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花沢類という男<完>

44  1月4日 ①

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昨日から、ずっと傍に付いている
完全看護だから、ずっと付き添う事は出来ない筈だが、無理を言って頼み込んだ
元はと言えば、俺の責任だし、俺も彼女の傍から、離れたくなかったから
 
牧野さんは、何度か目を開ける物の、まだ高熱だった昨日は、意識が朦朧としているようで、
今、病院にいる事も分っていない様だった
 
ただ、焦点の合っていない瞳で俺を見詰め
つ 「葉山さん、、、好きなの、、」
と、うわ言のように呟いた後、静かに目を閉じる
そして、一筋の涙を流していた
 
そんな牧野さんの頭を撫で、涙を拭いながら
類 「うん、、俺も好きだから」
と、声をかける事しか出来ない、不甲斐ない俺
 
だから、もっとしっかりしよう
彼女に寂しい思いをさせてはいけない、、と強く誓った
 
牧野さんが安心できるよう、着実に事を進めよう
まずは、、、牧野さんの熱が下がり、きちんと話をして、すぐに行動に移そう
明日から仕事が始まるし、今日中に牧野さんの了解をとらないとな
 
 
 
 
体が、熱い、、、
それにダルイ、、
頭は重く、動かすのもしんどい、、
でも、時々手を握られ、頬や額に、冷んやりとした手が触れ、心地良い
 
ボーとした頭で目を開けると、心配そうな葉山さんの顔が見える
ハハッ、、好き過ぎて、幻覚まで見えるようになったんだ、、
それとも、まだ夢の中?
 
じゃあ、、私の思いも、、、
つ 「葉山さん、、、、好き、、なの」
言葉を発するのもしんどい、、
 
ゆっくりと目を閉じ、続きの言葉を心の中で呟く
(専務の元へ、行かないで)
 
自己中な自分の思いで、胸が張り裂けそうだ
嫌な女だ、、好きな人の事を、素直に喜べないなんて
 
自然に涙が溜まり、目尻から零れ落ちていく
それを拭う、冷んやりとした手、、
 
そして私の耳元に
類 「ん、、俺も好きだから」
と言う、葉山さんの声が聞こえた気がした
 
自分にあまりにも都合の良い、幻聴まで聞こえるなんて、、、と、改めて熱が高い事を思い知る
 
それから何度か目を開けると、何時も葉山さんの心配そうな顔が目に入る
たまには、熱を出すのも良いもんだな、、と思っていた
 
 
そして、やっと体が軽くなった気がして、ゆっくりと目を開けると、、
そこは、自分の部屋ではない事を知る
 
ボーと天井を見た後、陽の射す方を向く
窓からサンサンと光が射し込んでいる
部屋の様子から、ここが病院だと分った
 
そして手が握られているのが分かる
ゆっくりと頭を横に向けると、頭が見える、、
頭をベッドの上に乗せ、手をしっかりと握っている
 
その頭に光が当たり、キラキラと天使の輪っかを作っている
これって、、、、この人って、、、葉山さん? 何で葉山さんが?
それに、何で私、、、病院に?
 
つ 「葉山さん、、、」
小さく呟きながら、その手を離す様に動かす
 
すると、ガバッと葉山さんの頭が持ち上がり、ジッと私を見詰める
つ 「あの、、、」
私が一言発すると、すぐさま、額、頬、首、、と、ペタペタと触れ、体温計を取りだした
 
そして慣れた手つきで、私の前ボタンを一つ外し、脇にそれを挟む
数秒後、ピピッとの音と共に、サッと抜き取り、、
 
類 「37.9度か、、やっと38度台を切った」
と、ホッとした表情を浮かべ、再び前ボタンを閉じ、布団を首まで掛けてくれる
 
何で彼が、ここに居るんだろう
それに何で私、病院にいるんだろう
と思いながら、されるがままでいた
 
つ 「葉山さん、、、」
類 「ん?」
 
つ 「何で、、、私ここに?」
類 「ああ、、昨日エレベーター内で、倒れただろ? それで急いでここに連れて来た」
 
(そうだった、、熱が高くてドラッグストアに薬を買いに行こうとして、
 エレベーターに乗ったのまでは、覚えているんだけど、、そこから先の記憶が無い)
 
つ 「すみません、、ありがとうございます」
類 「いや、、元はと言えば、俺があの時、牧野さんを部屋に入れなかったのが原因だし」

(ああ、、だから責任を感じて、ここに連れて来てくれたんだ)
 
類 「まさかあのタイミングで、あいつが来るとは思わなくて」

(確かにタイミングは悪かったけど、専務は、それまでも何度か来ていたのかも知れない
それなのに、葉山さんが私の部屋に居て、留守だったから、、だから怒りまくていたのかも)
 
類 「ごめんな、、込み入った話でさ、、
   牧野さんまで、巻き込んでいい物かどうかわからなくて」
 
(そりゃそうだ、、三角関係だし。
それに、葉山さんが同性愛者であることを、私が知っているなんて、思ってもいないだろうし、あの場合、二人でじっくり話し合った方が良い)
 
つ 「それで、納得のいく話が出来たんですか?」
類 「ん、、一応、、いろいろ考えて、とりあえずこのまま、、って事になった」
 
(そっか、、専務に許して貰えたんだ、、じゃあ二人は、このまま愛を貫くんだ
 やっぱり私のせいで、二人の関係が悪くなるのは、嫌だもん、、良かったですね)
 
類 「もうヒートしまくってさ、、熱いのなんのって、、
   互いに久しぶりで、ピッチは上がるし、後半なんかヘロヘロで」
つ 「そ、、、そうですか」
 
(ん? 牧野さん、何か顔が引きつってない? 
やはり男二人で、ドンペリがぶ飲みの上、酔っぱらってヘロヘロになる、、って、引くかな?)
 
(何で私を前にして、そんな二人のアツアツぶりを、聞かされなきゃいけないんだろ?
そりゃ、久し振りで、、、そのヘロヘロになるまで、愛し合う気持ちも分るけど、
葉山さんにとっては、専務との愛が再熱して、過去の女は、どうでも良いって事?
それとも、これだけ愛し合ってるんだから、諦めてくれ、、と、遠回しに言ってるのかも)
 
つ 「身体には、気を付けて下さいね」
 
(優しいな、牧野さん、、、、そうだよな、飲み過ぎは良くないよな)
 
(久しぶりだからって、、、やりすぎるのも、、多分体に悪いと思うそれに、嫌なんだけど、、
失恋したとは言え、好きな人から面と向かって、性生活の話を聞くなんて)
そう思うと、再びポロリと涙が零れ落ちた
 
 
 
 

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