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もうひとつのfleurs printanières

6 ニューヨーク

10




NYについて翌日、、
なぜかあたしは、コーニング博物館と言うステンドグラスを取り扱っている博物館へ来ている

「ねぇ、、こんな所に連れて来て、あたしに何をしろと?」
「あのよぉ。 お前はどんなステンドグラスが好きだ?」

「はっ? 何を突然」
「いや、実は教会を建築する事になったんだが、そこに使うステンドグラスの絵に迷ってよ。 どうも俺がイメージする物は、煌びやか過ぎてイメージに合わねぇらしいんだ」

それを聞き、つくしはプッと吹き出す

「あんたとステンドグラス、、確かに合わない。 うん、絶対に合わない」
「うっせ~~!! それで、お前ならどんなステンドグラスを填めるか意見を聞かせてくれねぇか? 一応、こういう小さな教会なんだが」

司は、持参してきたイラストを見せる
建築家が描いたと思われる建物のイメージ
そこの窓が、今の所まっさらのままだ

「ちょっ、、ちょっと待って! それって建築デザイナーがやる事でしょ? それをあたしに聞く?」
「あぁ、、建築デザイナーって言う完璧なデザインだと、威圧感ありすぎっていうか、近寄りがたい雰囲気で嫌だって依頼主が言うんだよ。 温かみのある庶民向けで、誰でも足を運べるような、、そんな教会を希望していてな」

「それでド素人のあたしに、意見を求めている訳ね」
「まあ、そういう事だ。 俺らの周りには、専門知識を詰め込んだ優秀な奴らしかいねぇからな。 かと言って、ズブのド素人に頼むと、報酬の事ばかり気にして、仕事は雑なんだよ。 その点お前なら、しっかり考えてくれるだろ?」

なるほど、、と、つくしは納得する
ド素人の意見が欲しいと言う考えも良く分かったし、あたしで出来る事ならば、、
と、素直に思う

「分かった。 ド素人の意見だけど、参考にしてね」
「おう! 頼むわ」

二人の間に、懐かしい時間が戻る
既に恋仲ではないが、確実に存在した熱い時間
そして、頭を仕事に切り替える

「早速だけどよ、、ここと、この部分にステンドグラスを填めこむんだが、大きさが、、あれぐれぇかな?」

司は、一枚の大きなステンドグラスを指さす
そこには、聖書を持つ人達のステンドグラスがある

「でも、枠があるんだよね? だから、その枠に合うような絵柄がいいんじゃない?」
「だよな。 ここの窓の枠がこれで、、」

つくしは、早速意見を出す
ステンドグラス自体は詳しく知らないものの、落ち着けるような絵で窓枠とマッチしている物が綺麗だと感じる

その窓枠を見ながら、博物館のステンドグラスを見ていく
見れば見るほど、奥深い物だな、、と感じる
これほど沢山のステンドグラスを見るのも初めてだし、確かに絵柄によっては、厳かだったり、煌びやかだったり、暖かだったりと色々だ

それに、日差しが差し込むとまるで別物に変わるところも素敵だ
ステンドグラス自体もそうだが、ステンドグラスを通して壁に映る色合いもまた綺麗だ

博物館内のステンドグラスを一つ一つ見て回り、写真撮影NGの場所でもスタッフが写真を撮って行く
それらを持ち帰り、道明寺ホールディングスの会議室で打ち合わせを行う

軽い気持ちで引き受けた訳ではない
素人ならではの意見をどんどんと出していく
それをスタッフは事細かに書き記していく

そしてあっという間に時間が過ぎていった

「サンキューな。 んでこの後なんだけど、ゆっくり食事でもしねぇか?」
「えっ?」

「時間的に、今夜はこっちに泊まるだろ? 俺ん家でも良いんだが、それだとお前が気を遣うだろ? だったら、メープルに泊まるか? なら、メープルで食事にするか?」

確かに、道明寺邸で泊まる事は出来ない
過去一度行ったことはあるけど、あの家に良い思い出はないし、楓社長に会いたくないし、第一元彼の家だし、類に会わせる顔が無い

今回だって無理やり連れて来られた訳で、仕事に専念していただけだし、やましい事なんて何もないんだけど、、
誤解を招くような事はしたくない

「なんだよ、、その誤解を招くような事っつうのはよ!」
「えっ?」

「まっ、まさか、、、」
「ぷっ! お前全然変わってねぇんだな。 声に出てたぜ」

ゲッ!

つくしは驚愕の表情の後、あまりの恥ずかしさに頬を染める
その昔と変わらない姿に、司は微笑む

なぜ、、
俺達の関係は変わったんだ?

なぜ、、
こいつは類を選んだんだ?

俺達は距離に負けたのか?
なら、その距離を無くせば、また元通りに戻るんじゃねぇのか?
何故なら、、、俺達はこんなに自然なんだぜ?

そんな司の想いを余所に、つくしは語り始める

「道明寺、、頑張ってきたんだね。 ここで一人、、あんたって凄いよ。 仕事と学生の両立は生半可な気持ちでは出来ないし、それをやってきたあんたは偉いよ。 それが今なら判る。 あたしも、仕事をしているからね。 でもあの時は判らなった。 自分の事ばかり考えて、あんたの事情を思い遣らなかった。 ほんと、情けない彼女だったね。」
「なら、、」

「でも、、距離に負けたとは思わない。 好きだと言う気持ちが本物なら、絶対に無くしたくないはずだもの。 それを距離の所為にしたくはない」
「という事は、、俺達の関係は本物じゃなかったって事か?」

つくしは、困ったような複雑な表情をしながらも、しっかりと頷く

「ごめん。 見つけちゃったから。 無くしたくない物を」

それは類の事だと分かる
学生時代に付き合っていた時は、俺の陰に隠れその存在が見えなかったのかもしれねぇが、俺がこいつの傍を離れた時、その存在に気が付いたって事か?
しかも、しっかり惚気てくれてんじゃねぇか

あんたがあたしの傍にいた時は、あんたの光が強烈すぎて、他の光なんて目に入らなかった。
でも、あんたがNYへ行ったとき、凍えそうなあたしの心をそっと温めてくれた光があった。
その光が心地よくて、無くしたくないと感じ始めた。
つまり、見えなかったものが見えてきた、、と言う感じかな?

「お前なぁ。 惚気るのもいい加減にしろよ」
「べっ/// 別に惚気てなんか、、」

「ひとつ、聞きてぇ」
「何?」

「後悔してねぇか?」
「はっ? 何を? 仕事?」

「バカか! 俺と別れた事だよ!」
「あぁ、、全然後悔してない。 それに今、こうしてあんたの役に立てたことは嬉しいし、これからも友達としてよろしくね」

つくしは、満面の笑みで返事をする

その表情は司の大好きな物だ
でも、何気ない言葉に心がちくりとする

この手を離したときに、もう二度と俺の手には戻ってこないと判っていた
フラフラしている女だが、その芯はしっかりとし、一度決めたことはぶれる事が無い
つまり、俺との恋はまだ心の中で確定されていなかった物
だが類との恋は、どんな事にも覆らないしっかりした物

何時の間に、これだけの差がついたんだ?
距離は関係ないと言っていたが、他に何がある?

くそっ、、
諦めの悪い男だぜ!!

「あぁ、、これからもよろしくな。 んで、ここに居る事は、あいつに連絡したのか?」
「あぁ、、携帯を家に忘れて来てて」

あっけらかんと告げるつくしに、司はポカンとする

「でも、明日には帰るし、、」

なんでもない、、と言うつくしに、司は笑いが込み上げる
今頃あいつ、必死に探してんじゃね?
それとも、あきらに連絡して、ここに居る事を知り、ヤキモキしてんじゃねぇか?
まあ、あきらが素直に教えるとは思えねえが、、

しかしこいつ、、どうしてこうも呑気にしていられるんだ?

「なあ、、お前は、類の事が心配じゃないのか?」
「そりゃ、何も言わずここに来ちゃったから、申し訳ないと思うけど、まさかNYに来ているなんて思いもしないだろうし、、バレなければ大丈夫でしょ?」

「プッ、、お前なぁ」
「だから内緒にしててよ? 少なくとも誤解を生むような事は何一つしていないんだからね」

「あぁ、、分かってる。 俺がお前に無理やり仕事をさせたんだしよ。 んで、これが報酬だ。 現金の方が良いんだろ?」
「うん。 助かる、、って、こんなに沢山もらえないよ」

「ば~か! 建築デザイナーに頼んだら、もっとするんだよ。 これでも格安な方だぜ? それで類の誕生日プレゼントを買うんだろ?」
「うん。 じゃ名刺入れを止めて、もっと他の物にしようかな~~」

バイト代を手に、既に恋人に思いを馳せるつくしを横目に、司は遠く日本にいる親友の事が羨ましく思う

そして心の中で、『絶対に幸せにしろよ』と呟いた


すると、突然その会議室のドアが開く

バタンッ

「あっ、いた! つくし!!」
「えっ? 滋さん?」

「久しぶり~~。 それで司の仕事は終わった?」
「うん」
「良かった。 じゃ、次は滋ちゃんの所でバイトお願いね」
「えっ?」

つくしが戸惑いを見せる中、司はふ~と溜息をもらす

「滋! お前、来るのが早ぇんだよ。 日本に帰国してからっつう約束だろうが」
「だって、、待ちきれなかったんだもん。 でも良いじゃん、無事仕事が終わったんなら。
それに、つくしだって元彼の元を一刻も早く脱出したいでしょ?」

「えっと、、それは、、」
「でないと、類君がヤキモキするもんね」

「それがよぉ、、こいつ、携帯を自宅に置き忘れたんだと。 だから、、たぶん今ここに居る事も知らねぇと思うぜ」

司の呆れた口調とは裏腹に、滋の目がきらりと光る

「なら、丁度良かった。 これで安心してつくしと一緒に居られるし」
「えっ? ちょっ、、ちょっと待って。 あたしはバイトするとは一言も」

「それっておかしくない? あきら君と司のバイトをしておきながら、あたしのは引き受けられないって事?」
「そうじゃなくて、、あたしは出向って形で、美作さんの仕事の手伝いをする事になってて」

「なら大丈夫。 あきら君の許可は取ってあるから、、って事で、行くよ」
「今から?」

「もちろん。 だってここに居たら、、司が変な事をするかもしれないでしょ?」

滋の言葉に、司は焦る

「ばっ、、ばか! んな事するかよ! ただ、食事を一緒にと思ってだな」
「かなり焦ってるんだけど、、妖しいなぁ。 それに、久しぶりに会った元カノが、かなり色っぽくなってビックリしてるでしょ? 男の部分もビンビンになってるんじゃない?」

滋の意味深な言葉に、司はもちろんの事、つくしも真っ赤になる

「酔った勢いで何でも出来るもんね」
「バッ、、バカか! んな事するかよ」

「じゃ問題ないね。 つくしだって、誤解を生むような事は避けたいよね?」
「うん、、まあ」

「じゃ、このまま滋ちゃんと行くよ! って事で、司、、お疲れ様。 後は滋ちゃんに任せてね」

つくしも、滋の言葉に少し納得する部分もあり、腰を上げる
万が一、、という事は無いが、誤解を生むような行動は避けたい

「分かった。 じゃ道明寺、どうもありがとう。 仕事頑張ってね」
「あっ、、待てよ」

「ん? 何?」

司は、言いよどむ
本当なら、二人で食事をしている時に言いたかった言葉だ

だが、今逃せばなかなか言えない言葉でもある

「幸せになれよ」

するとつくしは驚いた顔をする物の、すぐに笑顔になる

「ありがとう。 道明寺もね」

そして司に背を向け、滋と共に部屋から出ていた

パタンッと閉じられた扉を見詰めながらも、先ほどのつくしの笑顔の残像が瞳に残る

その笑顔がずっと見たかった
だが、今は親友の物だ

幸せになれよ
そして、幸せにしろよ、、類


司は一度ギュッと瞳を閉じ、開けた時には仕事人の瞳に変わっている

「じゃ、始めてくれ。 時間がねぇんだ」
と指示を出した





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10 Comments

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2018-04-11 09:35

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2018-04-11 09:37

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2018-04-11 09:53

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りおりお
Re: ノエ様

りおりお  

2018-04-11 11:04

司君、良い男になりましたね
まだ、自分の中には、つくしちゃんへの思いが残っているのに、
つくしちゃんの方は、すでに類君で一杯、、
それに、さり気無く惚気ている

きれいさっぱり別れるには、今回の件は丁度良かったのかもしれませんね

さて、、滋ちゃんの登場です
今度はどこへ連れて行かれるのでしょうか?

って、田村さんは今どこ?

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2018-04-11 11:06

司君には、良い別れの場になりましたね
つくしちゃんと、キチンと向き合って話をする事が出来ましたし、
今のつくしちゃんは、類君で一杯、、と言う事も分かりましたし、
自分が入り込む隙間が無い事も分かりましたから

だからこそ、『幸せになれ』と送り出す言葉が出たのでしょう

そして、滋さんの登場です
彼女はどんなアルバイトをさせるのでしょう?

そして問題は田村さんです
今頃、どこでしょうか?

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りおりお
Re: ゆきた~様

りおりお  

2018-04-11 11:09

司君には、滋さんがお似合いだと思うんだけどなぁ
by類つくファンの心の声

なので、つくしちゃんは類君にちょうだい❤と思ってしまいます

今回は、つくしちゃんと昔のように普通に話をする事が出来、これならもう一度、、と思う司君ですが、
つくしちゃんの心の中は類君で一杯だと思い知らされましたね
だからこそ、きっぱりと諦め、『幸せになれ』とエールを贈る事が出来ました

田村さん、、
今どこ?
早く伝言を伝えないと、、滋さんに連れて行かれちゃうよ~~

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2018-04-11 11:45

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2018-04-11 13:09

司君、、踏ん切りがつきましたね
ほんの一時でしたが、つくしちゃんと一緒に過ごせた時間は、凄く心地良い物でした
でも、つくしちゃんの心には、類君しかいない事も分かりました
距離に負けたのではない、、と言い切るつくしちゃん
もう何も言えませんね
そして、、男らしく、『幸せになれ』と応援するスタイルに
元カレからこんな言葉を貰ったら、嬉しくて仕方ないですよね

さて、、そんな中、滋さんが来ましたけど、どこへ連れていくのでしょうか?
それに田村さん、まだ到着していませんよね?
どうなる?

明日もお楽しみに

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-  

2018-04-11 20:35

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りおりお
Re: ないな~様

りおりお  

2018-04-11 20:50

そうなんですか!
プルさんの所ですね。行ってみます。
これをきっかけに、ブログを作ってみたらどうですか?

私も、ヤフーブログの作品を移行させているのですが、いやぁ酷い物です
なんでこんなに誤字脱字が多いの?と、ひえぇ~~と言いながらやっています(笑)

そして、花男の37.5巻が出ると聞いた時、類つく作家様と小躍りして喜びました
でも開けてみれば、、つかつく、、
マーガレットの方も楽しみにしてたのに、、こちらもつかつく
類君はどこ?
メンズnon-noの方で、やっと類君を見つけ、、これだけ?とやはり悲しくなりました
まあ、原作の続きはどうしてもああなるんでしょうね
分かってはいたんですが、両方とも、司君とのキスシーン、、有り得ない(>_<)

意気消沈し、何も妄想が浮かびません
まあ、暫く移行作業に手がかかり、とてもとても妄想何んて出来ない状態なんですけどね
お知らせありがとうございました

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