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キミの笑顔を守りたくて<完>

37 語りかける

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その日から、ずっと牧野と一緒にいる
さすがに、風呂だけは、、、、佳代に頼んだ
そして、欠かさずバイオリンを弾いている
俺の自惚れかもしれないが、牧野が穏やかな表情で、聴いているように思える
 
夕方、気分転換の為、庭を散歩する事にした
退院して、一歩も外に出ていない牧野、、、
 
手を引き、ゆっくりと歩く
 
あじさいの花が、満開のようだ
すると、、、牧野が、花壇の前で足を止めた
 
そして、その前に座る
10cmほどの植物? 何の植物だろう?
 
牧野は、その植物に触れ、小さな声で
つ 「パパ、ママ、すすむ」
と、呟いた
 
久しぶりに聞く、牧野の声
しばらくその場にいたが、風向が強くなって来たので、牧野を立たせて邸へ戻った
 
庭の隅に、庭師がいたので
類 「あれ、何の植物?」
と訊く

庭 「向日葵でございます」

向日葵、、、か、、、、
 

夕食も終わる頃、雨が降り始めた
風も強くなり、窓に雨が叩きつけ始めた
 
牧野が、窓に釘付けになる
そして、小刻みに体が震えだし、瞳から涙が溢れだす
 
そっと、隣に移り、ふわりと抱きしめ 
類 「大丈夫だから、、俺がいるから、、」
と、言いながら背中をさする
 
先程よりも、風雨が強くなり、激しく窓を揺らす
食事を片付けてもらい、少し早いが寝る事にする
 

カーテンを閉め、照明を落とし、手を引いてベッドへ導く
 
シーツを剥がし、向かい合う形で横になる
牧野の手を握り、もう片方の手で、そっと抱きしめ額にキスを落とす
 
類 「もう寝よ? 心配いらいないから。 ずっと一緒にいるから
   大丈夫、、、大丈夫。 怖くないから。 側にいるから。 ずっと、、、ずっと」
と、牧野が寝付くまで、語りかけていた
 

***

少しヒンヤリとした手が、私を包み込んでくれる
 
やさしい声が聞こえてくる
類 「大丈夫。 怖くないから。 側にいるから。 ずっと、、、」
 
すごく安心できる 心地良い声
体の震えが収まってくる
 
類 「一人じゃない、、、俺がいるから、、、」
の声が、頭の中に木霊する
 
私は一人じゃない、、、大丈夫、、、守ってくれる人がいる、、、心配してくる人がいる、、、
一人じゃない、、、と、心の中で呟く
 
すると、心が落ち着いてくる
気付けば、、スーと、まるで水が地面に吸い込まれるように、眠りに落ちていった
 

***

眠りについた牧野の耳元にいつまでも語りかける
牧野が安心して眠れるように、、、
 
 
 
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