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LET'S AFTER ♫<完>

181 将来の夢

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光音は一枚の紙を前に悩んでいた
そこには『将来の夢』と書かれている

イタリアの小学校には宿題が無い
これは夏休み前の授業で配られた用紙だ
クラスメイトがその場でサッと記入し提出する中、光音は悩みに悩んで書く事が出来なかった

そこで夏休み後に提出する事になったのだが、その夏休みももうすぐ終わろうとするのに、夢が決まらない
机の上には、華音からのNY土産のディズニーのマグカップがある

初めて両親から離れて過ごした一ヶ月は、かなり楽しい物だったようだ
帰宅してもずっと笑顔で、一年後にまた会う為に、頑張る意欲がヒシヒシと伝わった

光「華音の夢は『アンのお嫁さん』だろうなぁ。 その為の努力は凄いよな。
  しかも、まるで織姫と彦星状態? 一年に一度会えるのを楽しみに、日々頑張るんだからさ」

そのマグカップの中には、冷茶が入っている
それは心音が入れた物だ

総二郎おじさんが来た時に、日本茶の入れ方を教えて貰った
抹茶は特別な時にしか飲まなくても、日本茶は常時飲むからと言われて

光「ココの夢は『総おじさんのお嫁さんになって、茶道を広める事』だろうなぁ。
  それに、総おじさんも心が決まったみたい。 好きと言う言葉は一切出さないけれど、ココのお茶を飲み、
  ココのお茶に対する心情を聞いた時、ココの存在が必要だと判ったんだと思う。
  年齢差もあるし、簡単に好きと言わないのも日本男児らしい? イタリア人とは大違いだ。
  ココも凄いよ。 羽音ぐらいの年齢からお茶に興味を持っていたんだよな。
  その点、羽音なんてお茶の稽古の時も、ずっと『おっぱい』を離さないし。
  あいつは将来、プレイボーイになるんじゃない? じゃあ俺は?」

う~ん

すると、つくしの声が聞こえる

つ「光音~? 休憩する~?」
光「は~い」

エンピツを放り投げ、冷茶をグイッと飲み干すと、空になったマグカップを持って部屋を出た
そしてリビングへ行くと、つくしが笑顔で声をかける

やっぱりママの笑顔が一番好きだな
ホッとするし、やる気を貰えるから、、
と思いながらも、一番の夢は絶対叶わない事にため息が漏れる

つ「光音? どうかした?」
光「ママは、夢ってある?」

つ「夢?」
光「うん。 学校の授業で、将来の夢を書いて提出しないといけないんだけど」

つくしは光音の前にプリンを置く

つ「ママが光音の年頃は、『歌手になる!』だったかな?
  でもそれが叶って、パパと言う素敵な人と出会って、可愛い子供達にも恵まれて、幸せな生活が出来て、
  次の夢は『子供達がどんな大人になるか見届ける事』かな?」

光「そんなに沢山の夢があったの?」
つ「そうよぉ。 夢ってね、叶っても叶わなくても、次々と変わっていくものだよ?
  特に光音ぐらいの年頃だと尚更だよ。 だって、成長と共に、知らない事をたくさん知るでしょ?
  そうなると、新しい世界に興味を持つし、魅力を感じる。 だから一つに絞らなくても良いと思うよ?
  沢山の夢を持って、その夢に向かって努力する事が大切なんだから」

一つに絞らなくても良いと言う言葉が、光音の心を軽くする

光「ママ。 ありがとう」

明るい声でお礼を告げると、目の前のプリンを頬張る
それを見て、つくしも羽音の口へプリンを運んだ



仕事から類が帰宅すると、光音が待ってましたと出迎える

光「パパに聞きたい事があるんだけど」
類「ん? 何?」

光「パパの夢って何?」
類「俺の夢? う~ん。 しいて言うなら、今の生活を守る事かな?
  つくしと子供達が、ずっと笑顔で生活できるように、仕事を頑張らないとね」

光「じゃあ、僕が会社を継がないと困る? パパはずっと仕事を頑張る事になる?
  おじいちゃんになっても働き続ける?」
類「くすっ。 60才になったら引退させて欲しいけど?
  でも光音がやりたい事があるんなら、別に会社を継がなくても良いよ。 羽音もいるしね」

光「羽音は、会社向きじゃないと思う。 きっと社内の女性に手を出して、セクハラで訴えられると思うし」

それには類も苦笑いだ

類「確かに、そうなりそうだな。 でも光音は何も心配しなくても良いから。
  会社は、他の人に継いで貰っても良いんだしさ。 それで、何がやりたい訳?」
光「沢山ありすぎて、、でも、ママが一つに絞る事無いって教えてくれたから」

その言葉に、類はホッとする
漠然としてでも、やりたい事があるのならそれで良い
親子は結婚できないと知り、夢も希望も何もかも失っていたんだから

類「それで、何?」
光「教えない。 じゃあね」
と類の部屋を後にした

その足で、自分の部屋に戻る
そして、真っ新な紙に書き込んでいく

バイオリン奏者、画家、会社経営者、医者、、
でもそれらのどれか一つの夢を叶えたとして、、
やっぱり最終目標は、ママのような女性と結婚する事かな?

その人が幸せと思えるような家庭を築いて、僕もいつも笑っていて、、

光音は、せっかく記入した文字を全て消し、新たな文字を書き込む
それを満足そうに眺めた後、ベッドに入った



類は床に就く前に、光音の様子を確認する為、入り口からそっと部屋の中を窺う
いろいろ考えて眠れないんじゃないだろうか?と心配になったから
すると、既にベッドで寝ている光音の姿を見て、ホッと安心する

だが、机の電気が点きっぱなしになっている為、電気を消そうとそっと中に入った
すると机の上の一枚の紙に目が留まった
その光音の文字に目が釘付けになる

『パパのような男になりたい』

くすっ、、
素晴らしい夢だ

類は、パチンッと電気を消すと、光音の額にキスをする

頑張れよ!
と、エールを込めて
そしてそっと部屋から出た




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4 Comments

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-  

2019-01-30 09:31

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りおりお
Re: ビオ~様

りおりお  

2019-01-30 10:48

光音君、、いろいろできるから悩むんでしょうね
やってみたい!と思った物は、多分簡単に熟せてしまいそう
頭も良いし、感情を読み取る事も上手ですからね

つくしちゃんに聞いて、夢は一つに絞らなくても良いと分かったし、類君に聞いて、類君の夢に憧れた
だから、、結果的に、『パパのような男になる』と目標をたてました
確かに、つくしちゃんのような女性と結婚したいだろうし、その人との生活を守るために何かの仕事をしたいんでしょう

類君、、それを見て嬉しかったでしょうね
何だかんだで可愛い所もある光音君でした

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-  

2019-01-30 11:35

このコメントは管理人のみ閲覧できます

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2019-01-30 13:42

そうですよね
まだ光音君は小学生
沢山の夢を持っても良いんです

そして書いた夢は、『パパのような男になりたい』です
類君は嬉しくて仕方なかったでしょうね

幼い頃はいろいろあってライバルと言う時期もありましたけど、こうして大きくなるにつれて思いやりのある良い子に育っています
もちろん勉強も出来るし聡いし、言う事無しですよね

どんな大人になるか分りませんけど、今の心配児は羽音君ですからね
羽音君も光音君のように成長してくれると良いんですけどね

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