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きらきらひかる<完>

68 胸の内

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一方、千恵子とつくしは、重吉が来るのを、今か今かと待っていた。
その間に、つくしは、セミナーで行われた事を、千恵子に話し聞かせていた

千 「そうだったの。 道明寺財閥や、美作商事、、そして茶道の西門流のジュニア達とも、
   仲よくして頂いて、、」

つ 「うん、、それに皆、凄くカッコ良くて、背が高くてね。
   ほらっ、ママの好きな韓流のキム・ヒョンジュンや、イ・ミンホみたいだった」

千 「羨ましいわ~。 ママも一度でいいから、そんな方達に囲まれて、生活してみたいわ~」
つ 「うん、、夢みたいだった」
と、つくしは再び遠くを見つめながら、噛みしめるように呟く
その姿に、千恵子も複雑な思いだった

すると、やっと二人の部屋のドアがノックされ、重吉が入って来た

千 「お父様」
千恵子がポツリと呟き、サッと椅子から立ち上がる
それを見て、つくしも同じように立ち上がった

祖 「千恵子、、そして君が、つくし、、、だね」
つ 「はい、、初めまして。 牧野つくしと申します」
と、重吉に向かって、頭を下げる

祖 「まあ座りなさい」
その言葉に、二人は腰を下ろし、重吉も二人の前に座る

つ 「早速ですが、、こちらがセミナーの修了証と、記念品です」
祖 「無事、終了したという事か、、どうだったかな? 辛くは無かったか?」

つ 「はい。 結果を言えば、とても楽しく、実りのある時間を過ごさせて貰いました。
   こういう形で、セミナーに参加させて頂いたのですが、今は、お爺ちゃんに感謝しています」

祖 「ほぉ、、それはどうしてかな?」
つ 「沢山の出会いがありました。 それは、私の知らない世界ばかりでした」

祖 「そうだろうな。 日本を背負う時期リーダーの為の、セミナーだからな」

つ 「はい。 彼等は、幼い頃からその重圧に耐え、否応なく学ばされ、
   孤独を味わっていたようです。
   それが、今回のセミナーで、同じ境遇の人達と助け合い、時には競い合う事で、
   リーダーとしての素質を高められたようです。

   そして、机上の空論ばかりを教わって来た彼等が、初めて屋外で色々な事にチャレンジし、
   既存に捕らわれない、発想、実行力、責任感、理解力、統率力など、沢山の事を学びました。
   大きな会社を背負う事、、それは羨ましい事ばかりではなく、計り知れない重圧、責任が重く
   のしかかり、仲間と言う大切な存在が、彼等の癒しとなり、励ましになる事を知りました。

   この主催者が誰かは知りませんが、素晴らしい企画だと思います。
   きっと、主催者自身も、孤独を感じてこられたと察します。
   ですから、次世代を担う若者に、こうして仲間、友と言う存在を、教えたかったのだと思います。
   
   今回、お爺ちゃんには、500万円もの大金を支払ってまで参加させて頂いた事に、
   感謝してもしきれません。 私も、沢山の友を得ました。
   まあ、、境遇が違う為、簡単に会う事は出来ませんが、それでも、今回のセミナーは、
   私の心の中に、忘れられない出来事として、一生輝き続けると思います。
   ありがとうございました」
と、再び深く、頭を下げる

その言葉一つ一つが、重吉には嬉しく思う
その証拠に、つくしの顔は、とても輝いて誇らしげに見える

祖 「それでは、その修了証と記念品を、見させて貰ってもいいかね?」
つ 「どうぞ」

重吉は、修了証を広げて見る
そこには、牧野つくしが終了した事を示す証が書かれている

次に、記念品の蓋を開けると、『努力』の文字が目に飛び込んでくる
それを取り出し、その下にあるアルバムを取りだす
そして、一枚一枚、中の写真を見ていく

そこには、類とつくしの余所余所しい写真から始まり、日が経つにつれ、仲良くなっていくのが、
表情を見れば、一目瞭然で分る
そして、参加している他のメンバーも、イキイキとした表情をしている

祖 「これは、、私が貰ってもいいのかな?」
つ 「初めから、それをお渡しする約束でしたから。
   まあ、記念品がこういう物とは知らずに、私をセミナーに参加させたのでしょうけど、、」

祖 「しかし、、これは、つくしの大切な物なんじゃないのか?」

つ 「はい、、とても大切な物です。
   ですが、私の心の中に、彼らと過ごした日々は、何時までも残りますから。
   それに、私は今回の事があるまで、お爺ちゃんの存在を知りませんでした。
   ですが、母が駆け落ちをし、縁を切っている以上、もう会う事も無いかも知れません。
   良ければ、たまにそのアルバムを見て頂き、こんな孫もいたな、、と思って貰えれば、、
   それで構いません」

『もう会う事も無い』と、断言するつくしの言葉に、重吉は寂しさを覚える
祖 「そうか、、、」

つ 「はい、、お爺ちゃん、、本当にありがとうございました。 
   お体に気を付けて、、、何時までも長生きして下さい」
と、重吉に向かって、ニッコリと笑う

その顔は、日に焼け、小麦色になっている
そして、髪の毛も、短くショートヘアだ
以前報告された時の写真では、ロングヘアーで色白の顔をし、今とは似ても似つかない。
その事でも、このセミナーを男として過ごし、頑張って来た事がうかがえる

祖 「ところで、つくしと共に写真に映っている男性は、誰かな?」
つ 「同室で、ペアを組んでいた、花沢物産のジュニアの方です」

祖 「それで、この男とは、それだけの関係か?」
つ 「凄く助けて貰いました。
   いつも、私のフォローをしてくれ、困っている時もそっと手を差し伸べ、導いてくれました。
   彼がいたからこそ、こうして最後までやってこれました。
   彼以外とのペアでしたら、途中でリタイアしていたかもしれません」

祖 「お前達は、、二人して同じことを言いおってからに、、」
と、ボソッと呟く

千 「お父さん? 同じ事とは?」
祖 「何でもないわ、、それより、お前は、金が必要なんだろ?」

千 「そうなんです。 すみません、家を出ておきながら、、、でもお父さんにしか頼めなくて」

祖 「ふん、、お前は、何時までも頑固と言うか、強情と言うか、、
   普通、自分の娘を男と偽って参加させるか?
   しかも、二週間と言う泊まり込みのセミナーだぞ?
   万が一にも、変な奴等に襲われるとかしたら、どうするんだ?
   それでなくても、つくしの奴は、川で溺れるし、斜面からは転がり落ちるし、
   足は捻挫するし、落ち着きが無く、ドジばかりする奴だぞ」

その告白に、千恵子とつくしは、目を丸くし顔を見合わせる

千 「お父さん? もしかして、、つくしが女の子だと知っていたんですか?」
祖 「当り前だ。 お前が駆け落ちし、家を出た後も、定期的に様子を探らせとったわ。
   それぐらい、お前は昔っから、私に心配ばかりかける、おてんば娘だったろうが!」

その言葉に、千恵子は目頭が熱くなった
自分のわがままで、駆け落ちと言う道を選び、実の両親に迷惑をかけたにも拘らず、
ずっと自分を心配し、見守ってくれていたという事実に、、、

千 「お父さん、、、ごめんなさい、、」
と、言葉を詰まらせながら呟き、涙した



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2 Comments

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2018-05-02 13:36

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りおりお
Re: キャ~様

りおりお  

2018-05-02 14:23

祖父の祖にしますね

千恵子からしたら父ですけど、つくしちゃんの父は晴男になるし、この作品には登場しませんでしたがややこしいですからね
祖父は一人だけになりますし、、

千恵子さんも、かなりのお転婆で負けず嫌いで、一度決めたらとことん貫き通す
だから、晴男さんと駆け落ちした時点で、お金に苦労していても父親を頼る事無く頑張って来たんでしょう
つくしちゃんは、その血を強く受け継いでいるんでしょうね

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