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LOVINGLY(分岐)

48 ディナー

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俺は、牧野の資料を元に、頭の中に、各支店の現状、今後の展望をインプットしていく
そして、疑問に思った事を、チェックして牧野を呼び出した
 
集中していたせいもあるし、いつも時間を気にしていない俺は、その時、終業時間間際だとは思いもしなかった
すぐ牧野が、俺の執務室に入って来て議論を交わした
それは、19時に田村が入って来るまで続いた
 
田 「類様、、、もう19時でございます。 そろそろ、お帰りになられたら如何ですか?」
まだ聞きたい事、知っておきたい事が山程あったが、仕方ない
 
類 「分った。 牧野、、、続きは明日」
つ 「はい、、畏まりました」
と、一礼して、執務室を出ようとする
 
類 「あっ、牧野、、、」
つ 「はい?」

類 「今日は、車で一緒に邸に帰ると良い」
つ 「いいえ、、そう言う訳には、、、」
ほんと、、、真面目過ぎると言うか頑固と言うか
 
類 「どうせ、同じ家に帰るんだし、たまにはシェフの夕食でも食べてあげれば?   
   佳代も、心配していたし、、、」
つ 「でも、、、」
 
類 「上司の命令が、聞けないの?」

俺の公私混同の命令に、少し眉を上げる物の

つ 「分りました。 それでは、今日は、お言葉に甘えさせて貰います」
 
こうして、牧野が入社後、初めて一緒に帰宅した
車内で、俺は邸に電話する
 
類 「佳代、、、今日、牧野と一緒に帰るから、後20分程で着く
   ダイニングに、食事を用意しといて」
 
俺の言葉を、聞いていたのだろう、、、おずおずと、牧野が問いかける
つ 「あの、、、専務も一緒に食べるんですか?」
類 「あぁ、、、」
 
俺の返事に、牧野は嬉しそうに笑う
つ 「邸で、一緒に夕食食べるの、、、、初めてですね」

そう言われれば
休日も、俺が寝ていたり、食べなかったり
 
つ 「きっと、、、美味しいですよ」
と言ったっきり、邸に着くまでその後は何も話さなかった
 

邸に着き、ダイニングに行くと、二人分の食事が用意され、嬉しそうな表情のシェフもそこに居た

シ 「牧野様が、こんなに早く帰って来られるなんて、、、とても嬉しい限りです
   今日は、食後のデザートまで、全て召し上がってください」
つ 「ありがとうございます。 シェフの作る料理は、とても美味しくて頬が落ちそうです」

俺は、それを見ながら、自然と食が進んでいく
 
牧野が、毎日帰りが遅いのは、俺のせいだろう
俺が、企画部行きを命じたからだ
だから、何時も美味しい食事が食べられない

類 「牧野、、、仕事、楽しい? 辛くない?」

俺が、突然話しかけたからだろうか?
少し驚いた顔をする物の、嬉しそうにニッコリと笑う
 
つ 「はい。 楽しいです」
類 「毎日、残業だし、アフターファイブも楽しめないけど?」

つ 「社会人になれた事が、嬉しいんです。
   アフターファイブは無いですが、休日に出かける事が出来ますし、、、それで充分です」
 
俺は、この牧野の言葉、、、<社会人になれた事>、、、と言うフレーズを、
今まで学生だったのが就職し、会社務めをする事が、単に嬉しいんだろう
と、、、そう思った

この時、、、もっと考えれば、良かったのかも知れない
キチンと、牧野と話し合えば、良かったのかも知れない
 
つ 「それに、、、今、こうして類さんと一緒に食事が出来る事も、嬉しいんです
   私の為に、付き合って頂き、ありがとうございます」
と、ニッコリと笑う
 
類 「俺は、、、、別に、、、、」
つ 「今日、車で帰ろう、、、と言って下さったのも、一緒に夕食をとる為ですよね?
   一人で食べるより、格段に美味しいですね」
類 「あぁ、、、」
 
確かに、牧野と一緒に取る食事は、美味しく感じる
いつの間にか、出された食事を全て平らげているし
それを見て、佳代やシェフも驚いているし
 
目の前には、デザートが置かれた
フルーツとアイスの上に、細かな糸状の飴が、ドームの様に被せてある
 
つ 「凄い。 これ、どうやって食べよう? 崩すの勿体ないし、、、かと言って一口では無理だし」
と、皿を持ち上げ、シゲシゲと眺め、あーでも無いこーでもない、、、と、俺の目の前で、百面相をする牧野
俺は、その姿を見て、クスッと笑いが漏れる
 
類 「そのドーム型を外して、最後に食べれば? 何なら、俺のもあげるけど?」
すると、パァ~と目を輝かせ
 
つ 「本当ですか? このドームの飴、くれるんですか?
   後で、返せって言っても返しませんよ?」
類 「クスックスッ、、、言わないよ。 どうぞ」
と、俺は、皿を差し出す
 
つ 「うわ~、ラッキー。 じゃ、遠慮なく頂きます。 ありがとう、類さん」
と言い俺の皿から、ドーム型の飴を取り、自分の皿に移す
そして、幸せそうな顔をして食べ始めた
 
そんな牧野を見て、俺も自然と笑みがこぼれる
それに、気付かないまま、俺もデザートを食べ始めた
 
 
 

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