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fleurs printanières 【2018 Anniversaire】

fleurs printanières 第8話 後編 -凪子-

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第8話 後編





3月29日。日本時間で22時を回る前───

フランスから連絡を入れていた花沢のプライベートジェットが、一足早く、道明寺所有の個人ターミナルに降り立った。

「道明寺のジェットから何か連絡は//!?」
『花沢様!…それが…人質の命が惜しくば、警察と司様と楓会長には、絶対に連絡はするなと…//』

「は?…ちょっと待って、犯人の目的は//!?」
『まだわかりません… とにかく人に知らせずに、こちらに着陸したいと、今はそれだけで…//』

着くなり待機する道明寺の警備員を問い詰める類だが、続く返答は思わぬものだった。

『実は… 司様はこちらに向かう機には乗っておらず、本日はニューヨークで大切な会議がありまして… 道明寺の多くの人員は、今も司様の警護に割いていまして…//』
「なっ//!? じゃ、ここには…//? それに牧野の飛行機には誰が//!?」

『それが…初めから、牧野様を乗せたジェットは夜間飛行でくれぐれも目立たぬようにとのご配慮でしたので、こちらにも、飛行機の方にも…』
「まさか… 警備をわざと減らした!?」
『…残念ながら…』
「クソッ///!!」
既に事態は最悪の展開を迎えている。
勿論司でさえ、通常旅客機よりもかなり安全といわれているプライベートジェットが、まさかハイジャックされるなどとは、夢にも思わなかったであろう…
だが何よりも自分のスマホに直接、そのあるまじき非常事態を伝える甲斐山からのメールがしっかりと届いていた。

日頃ズレてはいるが…あの男、何よりもボディーガードとしての腕前とその人柄においては、類は誰よりも信頼しているのだから、、、

「…仕方無い//! 牧野の…人質の身柄の安全を確保しつつ、こちらで必ず救出したい!出来る限りの人員を早急に集め作戦を練りましょう//!!」
かくして類の先導の元、ハイジャック犯からの牧野つくし救出計画が密かに始動する。


***

『クソッ… 手が、疲れてきたっ』
「…あのねぇ… じゃ下ろせば? どーせほら? ここじゃ誰も逃げられないし」
『…チッ//! わ、わかってるよっ!だけど少しでも、妙な真似しやがればっ//!』
「ねぇ、妙な真似って… ここにいるのはあたし達3人じゃん。みんなのスマホを取り上げちゃえば、どーやって外部と連絡とるっつーのよっ!?」
『っ//…まっ、そりゃそーだけどよっ…
つーかお前っ//! 本当に電話っ、持ってないのか//!?』
「…ええ。すみませんねぇ…お陰様で持って来てませんよっ//!自宅にしっかり忘れてきたっつーのっ//!!…ハァ…もし電話なんか持ってたら、とっくに花沢類と約束っ…ううっ//」
『な///!なんだ///? 女っ//! 急に変なとこで泣くんじゃねぇっ///!!』


…さて… この不可思議な状況…
一応まだ、ハイジャック途中なのですが、、、

いやはや。類さまの想い人の牧野様とは、実になかなか肝の据わったお人なのですねぇ…
拳銃を突きつけられても、犯人との堂々たるやりとり…
先程から私、驚愕しっぱなしで御座います

成る程。これでは流石の類様も、告白を躊躇される筈、、、 いや、もとはさっさと告っていれば、このような事態も免れたものをっ…

それにしても 牧野様…
先程からポツポツと、無意識にフルネームで類様のお名前を…///

うんうんっ…//
そうですか そうですかぁ…//
類様っ、これは日頃色恋に疎い甲斐山にもわかるほど、”見込みアリ”で御座いますよぉ~///!
あとはもうっ、男は度胸ですって//!!

『…おいっ!…またお前っ… さっきから何ニヤニヤしてやがるっ//!?』
おっと… 不味いですね
犯人に目をつけられてしまったようです… まぁ、珍しくなかなかに"弱そう"な犯人ですけど…

「いえ。別に…」
ここは無理に刺激を与えぬ方が良いでしょう。
実はこういう弱そうな人間ほど、追い詰められると何をするかわかりませんし… それになんてったって犯人の隣には、未だ牧野さまが居られるのですから、、、

犯『…チッ//!気に喰わねぇな!…ちなみに”メガネ”のお前っ//!』
三沢『…は? 私で御座いますか?』
…三沢さん。こんな弱そうな奴に「メガネ」呼ばわりっ… お気持ちお察し致します…

犯『そうだっ//! …日本到着まで、あとどのくらいだ//!?』
三『あと小一時間程で、到着の予定ですが』

犯『小一時間か… ちゃんとこちらの要求通り、向こうに人払いはしてあるんだろーなぁ!?』
三『当たり前です!牧野さまのお命がかかっておりますから… 道明寺に仕える者の名に懸けてこちらも約束を守っているのです!くれぐれも牧野さまには、手出しなさらぬよう!!』

犯『…わ、わかってるよっ//! 女もっ// 妙な真似、すんじゃねーぞっ//?』
つ『しないわよっ//!! あたしだってねぇ//…早く着かなきゃ、困るっつーのっ//!!』

ハァ… こりゃ完全に犯人、押し負けてますねぇ…

冷静を取り戻した三沢さんも流石ですが、
牧野様…実になんという気風のよさ…!!

この状況であれだけ言い返せるといえのは、うら若き女性にしては既になかなかの修羅場を潜って居られるのやもしれません、、、

さぁ…類様も負けずにどうか…
頑張って下さいよっ…//


***

警備員『花沢様!まもなく到着になります//!』
「…分かった…」
類はゴクリと生唾を飲む。極度の緊張から、既に喉はカラカラに渇いていた。
既に見た目は道明寺の警備員を装い、見事に変装を施されている。よくよく見ればやはり圧倒的なスタイルの良さは、警備員の中でもかなり異質ではあるのだが、、、
幸い23時という時間帯から、暗闇に紛れて目深に帽子を被れば、まさか花沢の御曹司とは犯人も気付かないだろうと、踏んでの事…。

そんな中もうすぐつくしを乗せたジェット機がこちらに到着する…
カイからの最後のメールには、犯人は”恐らく2人組”とあった。
迷った末、類は司にも花沢の両親にも、何も知らせてはいない。未だ身代金の要求もなく、今更知らせたところで、ニューヨークの空の下ではたとえ司であってもどうしようもなく…
また、一歩間違えて警察に知らせておおごとにでもなれば、機内の犯人の気を逆撫でするとも限らない。
今となっては、何よりも先に着陸先の道明寺のエアポートに連絡を入れた自分の機転に、感謝する他はない。

─だから… 今は俺が……//
類は過度の緊張を解くため、ゆっくりと息を吐き出しもう一度頭を整理した。

道明寺側の情報では、プライベートジェットの搭乗者はパイロットの他、つくしと第2秘書の三沢、そして臨時に司が許可した男性客がひとりと、雇いのボディーガードが二人…
そこにカイの名が一切含まれていないことから、司が許可した男性客とは、恐らくあのメールの内容からもカイ本人を指すのだろう…

更に類が空港のスタッフに念のため確認させたところ、臨時のボディーガード二人というのは、珍しく新入りだということだった。

そこから導き出される結論は、類の中で今や少しずつ固まりつつある。

ひとつ、秘書の三沢は別としても…
甲斐山も含め、屈強なプロのボディーガードが3名もいたなら、犯人を取り押さえることは容易なのではないかということ。
勿論つくしが人質に取られていて身動きが出来ない事も大いにあり得るが… 何より、少人数のプライベートジェットにハイジャック犯が乗り込む自体がかなり珍しい事例だ。

と、いうことは─────
もしも、その臨時のボディーガード2名が、予め犯人の偽装だとすれば合点がいく…

あとは肝心の、犯人の目的は…?
わざわざ侵入の難しいプライベートジェットを狙うあたり、道明寺に対する怨みであれば、つくしの身がかなり危ない。しかし人質には取りながらも、未だ犯人の要求は”この空港に無事に降りること”のみ…

だとしたら、目的は”逃亡”…?

しかし、それならかなりリスキーな逃亡劇であり、そこから犯人の杜撰さえも垣間見られる。

とすると。
やはりこの現状で頼りになるのは…

─カイ…頼むよ…!飛行機の中では、お前が牧野を護って…//!


唇を強く噛み締めながら、類は目の前の飛行機の着陸に、今か今かと備えていた。


***


ゴゴゴゴゴ…


ついに目の前に、轟音と共に道明寺のジェット機が着陸する。

警『…っ//! 電話です!恐らく機内の犯人からの…//』
「いいよ… 出て? 今まで通りに…」
類の指示に、緊張した警備員がそっと受話器を耳に押し当てた。


犯『…どうやら警察は、呼んでねぇみたいだな…』
警『はいっ//!あの、機長や乗客の皆さんは、ご無事で//!?』
犯『あぁ… 待て、変わってやる…』


『…もしもし?』

─まきのっ//!
思わず叫びそうになる自らの口を、類は慌てて押さえ付けた。

警『牧野様ですか//? あの、この度は誠に申し訳ありません//!ご無事で御座いますか//!?』
つ『はい!それは無事です!』

─…良かった…///!!
いまだ押し潰されそうな緊張は続くも、不覚にもつくしの声に涙が出そうになるのを、類は懸命に堪える。

つ『それでですね、あの… ええっ?わかってるっつーのっ//!取り敢えずあたしに任せてっ!』

─…えっ…?
意外にも、どこか緊張感の無い電話の向こう側に、類は驚き更に耳を研ぎ澄ませる。

つ『あの… 本当に、こっちが約束を守れば、この人達、無事に降ろしてくれると思うんです…だから警察には絶対に、このまま知らせないで下さいますか?』
警『あっ///!はい!畏まりましたっ///!!』
チラリとこちらを伺う警備員に、類は無言で頷く。

つ『…ではすみません、えっと、今から全員で飛行機を降りますので、ここにいる道明寺グループの警備の皆様は、両手を上に挙げて飛行機の周りに集まって下さい//…』


***

飛行機の扉が開くと、ライトアップされているとはいえ、暗闇に重苦しい緊張がその場を支配する。

あくまでも目立たぬようにと司の指示を徹底していたのか…この場に集められたスタッフの総数は類も含め、たった10名にも満たない。全員が両手を挙げ出入り口を見守る中、階段を降りてきたのは…
銃を構えた犯人のひとりを先頭にして、パイロット、そして秘書の三沢、続いて見慣れた甲斐山の姿…

犯『…おいっ//!!そこのお前っ、何をしているっ//!?』
類「…すみません…」
類はわざと、帽子を被り直した。それは犯人と人質全員の… 主に甲斐山の注意を、然り気無く自分に向けさせる為…

犯『チッ//、妙な真似すると…わかってるな?…おいっ!!』
犯『お、おうっ//!!』
つられて間抜けな返事をしたもう1人が、最後尾につくしと共に出てきた姿を見て、思わず全員に緊張が走る…

─まきの//…!!

こめかみに拳銃を押し当てられ両手を挙げるつくしの姿に、類は今にでも飛び出しそうな自分の衝動を必死に堪えた。

ひとつ… ゆっくりと息を吐き出し犯人二人の注意がそれたことを確認すると、甲斐山に向け類はゆっくりと指を2本掲げる。
瞬間、カイの目が驚きつつも、やがてゆっくりと頷く様子を見せた。

─犯人はこの二人だけで、間違いは無い、か…

二人とも、ボディーガードの黒のスーツにフルフェイスのマスクでどこか間抜けな格好だが、どうやら先頭の小柄な方が主な指示を出しているらしい…

─銃さえどうにかなれば… イケる…
にわかに生まれた確信を持ちつつ、類は制帽の下からそっと犯人の様子を観察する。
一段一段緊張の中、ようやっと機内の全員が無事、空港に降り立った。

犯『いいか… お前ら、動くなよ…?』
カチャリと銃を構え直す音が、静かなエアポート内に不気味に響き渡る。
小柄な犯人がもうひとりに指示し、犯人のひとりはつくしに銃を突きつけたまま…

『お前らっ//! 全員集まって、飛行機に手を付けっ//!!』
集められたスタッフと共に、類も犯人の指示通り、飛行機に向け両手を広げた。

『今から一人ずつ縛り上げる!…勿論何か不審な行動を取れば、この女の命は無い…おとなしくしてろよ…!』

─成る程ね…
つくしの身柄を案じながらも、類は周囲の様子を鋭く観察する。予めここにいるスタッフ全員には、くれぐれも犯人の行動に全面的に従うよう告げてあった。見れば類の指示通り、スタッフは端から一人ずつ、怯えながらも素直に従い、後ろ手をひとつに縛られてゆく…

チャンス到来、かな…
…カイ、わかってるね……?

打ち合わせがなくとも、今は信じるしかない…
心なしか汗ばむ掌を感じながら、類は今か今かと、犯人が近づく機を伺っている。

その時だった。

「ちょっと//!止めてよっ//!!」
『なんだよっ//!? どうせこんなの、お前ら金持ちにはなんてこと無いだろっ//!!』
「はあ~っ///!? 冗談じゃ無いっ//!!こう見えてもあたしはただの庶民だっつーのっ//! それにっ///…それにこの時計はっ…凄く大切な///プレゼントなんだからっ///!!!」

─…プレゼント…!?
時計、って… まさか、司から…//!?

こんな時でさえジリジリと湧いてくる強烈な嫉妬を懸命に抑えながら、類はまた唇を噛み締めた。

『おい!ふざけんな//!お前ら何を揉めてる!?』
『すみませんボス//!…でもあの、この女の袋って、確か有名な高級時計店の…』
『…フン、成る程な… なかなかいいもん見つけたじゃねーか』
『だからっ///!!これは絶対に駄目なんだってば///!!』
『…金持ちの癖にケチな女だな…いや、金持ちだからこそ、か…ケッ//!胸糞悪いっ//!取り上げろっ!!』
『なっ///!!泥棒ーっ///!!!』
『馬鹿っ//!もう大声出すなっ///!!ほ、ホントに打つぞっ//!!』

緊張が走る。
だが、犯人が銃を構えた瞬間、暗闇に鈍い音と火花が炸裂した。

─パン!
─ガシャン!!
「キャッ///!!」
『イテッ///!!』

「まきの離れて!!」


えっ…!?

それはあっという間の出来事─────

揉め合うつくしと犯人達の間に何かがビュンと音をたて、その瞬間、速業でいきなり2挺の拳銃が飛ばされる…。
それら全てが、1人の警備員の見事なハイキックの仕業であることに、つくしが理解したのは、数秒の後。

だが…
自分に呼び掛けたこの声は、紛れもなく…

「…まさか! 類、なの…っ///!?」
『牧野さまこちらに!!』
「でも///!!」

しかしつくしの心配をよそに、あっという間に小柄な一人が、目の前で類によりいとも容易く組伏せられてゆく…

類「…もう平気!確保して!!」
『『『ハイッ///!!』』』
まだ縛られていない数人のスタッフが動けば、犯人のひとりは呆気なく取り抑えられた。

『…すまねぇボスっ//! 逃げてくれェ~!!』
『クソッ///!…許せよっ//!!』
残された小柄なひとりは既に丸腰

『女は解放したからな//! 時計は頂くぜっ//!!』
「うそ駄目っ!!それっ///! だからあたしのっ///!!!」

騒動の際つくしがうっかり落としてしまった紙袋を拾い上げ、全速力で敷地内を逃げ出してゆく…

しかし…
「ちょっと///!!あんた待ちなさいよっっ//!!」
「駄目だ牧野っ!」
「キャッ///!!」
慌てて追いかけようとしたつくしの身体は、類に強く抱き止められた。

「追うなよ馬鹿っ//!」
「だって///!!あれは大事なっ///…」
この期に至っても尚、あまりにも必死なつくしに、類は呆れて溜め息をついた後…

「…カイっ!!!」
『承知!!』

─えっ…!?
類の掛け声ひとつで、暗闇に大柄な人影が飛び出し、みるみるうちに小さくなってゆく…

「あの…花沢類?…今のって…」
「…俺のボディーガード。あんたと一緒に、ずっと機内に居たんだよ…」
「ええっ!? …あっ!もしかしてあの、”コレクション”の人…//!?」
「…?… ま、よくわかんないけど… 腕は確かだから、取り敢えず安心しな…」

─それって… アレを取り返してくれるって事…//?

だがホッとした途端…
先程のアクシデントに加えて、大切な時計を持ち逃げされたことに…今頃になって全てのショックがつくしに訪れたようで。呆けてカタカタと震え出す小さな身体を類は改めてきつく抱き締めた。

「…牧野…// もう、大丈夫だから…」
「うん//…でも…/// でもプレゼントが、まだ///…」

変わらぬ答えに、類の溜め息が漏れる。

「それって…
牧野… そんなに… 大切な物なの…?」
胸が締め付けられるように苦しい…
せっかくつくしを無事助け出し、たった今、この腕の中に閉じ込めているというのに、、、
当のつくしは涙目で類を見上げながら、未だ取られたプレゼントの心配をしているとは…

「だってっ//…あれはっ//…ううっ//…」
「…馬鹿… 泣くなよ…」
こんなにも、まだ司を想っていたとは…

だがそれでも───
司を想い泣いているつくしですら、やはり堪らなく愛しく思う自分自身の変わらぬ気持ち。
類は噛み締めつつ、つくしを静かに抱き締めた。


「……グスッ、…ざわ…いのっ//…」

─…ん?…… 今……何を…

「…じょ…び… レゼント…のにっ//…」
「…え…?」

つくしの発した言葉の欠片が、類の中で少しずつ意味のあるものに変わる


誕生日? …つまり、…それって…//

「…かどさん…もっ///…」
「…ん」


─チュッ

つくしの涙が嬉しくて…
類は堪らず艶やかな黒髪に口づけを落とした。

「桜子とかっ、…みょじもっ…みんなっ//、」

─チュッ

「…ルバイトっ///…しょーかいして…れたのにあたしっ///…」
「…牧野…//」
─チュッ…

泣きじゃくるつくしの髪には、もうたくさんのキスの雨…

なーんだ…// バイト、って…
そう言うことか…///

「ちょ//ちょっとっ///?…あのっ花沢類///…さっきからっっ///…」
ようやく気づいたつくしが、慌てて類に訊ねる。

「ん… キスしてる…?」
「なっ///!」
ジッと見つめれば、今更ながらに真っ赤に俯くつくしが、殊更に可愛い、、、
類はまた、その鼻先にそっとキスを落とす。

「っ///!?」
「…だってさ… それはつまり、俺のために… 牧野がいっぱい、バイトしてくれたって事だよね?」


「んんっ?… …あっ///!」
やっと今、自分で薄情してしまったことに気付いたのか、つくしは慌てて口を覆う。
そのどれもが、全て愛しい。

「プッ!今更でしょ…」
「だ、だってっ///!…あのっ//…」
こんな筈では無いとかなんとか…そうゴニョゴニョと下を向き呟くつくしの顔を、類は両手で優しく包みそっと上げさせて

「ありがと… その気持ち、凄く嬉しい…//
でも悪いけど… 俺、…どんなモノより牧野のことが、一番大切だから…」
「ヘっ//?」

「あんたに逢いたくて、堪らなかった… ここ数日ずっと… 心配で心配で夜も眠れなくて、仕事も手につかなくてさ…」
「…は…なざわ、類//…」
見つめ合う互いの視線が熱を帯びてゆく。

「だからさ… ちゃんと言わせて? 俺、あんたが好き… これからはずっと側にいてよ。もう2度と、ここから離したくないから…」
「…あっ……」
類からの甘いキスの時間に、つくしはそっと瞼を閉じた。

─嘘…まるで夢みたい…
花沢類も…あたしを、好き、って…///

高鳴る鼓動に震えながら、類からの優しいキスに酔いしれる…その最中…つくしはふと、我に返った。

「ああっ////!!」
「…っ!…何っ//?」
突然つくしから発せられた奇声に、類は困惑し唇を離した。

「あのねっ///!ごめんっ//!!えと、今って何時っ///??」
「…は?……
プッ!クククッ///…あんたってば///…」

「だ、だってっ///!!」
先の読めないところがいかにもつくしらしいと笑いながら、類は遠くに見える時計の時刻をそのまま伝えた。

「…ほらあれ、もうすぐ0時になるけど?」
「あっ!良かった///!!間に合ったっ///!!」
「ん…?」
不可解に首を傾げた類の目の前で、カチリと時計の針が合わさる。

その瞬間、つくしの唇が類の頬に触れた。

「…っ///! …まきの//?」

思わぬ不意打ちに、驚いた類の頬も珍しく赤く染まってゆく。


「あのっ////…えっと……////

花沢類っ…//…お誕生日、おめでとう///!!
あたしも類が…大好きです///…」


…あ… そっか… 俺………


「…ん… ありがと…///」


22才を迎えたこの瞬間───
類は世界でたったひとつの愛しいプレゼントを、思いきり抱き締めた。





FIN


↓おまけつきです♪
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10 Comments

There are no comments yet.

さとぴょん  

2018-03-30 21:50

凪子様
感動的なラスト(後篇)ありがとうございました。
ジェットの到着を待つ類くん、緊張感伝わってきましたね。
冷静に機内の様子や犯人の人数を推理していく類。
頼れる相手は甲斐山しかいないと気付く類。
「カイ・・・頼むよ・・・牧野を守って」
この類の一言で、頼りにされた甲斐山が
一気にカッコよく見えましたね。
機内では、どちらかというと
つくしが甲斐山を守ってる気がしなくもなかったですが(;^ω^)
「メガネ!」と弱そうな犯人に呼ばれ、三沢に同情する甲斐山
ここ細かいところですが面白かったです(笑)
肝がすわっているだけでなく、犯人を言い負かす勢いのつくし、
流石でしたね。( *´艸`)
自分に気付くよう犯人に注意を向けさせる類。
甲斐山に向かって2本の指を出し、それに見て頷く甲斐山、
緊迫した雰囲気の中一瞬交わされるふたりのやりとり。
よかったです(≧▽≦)
そして類くん!決めました♡(≧▽≦)
しかも甲斐山直伝の技で!
アクション系の類は珍しいので目を見開いてしまいました。
つくしの心がまだ司にあると勘違いし、
それでもいいから・・・と愛しそうに抱きしめる類くん。素敵でしたね。
つっかえつっかえ訴えるつくしの言葉で、
やっとつくしの気持ちに気付きましたね。
キスの雨を黒髪に降らす類くん。
喜びが溢れてましたね~♡
類から気持ちを打ち明けて、優しいキスシーンにうっとり。
つくしからの告白も誕生日に間に合ってよかった。
類くん最高のバースデーでしたね( *´艸`)♡
小話では甲斐山や三沢を通して、
ふたりのラブシーンが再度楽しめて嬉しかったです。
甲斐山にはずっと笑わせっぱなしでしたが、
類のこともつくしのことも心から喜ぶ様子に
不覚にももらい泣きしそうになりました。
まさか最後に甲斐山に泣かされるとは・・・。
類くんはやっぱり見る目があります♡
しあわせなしあわせなラスト
ありがとうございました♡ m(__)m
そしてアンカーお疲れさまでした♡

EDIT  REPLY    

さとぴょん  

2018-03-30 22:08

秘密の絵師様へ
類とつくしの可愛らしいイラストありがとうございました♡
頬をうっすらピンク色に染めて
びっくりおめめのつくしちゃん。
豊かな表情がとても可愛いですね。
大きな黒い瞳は、二次でもよく出てくる言葉ですよね。
それにしても、こんなに可愛いくるくるの瞳で見つめられたら、
女の私でも墜ちちゃいそう♡
ちょっと強引に迫ってる感じの類くんも新鮮でよかったです。
つくしの肩を抱き寄せながら、何を囁いているのでしょうね?( *´艸`)♡
素敵なイラストありがとうございました♡(*^^*)

EDIT  REPLY    

ノエノエ  

2018-03-30 22:08

凪子さま
こんばんは。
二話更新有難うございました(*^_^*)
つくしちゃん…肝が座っていますね………ハイジャック犯に向かって「じゃ下ろせば?」とか突然泣き出したりとか、プレゼント死守の為に立ち向かい果ては「泥棒ーっ!」って…(笑)甲斐山さん修羅場をくぐっていると関心していますが、他の人たちは唖然でしょうね(笑)
それにしても、類くんのハイキック!カッコいい~~~~~~~~~~(≧∇≦)♥️!!甲斐山さん!これこそ永久保存版で動画を撮るべきでしたよ!!スマホが壊れていたのが残念…💦
甲斐山さん、最後は大活躍でしたね♪「承知!」はカッコ良かったです!そしてよく走った!
その間につくしちゃんは類くんから沢山のキス♥️そして、つくしちゃんも類くんにキスと告白\(//∇//)\ラブラブですね~(≧∇≦)類くん幸せいっぱいですね。
つくしちゃんからのプレゼントを取り戻せて、つくしちゃんとの想いを通じ合わせた瞬間の写真を撮れた甲斐山さんはボーナスアップ♪してもらえるかも!?(笑)
スピンオフも楽しみにしています(*^^*)

EDIT  REPLY    
おぉ✨

ないない  

2018-03-30 23:43

凪子さま こんばんは✨
アンカーお疲れ様でした(^ω^)
まさかのハイジャック……と最後まで気の抜けない展開でしたが、
無事二人が想いを伝えあえて良かったです💕
つくしは、類以外はout of 眼中な面も持っていますが、
人前でラブシーンを演じたとあっては、のちほど我に返って
悶絶していそうな気がします。 
スピンオフも楽しみにしています。
最後は頑張った甲斐山さんだけど、やっぱりお仕置き希望でーす(。-ω-)

EDIT  REPLY    
さとぴょん様❤

凪子♪  

2018-03-31 05:51

ありがとうございます♪
うふ。ドキドキして頂けましたでしょうか❤
すったもんだの末、空港で抱き合い想いを伝え合う甘い二人…そんなラストだったらいいな🎵なんて思っていたら、見事くじ引きでラストを引き当て!!(爆笑)
そして初めから常に振り回されていた類くんが、最後はなんとか活躍出来れば!との思いから、
ごく自然に、『事件発生』でした(笑)
師匠の冴場類にはまだまだですが(^^;、激レアな戦闘類も(笑)楽しんで頂けて良かったです❤
そして…ふふっ❤
カイ山さんにやられて頂けたとは!!ヽ(*´▽)ノ♪
さとぴょん様をうるっとさせるとは、カイ山もなかなかの男ですね✨(笑)
実は類、あれだけへまをやっても本当にクビを切ろうとしないのは、彼に結構な信頼を持ってるからだと...
そして今回は類がメインで頑張りましたが、実はカイ山、相当の手練れだとおもっております。
手練れ感...無いですけど(爆笑)
細かいとこまで拾っていただき、ありがとうございます❤嬉し♪♪
引き続き、怒涛のスピンオフを!!
どうぞ最後まで、お楽しみに下さいませ~♪(/▽\)♪
どうもありがとうございました!!

EDIT  REPLY    
ノエ様❤

凪子♪  

2018-03-31 06:23

ありがとうございます♪
そうなんです(笑)
このつくしちゃん、必死ですからね!
みんなからの厚意と、自身の体力と睡眠不足と類への愛と…全てを総動員してやっとのこと手に入れられた時計を、類に渡すまであと少しというところで、そうそう手離すつもりはありません(笑)
銃を突き付けられたところでその思いは変わらず(笑)寧ろ、『冗談じゃない!』という怒りと苛立ちから、かえって雑草のつくし、本領発揮になりましたww
カイ山も唖然とした事でしょうね。
そして、状況を見ていない類くんだけが、最後まで緊迫感を持って、好きな女性を守る為に頑張りました✨
あのカッコいい司の登場に、これは負けられないぞ!!と思っていたので(^^;💦
ノエ様の嬉しい悲鳴が頂けて、凪子大喜びです❤
ホントだ!これこそ録画でしたね!!(笑)
ラストは、たくさんハラハラさせたぶん、類くんにたくさんの愛と安心を…(*´ω`*)❤
ふふ♪そしてまだまだ怒涛のスピンオフは続きます!
カイ山さんの活躍(?)と、二人のラブラブの日々を、どうぞ最後までお楽しみに🎵
どうもありがとうございました!

EDIT  REPLY    
ないない様❤

凪子♪  

2018-03-31 06:37

ありがとうございます♪
えぇ、世界一安心だといわれるプライベートジェットで、しかも道明寺の!!(笑)
まさかのハイジャックでした(^^;💦
もう、道明寺の警備はザルなのか!!と、ひとり盛大にツッコミながらも(笑)、かなり早い段階で脳内にこのラストしか浮かばずに、アンカーで勝手に明後日の方向へ走り出した凪子です(^^;
『何でも来て~♪ 事件起こすから~❤』
『…うわ!ホントに起こした!!!』
裏ではこんな感じのやり取りでしたw
でも、あのカッコいい司には負けられない💦
なのでつくしはど根性で乗り切り、類は守る為に全力で頑張り、カイ山もどうにか、最後に役にたつことが出来ました(笑)
ほっ💦楽しんで頂けて良かったですm(__)m💦
そして、おしおき希望!!(笑)
こっそりと呟くないない様❤
あら♪以外とSですかね?(笑)
今回は、まだまだ続く怒涛のスピンオフですので、きっと誰かが何処かで、おしおきしてくれる筈…?(/▽\)♪
無事付き合うことになった二人のラブラブと、果たしてカイ山のおしおきはあるのか!?(笑)
最後までどうぞ、お楽しみに🎵
どうもありがとうございました!

EDIT  REPLY    

asu  

2018-03-31 07:45

キスしてる
うーーん 可愛い💕
くぅーー
黒髪にキスたまりまへんなー
そして安定の文字子
むふっ
堪能させていただきました
ジレジレ、お笑いありからのラブエンド
ご馳走様でした♡
また楽しみにしてます♪

EDIT  REPLY    
さとぴょん様へ

秘密の絵師  

2018-03-31 16:45

はい、おめめぱっちりのつくしちゃん、ちょっと頑張ってみました。…いえ嘘です。20分程で終了です…(苦笑)
お優しいお言葉頂き、恐縮でございます。
類に肩を抱かれて、何を囁いているのか…
もう想像するだけで昇天でございますね…(笑)
いつかプル師匠のように美しいおなごが描けるよう、こっそり精進したいと思います。(←きっと無理 笑)
嬉しいコメントありがとうございました。
まだまだ続くお話とイラストを、どうぞお楽しみに。

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asu様❤

凪子♪  

2018-03-31 16:51

やん🎵もう嬉しいって❤ヽ(*´▽)ノ♪
だってほら、やっと捕まえた❤だしねっ♪(笑)
くうーっ!
類に捕まえられたい…!!…いやっ、遠目から見るだけでも!!(;∀;)(笑)
え?文字子?(笑)
これでも今回は控えめだっ!!キリッ
てことで、以降はラブラブと笑いのオンパレード🎵
まさかの空さんの、あんなことまで!!Σ(゜Д゜)
どうぞお楽しみに❤(笑)
ありがとうございました!

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