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❤献上作品❤

甘いモノ・・・その後4

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数日後、、

総二郎は、自宅で茶器の手入れをしていた
そこに、使用人が来客を告げる

「若宗匠。 花沢様が来られましたが」
「類が?」

平日の真昼間に、わざわざ家を尋ねるとは珍しい
だが、学生の頃ならいざ知らず、今は互いに社会人となり忙しい身
何か用事でもあるのだろう

「ここに連れて来てくれ」
「はい」

暫くすると、使用人に連れられ類がやってきた
スーツ姿の所を見ると、仕事の合間だと分かる

「久しぶりだな、類」
「ん、、、はい」

類は、手にしていた花束を総二郎に渡す
それはかすみ草だけの花束だ
普通は、薔薇などの添え物的な存在だが、こうしてかすみ草オンリーだと圧巻だ

「かすみ草?」

総二郎は、その花束を抱えポツリと呟く

「好きでしょ? かすみ草」

類の声色に、総二郎は眉間に皺を寄せる

何故、、それを知っている?
まだ誰にも話していないぜ?

家元と家元夫人の了解は既に得ているものの、古参の重鎮や支部の煩い輩への挨拶がまだ済んでいねぇ
それら全てが済んだ後に、皆に紹介しようと思っていたのだが、、

何故類が、かすみの存在を知っている?
単なる偶然だよな?
うん、、そうだろう

そう思い込もうとしていた時、類が再び声を発する

「恋は盲目? あれほど遊びまわっていた総二郎も、本気になると全く周りが見えていないんだね」

という事は、、かすみとのデート現場を見られたのか?
――失敗した

確かに、かすみと一緒にいると、周りが見えないと言うか、かすみのいろんな表情を目が追ってしまう
だが自分自身が、かすみに無中になっていると知られるのは照れくさい

「まだ始まったばかりだぜ? でも良い女だとは思うけどよ」

という事にしておこう

「ふ~~ん。 あっ、、俺、抹茶オーレ飲みたい。 喉乾いてんだよね」
「バカか! 俺のお茶に異物は混入させねぇよ! そんなに飲みたきゃ、どっかへ行きやがれ!」

その言葉に、類は口角を上げニヤリと笑う

「『お前とこの先も一緒に過ごせるなら、いくらでも飲めよ!』、、だったかな?」

ギクッ、、と、総二郎は動きを止める

このフレーズ、、
なんで知ってんだ?

「その後、、『なんなら、とびっきりの抹茶オーレを作ってやるぜ?』って言っていたような?」

ギクッギクッ
今にも心臓が飛び出しそうな総二郎は、類から視線を外す

あの場所に居たのか?
マジか?
俺の一世一代のプロポーズだぜ?
しくじったな、、

と思っている間にも、類の言葉が続く

「『大丈夫だ! 誰も反対しちゃいねぇ!』、、、それで、、、『この先何があっても俺が護るからさ』だったような? あれ? でもまだ始まったばかりなんだよね? おかしいなぁ、、」

類は、ニヤニヤとした笑みを見せながら、総二郎を見る

こいつ、、
確実にあそこに居やがった!
しかも、俺のプロポーズを完璧にコピーしやがって!!

今更ながら、自分がどれだけ緊張し、そしていっぱいいっぱいで周りなど全然見えていなかったことが分かる
それにこれ以上、自分を取り繕う必要もない
今まで作り上げてきた俺の人物像など、かすみの前では、ただの男に成り下がったのだから

「始まったばかりの女に、プロポーズするんだ、、、へぇ、、確か、、」

今にも、その後の行動を呟きそうな勢いの類に、総二郎は焦る

止めてくれ!!
俺の一世一代のプロポーズを汚すなよ!!
つっても、類に聞かれた時点ですでに汚されているような物だけどよ
ああいうのは、二人だけの心にそっと秘めておくものだろ?

「分かった! 分かったから、もう何も言うな! 抹茶オーレだな? すぐに作ってやっから」

その言葉に、類はニンマリとする

くっそ!!
なんで俺が、抹茶に異物混入しなきゃならねぇんだよ!!
しかも、類の為にだぜ?
かすみにだったら、喜んで作ってやるんだけどよぉ

「あそこの抹茶オーレさぁ、、総二郎のせいで凄く甘くなってさぁ、、キスって言う甘味料が飛び散ったのかもね」

つまり、、
しっかり見ていたわけだな
やりましたよ!!
キスも、、しっかりとな!!
くっそ!!

総二郎は、穴があったら入りたい気持ちだが、淡々と抹茶オーレを作りはじめる
サッサと飲んで、とっとと帰って貰いたい気持ちだ

総二郎の作った抹茶オーレは、とてもまろやかで美味しい
それを飲み終えた類は、、

「先に言っとくけど、、、6月に結婚式はしないでよ! その頃、俺と牧野が式を挙げる予定だからさ」
「へぇ、、お前ら、、やっとか。 牧野の奴、仕事が面白いとかグダグダ言っていたけど、やっと踏ん切りがついたんだな」

「いや? 強制終了、、、かな?」
「へっ? 強制終了? どういう事だ?」

すると類は、苦笑する

「たぶん、、出来ていると思うし? お腹が大きくなる前に、ウエディングドレスを着せたいし?」
「はっ? それって、、まさか!」

こいつ、、早く結婚したくて、最終手段に出たのか?
それって、、どうなんだ?
牧野は、まだ仕事がしたい、、って未練たらたらだぞ?

「誤解しないでよ? きちんと避妊はしていたんだから!」
「だよな、、」

じゃ、どういう事だ?
もしかして、、想像妊娠ってやつか?

「なんかさ、、総二郎のプロポーズに触発された訳じゃないんだけど、俺もそろそろきちんとしたいと思っててさ。 それらしい事を告げたら『出来ちゃったかも』って勝手に誤解してさ」
「お前、、」

総二郎は、あきれた表情になる

俺のプロポーズを見て触発された、、と言うのは判る
こいつは、ずっとタイミングを探っていただろうしな、、
でも、、なんで牧野が『出来ちゃった』と思うんだ?
おかしすぎるだろ?

そんな総二郎にぴしゃりと言い放つ

「言っとくけど、あの日までは完璧に避妊していたから出来ているはずがないんだからな! でも、せっかく誤解しているし、本当に出来ても良いかな?と思ってさ。 そこからは堂々とやってる。 だから年内にパパになる予定、、って事で、6月は予定を空けといてよ! 
それと総二郎もおめでとう。 お前の渾身のプロポーズを黙っとく代わりに、これからも抹茶オーレをよろしく!」

総二郎は、苦虫をかみつぶしたような表情だ
よりによって、一番見られたくない男に見られてしまった
だが、背に腹は代えられない

それに、こいつらが結婚にこぎつけたのは、ある意味俺のプロポーズあっての事じゃね?
それなのに、、これからもこいつに『抹茶オーレ』と、揺すられ続ける訳?
なんか癪に障るんだが、、こいつを黙らせるにはそれしかねぇよなぁ

「お前一人の時だけだからな!!」
「あっ、牧野にも飲ませてやって? あのカフェより美味しかったからさ」

「当たり前だ!! 世界で一番美味しいんだよ!!」
「プッ!」

ムキになる総二郎に、類は笑いが止まらない
その類の笑い声に、総二郎もプッと吹き出す

こいつ、、変わったよな
まあ、、俺もそうか?

好きになった女によって、こうも人は変わる物なんだ、、
と、二人はしみじみ感じていた



< 完 >






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12 Comments

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2018-04-05 09:24

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2018-04-05 09:33

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2018-04-05 09:36

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りおりお
Re: ノエ様

りおりお  

2018-04-05 09:51

昨日は、完璧に撃沈されましたね
分かっていたんですよ
原作では、司君とつくしちゃんはラブラブなんですから
そして、司君は強引なんですよね

分かっていましたよ
分かってはいたんですけど、、忘れていました(笑)

ここのところ、自分の作品を手直ししてこちらにアップする作業に追われ、私の頭の中では、いつの間にか類君とつくしちゃんがラブラブになっていたんですから(笑)
それが、一気に現実に戻された感じです

あの4ページ、類君の姿はどこにもなかった
あきら、総ちゃん、滋、桜子はいるのに、、なんで?
まあ、それだけでも救いかな?
二人のキスシーンを、類君が目の当たりにしなかったんですから、、と言う事にしておきましょう

こちらのお話は、総ちゃんご愁傷様ですね
一世一代のプロポーズを見られたうえ、一生類君に逆らえません
抹茶オーレも、ずっと作り続けることになるでしょうね(笑)
でも、総ちゃんも幸せですから、、全て良しですかね

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2018-04-05 09:53

総ちゃん、、ご愁傷様です
でも、総ちゃんも変わりましたね

やはり、好きな人が変えるんでしょうか?

類君もつくしちゃんによって随分と変わりました
総ちゃんも、かすみちゃんによって変わりました

恋は人を大きくすると言いますが、素敵な相手と巡り敢えて良かったです
まあ、当分類君とつくしちゃんに、抹茶オーレを作る羽目になるでしょうけど、、仕方ないですね

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りおりお
Re: おち~様

りおりお  

2018-04-05 09:57

類君に弱みを握られた総ちゃん
今までの総ちゃん像は、既に崩れ落ちましたね

本気の恋をすると、誰でも周りが見えなくなる
正しくその通りですね

きっと今までは、類君とつくしちゃんの関係を冷かしていたのではないでしょうか?
それが、逆の立場になったんですからね

これからも当分の間、類君とつくしちゃんの為に抹茶オーレを作る日々ですが、その隣にカスミちゃんがいればなんてことないでしょう

素敵な二組のカップル
こんな風に、総ちゃんにも素敵な相手が見つかると良いですね
もちろん、、どんな時でも類君にはつくしちゃんが良いですね

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2018-04-05 10:12

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2018-04-05 10:23

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りおりお
Re: 真~様

りおりお  

2018-04-05 10:51

おめでたかどうかは、、まだはっきりとは判らない段階だと思います
でも、類君は毎日仕込んでいるはず(表現が露骨すぎる?)
もう何時できても良いですからね
その為に、早く結婚、、早く一緒に暮らしたい、、と言う事でしょう

総ちゃんのお相手のカスミちゃんも、凄く性格が良い女性です
つくしちゃんともウマが合い、かなり仲良くなれると思いますよ

総ちゃん、、これからは類君とつくしちゃんにも抹茶オーレを作らないとね(笑)
コメント有難うございました

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りおりお
Re: わん~様

りおりお  

2018-04-05 10:55

花男の37.5巻は、手に入れていません
と言うのも、、なんとなくつかつく臭かったから(笑)
ただ、昨日手に入れた作家様が、こんなお話だったよ、、と教えてくれたんですが、類君ラブからしたら、意気消沈するようなお話でした
何で今頃、こんなシーンを見せられなければならないの?
と、昨日は作家様と話で盛り上がりました

はぁ、、と、溜息しか出ませんよ


さて、今回のお話、、総ちゃんは良き相手を見つける事が出来、総ちゃん自身も随分と変わりましたね
やはり、好きになる相手によって性格も劇的に変わるんでしょう
二組のカップル、、幸せそうだなぁ、、と思いました

コメント有難うございます

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2018-04-05 15:01

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2018-04-05 16:45

総ちゃんも、緊張するんですね
だから、周りが見えていなかった
それに、必死だったのでしょう
総ちゃんをこれだけ惚れさせるカスミちゃんは、ある意味つくしちゃんと同様凄いですね
あの総ちゃんですよ?
女ったらしだったのに、、カスミちゃん一筋にさせるし、抹茶に水からミルクを入れるから、、って言わせたんですからね

そんなプロポーズを逆手にとって、上手い事抹茶オーレを作って貰った類君
これで暫らく、美味しい抹茶―レが堪能できるでしょう

二組の幸せなカップルに幸あれ

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