FC2ブログ

Welcome to my blog

LET'S AFTER ♫<完>

176 酒を酌み交わす

8
仕事から類が戻り、夕食後久し振りに二人で酒を酌み交わす

類「今回は、わざわざ来て貰って本当に悪かったね」
総「いや、本当に気分転換に丁度良かったんだわ
  一応、子供達に稽古をつけるって言う名目で堂々と来られたしさ」

類「それで、稽古をつけてみてどう?」

総二郎は、クイッとワインを飲み干す
そしてしっかりと類の目を見て告げる

総「一年前に比べると、かなり上達している。 それに何より、お茶に対する心構えが違う。
  と同時に、俺の目指している茶の道を良く理解している」

類は、総二郎の言葉を聞き終えた後、ワインを飲み干す

類「慈善活動に興味を持つ事は良い事だし、色々な人達がいる事を身をもって知る良い機会だと思った。
  だから子供達が行きたいと言った時も止めなかった。
  でもそこでお茶を振る舞いたいと言い出した時は驚いた。
  確かに日々精進しているし、ココのお茶を飲むとみんなが笑顔になれる。
  お茶を点てる姿も板についてきたようにも感じるし、何より本人がやりたいと申し出ているのに
ダメだとは言えなくてさ。
  でも一応どうしてお茶を振る舞いたいのか聞いてみたら、お茶は人の心に安らぎをもたらしてくれる。
  そうしたらまた頑張れるし元気になれる。 何より笑顔が増えるからって言われた。
  その時、何か総二郎が後ろにいるみたいに感じて、すごく嫌だった。」

そこまで一気に話すと、二つのグラスにワインを継ぎ足す

類「一年前、光音がそれらしい事を言っていたけど、どうするつもり? ココはまだ7歳だよ? 本気?」
総「特に何かするつもりはねぇよ。 俺もこれから家元襲名で忙しくなるしな。 ただ、心は決まった」

その言葉に、類はギロリと総二郎を睨み付ける

総「後11年か、、長ぇよなぁ。」

総二郎は、類の視線を交わすようにと奥を見つめながら告げる
そして、ゆっくりと類に視線を合わせる

総「その間に、心音の視界に別な奴が映るんならそれでも良い。
  でもずっとお茶が好きで、俺の事を『総ちゃん』と呼んでくれるなら、、と思ってる」
類「今日、ココの点てたお茶を飲んでどう思った?」

すると総二郎は柔和な表情に変わる

総「美味しかったし心が熱くなった。 そして、、ずっと俺の為に、そのお茶を点てて欲しいと思った」

総二郎は、嘘偽りなく心情を吐露する
それは父親である類に隠しておけない心情だし、真剣であることを伝えたかった

総「俺さ。 こうして西門流を継いで仕事をしていても、ずっと牧野の事が頭から離れられなかったんだわ。
  あいつの手に一生消えない傷を負わせて、俺は守って貰った手で何食わぬ顔して茶を点てて良いのか?
  その点てたお茶は、本当に美味しいのか? これが俺の茶だと自信を持って良いのかってさ」

類「良いに決まってるだろ! つくしも美味しいと言ってるしさ」
総「あぁ。 そうなんだけどさ、心の奥底には、ずっとあの日の後悔がこびりついててさ。
  でも心音の無邪気さ、頑張る姿、そして俺を真っ直ぐ見つめる瞳が、、『前を見ろ!』って言われているようでさ。
  と思っていたら、俺の点てるお茶が、心音の目指すお茶だって言われてさ。 その言葉が胸に突き刺さった。
  ガラにもなく、久し振りに心が震えた。 
  心音の笑顔が牧野の笑顔と似ている部分があるからかもしれねぇけど、心音が笑ってると救われる気持ちに
  なれるんだ。
  そして、俺が心音をずっと笑顔にしたやりてぇ、、と、不覚にも思っちまった。」

総二郎が、つくしの事を誰よりも好きだった事は良く判っている
そのつくしの笑顔とココの笑顔が似ていて、救われると言う気持ちも良く判る

そして皆がココと呼ぶのに対し、総二郎だけはずっと心音だった
それは、一人の女性として扱い、総二郎にとって大切な女性と言う気持ちからかも知れない
もちろん無意識なんだろうけどさ

類「ロリコン!」
総「バッ//// そんなんじゃねぇよ!」

類「今、手を出したら確実に犯罪だからね!」
総「だから、そんなつもりはねぇよ! それに俺の気持ちを心音に言うつもりもねぇ。
  あいつには、沢山の物を見て体験して、その上で俺を選んでくれるなら、、。 その時は、、悪りぃ、、」

それが総二郎なりのケジメだと判る
かなりの年の差だ
その上、家元を支え裏方を取り仕切るのは、かなり苦労するだろう

それでも心音の未来に総二郎がいるのなら、、か、、

もちろん、心音の気持ちがハッキリと決まるまでは、総二郎も独身を貫くつもりだろう
それだけの覚悟が決まったと言う事か

類「その覚悟、何時決まった? もしかして一年前に光音に嗾けられてからじゃないよね?」
総「いや? まあ、、そうなるか? だってよぉ。 俺が心音を!だぞ? 考えられねぇだろ?」

類「あいつ、余計な事を、、。 ずっと黙ってくれていれば良かったのにさ」
総「昔、クリスマスプレゼントに無理を言ったお礼、、とかって言ってたな。
  ほんと、あいつには無理難題を言われたけど、人の心情を読み取るのが上手いんじゃね?」

類「俺の考えの数歩先を行くよ! それでいて優しいんだ。
  誰かを傷付けたり泣き顔を見るのが嫌みたいでさ」
総「それって、、やっぱり牧野に失恋したからか? あの時、かなり傷付いていたしな」
類「かも知れない」

かなり傷付き、一人で泣いていたのを覚えている
そこで得たのは、出来るだけみんなが笑顔になれる方法を探す事だとしたら、あいつは将来どんな道を進むのだろうか?
少なくとも、もう一人で泣いて欲しくは無いな
皆を笑顔にさせたいように、光音自身も笑っていられる人生にして欲しい

そしていつか、、こうして一緒に酒を酌み交わしたい




にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト



8 Comments

There are no comments yet.
管理人のみ閲覧できます

-  

2019-01-25 09:37

このコメントは管理人のみ閲覧できます

EDIT  REPLY    
管理人のみ閲覧できます

-  

2019-01-25 09:49

このコメントは管理人のみ閲覧できます

EDIT  REPLY    
管理人のみ閲覧できます

-  

2019-01-25 10:40

このコメントは管理人のみ閲覧できます

EDIT  REPLY    
りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2019-01-25 12:11

総ちゃんと類君は、親友であり仲間であり大切な存在
そして互いの人生をよく理解している

総ちゃんとしては、心音ちゃんの年齢や類君の気持ちが良く判るし、類君も総ちゃんの気持ちが良く判る
だから、面と向かって反対とは言えない

総ちゃんも、類君が父親として心音ちゃんを大切に育てている事が良く判っているからこそ、結婚できる年齢まで気持ちは伝えないと言う決意を述べました
それが最大限の類君への敬意かな?
年齢差がありますし、茶道の道へ入るのは大変な事ですからね

とりあえず、、類君は、二人を見守るスタンスのようです
もちろん「ロリコン」と告げたのは、類君なりの嫌味です(笑)

EDIT  REPLY    
りおりお
Re: り~様

りおりお  

2019-01-25 12:15

そうです
何もかも、一年前の光音君の一言からです

光音君が助言しなければ、総ちゃんはきっと山本先生との人生を歩んでいたかもしれません
西門流後援会のお嬢様と結婚したかもしれませんん
でも、それだと自分は心癒され幸せになる人生が歩めないと分かったようです
だからこそ、この機会に類君に胸の内を話しました

もちろん類君としては、納得できない部分もある
何と言っても年齢と茶道という特殊な職業のサポートですからね
素直に了承しかねるんですけど、心音ちゃんの頑張っている姿も見ている
総ちゃんが悩み苦しんでいる事も知っている
だから、様子を見守る事にしたようです
これが心音ちゃんの父親としての精一杯の気持ちでしょうね

二人の未来がどうなるのか分りませんけど、とりあえず総ちゃんは茶道に邁進するのみでしょうね

EDIT  REPLY    
りおりお
Re: ビオ~様

りおりお  

2019-01-25 12:18

総ちゃんが自分の気持ちに気づけたのも、こうして気持ちが固まったのも、光音君のおかげです
その光音君も、つくしちゃんラブなんですけど、こちらは成長と共に少しずつ親離れが出来ているみたいです
まあ、母親として一生愛するんでしょうけどね
その光音君の恋はどうなるのか?
どんな人を好きになるのか、、
絶対に幸せになって欲しいですよね

総ちゃんは、心音ちゃんが大きくなるのをひたすら待つ決意をしたようです
心音ちゃんにその気持ちを伝える事は無いそうですけど、心音ちゃんも今まで通り茶道に邁進して総ちゃんだけを見つめて欲しいですね

EDIT  REPLY    
管理人のみ閲覧できます

-  

2019-01-26 10:28

このコメントは管理人のみ閲覧できます

EDIT  REPLY    
りおりお
Re: シマエナ~様

りおりお  

2019-01-26 11:38

心が決まった総ちゃんは、真っ先に類君に自分の気持ちを吐露しました
そうしないと先に進みませんからね

互いの人生を分かりあっているからこそ、類君も何も言えない
総ちゃんも、類君が大切にしている娘と分かっているからこそ、この機会にきちんと告げておきたい
二人の男性が心の内を静かに吐露しました

声を荒げるでもなく淡々と確認する類君
素直に今の気持ちを告げる総ちゃん
良い男は何をしても絵になりますよねぇ

「ロリコン」と告げる事で、父親としての気持ちを茶目っ気に告げる類君
それしか出来ないんでしょうね

さて、、総ちゃんの気持ちが決まり、類君も将来を見守るスタンス
心音ちゃんにその事を告げないまま後11年を過ごすんですけど、これからが総ちゃんの正念場でしょうね
頑張って欲しい二人です

EDIT  REPLY    

Leave a reply