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兄妹ラプソディー

32 母さん

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「母さん、、」

目の前には、本当の母親がいる
偽家族と過ごしていることは、佳代と運転手のみしか知らず、もちろん口止めしている

「司君の家にずっと居たそうね。 まあ学校も休みだし、皆で遊ぶのも楽しいでしょうけど、あちらに迷惑がかかるでしょ?
今日から外泊禁止ね!」

どうやら俺は、司の家に居ることになっていたらしい
佳代が機転を利かせたのだろう

「さあ類様。 どうぞお入りください。」
「あぁ。」

本当は佳代に荷物を渡し、すぐに帰る予定だった
だがそれは無理と判断し、渋々上がる

「母さん。 いつ帰ってきた訳?」
「昨日よ。」

「いつまでこっちに居る予定?」
「クリスマスが終わるまでの予定よ。」

長いな、、
しかも、クリスマスまで外泊禁止は困る
特に今年のクリスマスは盛大に祝おうと約束している
最悪、昼頃あの家に行き、夜ここに帰ってくれば良いか?
外泊さえしなければ良いんだろ?

「それでね。 今年のクリスマスは、バリ島で一緒に過ごす事にしたから!」
「えっ?」

「4月から大学生でしょ? 今まで寂しい思いをさせちゃったお詫びと、大学祝いを兼ねてね。
聡さんも、現地に来てくれることになってるの。」

なんで今年に限って?
そりゃ大学祝いという格好の理由を付け、バリ島へ遊びに行きたいんだろうけど、、
この年で家族旅行もないだろ?

「いや、俺は行かない。 それこそ父さんと夫婦水入らずで楽しんできなよ。」
「いいえ! 絶対類君も連れていくわ! どうせ暇なんでしょ? だから司君たちと遊び歩いているんでしょ?」

怪しい、、
何としてでも俺を連れて行きたいような?

「遊び歩いている訳じゃ、、」
「とにかく、明後日出発しましょう。 それまで外出を禁止します! 分かったわね!」

類は八方塞がりだ
今すぐこの家から飛び出したいが、つくしとの未来を考えるとそれはできない
まだ気持ちを確認したわけではないが、もし好意を持ってくれているのなら、母親を説得しなければならない
それまで出来るだけ母親の心証は良くしておきたい

類は返事することなく自室へ向かう
とにかく現状を司に電話し、しばらく帰れないと伝えてもらう必要があるからだ

自室に入った類はベッドに腰かけ、すぐさま司に電話する

「あっ、司! 母親が帰宅した。」
『そりゃ家に居るだろ? バイト中なんだからよ。』

「偽じゃなくて本物の母親がフランスから帰ってきた!」
『はあ? マジか!』

「うん。 ちょっと実家に帰ったら母親がいてさ。 明後日にバリ島へ連れて行かされる!」
『クリスマス休暇だもんな。 じゃ、あいつらにはバイト終了と伝えとくわ!』

「それは困る!」

類はすぐさま否定する
そのあまりの即答ぶりに、電話口の司は驚く

「何としてもバリ島行きは阻止する。 でも母親がここに居る間は外出できそうにない。
悪いけど、3日ほど帰れないと伝えてくれる?」

類が、あの生活を楽しんでいたのは分かっていたし、妹の事を心配していたのも知っている
でも、なぜまだあの生活を続けたいのかが分からない
現にきっかけは自分たちの悪ふざけだ

『お金の面が心配なんだったら、違約金とか功労金とか適当な理由を付け、300万円程払うぜ?
住む場所も今のままあの家に住んでくれて構わねぇしさ。』
「そんなお金を受け取るはずがない!」

『だったら別の仕事を紹介すれば良いだけだろ?』
「それも困る。 とにかく三日待って! その間に、どうするか考えるから」

類の言い分だと、まだあの生活を続けたいのが分かる
何がそこまで類を惹きつけるのか分からないが、とりあえず類の希望通りすることにする

『わかった。 じゃ三日ほど帰れないと伝えさせるわ。』
「ん。 頼むね。」

電話を切った後、類はベッドにゴロンと横たわる
スプリングの効いたベッドは広く、弾力もあり心地良いのだが、何か違和感を覚える

「すっかりあのベッドに毒されてる。 それに、、」

類は入り口を見る

ドアからひょこっと顔を出す妹
そしてベッド横に歩み寄り揺り動かし、俺を起こして頬を染め、、
と浮かぶのはつくしの顔ばかり、、

「すっかり毒されてる。 いや、、この場合、惚れているというんだろうな」




家では、つくしが三沢からの電話を受けていた

『類様ですが、急遽呼び出しがあり、ご実家の方へ戻られました。 三日ほどそちらには帰られないそうです。』
「それって、、実家の誰かに何かあったんですか? 入院とか、、その、、」

つくしは言い淀む

あまりにも突然すぎる
こういう場合、考えられるのは不幸事
それに伴う財産分与
資産があると必ず揉める厄介事だ

『いいえ、そのような事ではございません。 ご安心ください。 
それと今回はこちらの都合という事になりますので、類様がおられない間も、バイトとして24時間加算させていただきますのでご安心を。』

「じゃあ三日後には帰ってくるんですね?」
『そのようにお聞きしております。』

つくしは安堵する
バイト代よりも、類がこの家族ごっこを続けるという事の方が嬉しい

「分かりました。 両親にも伝えます。」
と告げ、電話を切ると両親に告げる

「お兄ちゃん、今実家なんだって。 三日ほど帰れないけど、その後帰ってくるって。
その間は24時間バイトとして加算しますって三沢さんが言ってきた。」
「そうか。 類さんは、まだ続けてくれるんだ。 良かったな。」
「良かったね、つくしちゃん。 じゃその間に、、ね?」

両親から含みのある言葉に笑顔で返すつくし

その心中は、まだ続けられる喜びでいっぱいだった




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8 Comments

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2020-01-14 09:19

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2020-01-14 09:23

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りおりお
Re: ビオ~様

りおりお  

2020-01-14 12:06

類君ピンチです
でも母親に本当の事が言えない
何でそんな事を?と言われるだろうし、すぐに辞めなさいと言われるだろうから

司君にとりあえず頼んだけど、司君も不思議そうです
もちろん類君がなぜここまでこの偽家族に拘るのか興味はあると思いますが、偽家族のプロフィールをしっているはず
容姿も見ているはず
そこに興味がそそられなかったんでしょうね
会話をして初めてつくしちゃんの人となりが分かるから
それに司君まで参戦してしまったら、私はもう、、アップアップになっちゃいます(笑)

と言う事で、このまま進めますねぇ
お楽しみに

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2020-01-14 12:08

類君、八方塞がりです

母親に本当の事を告げ、反対されたら元も子もないですからね
つくしちゃんに会えないのは困るし、、
さてどうしたものか、、
何とか旅行に行くまでに解決したいところ

頼るべきはF3になるんでしょうけど、つくしちゃんと接して欲しくないんでしょうね
F3もカッコいいですからねぇ
自分以外のイケメンを目に入れさせたくないのかも?

さて、、どうする?

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-  

2020-01-14 14:10

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りおりお
Re:り~様

りおりお  

2020-01-14 15:02

母親は何を考えているんでしょうね?
確かにこの歳で、家族でクリスマスっておかしいですよねぇ
でも逆らえない類君
心証を悪くしたくない一心です
でもこのままだと、バリ島へ連れて行かれるし、、
さあどうする?
時間は無いよぉ

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-  

2020-01-14 21:59

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りおりお
Re: の~様

りおりお  

2020-01-15 07:44

良い感じの二人ですが、いろいろと問題が起きてきています

椿さんと会っていた類君をつくしちゃんが目撃したり
類君の本当の母親が帰国していたり
しかも外出禁止を言い渡され、クリスマスもバリ島へ?

このピンチを脱却するためにはどうしたら良いの?
今必死で考えているでしょうねぇ

コメントありがとうございます
是非またお時間のある時にコメント下さい(#^.^#)

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