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きらきらひかる<完>

60 手がかかる

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そろそろ夕食に行こうか、、と、皆が立ち上がる
類は、救急箱を片手に持ち、つくしを気遣いながら、食堂へ向かった

類 「ちょっと救急箱を返してくるから」
と、食堂の前で皆と別れ、一人、スタッフルームへ向かった

類 「すみません。 救急箱ありがとうございました」
ス 「いいえ、、誰か怪我でも?」

類 「えぇ、、同室の牧野が、、、」
(そう言えば、詳しく聞きたがるよな。
 前回も、湿布と消毒液を借りに来た時、誰がどこを怪我したのか?と聞いてきた
 そりゃ、主催者側だし、参加者の健康管理には、充分気を付ける必要があるんだろうけど、、
 他の人に対しても、同じ対応なんだろうか? それとも、牧野だから心配、、とか?)

類 「牧野が、獣道でこけまして、両手の平に擦り傷と、左足首に軽い捻挫をしているようです」
ス 「そうですか、、明日は、実践はありませんので、あまり歩き回る事は無いと思いますが、
   何かありましたら、何時でもこちらへお越しください」

類 「はい、、」
類は、一礼してスタッフルームから出る
そして、食堂へ向かう途中で、他のペアから声をかけられた

ぺ 「あっ、花沢さん。 雨と雷、大丈夫でした?」
(何で俺達が、外で雷雨をやり過ごした事を、知ってるんだ?)

ぺ 「急に、凄い雷雨になって、スタッフも大慌てしていましたよ」
(まあ、かなり凄かったしな。 スタッフが、慌てるのも無理ないか)

類 「凄かったよな」
ぺ 「俺達は、ギリギリここに帰って来た所だったんですけど、まだ帰って来ていないペアに、
   トランシーバーで連絡を取っていたんですが、全然繋がらないと大騒ぎしていて、、」
(そうだった。 雑音だらけで、全く繋がらなかったんだよな)

ぺ 「知らなかったんですけど、トランシーバーにGPSが付いているらしいんです。
   それも機能しなかったそうで、雷が通り過ぎた後、電波が入る様になって位置確認をし、
   安否を確認していましたよ」

類 「安否確認? トランシーバーで?」
ぺ 「えぇ、、まだ数組、帰って来ていなかったらしくて、、」
(俺達の所は、直接スタッフが来たよな?)

類 「それで、、他のペアは?」
ぺ 「あぁ、、皆無事で、それぞれズブ濡れで、歩いて帰ってきましたよ」

類 「歩いて?」
ぺ 「えぇ、、じゃあ後一日ですが、頑張りましょう」
と告げ食堂へ入っていった

(俺達は、連絡も無く、突然迎えにきたよな? 他のペアは、歩いて帰って来た?
 まあ、獣道とかだと、車が通れないし、たまたま俺達は、運が良かったのか?
 それとも、、牧野を心配して? 連絡を取る前に、早々に車で迎えに?)


類が食堂に入ると、牧野が元気良く手を上げる
つ 「花沢類! こっち!」
類 「あぁ、、」

類は、つくしの横に腰を下ろす
今日の夕食のメインは、チキングリルのようだ
その周りに、赤パプリカ、なすび、ジャガイモのソテーも添えられている

類 「牧野、、そのチキン、、一口大に切ってあげるから」
つ 「でも、、」

類 「あんた、手に力が入らないだろ? それとも、チキンにかぶりつく?」
つ 「いや、、それはさすがに、、」

類 「だろ? ほら貸しな!」
類は、つくしの前の皿を取り、一口大に切っていく

その様子を、四人は見ながら、、、
あ 「類! お前、そんなに世話好きだったか?」
司 「まあ、牧野の掌を見たら、やりたくなる気持ちも分かるけどよ」
総 「まあ、、牧野だしよ。 こいつ、手のかかる弟みてぇだしな」

(残念でした。 恋人同士です)

つ 「『弟みたい』、、って言うのは、当たってるけど、、『手のかかる』、、って言う言葉は、心外だな」
と言いながら、サラダの中の豆を、フォークで突き刺している、、、が、
上手くフォークに刺さらない
仕方なく、フォークで掬おうと、横にスライドさせると、豆が皿から転がり落ちた

つ 「あっ、、、」
コロコロと転がる豆が、テーブルから落ちてしまった
それを拾おうと、身を屈めた時、テーブルの端に、額をぶつけてしまう

ガッンッ
(あっ、、、)

つ 「痛っ」
と、小さく呟き、ぶつけた額を手でさすりながら、屈み込み、落ちた豆を探すが、
どこに転がったのか見失った

つ 「あれっ?」
つくしは、座っていた椅子をスライドさせ、テーブルの下を覗き込むが、やはり見当たらない
仕方なく、探すのを諦め、頭を上げようとすると、テーブルの裏に、後頭部をガンッと当ててしまう

(何やってんのさ、、まあ、、牧野らしいけどさ、、でも、、ぷっ、、)

つ 「痛っ」
今度は、後頭部をさすりながら、ゆっくりと体を起こすと、
皆がポカンとした顔でつくしを見ている

そして、隣りの類に至っては、、、
類 「クックックッ、、、」
と、肩を揺らしながら、含み笑いをしている

(何? 皆の視線が痛いんだけど////)
急に、自分の行動が恥ずかしくなり、顔を染めつつも、
その矛先は、どうしても隣で笑っている類にいってしまう

(もう、、花沢類が笑うから、皆も笑いたくなるんでしょ?)
つ 「もう! 笑うなよ!!」
と言いながら、類の背中をバシッと叩いた

(あっ、、このバカ! 自分の手が今どんな状態か、分かってないだろ?)
つ 「痛ってぇ、、」
自分の掌が、擦り傷だらけという事を忘れ、思いっ切り叩いてしまい、
今度はその手がジンジンと痛む

(痛っ、、痛っ、、しまった~、、怪我してるんだった~)
その手の痛みを和らげるために、上下に振ると、指先が皿の上のフォークに当たり、
今度は、フォークがテーブルから落ちる

カラ~ン
(あっ)
(げっ)

金属の派手な音を立て、床に落ちたフォークを、急いで取ろうと身を屈めると、
再び、テーブルの端に額をぶつける

ガンッ
(また?)

つ 「痛っ」
落ちたフォークを取り、額を押さえながら正面を向くと、、
5人は一斉に吹き出した

司 「ブッ、、、お前、、何一人コントやってんだ?」
あ 「クックックッ、、お前、充分手がかかる弟だぜ」

総 「クックックッ、、類の奴がついていても、怪我するのが頷けるし」
和 「つくし君、、僕よりドジっ子だったんだ」

そんな中でも、類一人、腹を抱え身を屈めて、大笑いをしている
類 「クックックッ、、すっげぇ、、クックックッ、、、」
(こんな天然な奴、、初めて見た。 まあ、こんな奴だから、気になったってのもあるだろうけど)

つ 「もう//// 皆、笑い過ぎ! 花沢類も!」
と言いながら、身を捻り、隣りの類を叩こうとすると、今度は目の前のコップを倒してしまう

バシャッ、、

つ 「あっ、、、」
(もう仕方ないな~。 こいつのドジッぷり、天然さは、今に始まった事じゃないし、
 こんな素の牧野も、可愛いしさ)

皆 「「「「「 プッ 」」」」」
皆も、堪えきれず腹を抱えて笑い始める
それと入れ替わるように、類は体を起こし、倒れたコップを持ち上げ、零れた水を拭いていく
そして、給仕を呼び、新しい水とフォークを持って来させる

つ 「ごめん、、」
類 「良いよ、、これくらい。 あんたのドジは、今更だし。 
   ほらっ、口開けな、、食べさせてあげるから」

(役得かな? 皆の前でも、怪我しているし、これだけドジだし、おかしく思われないし)
(たっ、、食べさせる? いや、、皆見てるし、恥ずかしいし///)

つ 「いや/// 一人で食べられるし」
その言葉に、他の4人は未だに笑いながら、、

司 「いや、、今日は無理だろ」
あ 「そうだぜ。 お前、何一つ食べれてねぇし」

総 「これ以上笑わされたら、俺らも食べられねぇし、類に食べさせて貰えよ」
和 「うん、、僕もそう思う。 掌の怪我で、感覚がイマイチつかめないんだと思う」

(ん、、俺もそう思う。 でも牧野だから、世話を焼きたいし、やってあげたいと思うんだよな)
類 「という事! さっ、口を開けて!」
皆の言葉に、照れながらも口を開けるつくしに、、類がチキンを入れてやる

それを見た司は、、
司 「手のかかる弟、、って、中学生ぐらいを想像していたけど、、三歳児だったんだな」
と、ポツリと呟く、、

つ 「あのな~、、んぐっ」
チキンを、喉を詰まらせたつくしに、類が急いで水を渡している
類 「ほらっ、、早く飲んで。 一口大でも、きちんと噛まないと、、」

その様子を見て、、、
あ 「弟じゃ無くて、、母親と乳児なんじゃね?」
総 「そうだな。 手のかかるお子ちゃま、、って感じだな」
その言葉に、再び皆は、笑いの渦に巻き込まれた

つくしは何も言えず、顔を赤くしながら、モジモジとし、類はニッコリと微笑みながら、
甲斐甲斐しく世話を焼いていた







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