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花沢類という男<完>

41  1月3日 ①

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あの後、何時間その場にいただろう
体がブルッと震え、何とか自分の部屋に戻った
 
行きはスキップするかのように、軽い足取りで、アッという間に隣のドアの前まで行けたのに、
帰りは鉛の様に足が重く、なかなか自分の部屋に戻れなかった
 
部屋に入っても真っ暗なまま、電気を点ける事も出来なくて
ラグマットの上に、ペタンと座り込んだ
 
真っ暗な室内でも、目が慣れてくると、薄ぼんやりと室内が見渡せる
つい数時間前まで、ここで葉山さんと、楽しくキムチ鍋を食べていた
このソファーに葉山さんが座って、その隣に私が座って、、
手を握り、キスをした
 
ローテーブルの下には、オセロとジェンガがある
これで遊んだのに、、
 
それで葉山さんが勝って、リベンジしたい、、、って言ってくれたのに、、
好きだから、、、って言ってくれたのに、、、
 
ポロリと再び涙が頬を伝う
一度零れはじめると、次々と零れ落ちる、、、
と同時に、葉山さんの部屋から聞こえた専務の声
 
『女は、身体を武器に、男を寝取る生き物だな』
ずばり、、私の事だ
私が、葉山さんの事を好きになったばかりに、専務から葉山さんを寝取ろうとしたんだ
 
『試したくなる気持ちも分るが、それはあくまで遊びの範囲であって、本気になるなよな』
葉山さんを諌めながらも、声は怒りで満ちていた
私を、、、ううん、、女性の体に興味を持つのも解るが、
遊びなら許すけど、本気になるな、、、と、葉山さんに怒っていた
 
『 こっちの事を考えれば、出来るはずねぇのに、自己中な奴だぜ 』
私っ、、、私ったら、、、専務の気持ちなんか考えず
私が、葉山さんの事を好きになったばかりに
ゲイの道から、こっちへ引き戻そうとしていた
それも体を使って、、、初めて、、という最大級の武器を使って
バカだ、、、専務の言うとおり、自己中の何物でもない
 
葉山さんが手にしていた雑誌、、、あれを見ればわかる
あれは、同性愛者の本なんだろう、、、
だって、男と男の絡みが、フルカラーで載っていた
英語で書かれていたから、洋物だろうけど、、
数冊持っていた所を見ると、愛読書なのかも知れない
 
つまり、生粋の同性愛者で、専務が居ない間の寂しい期間を、私で埋めたかっただけって事だ
初めから分っていた事だけど、こんなに好きになってから現場を見るのって、かなり堪える
 
 
 
ゆっくり立ち上がり、ベランダへ向かう
カーテンを開け、そっとベランダに出ると、
隣りの葉山さんの部屋から、明かりが漏れているのが分かる
 
だめだ、、、
もうこの部屋にはいられない
こんなに葉山さんを好きになってしまっては、こうして隣に二人がいるなんて、耐えられない
 
しかも、二人が一夜を共にするなんて、、耐えられる訳が無い
再び涙が頬を伝う
 
すると突然、葉山さんの部屋のカーテンが、開けられたのか、ベランダが明るくなる
そしてガラッと、ベランダの戸が明けられた
そして、二人の影が、隙間から見える
 
総 「うおっ、、、寒~」
類 「当り前だろ、、、もう2時過ぎだし」
 
総 「いや、、外は寒いが、俺は体中熱いぜ」
類 「ペース早過ぎ、、、もっとゆっくり味わえよ」
 
総 「ふん、、良く言うぜ、、お前も久しぶり、、って喜んだくせに」
類 「くすっ分かった? 実は、ちょっと嬉しかったんだ
   だから俺も、、今かなり熱い」
 
総 「んじゃ今日は、徹夜するか?」
類 「俺の方は良いけど、、、体、辛くない?」
 
総 「こんくらい大丈夫だ。 知ってるだろ?
   とにかく今は、何もかも忘れてぇんだわ
   もっとスッキリしねぇと、仕事にも支障をきたしそうだし、、ウオッ」

専務の驚きの声の後、二人の影がしっかりと重なって見える
 
葉山さん、、、専務の事を、しっかりと抱きしめたんだ
そして、キスでもしたのかな?
あ~完璧に、大失恋だ
 
『ゆっくり味わう?』
何を? さっきの雑誌が、頭をかすめる
そこには、男性の性器を口に含んでいる写真
 
『ちょっと嬉しかった? かなり熱い? 今日は徹夜?』
そして、二人の重なり合う影、、、
頭の中には、雑誌で見た男性同士の絡み合う姿
その片方が、葉山さんの顔に、差し替えられていく
 
『俺の方は良いけど、、、体、辛くない?』
葉山さんの、専務を気遣う言葉
ほんと葉山さんって、優しいよね
私とした時も、ずっと体の心配をしてくれていた
 
浮気する男は嫌だと聞くが、私もそうだ
明日、明後日、、と、また私を誘ってくれる葉山さんの言葉は、もう受け付けられない
 
専務と言う恋人がいるんだし、こうして徹夜で愛し合うんだから
もう私を気遣って貰いたくない
 
まあ私の場合、私が二人の仲に割り込んだ形だけど
それでももう無理だ
こんな不毛な恋は終わらせよう
 
だから今だけ、、、今だけ泣こう
隣のベランダは、カーテンがキッチリと閉められ、今はもう真っ暗だ
でも私の頭の中には、葉山さんと専務が愛し合っている姿が、くっきりと映しだされていた
 
 
 
 
その頃、隣りでは、、、
類 「総二郎、、、危ないだろ? 
   足がふらついてるし、明日の仕事に障るから、もうアルコールは止めな」
 
総 「でもよぉ」
類 「今日は、一日付き合ってやるから、、」
 
総 「悪り~な、、、お前の恋の悩みも、聞いてやっからさ」
と言う話をしているとは、露とも思わないつくし
 
 
すっかり体が冷え切った頃、部屋に戻ったが、その場にぺたんと座り込む
今、隣りで行われている行為を思うと、寝室に行く気にもなれない
 
なぜなら、その寝室の壁の隣が、葉山の部屋だから
万が一にでも、二人の絡み合う声が聞こえたら、、、と思うと、、、一歩も動けなかった
 
そうしながら、窓際の冷たいフローリングで、ジッと朝が来るのを待つ事しか出来ずにいた
 
 
 
 

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