120 説明
2018/06/11
医師を前にして、牧野ママと麗が椅子に座り、その後ろに、あきら、総二郎、佳代が立つ形となる
医 「まず、患者さんですが、、、右の側頭部に、打撲が見られます
それと、両頬、、こちらは、かなり強い力で、何度も殴られた形跡が見受けられます
その為、口の中が切れたようですが、歯は折れていません」
その説明に、、、
マ 「暴行を受けた? と言う事でしょうか?」
と、ポツリと呟く
医 「はい、、、そうです」
医師の発言に、麗と佳代以外の3人は、驚き息を飲む
その中で、牧野ママは、身体が小刻みに震えだす
その牧野ママの背中を、麗が優しくさすっている
そんな中、医師は続ける
医 「それと、、、なぜか暴行の途中で止められ、最後までは行われていません
たぶん、患者さんの顔を見て、それ以上の行為が出来なかったのではないでしょうか?
かなり、頬が腫れていましたし、、、」
それを聞き、牧野ママは、顔に手を当て泣き崩れた
そんな牧野ママの肩を、麗が抱きしめている
あきらは、天井を向き、涙をこらえている
総二郎は、両手をギュッと握り、その拳をどうする事も出来ず、ブルブルと震わせている
佳代は、口元に手をやり、目からはポロリと涙が流れ落ちている
麗 「最後まで行っていないと言う事は、妊娠の心配はいらないんですね」
医 「もちろんです。 しかし、患者さんは、その点を分かっているのかどうかも微妙です。
かなりの暴力ですし、、その後、意識も朦朧とされていたのではないでしょうか?」
あ 「誰だよっ! 一体、、、誰が牧野を、、、クソッ」
医 「それと、、、血液検査の結果ですが、血液中から、興奮剤と思われる物質が検出されています
特に、副作用がある物ではありませんので、その点は安心してください」
この医師の言葉に、あきらと総二郎は、顔を見合わせる
興奮剤? まさかな?
総 「その検査結果は、もらえますか?」
医 「ええ、どうぞ。 患者控えの方を、お渡しいたします」
医師からその紙を、総二郎が受け取る
二人で見るが、良く分らない
あ 「総二郎、、、お前、あの控えは?」
総 「ああ、、家にある」
二人は、顔を見合わせ、しっかりと頷く
医 「それで、、、警察には被害届を出されますか?」
泣き崩れながらも牧野ママは、、、
マ 「被害届を出せば、娘はどうなるんですか?」
医 「娘さんに暴行した相手の捜索をしますが、、それには、娘さんの協力が必要となります
警察に、その時の状況を詳しく聞かれますし、大変話しにくいのですが、
身体のどこを、どういう風に触られたのか、、と、込み入った事まで聞かれます
もし、犯人が見つかり、裁判となりますと、同じことを何度も聞かれます
ですから、大抵の場合、泣き寝入りする事が多いようです」
マ 「そんな、、、そんな事を? 被害届は出しません。 もうこれ以上、娘を傷付けたくありません」
医 「そうですか。
もし犯人が見つかり、裁判をなさるとかでしたら、いつでも診断書をお書きしますので、
おっしゃって下さい、、、慰謝料も充分取れますから」
もし犯人が見つかり、裁判をなさるとかでしたら、いつでも診断書をお書きしますので、
おっしゃって下さい、、、慰謝料も充分取れますから」
麗 「はい。 その時は、よろしくお願い致します」
医 「それと、患者さんですが、、、ショックの為でしょうが、反応が乏しいと言いますか、
無反応、、なんです。 きっと、行われた行為が、信じられ無い物だったのでしょう。
無反応、、なんです。 きっと、行われた行為が、信じられ無い物だったのでしょう。
ですから、何も考えない様、意識を断っているようです」
マ 「無反応?」
医 「とりあえず、行ってみましょう。 見ていただければ分かりますから」
医師に促され、皆でつくしの病室の前まで行く
医 「申し訳ありませんが、まずは、お母様だけお入りください
皆さんは、後で御呼び致しますから」
医師と共に、牧野ママが中に入る
すると、病室から、牧野ママの悲痛な叫び声が、外にいる皆に聞こえる
その声に、麗と佳代は涙し、
あきらは、壁に背を付け唇をかみしめ、
総二郎は、壁に拳を打ち付けた
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