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もうひとつのfleurs printanières

8 田村の苦労と類の驚き

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失意のまま、田村は再び空港へ戻ってきていた

類様に、なんと報告致しましょう

牧野様が大河原様とどこかへ行かれまして、お会いできませんでした
ですが、大河原様ですので、ご心配はないかと、、
私はこのまま、帰国してもよろしいですよね?

これで大丈夫でしょうか?
『よろしいですか?』ではなく『よろしいですよね?』と、断言した言い方が無難ですね

それと、絶対にここがニューヨークである事がバレてはいけません
ですが、大河原様と言う名前は大丈夫なはずです

田村は深呼吸をする
そして、携帯を取りだし類のナンバーをクリックしようとしたところ、、
その相手から電話がかかってきた

えっ?
何故類様から?

ドキドキする胸を必死に抑えながら、田村は震える指でスマホをタップした

「はい、、田村でございます」
『お前、、今どこ?』

この質問の答えは、考えていませんでした
どういたしましょう
ニューヨークと言う言葉は言えません
ですが、嘘も言えません
あっ、、

「空港でございます」
『じゃ、牧野に会えたんだね』

ドキドキドキ、、、
余りの鼓動の速さに、この田村、、、ここでぶっ倒れそうでございます

「いえ、、まだ」
『お前、何してる? そこ、ニューヨークだろ?』

えっ?
どうして?

田村は、空港内をぐるりと見回す
特に、自分を見張っている者はいない
もしかして、、私に内緒でGPSが付けられているとか?

そんな中、、田村の耳に、空港アナウンスが聞こえる

<JFK空港をご利用いただき誠にありがとうございます~>

途端、田村はサッと電話口を手で押さえる
心臓はバクバクし、汗がドッと吹き出す

これですね?
私としたことが迂闊でした
バレた以上、潔く謝るのみです

田村はスマホを耳にあてるが、その手はぶるぶると震えている

「申し訳ございません。 こちらに来られたとお聞きしたのですが、既に牧野様は大河原様と出かけられまして。 それが何処かは判りかねまして」
『オーストラリア』

「はっ? オーストラリア?でございますか?」
『そう。 さっき大河原の電話を借りて、牧野から連絡があった。 でも、すぐに切れた。
分かっていると思うけど、、』

「畏まりました。 今からオーストラリアへ行って参ります。 そこで牧野様に携帯をお渡しし、類様へ連絡するよう伝えますので」
『失敗は許さないよ』

類の地を這うような声色に、田村はブルっと身震いをする

それはどういう事でしょうか?
もしかして、、クビを宣告されているのでしょうか?

「分かっております。 今度こそ、必ず牧野様にお会い致します」
『ん、、その後で、じっくり聞かせてもらうから。 お前がNYへ行った理由をさ』

なんでしょう
私の周りだけ、冷風が吹いているように感じるのですが、、

「畏まりました。 それでは行って参ります」

田村は電話を切ると、すぐに国際線乗り場へ向かう
本当ならば、羽田行の飛行機に乗りたかった
だが、、

『シドニー国際空港行きをお願いします』

そして、チケットを手にした後、大河原カンパニーへ電話を入れた
だが、滋の行先を素直に教えるはずはない
滋も大河原のジュニアである
警護の面から、教える事などしない

田村は、肩を落としながらも、検索を始めた

牧野様は、大河原様から仕事を頼まれているはず
となると、大河原財閥がオーストラリアで手掛けている仕事を割り出せば、、

こうして待ち時間を最大限に使いながら、田村は二人の行方を必死に探した



***

田村との電話を終えた後、類は第二秘書を呼び出した

「オーストラリアへ行きたいんだけど」
「はっ? オーストラリアですか? 無理でございます。 今は仕事が立て込んでおりまして」

これは、田村から頼まれたことだ
仕事以外の頼み事は、絶対に聞いてはならないと

「じゃ、オーストラリアでの仕事を作ってよ」
「はっ?」

オーストラリアと花沢物産は、全く取引は無い
それなのに、何の仕事を作れと言うのだろうか?と、第二秘書は呆気にとられる
そして、田村の心労を思い測る

田村さんは凄いです!
こんな無理難題を、いともあっさりと解決し、類様のやる気を出させるんですから
秘書の鏡です!


その時、内線が鳴り響く

「失礼します」

第二秘書は類に断り、電話に出る
その内心は、、丁度良い所に電話が鳴ってくれた、、と、電話の相手に感謝している

「はい、花沢専務執務室です。 えっ? はいっ、おられます。 少々お待ちください」

第二秘書は、困惑しながら電話を保留する

「類様、、社長の奥様からお電話です」
「は? 母さんから?」

類は、驚きつつも電話に出る

「はい」
『類君? 元気?』

「何? 今、仕事中なんだけど?」
『それくらい分かっているわよ。 あのねっ、内緒の話しなんだけど、聡さんが倒れたの』

「えっ?」

麗の言葉に、類は驚愕する
そんな類の耳に、麗の言葉が続く

『周りに誰もいないでしょうね? こんな事が、他の人に知れたら大変でしょ?』

確かに、誰かに知られたら大変だ
社外はもとより、社内でも後継者を巡り紛争が勃発するだろう
なぜなら、、俺にはまだその実力が無いからだ

「秘書しかいない。 それで?」
『とりあえず、容体は安定しているの。 でも一週間ぐらい休養が必要でね』

一週間も?
でも、容体が安定しているのなら安心だ
その間、ゆっくり静養して何食わぬ顔で復帰してくれれば良い

『その間、、類君がこっちに来て、聡さんの代わりに仕事をしてほしいんだけど、田村はいる?』
「あっと、、田村は今、出かけてて」

不味い、、
俺の私用で、田村を海外に行かせていると判ったら、母さんの心証が悪くなる?
しかも、その理由が『牧野と連絡が取れない』と言う、俺の我儘だしさ
俺はどう思われても良いんだけど、牧野に対する心証が悪くなったら申し訳ない

となると、、
今は母さんの言うとおり、すぐにフランスへ行った方が賢明だ
そこで、牧野からの連絡を待とう
一週間か、、ギリギリだな
俺の誕生日までに帰って来れるかな?

「第二秘書でも構わないだろ? すぐにフランスに行った方が良いし」
『そうね。 じゃ今回は、第二秘書を連れて来て頂戴。 もちろん、極秘でね』

「分かった。 じゃ、すぐに手配してそちらへ向かうから」

田村の不在を追及されなかったことに、ホッとしながら類は受話器を置く
そして第二秘書に向き合った

「あのさっ、ここだけの話しなんだけど、父親が倒れたらしい」
「えっ? 社長がですか?」

「そう。 まあ、容体は安定しているんだけど、一週間ほど静養するらしい。 それで代わりに俺が指揮を執る事になったから、すぐにフランスへ向かう事になった。 今すぐチケットを手配して。 もちろん今回は、お前を連れていく」
「はっ? 私ですか?」

第二秘書は驚くものの、すぐさま顔を引き締める
今、第一秘書の田村はいない
代わりが勤まるのは、私のみだ

「畏まりました。 すぐに手配いたします」

第二秘書はすぐさまチケットの手配に入る
その心中は、田村がいない分まで頑張る!!と言う強い気持ちで一杯だった







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6 Comments

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2018-04-13 09:27

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2018-04-13 09:39

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りおりお
Re: ノエ様

りおりお  

2018-04-13 10:36

田村さん、、ほんととバッチリですよね
NYとバレ無いように必死になっていたのに、あっさりとバレている
しかもNYに来たくて来た訳でもないのに、今度はオーストラリアへ

類君からの厳しい声に、田村さんは縮み上がるばかりです
類君の我儘の為に、これだけ苦労しているのにね
ご愁傷様です

そしてなぜか、オーストラリアへ
でも広いよ~~
無事、つくしちゃんに会える確率なんて無いに等しいのにね
どうする? 田村!!

頑張れ!!

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2018-04-13 10:40

田村さん、、もう可哀想ですね(笑)
でも、笑ってしまって、、、

NYに居る事をバレないように、考えて考えて電話をかけようとしたけど、既に類君にバレている!
しかも、つくしちゃんの行先はオーストラリア
そこへ行って来いって、、平気で命令されて、、

田村さん、、何でこんな事に?と思っていないでしょうか?
しかも、、仕事では無く、類君の我儘の為に奔走しているんですからね

類君の方も、父親が倒れたと言われて、急遽フランスへ
行かない訳にはいきませんよね

って事は、、類君の両親も一枚噛んでいると言う事でしょうか?
さて、、この一大イベントはどうなるんでしょう?
是非お楽しみに

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-  

2018-04-13 13:42

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2018-04-13 18:09

麗さんもグルみたいですね
類君は、驚いてフランスへ
そうでなければ、オーストラリアへ行く所でしたから(笑)

田村さんも、必死に弁明を考えていたのに、NYに居た事がバレているし、、
その上、今度はオーストラリア行きを命令されて、、
可哀想、、としか言えませんね

さて、、どうなる?
田村さんは無事、つくしちゃんに会えるのでしょうか?

お楽しみに

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