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Ti amo

87 決別

12
滋は、19時にメープルに入り、かつて愛し合った懐かしの部屋に入る
そのテーブルの上には、ルームサービスのメニューが置かれ、その上にメモがある

<好きな物を食べてろよ 司>

滋は笑みを洩らし、早速メニューを広げた
その中から、オードブル、メインディッシュ、フレッシュジュース、ワイン、おつまみを頼んだ

暫らくして届けられた料理、、
滋はボーイにボトルワインを開けさせ、グラスに注がせる
そして残りのワインは、ワインクーラーに入れて貰った

ボーイがお辞儀をして帰った後、鞄の中から例の薬を取り出す
錠剤だった薬は綺麗に砕かれ粉末になっている

滋は、グラスに注がれたワインを半分ほど飲んだ後、そのグラスに薬を入れ良く溶かす
そしてボトルにそのワインを流し入れた

次に持参してきた避妊具を、部屋の数カ所に置く
そして何食わぬ顔で食事を始めた



司は、21時頃にメープルに到着した
そしてスイートの一つ下の階で降り、室内に入った
そこには、数人のスタッフがモニター画面を覗いている

司『どうだ? 何か怪しい動きはあったか?』
ス『はい。 メープルに入られると同時に、秘書とは別れ、お一人でスイートに入られました。
  そして、ルームサービスを取られたのですが、その中のワインに薬らしき物を入れました』

司『そうか、、』

司は、スタッフの言葉に、滋に対する信頼が音を立てて崩れ落ちていくのを感じる
あの事件は、滋が画策した物なのか?と、どうしても考えはそこに行きつく
だがどうしても信じられなかった

滋とは、高校時代からの付き合いだが、男勝りのサバサバした性格は、司も気が抜ける数少ない親友の一人だった
その滋が、つくしに何かをしたとはどうしても思いたくなかった

だが久し振りにかかってきた電話は、あきらかに自分を誘う物だった
決算書の不明な点は、経理担当者と見直しをすれば済む事
摺り合わせも経理担当者で充分

それが理由を付けて会いたいと言って来た
しかも、場所はメープルを指定

これは本当に偶然なのか?それとも必然なのか?

滋にとっても、初めての重責を担うポスト
最後の最後まで気は抜けない
だからこそ、俺を頼って来たのだと思いたかった
それが、、

司『分かった。 もう暫く続けてくれ』

司は、スタッフに言葉をかけると、滋の待つスィートへ向かった
その足は、何時になく重く感じられた

なぜなら、大切にしてきた親友を、自らの手で絶つのだから


コンコン
とノックをし、自分で鍵を開け中に入る

司「悪りぃ。 遅くなったな」
滋「ううん。 こちらこそ、わざわざゴメンね」

司は、真っ直ぐソファーに向かい腰を下ろす

滋「さっき、ルームサービスで食事を取ったんだけど、司は食べた? 何か飲む?」
司「いや。 先に仕事を片付けようぜ」
滋「あっ、うん、、」

滋は、ゴソゴソと決算書を取りだし、司の前に座る
そしてそれを司の前に置いた

司は、ペラペラと捲りながら見て行く
キチンと纏められた決算書は、不備など見られない

大河原の利益が少ないと言っていたが、それは見積もりをした時よりも原材料が高騰した為であり、それは道明寺側も同じだ

司「大丈夫みてぇだぜ? 特におかしい所もねぇ」
滋「そう。 良かった。 じゃ、仕事はこれで終わりだよね? 久し振りに一緒に飲まない?
  ワインを運ばせてるんだ? それにおつまみもあるし」

そう言いながら、ワインボトルとグラスをテーブルの上に置く
そして二つのグラスにワインを注ぎ、その一つを司に手渡す

滋「これで合同事業は完全終結かな? じゃ、お疲れ様でした」

滋は、グラスをカチンと合わせる
だが、司はその注がれた赤いワインをジッと見つめるだけで、口に運ぼうとしない

滋「ん? どうかした? いつも司が飲んでいた赤ワインを頼んだつもりだけど違ってた?」

滋は何時もと変わらぬ明るい声色で告げる
その声色に、司の心中は落胆していた

そこに、何らかの違和感でもあれば救われたかもしれない
でも、、何時もと変わらなかった

――何時もと変わらないと言う事は、こいつは平気で人を騙せる術を持っていると言う事に他ならない
――あの天真爛漫で、無邪気な笑顔を向けていた滋はもういない

司「あの時は、お前を利用したみてぇで悪かったな。 
  でもお前のおかげで仕事に打ち込めたし、気分も紛らわせる事が出来た。 感謝してる」
滋「そんな改まった言い方しないで? 
  あの時は合同事業が始まった所だし、ミスは出来ないし、、それに私自身が司を助けたかったし」

確かに滋がいなければ、合同事業もどうなったか判らない
その点は、かなり感謝している
たとえそれが仕組まれた物だとしても、その気持ち良さに嵌まったのは紛れもなく俺自身だ
俺の心の弱さが招いた事だ

だからこそ、真実をはっきりさせたい
俺の手で昔の滋に戻せるかどうかは判らねぇが、俺を救ってくれた恩は返してぇ

司は、一度目を閉じた後、ゆっくり開く
そしてしっかりと滋を見つめ、決定打を突きつけた

司「なぁ滋。 お前が牧野を殺したのか?」




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12 Comments

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2018-11-07 09:20

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2018-11-07 09:52

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2018-11-07 10:27

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2018-11-07 10:58

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2018-11-07 11:14

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2018-11-07 11:32

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2018-11-07 15:10

モニターを設置し、滋の行動をチェックした司君
大河原に疑念を持っていますからね
でも、違っていて欲しい、、と願っていたはず
それが、、滋さんの行動は明らかに薬を盛った事が確認できたんですから、失望しました

滋は違うと思いたかった
それが崩れた事に、司君もまどろっこしい態度は取らず直球で告げましたね

さて、、滋さんはどうする?
明日もお楽しみに

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2018-11-07 15:14

滋は、まだ父親がやった大罪を知らない
司は、大河原が自分を嵌め、つくしちゃんを殺したと思っている
でも、滋は違うと信じたかった

モニターを設置したのも、滋の行動を見極める為
あきらからの助言もありますしね
でも、、滋はそんな事はしない!と信じていたはず
それが、確かに薬を盛ったのが分かった瞬間、変わってしまった滋に何を信じて良いのか司君自身混乱しているでしょう

そしてまどろっこしい事は嫌いな性分
ズバリと、滋に確認しました

さて滋はどうする?
明日もお楽しみに

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りおりお
Re: わん~様

りおりお  

2018-11-07 15:19

まずは、司と滋の決着です

司君は大河原が元凶だと知っていますけど、滋は違うと思いたかった
でももう二度と嵌められない為に、モニターで監視して見たら、、有り得ない行動を取る滋に唖然となりましたね
何時から変わった?
昔はそんな女じゃ無かったのに、、

それでも自分を救ってくれたのは滋ですから、まずはきちんとお礼を告げました
そして、、本当の事を知りたくて、滋に直球で投げかけました
まどろっこしい言い方は、司君らしくないですからね
さて、滋さんはどう思うでしょう?

類君、つくしちゃんと司君との対峙もありますし、もう少しお話はかかりそうです
明日もお楽しみん

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2018-11-07 15:21

このお話が終わったら、以前からある方のカテゴリーの方をアップしますね
もう一つの方は、まだ時間がかかりそうですから

こちらのお話も、やっと司と滋が対峙していますが、まだ類君と司君との対峙が残っています
大河原社長も何とかしないとね
もう少し時間がかかりそうです

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りおりお
Re: さとぴ~様

りおりお  

2018-11-07 15:28

司君は、大河原が今回の黒幕だと知っていますが、滋も加担しているのかしていないのか分りませんからね
それを見極めるために、モニターで監視させました
そうしたら、、明らかに不自然な行動をする滋に、唖然としたようです

自分を救ってくれたのは紛れもなく滋です
例え嵌めたといえ、それに気付かず何度も体の関係を持ったのは自分の甘さ
決して滋だけが悪いわけでは無い、、と分かっています
だからまずは感謝の気持ちを伝えました

でも、、今回の滋の行動を見る限り、滋も加担しているのでは?と思わざるを得ない
苦渋の決断をした司君は、直球で確認をしました
司君らしいですよね

さて滋はどう答える?
明日もお楽しみに

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りおりお
Re: てる~様

りおりお  

2018-11-07 15:32

滋は、暴走さえしなければ、、まだ司君を手に入れる事が出来たかもしれませんね
父親がやった事は本当に知りません
もし、司君から問われても、『知らない』と素直に告げ、父親がやった事を確認できたとき、素直に謝れば、、
司君の印象も変わったかもしれませんね
なんてったって司君を救ったんですから
そして、司君も滋さんの身体に溺れ、救われたと感じていたのですから

でももう遅い、、
滋さんの行動を全て見ていた司君は、既に滋さんを敵視しているように感じます

さて、、滋さんはどう答える?
明日もお楽しみに

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