時には、花沢を辞めておきたいんだ」

類の意表を突く話に、聡も麗も動揺する

聡 「おいおい、、もう少し待ってくれ」
麗 「そうよ、、何も今すぐ辞めなくても」

類 「待てと言われても、他に良い案が無いんなら、どうしようもない。
   それに、会社は俺が継がなくても、他に優秀な社員がいくらでもいるだろ?」

聡 「まあ、いる事は居るんだが、、」
類 「とりあえず、祖父達が妊娠をちらつかせてきたら、キッパリと断り、会社も辞めるつもりでいる。
   もちろん、家も出る」

父さんの目を見て、キッパリと俺の意見を告げる
母さんは、俺と父さんを交互に見つめ、固唾を呑んでいる
父さんは、俺の目をジッと見つめ、、、そして、フ~と大きく息を吐いた

聡 「お前って奴は、、何時の間に、こんなに頑固になたのか、、
   いや違うな、、将来の伴侶を見つけ、掴み取る為に動き始めた、、って所か?」

類 「そう思ってくれて構わない。 俺の人生なんだし、人の言いなりになって後悔するより、
   自分の気持ちのままぶつかって、その結果をしっかり受け止めたい」

聡 「今から、牧野さんを探しだし、告白した所で、彼女の気持ちは、既に違う所を向いているかも知れないぞ?」
類 「分ってる」

聡 「一度辞めたら、もう二度と戻れないぞ?
   いくらジュニアと言っても、我儘以外の何物でもない行動だからな。
   牧野さんにフラれ、職も失う事になったとしても、、、それでも後悔しないんだな?」

類 「しない。 祖父の掌で転がされる人生よりマシ。
   それが、今回の件で良く分かったから」

俺の言葉に、再び考え始める父親、、
そしてしっかり俺の目を見て、、

聡 「分かった。 どうしても、、って時は、会社を辞めろ。
   そして、彼女の気持ちがお前に向いているんなら、こっちに連れて来い。
   無職で一文無しの息子ですが、貰ってやって下さい、、って、話せば良いんだろ?」

麗 「そうね、、こちらなら、私達名義のマンションに住めば、取り敢えず雨風はしのげるわ。
   それに、家賃の心配もいらないし、、職ぐらい、自分達で何とかするでしょうし」

両親からの、思いがけない言葉に、胸が熱くなる
まさか、、ここまで俺の気持ちを汲んでくれるとは思わなかった

祖父とは違い、俺の気持ちを優先させてくれる
その事が、、、何より嬉しい、、

ほとんど交流のなかった両親だが、今回の件で、本当に俺を愛してくれる事が分かった
それが分かっただけでも、良かったと思う

類 「ん、、、ごめん、、ありがと。 俺の我儘を聞いてくれて」
そう答える俺の声が、震えているのが分かる
そんな俺の背中を、母さんが優しくさすってくれる

麗 「本当、不器用な子ね。 
   でも会社を辞めても、私達はずっと類君の家族ですからね。
   その縁だけは、切らないわよ?」
類 「ん、、分かった」

聡 「まずは、牧野さんを見つけ出す事だな。
   去年の春に、司君と別れているんなら、もう他の男に取られているかも知れんぞ?」
麗 「そうよ、、なんてったって、司君もあなたも、好きになったような素敵な子なんでしょ?
   そんな子を、他の男性も放っておかないと思うわ?」

類 「ん、、かなり心配なんだ。 あいつ、かなりモテるから、、
   でも、大手を振って探せないんだ。 
   祖父が、先回りして、牧野に何かするかもしれないし」

麗 「そうね、、危険分子は、排除するわね。 じゃあ、私達が調べてみるわ」
類 「助かる、、それとなく調べて欲しい。 何から何まで、、ありがとう」

麗 「当り前でしょ? 会社も大切だけど、それより類君の幸せの方が、大切ですからね」

暖かい言葉で、俺を勇気づけてくれる両親に、改めて家族の絆を、しみじみと感じていた

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