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LET'S AFTER ♫<完>

番外編⑧ (羽音編)

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今日はバレンタインデー
羽音はいつも通り学校へ行くと、直ぐに女の子に声をかけられる

「羽音君。 おはよう」
「おはよう」

羽音は笑顔で挨拶を交わす
挨拶は基本と教えられているし、女の子には優しくがモットーだ
ただ自然に笑顔をプラスしている所は、幼い頃から培われた物だろう

だが今日はそれ以外にも、別の言葉が付けられた

「これ受け取って。 私の気持ち」

ん?
と羽音は思うが、女の子は小さな袋をサッと羽音に渡すと何処かへ行った
するとすぐに別の女の子が声をかける

「羽音君。 おはよう。 これ受け取って」
と、小箱を羽音に渡す

羽音は小袋と小箱を見て頭を傾げる

どう見てもプレゼントのようだけど、誰かと間違えていない?
僕の誕生日は四月なんだけど、、
と思っている間にも、次々と羽音の前に女の子が現れては小箱や小袋を渡し去って行く
それは羽音が声を発する前に、風のように現れては風のように去って行く

羽音は、サッと周りを見る
すると皆が自分を見ているうような気がする

だがそれも何時もの事
だが今日は、小袋や小箱を抱えた女性が多いと気付く
今も羽音の前に女性が立ち塞がり、顔を真っ赤にしてプレゼントを置いて行く

「あのっ、、」
堪らず羽音は声をかける

「あっ、あまり深く考えないでね。 でも受け取って貰えて嬉しい。」
と告げ、羽音に喋らせる事無く去って行った

なんなんだ?
と頭を悩ませる羽音
教室に着く頃には、鞄の中も両手もプレゼントで一杯だった

その教室内でも、今度はクラスメイトから半ば強制的に押し付けられる
しかも全員女の子からだ
普段から女の子には優しくをモットーとしている羽音は、ニコニコと受け取るしかない

何とか席に着くと、隣りの男の子が羽音に声をかける

「おはよう。 羽音君。」
「おはよう。」

「凄いね。 それ、、」
「うん。 車から降りると次々と渡されたんだけど、これなんだろう?」

「えっ? 知らないの? 今日はバレンタインデーだよ?」
「バレンタインデー?」

羽音は頭を傾げる

バレンタインデーは男性が女性にプレゼントを贈る日
毎年パパがママンに薔薇の花束を贈り、愛の言葉を告げている所を目にしているから間違いない
それと、何の関係があるのだろうか?

「もしかして羽音君は知らないとか?」

クラスの中でもトップの成績の羽音
他の子が知っているのに自分が知らないとは認めたくないし、常識が無いとも思われたくない
それに何より、羽音のプライドが許さない

「知ってるよ。 そっか、今日はバレンタインデーか」
と知ったかぶりをした



帰宅した羽音を出迎えたつくしは、その量に驚く

「ハオ? それ、、」
「ん。 バレンタインデーでしょ?」

「うん。そうなんだけど、、そんなにあるんじゃママからのチョコは要らないよね?」
「えっ? チョコ?」

「そう。 今日は女の子が好きな男の子にチョコを渡して、告白する日なの」
「じゃ、、これ全部、、チョコ?」

つくしは、呆然とする羽音に何も知らずに貰って来た事が分かる

「くすくす、、暫く羽音のおやつは要らないね。 でも食べすぎないよう一日一箱にしなさいね。」

チョコが嫌いと言う訳では無いが、こんなに大量には要らない
それにママンのチョコが貰えないと言うのは困る
皆が貰うのに、自分だけ貰えないと言うのは嫌だから
しかも暫らくおやつ無しと言うのも困る

だが、それだけ自分はモテると言う事も分かった
多分、パパよりも光音よりもモテる存在なのでは?と思うと嬉しくて仕方ない

パパは仕方ないとしても、光音は今のところ唯一のライバルだ
だがこの家の中では完敗に等しい
詩音なんか僕よりも光音にベッタリと言う所も気に入らない
年上と言う事もあり何でも知っているし優しいし、もちろん僕にも優しい

でも、、
今回の勝負で、僕の方が勝ったんじゃない?
姉妹達にまけても、一歩外に出れば僕の方が、女の子にはモテるんじゃない?
モテるからこれだけのチョコを貰ったんだし、、
と思うと、ついニヤケてしまう

「うん。 分かった。」

元気良く返事する羽音に、つくしはお返しはどうしようか?と早速悩み始めた



18時頃、光音が帰ってきた
早速、羽音は玄関へ向かう
もちろんチョコを確認する為だ

「お帰り」
「ただいま」

羽音は、光音の手荷物を見る
そこには見慣れぬ小さな紙袋を一つだけ持っている
途端、羽音は嬉しくてたまらない

「あのね。 今日バレンタインデーだったでしょ?」
「そうだね。」

「光音はそれだけ?」

光音は羽音の言わんとする所が分かった
そして満面の笑みの理由も

「ん。 これだけ」

すると勝ち誇った顔で自慢げに羽音は告げる

「僕なんてね。 車一杯貰ったんだ。 一人では運べなくて、運転手さんと共に運んでさ。 凄いだろ~」
「確かに凄いな。 でもそんなに沢山の愛を貰ってどうするの? 俺は顔も名前も知らない相手から『好き』と言う重い言葉を貰っても困るし、愛の詰まったチョコなんて食べられない。 それにホワイトデーのお返しはどうするつもり?」

「お返し?」
「そう。 チョコを受け取ったら3月14日にお返しを渡すんだよ。 羽音は貰った人の顔とか名前とか全部覚えているんだろ? その人達一人一人に返事をするんだろう? 凄いよなぁ。 でも好きですと言えるのは一人だけだろ? そんなに沢山のチョコの中から好きな人を選んで残りの人は断りの言葉を告げるんだろ? 俺にはそんな事出来ないけど、羽音は凄いなぁ。」

羽音は青ざめる
顔も名前ももちろん覚えていない
しいて言うならクラスメイトがやっとだ

羽音は急いで部屋へ戻り、チョコの包みを開けていく
そこには『好きです。 お付き合いして下さい』と書かれたカードが付けられている
だが名前やクラスは書かれていたりいなかったり、下の名前だけというのもある
それに光音の言う通り、愛の詰まったチョコなんて重くて食べられない
食べたら最後、その人の愛を一生受け入れなければならないのでは?と思うからだ

羽音は半泣き状態でつくしの元へ向かう

「ママン、、、ママン、、どうしよう。 僕、、こんなに沢山の人からの愛は要らない、選べない、、」


この日を境に、羽音はちょっぴり大人になった
もちろん翌年からは一切受け取らない!と強く心に誓った





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6 Comments

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2019-08-16 09:30

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-  

2019-08-16 09:40

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りおりお
Re: ビオ~様

りおりお  

2019-08-16 11:16

羽音君にとっては、ライバルである光音君よりも持てるところを自慢したかったはず
でも、バレンタインデーは重いんですよ(笑)
特に学生時代は本気度が違いますからね
それを知った羽音君の慌てふためく姿
これでもう、プレイボーイは封印でしょうね
というか、硬派になりそうです(笑)

久しぶりのLet's~です
昨日までとがらりと変わり、息抜きするにはちょうどいいですね

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2019-08-16 11:19

羽音君は、日本のバレンタインを知らなかった
まあ海外では、バレンタインは男性がプレゼントを渡すものですからね
知ったかぶりをしないで、素直に友達に聞いておけばよかったのにねぇ

これをきっかけに、女性に慎重になるんでしょうね
その方がいいよねぇ

光音君が持っていたたった一つのチョコは、もちろん橋本真由美ちゃんからのものでしょう
こちらもゆっくり進んでいるようです

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管理人のみ閲覧できます

-  

2019-08-16 11:23

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2019-08-16 11:27

羽音君は、日本のバレンタインの意味を知らなかった
それを知った時の羽音君の衝撃は、計り知れないでしょう

バレンタインのチョコは気持ちが重いんですよね
特に学生時代はね
羽音君に渡すものは絶対に義理チョコとかではないでしょうしね

でもこれをきっかけに、少しは落ち着くでしょう
というより慎重になるんじゃないかな?
類君とつくしちゃんも一安心でしょうね

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