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さくらいろ

証拠隠滅

2018/10/10
あらしの夜に<完> 4
部屋の片づけが終わったのは、それから一時間後
その間、口にしたのは夕食用にと買っていたパンのみだ

こちらのパンも、温めようとついトースターへ運ぶつくし
そしてボタンを押して、、
「あっ、、停電中だった」
と我に返る

「ごめんね。 温める事も出来なくて」
「仕方ないよ」

「なんかね、水道とガスは使えるじゃない?」
「ん」

「だからか、電化製品も全部使える感覚になるのよね。 ただ部屋の電気が点かないだけって感じ?」
「確かにそうだろうけど、でも水道とガスも止まったら大変だろうな」

「確かに。 水なんて必要不可欠だしね。 あたし給水所を利用した事ないし」
「俺も。 でもきっと、今回の台風で水道も使えない地域が出たんだろうな」

「だね」

二人は停電になった事で、今まで何気なく使っていた物に改めて感謝する気持ちだ
そして、停電だけで済んだ事にもホッとする

「さてっ。 昨日の服とかタオルとか、、洗濯物が沢山あるしサッサと洗濯、、あっ」
「洗濯機、使えないよ?」
「だよね」

つくしは、洗濯カゴを見る
そこには、昨夜の情事の跡が沁みついた服やタオルがある
それに類の服まで入っている

夢中になりすぎたのか、、、
いや、暗闇の中でやったからだろうが、飛び散った物が服にまでついていた
それらの証拠隠滅をしたいのだが、それが出来ない

「両親と進は、いつ帰ってくるの?」
「三人共台風の影響で、一日帰宅が伸びて明日になるの」

「じゃあ、焦らなくても良いんじゃない? 明日までに洗濯しておけば、乾かなくても何とかなるでしょ?」
「確かに、、」

「とりあえずちょっと外に出てみよう?」
「うん」

と言う事で、二人で外に出てみる
そこには、凄い光景が広がっていた

「屋根は何とかあるけど瓦が落ちてるし雨樋が、、」
「吹き飛ばされてるね」

屋根はある物の、その上に乗っていた瓦が下に落ちている
そして確かにあったはずの雨樋が外れ、隣りの駐車場の片隅に落ちている
駐車場の屋根やトタンや看板など、あったはずの物が無くなり、至る物が下に落ちている

「すごっ、、」
「ん。 ビックリだな」

二人もこんな風景は見た事がない
万が一、あの最中に屋根が吹き飛ばされていたらと思うと、ゾッとする思いだ
少なくとも瓦が飛ばされて済んだ事にホッと安堵しながら、暫し呆然と見ていた
すると類がサッと電話をかけた

「ん。 俺、、あのさ、そっちは停電してる? そう、分かった。 じゃ、牧野を連れていくから迎えを宜しく」

そしてつくしに向き合う

「俺ん家の方は、停電が既に復旧されているらしいから、洗濯機も使えると思うけど今から行く?
どうせここに居ても、何もする事がないだろ?」
「確かに、、そうだね。 じゃ、そうさせて貰う」

と言う事で、二人は迎えに来た花沢の車に乗り、花沢家へ
そして、洗濯機を借りて大量の洗濯をしている間、二人は類の部屋へ

「今のうちに、夕食も食べない? パンをかじっただけでお腹空いたしさ」
「確かにそうだね。 でもあたしまで良いのかな?」

「良いに決まってるだろ。 一人分も二人分も変わらないし、昨日のカレーのお礼だしさ」
「分かった。 じゃ洗濯が終わるまでゆっくりさせて貰う」

こうして早めの夕食をとり、そのまま類の部屋で寛ぐ

「今、乾燥機にかけてるってさ」
「助かる。 これで証拠隠滅出来るね」

その言葉に、類はクスッと笑う
確かに牧野家に対しては証拠隠滅出来るかも知れないが、花沢側にはだだ漏れになっている
その事に気がつかないつくしの能天気さ

つくしは、テレビから流れる被害状況に目を奪われている

「凄いね。 こんな大きな被害になってるよ」
「だな。 自然の驚異をまざまざと見せつけられた感じ」
と言いながら、類はつくしの手を取る

「ん?」
と振り向くと、類の顔が近付き、チュッとキスをする

「なっ、、何?」
「何って、キスだけど? キスするのに理由はいらないでしょ?」

「そうだけど//// でも洗濯物が、、」
「まだ乾燥中。 それが終わる頃には呼びに来てくれるんじゃない?」
と、今度はつくしの頭に手を添え、しっかりとしたキスを始めた

甘い甘いキス
唇の隙間から類の舌が入って来て、あっという間に絡め取られる

――類のキスは蜜の味

そのキスに必死に応えるつくし
だがいつのまにか類の手はつくしの服を肌蹴させ、胸を弄り始めた

「あっ、、」

――類の指先は魔法の動き

キスの合間に漏れる吐息
その甘い吐息に、類の気持ちは更に昂る

片手でリモコンを取り、室内の照明を暗くする
そして、テレビも消した

シーンと静まり返った室内には、二人の甘い吐息
そして衣擦れの音、、
類は、サッとつくしのスカートを捲り、その部分に指を差し入れた

「ひゃっ。 あっ、、」

つくしの甘い声が静かな室内に響き渡る
その声に煽られるように、類はつくしに覆い被さった

――類の/////に模られたつくしの中は、蜜をしたたらせ待っている

「あっ、、」

月光が室内を照らす
そこには、激しく組み合う二人の姿
シーンとした室内には、甘い甘い二人の喘ぎ声がいつまでも響いていた





つくしが目覚めた時、既に部屋は明るい陽射しが差し込んでいた
そして、此処が類の部屋だと言う事に気付くまで数秒

「えっ! 何で?」

ガバッと上半身を起こし、周りを見渡す
そこには、愛しい彼氏様の幸せそうな寝顔がある

「ふふっ。 可愛い、、じゃない! 今何時? 洗濯物は?」
「ん、、牧野、うるさい」

「あっ、ごめん。 起こしちゃったね。 じゃない! どうしてこうなったの?」
「ん? どうしてって、愛し合ってるからに決まってるだろ」

「あっ////。 うん、そうなんだけど、、。
って、そう言うんじゃなくて、洗濯物が乾くまで類の部屋で待たせて貰っていただけなのになんでこうなったの?」
「だから、少しの時間でも愛し合いたい年頃?って事だろ? それに、俺の愛は半端じゃない!
洗濯物を乾燥させる時間ぐらいじゃ、あんたの身体に俺の愛は刻み込めないだろ?」

何気に、嬉しいような恥ずかしい事を言われ、つくしの頬は染まるのだが、、

「ありがと////。 でも、そろそろ帰らないと、、って、明日には両親が帰ってくるんだってば!」

すると類は、ズイッと目覚まし時計をつくしの前に見せる

「もう、11時みたい。 両親は何時に帰ってくるの?」
「11時、、昼前? うっそ」

つくしは、脱兎の如くベッドから飛び出す

「1時頃には帰ってくるの! それまでに洗濯物を、、」
と焦っている

「あのさ。 別に焦らなくても良いんじゃない? 
だって停電だったんだし、俺ん家で洗濯してましたって言えば良いだけだろ?」

類の言葉に、つくしの動きはピタリと止まる
確かにその通りだ
既に証拠隠滅は出来ている
洗濯物に付着していた数々のシミは、既に無くなっているし、畳が乾いていなくても雨漏りの所為に出来る
いや、現に雨漏りしていたのだから嘘では無い

「そっ、そうだよね。 あははっ、何焦ってんだろう、、」
と言いながら、ベッドに腰かける
と同時に、飛び上がった

おそるおそるその部分を見ると、ジットリと濡れべたべたした物が付着している

「まさか!!」
「ん?」

「避妊しなかったの?」
「一応、一回はしたけど、、、その後は、もう良いかな?と思ってさ。 
だって、昨日のうちに出来ているかも知れないし、今更かな?と思って」

いやいや、、
出来ているかも知れないけど、出来ていないかも知れないでしょ?
と思いつつ類を見ると、シュンとした表情で上目使いで見つめている

この瞳に弱いんだよなぁ
なんか捨てられた子猫みたいじゃない?

「次からは、気を付けてね? 一応、大学は卒業したいんだから」

するとパァと表情が明るくなる

「分かった。 でも牧野もその時に言ってくれる? 挿れるまえに、『きちんとゴム付けてね』ってさ。
そうすれば絶対に着けるからさ」

えっ?
挿れる前に?

いつも類に翻弄されているし、いつ終わったかもわからない状態
そんな中、挿入前にその言葉が言えるか疑問だ

「善処します」
と答えるしかなかった




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Comments 4

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2018/10/10 (Wed) 23:06

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2018/10/11 (Thu) 01:56

りおりお

Re: り〜様

さり気なく自宅へ連れて帰る類くん
ただの親切心なのか?
それとも何かを企んでいるのか?
つくしちゃんloveですからね(笑)

入院、頑張ってくださいね
少しでも私の作品が気分転換になれば嬉しいです

2018/10/11 (Thu) 06:10

りおりお

Re: リ〜様

新しいカテゴリーは、ほんの呟きです

書き留めて置きたくて…

楽しんでください(๑•᎑•๑)♬*゜

2018/10/11 (Thu) 06:16
りおりお
Admin: りおりお
こちらは二次小説『類つく』のお部屋となっております
そういった類の物が嫌いな方は、回れ右をしてご退場ください
ヤフーブログ『類❤だ~い好き』から引っ越して参りました
引き続き類君とつくしちゃんの幸せな姿をお届けできればと思っております
尚、ブロ友は現在受け付けておりません
あらしの夜に<完>