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Jealousy<完>

3 日常

6

あきらの誘いで、仕事帰りに小料理店へ向かっていた
ポツポツとした雨が降っていたが、すぐそこという事もあり、傘も差さず車から降りた
そして数歩進んだところで雨脚が激しくなり、近くの軒へ入ったところ、俺の目は一人の女性を捉えた

前髪からポタリポタリと雫が落ち、蒸気した薄桃色の頬が印象的で、思わず息を呑みこんだ
そして内心とは裏腹に、さりげなく声をかけた

「あれ? あんた〇〇デパートのワイン売り場の?」

振り返り見上げた牧野の表情にドキンとした

「あっ、あの時のワイン5本の人!」

この牧野の発言に助けられた
笑う事で誤魔化せたが、それでなければ思わず抱きしめそうになった
それぐらい眩しく映った

それから場所が分からないと携帯を弄りはじめた時、そっと覗き相手を確認した
覗くのはどうかと思ったが、あの時の俺は気が気ではなかった
もし相手が男だったら?と思うと、ジッとしていられなかったと言う方が正解だろう

すると、その相手が女性だった事にホッとした
そしてこのチャンスを逃したくない、、、と思ったら、口からとんでもない言葉が出ていた

「アドレス交換しない?」

唐突すぎる言葉
まるでナンパでもしているような言葉
そしてそんな言葉しか出ない自分に、言っておきながら照れた

でも、、今から会って食事をするのは女性だとしても、彼氏がいるかもしれない
それを思うと、すぐに不安にもなった

その返事は、
「いません! 生まれてこの方、彼氏なんて全く!!」
と言う嬉しい物だった

これって、一目惚れなんだろうな

なぜなら一か月も経っているのに、忘れられなかったんだから
しかも今もこれだけの人混みの中で、牧野を見つけられたんだから
その上、かつてないほど心臓がドキドキしているんだから
と、認識した

その後、あきらと何を話したのか一切記憶にない
あるのは、あの時の牧野の横顔と上目使いの表情だけだった


それからSNSのやり取りが始まった

デパート勤務の牧野とは、なかなか休日が合わない
俺の方も平日に休みが取れない
やっと初デートに漕ぎつけたのは再会から一か月後
出会いから二か月後の事だった

映画を観た後、カジュアルレストランで食事をしている時、俺から申し出た

「あのさ。 良ければ俺の彼女になってくれない?」
「えっ? あたしが?」

「そう。 ダメ?」

この時の俺
手に汗握る状態だった

断られたらどうしよう
単なる友達としか思えないと言われたらどうしよう
と、牧野の返事をドキドキしながら待っていた

「ダメなんかじゃない! あたしで良ければ、その//// 彼女にしてください!」

その言葉に、心の中でガッツポーズを取った

「でもほんとに私で良いんですか? 花沢さんほどカッコいい人なら、選り取り見取りですよね?」
「俺、そんなにモテないけど?」

今まで女性は、わずらわしい生き物と言う存在だった
寄ってくる女は、意図して睨みを利かし、寄せ付けなかった

だが牧野だけは違ったんだから不思議だ

でもこうして会って話をしたら、SNSでやり取りをしていたら分かる
俺を特別視しないし、ただの男として扱ってくれる
それが嬉しかったのかもしれない
いや出会った時から一目惚れだったんだから、俺が近づきたくて仕方なかったんだろう
そしてSNSのやり取りで、更に好きになったんだろう

そのやり取りの中で、俺の仕事の事を尋ねられたことがある

「花沢物産に勤めてる」
と告げたが、跡取りである事は告げなかった

今は時期尚早
話す事によってプレッシャーを感じ、交際に尻込みされたら困るから
それよりもまず、お互いを良く知る事を優先したいと思った

その一か月後、、
フランス出張からの帰り、土産を渡したいと伝えた所、丁度牧野が休みという事で、マンションまで届けに行った

もちろん渡したらすぐに帰る予定だったが、、
「夕食まだだったら食べる?」
と聞かれ、初めて部屋に上がり込んだ

ドキドキする鼓動
もしかして誘っている?とも感じられた
正式に付き合い始めて約二か月
もっと深い関係になっても不思議ではない

部屋は、ワンルームマンション
その為ベッドもすぐ傍にあるが、出来るだけ意識をそちらへ向けないよう心掛けた

牧野は、俺が初めての彼氏だと言っていた
という事は男性経験は無いのかもしれない
でも、付き合い始めたんだからやりたいのかもしれない

それを見極めるように食事をした

優しくホッコリした美味しい料理
ついつい箸が進み、お代わりまでしていた

「口に合うかな?」
と心配しながら、俺を窺ったり
「こうして男性を部屋に招いたのは初めて」
と照れてモジモジする割に隙だらけで、そう言う方向に誘おうとしないし、話題に持って行こうとしない事などから、単に食事に誘っただけと判断した

それなら焦って体の関係を持つ訳にはいかないと、かなりセーブしている

それから毎週水曜日と不定期にある平日の休みには、こうして牧野の家にお邪魔し手料理を頂きながら、ゆっくり距離を縮めている

通うようになって分かった事がだ、このマンションは壁が薄い
万が一、泣き叫ばれ、警察に通報されても困るし、無事関係をもてたとしても牧野の喘ぎ声や嬌声を聞かせたくない
やるなら俺の家かホテルで、、と決めている

今日も時刻は22時になろうとしている
あっという間に時間は経つな
そろそろ帰らないと、牧野が明日からの仕事に差し支えても困るし、少しでもゆっくりしてもらわないと、、
と、重い腰を上げる

「じゃ、そろそろ帰る。 ごちそうさま。」
「気を付けてね。」

「ん。 今度は金曜日? あんたの休みは。」
「うん。 じゃその日も待ってるね。」

「ん。 楽しみにしてる。」

玄関先での何時ものやり取りの後、かすめるようなキスをする
それだけで真っ赤になる牧野

まだまだ先は長いな、、と思いながら、後ろ髪惹かれる思いで、牧野のマンションを後にした



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6 Comments

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-  

2019-11-19 09:22

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りおりお
Re: ビオ~様

りおりお  

2019-11-19 10:34

お互い一目惚れ❤
そして類君、、相手がつくしちゃんだからなかなか身体の関係が持てません
もちろんやる気はあるんですけどね
嫌われたくないですよねぇ

初々しい二人ですが、、この後どうなるのか?
お楽しみに~~

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-  

2019-11-19 11:05

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-  

2019-11-19 12:49

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2019-11-19 15:21

類君、かなりつくしちゃんを気に入っていますね
だから自分から声をかけアドレスを聞いた
そこから時間があればこうして会うように、、

でもデパート勤務のつくしちゃんと類君の休日はなかなか合わない
その為、こうしてつくしちゃんの休日の平日に、類君がつくしちゃんのマンションへ通っています
でも翌日に仕事があるつくしちゃんを気遣って、遅くまではいないようですね
もちろん、やる気は満々なんですけど、つくしちゃんの反応を見て焦らないようです

さて、、二人が深い関係になるのは何時かな?

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2019-11-19 15:25

類君の気持ちは真剣です
そして、つくしちゃんの事を大切にしています
もちろん、自分の立場を話すべきなんですけど、何時伝えようかと思っている段階ですね
御曹司だとばれたら、つくしちゃんが気を遣って今のような関係が崩れる事を怖がっているんですよね

まずはしっかりとした体の関係を持ってから?
と考えているのかもしれませんね
それが中々叶わない(笑)
焦らずじっくりと、、と思っていますけど、どうなるかな?

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