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Ti amo

88 涙声

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司は、ワイングラスを見つめたまま、重い口を開いた

司「なあ、滋。 お前が牧野を殺したのか?」

司の言葉に、滋の動きはピタリと止まる
驚きすぎて、上手く言葉が出ないようだ

司「お前と牧野は親友だよな? それなのに、何でそんな事をしたんだ?」

口調は柔らかだ
だが一方的に決めつけた発言に、滋は驚きから怒りに変わる

滋「ちょっ、ちょっと待って! 何で私がつくしを?
  私だって、つくしが行方不明と聞いて心配したんだよ?
  だからパパに頼んで、探して貰ったんじゃない!」

その怒りを含んだ声に、滋は無関係か?と思い直す
だが、この一連の行動は、何も関係が無いとも言い切れない
現に、このワインに薬を盛ったのは事実だ

司「じゃあ聞くが、何で俺と身体の関係を持った?」
滋「それは、あまりにも司が憔悴しきってて。 あのままだと仕事に支障をきたしそうで」

確かにあの当時は酷かった
それを見かねて、滋がああいう行動をしたとしても不思議じゃねぇ

司「確かに、俺もお前の身体で癒された事は否めねぇ。
  だがな、そのきっかけとなったあの日、お前は俺に何をした?」
滋「何を?」

司「俺に薬を飲ませただろ?」

滋は、サッと顔色を変える
あの時は知らなかった事だが、結果的に興奮剤を飲ませていた事になる

滋「精神安定剤の事? あれは、司の現状を相談したら、パパがこれを飲ませなさいって」

滋は、あくまでシラをきる
――あの時は知らなかった
――そう、、あの時は、、

その言葉に、司は落胆する
と同時に、気づく
これは、大河原社長が一人で画策した事か?と
だが今では、それを知りながらこのワインに薬を入れた
それは加担したのも同じだ事だ

何で変わった?
それは俺の所為か?

司は、ワイングラスを回し、ワインの香りを嗅ぐ
芳醇な香りは、メープルでも最高クラスのワインだ
そのワインを、グイッと一気飲みする

喉を通り過ぎると、胃がカッと熱くなり、それが体全体に回り始める

司「滋。 お前は俺の事が好きか?」
滋「えっ? うん」

司「いつからだ?」
滋「いつからって、高校生の時からかな? えっ? 
  でも、つくしがいたし、二人の仲を裂いてまで、、とか、そんな風には考えた事無いよ?」

大河原社長は、滋の想いを知っていた
娘を溺愛していると噂の社長の事だ
きっと、その願いを叶えたくなったのだろう
そしてその後、娘の取る行動も分かっていたのだろう

司「なるほどな。 だから牧野が邪魔だったわけだ。
  その牧野さえ居なくなれば、お前は堂々と俺を誘惑できるしな」
滋「ちょっ、、誘惑って! そりゃ、つくしはもういないし!」

滋も結果的に誘惑した形だと認める
だが、つくしがいないから、、つくしが生きていれば、こんな事はしなかった、、と暗に訴える

司「それが、お前の父親の考えだよ!」
滋「えっ?」

そうだ
父親の策に、俺も滋も嵌まったんだ

司「お前の父親が、娘可愛さの余り、牧野を殺したんだよ!
  そして、お前を俺に近づけさせた」
滋「はっ? ちょっ、、冗談でもパパを侮辱しないでよ! 司でも許さないからね」

司「じゃあ聞くが、この合同事業は、何でお前が責任者だったんだ?
  丁度牧野が行方不明になった頃からの事業だ
  本来は、大河原社長が指揮をとるんじゃなかったか?
  そして牧野が死んで俺が落ち込んでいる所を見計らって、薬を持って関係を持たせた! 違うか?」

滋「仕事は、私も大河原の社員だし、そろそろ本格的に指揮を取る時期だと判断したからだし、
  司となら私も気負うことなく学べると思ったからでしょ?
  薬の事は、本当に精神安定剤って聞いてるよ?
  あの時、お酒を大量に飲んでいたから、そう感じたんじゃない?」

滋は、司の空になったグラスに、ワインを継ぎ足す
その手元は、小刻みに震えている
それに気付かない司では無い

何で嘘をつくんだよ
何で本当の事を言わねぇんだよ
何で謝ってくれねぇんだよ
昔のお前なら、悪い事をしたら直ぐに謝ってくれただろ?
『ごめんね』と言って舌を出していただろ?

滋「そりゃ、つくしが亡くなって、司が塞ぎこんでいる時に、体を使って忘れさせようとした事は、
  決して褒められる事じゃない。 でも私には、それしか思い付かなかった。
  それに、その後からは、司の方から私を抱いてくれたでしょ?
  その行為に、私は愛を感じた。 だから拒まなかった。
  私の身体で、司の心が癒されるなら、幾らでも抱いて欲しいと思った。
  だって、純粋に司の事が好きなんだもん」

滋は、涙声で訴える
瞳は潤み、興奮の為か頬は高揚し、上目使いでどことなく誘っている様に司には見える

自分もまだまだだな
自分の行動など、大河原社長にとっては、手に取る様に分かっていたんだろう
牧野が亡くなれば俺が自暴自棄になる
その時に、滋を宛がい身体の関係を持たせれば、簡単にその身体に溺れると、、
何もかも分った上で、仕組まれた事だったんだ

司「確かに、俺はお前の身体で、あいつの事を忘れようとした。
  あいつが死んだ事が、どうしても耐えられず信じられず、滋を抱く事で忘れようとした。
  結果的に、お前を利用した俺が悪い。 すまねぇ」

こいつだけが悪いんじゃねぇ
俺も悪いんだ
こいつが変わったように、俺も変わったのかも知れねぇ

滋「やだ。 謝らないでよ! 私は、司に抱かれて嬉しかったし、これからもつくしの代わりで構わない。
  私を司の傍に置いて? つくしの事が忘れてから私の事を見てよ」

滋の訴えに、司はゆっくり首を横に振る

司「それは出来ねぇ。 
  お前は何も知らなかったかも知れねぇが、お前の父親がやった事は許される事じゃねぇ。
  それさえなければ、俺と牧野は幸せに暮らしていたんだからよ」
滋「だから待ってよ! どうしてパパがそんな大罪をやったと思う訳?
  そんなことするはずが無いでしょ!」
と、滋は叫ぶように告げた




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14 Comments

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2018-11-08 09:27

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2018-11-08 11:24

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Re: ゆきり〜様

りおりお  

2018-11-08 11:31

今回の事件は、大河原社長単独?
と、位置づけた司くん
でも…滋が変わっていることには、やはり失望というか無念というか複雑みたいですね

もちろん、滋は父親がやったことを知らない!
滋にとっても自慢の父親だろうし、信じている!
たから、司くんの話を鵜呑みにできない!

どうなるのでしょうね?
明日もお楽しみに〜

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Re: シマエナ〜様

りおりお  

2018-11-08 11:37

慣れ親しんだハンドルネームだったのに…
何があったのでしょう?
そこが一番期になります(笑)

司くん、興奮剤入りのワインを飲みました
そこに何の意味が?

その上で、自分の行動も反省しています
滋だけを責めるのはおかしい…と
やっと、司君らしくなったかな?
滋も、この時点で反省を見せれば、まだ司くんとは繋がっていられたかも?

でも…滋にとっても父親は全幅の信頼をしている人
疑う訳がない!

さあ…どうなる?
明日もお楽しみに〜

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2018-11-08 11:40

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Re: り〜様

りおりお  

2018-11-08 13:25

そのとおりです
今回の件は、滋の知らないところだった
でも、今では薬を盛るという行為に出るくらい黒に染まってしまった
これは、加担したも同じ事
でも…滋だけを責められない
と、司も深く反省しました

さて…この後、どうなる?
明日もお楽しみに〜

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2018-11-08 13:47

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Re: ほっ〜様

りおりお  

2018-11-08 17:04

あははっ…
司も自業自得かな?
でも、やっと滋に対して自分が行ってきた事に反省を!
そして、きちんと滋に詫びと感謝を告げただけマシかな?

まずはこちらを片付けてから、類君とつくしちゃんの様子を見お届けしますね

もう少しお待ちを〜

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2018-11-08 17:19

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Re: mayumi〜様

りおりお  

2018-11-08 18:28

司君は、ワインの中に何かを入れている事を知りながら飲みました
何を入れたのか、身をって調べるため…
そして滋の話から、滋が頼んだ訳ではないと分かりましたが、こうして薬を盛ると言うことは、父親に加担したのと同じ事…
それが悲しいようです

でも、滋だけを責められない
自分も悪いのだから…
と思っています

さて…この二人はどうなるのでしょうか?
明日もお楽しみに〜

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2018-11-08 22:36

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Re: ニー様

りおりお  

2018-11-09 07:01

そうですよね
司君は、滋を責めるだけではなく、自分自身の行動を猛反省しています
少しはできる男にはなったかな?
それとも、相手が滋だからかも知れません
本当に心から信じ合える仲間の一人でしたから

さて…この後どうなる?
変わってしまった滋は、昔のように戻れるか?

お楽しみに〜

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2018-11-09 12:48

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Re: いわい〜様

りおりお  

2018-11-09 13:18

初めまして

確かに、司くんの行動が元々の元凶でしょうね
薬を盛られてやってしまった一回目は同情の余地がありますが、それで止められなかった心の弱さは司くんの責任です

好きな男性と体の関係を何度も持てば、期待が膨らんで結婚という文字がちらついたのも仕方がないのかもしれませんね
もちろん心の奥底に、つくしちゃんなら何時でも奪えると言う気持ちがあったとしても、つくしちゃんが生きているときは必死に二人の恋路を応援していたんですから

これは、難しいですね
でも、これで司くんと滋さんは切れました
この後、どうなるのか…明日もお楽しみに〜

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