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LET'S AFTER ♫<完>

175 見事だ

12
総二郎は、心音と光音に稽古をつけていた
その隅には、つくしが羽音を抱いて座っている

久し振りの稽古に、心音と光音は緊張を持って臨んでいる
つくしも久しぶりに総二郎のお茶を頂き、ホッコリする

つ「結構なお手前でした」

そのつくしに向かい、総二郎は優しい眼差しを向ける

総「よしっ! 次は光音! お前がお茶を点ててみろ!」
光「はいっ!」

場所を交代し、光音がお茶を点てる
以前に比べ堂々とした姿だ
点てられたお茶も、綺麗な緑色をしている

総二郎は、そのお茶を綺麗な所作で頂く
去年に比べ、お茶に粉っぽさが残らない

総「頑張っているな」
光「ありがとうございます」

総「じゃ、次、心音!」
心「はいっ!」

心音と光音が場所を代わり、心音が湯釜の前に座った
その場所に座ると、自然に背筋が伸びる心音
そして総二郎に向かって、スッとお辞儀をした後、お茶を点てはじめた

その姿は美しい
スッと腕を伸ばし、茶筅を持つ指先にまで神経を集中させ、見る者を惹きつける

一年前とは比べ物にならない程、茶筅の扱いが上手くなっている
あの時教えたコツを、しっかり身に付けているのが分かる

コトッ、と総二郎の前にお茶を置く
以前とは全く違ったお茶がそこにはあった
口元に持っていくと、抹茶の香りがする

総二郎は、フッと表情を緩める
ここまでのお茶を、7歳で点てるか?

そして口に含んだ
――美味しい
――それに、落ち着く

総二郎の脳裏には、一年前の光音の言葉が蘇る

『一年後、心音のお茶を飲んだら分かるんじゃない?』

あぁ、、分かった
俺は、こんなお茶を飲みたかったんだ
どんなに疲弊していても、ホッと一心地つくようなお茶を、、
毎日な、、

総二郎は、器を畳の上に置き心音を見る

総「美味しかった。 よく頑張ったな」

その表情は、自然に柔らかな笑みだ
その表情に心音も笑顔になる

だが、直ぐに真面目な表情に変わり、声色も問い詰めるような口調に変わる
総「類から聞いたんだが、ボランティアでお茶を点てているそうだな」

心音は、サッと真顔に戻る
怒られる!と感じたつくしと光音が、あわてて口を挟む

つ「それは、、」
光「総おじさん!」

総「俺は、心音に聞いている。 現に、お茶を点てているのは心音だ。 そして、心音に指導しているのは俺だ。
  つまり西門流のお茶を振る舞っている事になるんだが、その意図を聞きたい。
  心音。 お前は慈善活動としてお茶を振る舞っているそうだが、どうしてだ?」

心音は姿勢を正す

心「お師匠様に確認を取らず申し訳ありません。 
  ママ達と慈善活動を行っていた時、ねぇねはピアノ、にぃにはバイオリンと得意な物で皆の気持ちを和ませていました。
  じゃあ私は?と考えた時、私が自慢できる物はお茶だと思いました。
  ここイタリアでは、お抹茶を始めて飲むと言う方達ばかりで、私の点てたお茶を美味しいと飲んで貰えました。
  それが凄く嬉しく感じました。 
  それにお茶は人々に日常のイライラを忘れさせ、安らぎと癒しを与える物だと教えていただきました。
  私の点てるお茶で、皆の心に一時的でも安らぎと癒しが与えられたらと思い、振る舞っていました。
  ただ、私の未熟な手前では、西門流に泥を塗ったかもしれません。 申し訳ありませんでした。」

心音は思いの丈を一気に吐露すると、両手をつき頭を下げる

総二郎は心音の思いに感服していた
幼い頃、皆を前に説法していた
その時、お茶は人々の心に安らぎと潤いを与える物であると説いていた

その言葉を、幼い心音が理解し、こうして率先して行動している
こいつは間違いなく茶人だ

総「心音。 頭を上げろ」

総二郎の声に、心音はビクッと身体を震わせ頭を上げる

総「見事だ! その通りだ。 お茶は人々の心に安らぎと潤いを与える物でなくてはならない。
  その事を良く理解しているお前の茶は、相手の心に深く染み渡る良い味だ。
  現に、俺の心にも熱い物が残っているからな。 それに点てる姿も完璧だ。 頑張ったな」

心音は、最大の褒め言葉を貰い、涙がポロリと零れ落ちる
その心音に向かって、総二郎は両手を広げる

総「稽古は終わりだ。 ほれっ」

茶道の稽古中は、師匠と弟子と言うスタンスを決して崩さない心音
総二郎の言葉に、簡単に普通の女の子に戻り、総二郎の胸に飛び込み膝の上に座る

その心音の頭をヨシヨシと撫でながら、総二郎の心は決まった




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12 Comments

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2019-01-24 09:37

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2019-01-24 09:47

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2019-01-24 10:06

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2019-01-24 10:31

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2019-01-24 10:36

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りおりお
Re: mizuta~様

りおりお  

2019-01-24 10:48

ここまで来るのに、総ちゃんにはいろいろ有りました
そんな中で、心が決まりました

やはり心音ちゃんのお茶が美味しく感じた事と、心音ちゃんが茶人の心を持っていることが決め手かな?
それと、光音君のアドバイスもあるかもしれませんね

でもまだ心音ちゃんは小学生
先はかなり長いですよねぇ

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りおりお
Re: ビオ~様

りおりお  

2019-01-24 10:50

心音ちゃんのお茶を飲んだ総ちゃん
やはり、美味しく感じる
心を見たし安らげるお茶だと感じる

それに心音ちゃんのお茶に対する心構えは、総ちゃんが目指そうとしている物
それを理解している
そんな女の子だから、手離せなくなった?

それにしても、光音君も心音ちゃんも出来た子供ですよね
オンとオフのスイッチの切り替えが上手いと思うし、集中力もあると思いますね

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2019-01-24 10:53

総ちゃんの心は決まりましたね

心音ちゃんのお茶に対する心構えは、茶人そのもの
それに心音ちゃんのお茶は、総ちゃんを癒してくれる
それが分かりました
一年前、光音君が言っていた言葉通りだと思います

その総ちゃんが出した答えは?
もちろん、、ですよね

この続きは明日です
お楽しみに

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2019-01-24 10:55

総ちゃん、心音ちゃんのお茶に癒されました
そしてお茶に対する心構えに感服しました

これだけのお茶を出されたら、もう何も言えませんよね
そこに光音君の言葉が蘇ったはず
自分の気持ちに正直に行動する時が来たかな?

でも相手はまだ小学生
先は長いです
どうするかな?

明日もお楽しみに

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りおりお
Re: まりぽ~様

りおりお  

2019-01-24 10:59

心音ちゃんは、総ちゃんも唸らせる程のお茶を点てました
しかもそのお茶は、凄く美味しくて総ちゃんの心を癒してくれるお茶
完璧ですよね

その心構えも完璧
小さい頃、説法で解いた事をきちんと理解できている事に、総ちゃんは感服するしかありません

それにしても、類君とつくしちゃんの子供達は、本当に素晴らしいですよね
小さい頃から奮闘して育てた甲斐があった?
きっと、小さい頃から好きな人がいたからかな?
恋は人を成長させるって言いますからね←かなり早いですけどね(笑)

明日もお楽しみに

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2019-01-24 15:42

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りおりお
Re: シマエナ~様

りおりお  

2019-01-24 17:26

総ちゃん、やっと心が決まったようです
そりゃ、こんな素敵なお茶を出されたら、もう誤魔化す事など出来ないですよね

そして心音ちゃん
かなり大人っぽい
ホントに7歳?って感じです
多分、かなり日本語の勉強をしているだろうし(お茶を学ぶ上で日本語が大切ですからね)
昔の文学を読んでいそう(源氏物語とか枕草子とか、そんな昔の時代の作品)
とにかく、総ちゃんが認めるぐらい心音ちゃんは勉強しているんでしょうね
そしてお茶に対する向き合い方は、大人顔負けです
だから、オンとオフの切り替えが素晴らしいんでしょうね

お茶を点てる時は大人っぽいけど、お茶から離れると可愛い7歳児になります
そんなギャップも、総ちゃんにはたまらないのでしょうね

『総ちゃんと心音ちゃんの恋を応援する会』会長からの乾杯を、ありがたく頂戴いたしました❤

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