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兄妹ラプソディー<完>

36 乱闘

6


予定の時間よりも30分早く、母親(レイコ)は店へ着いた
その店の前には、二人の厳つい男が立っている

「大川は中? 娘には何もしていないでしょうね?」

その問いに、男たちは笑みを浮かべドアを開けた
と同時に、道明寺のボディガードがその男二人に飛び掛かった

その間を、類と父親が進み母親と共に中へ入った

「大川! 来たわよ! つくしちゃん、、娘を返して!」

その母親の視界の先には、数人の男たちが団子状になっている姿
その中に、つくしの姿が見え隠れしている

「来るのが早えな。 しかも一人で来いといったのに、誰だそいつら?」
「しゅっ、、主人と息子よ!」

母親は一瞬悩んだが、その言葉がすぐに出た

「うちのボディーガードも役に立たねぇなぁ。 余計な者をここに入れてよぉ。 おい、その辺でやめとけ!」

大川の言葉に、つくしを囲んでいた男たちは手を放し、その横に一列に並ぶ
つくしの姿は見たところかなり服の乱れはあるが、何とか間に合ったように見える
だが、ボロボロと涙を流し、口に詰め物をされた姿は見るに忍びない

「つくしちゃん!」

三人はすぐに駆け寄ろうと一歩踏み出したところで、大川が大きな声をあげた

「ストップ!」

その手には拳銃が握られている

「ご主人と息子には、レイコと娘を残してこのまま帰ってもらおうか。」

すると父親が、母親と類の前に立ち、両手を広げる

「断る。 つっ、、妻はもう十分お金を払っている。 これ以上妻にたかるのはやめてくれ!」

いつも弱弱しく存在感のなかった父親が、二人の前に立ち家族を守ろうとする
もちろんそこには妻という愛する存在があるからだろう
いつの間にか偽家族が本当の家族のような情や絆が芽生え、そして父親は本当に母親の事が好きになったのだろう

その父親に大川は一瞥をくれる

「あんた、、そこのレイコがやってきた事を、どれだけ知ってる? この女と寝た男は3桁は下らねぇぜ?」

その言葉に、母親は俯く
だが、父親は毅然な態度を崩さない

「過去は関係ない! 私は彼女が笑ってくれていれば、それ以上の事は望まない!」
「くっくっくっ。 そんな偽善を。 お前もレイコの体におぼれたクチか? 
俺も三日は手放せなかったぐれぇ良い体だよな。
そんな極上の女を手放せるかって事よ!
娘の方も仕込めば良い商品になりそうだし、レイコの借金を二人で返してもらう事に決めたんだよ!
あんたら、とっとと帰りな! それとも海に沈めてやろうか? 臓器を売るって手もあるけどな。」

大川は、父親と類を脅し始める
それでも父親は二人を守るように先頭に立っている

その時、非常口付近から大きな音がした
その音に、大川をはじめ部下たちは一斉に非常口を見た
その一瞬の隙を突き、類は父親を飛び越し大川が手にしていた拳銃を蹴り上げた

床を転がる拳銃
それを道明寺のボディーガードが拾い、別の者が大川を拘束する
もちろん、つくしのそばに居た男たちも、サッと取り押さえた
鮮やかすぎる行動だ

「何だ? 誰だ? お前らは!! 普通の人間じゃねぇな!」

類はそれに答えず、すぐにつくしの元へ行く
そして跪くと、つくしの口に突っ込まれているミニタオルを取る
頬もかなり腫れ、口の端も切れている
それは抵抗の痕だと分かる

「もう大丈夫だから。 頑張ったな。」
「おっ、、お兄、、ちゃん、、、。 お兄ちゃん、、。」

つくしは、恐怖と安堵がせめぎあい、言葉もままならない
そのつくしの体を起こし、ソファーに座らせると、ギュっと抱きしめる

類自身も憤りと不安と後悔がせめぎあっていた
それがやっと抱きしめたことで、安堵へと変わっていく
つくしも類の温もりに、やっと落ち着きを取り戻し始める

「つくし、、良かった。 間に合って。」

類の口から自然につくしの名前が漏れる
そしてやっと、つくしの手の拘束を解き始めた
その手は震え、思うように解けない

「ごめんな。 怖かっただろ?」
「うん。 でもお兄ちゃんが来ると信じてた。」

やっとつくしの拘束を解いた類は、もう一度つくしを抱きしめる
つくしも自然に類の腰に腕を回し、目を閉じ無事の再会を噛み締めた

そして目を開けた時、父親が母親を抱きしめている姿が視界に入る
それは本当の夫婦のように労わりあう姿
ゆっくり視線を横にやると、数人の男たちが拘束されている姿
それは先ほどまで、つくしを押さえつけていた男たちだ

それに安堵を覚えていると、キラリと光るものが見えた

えっ?
と思っている間に、拘束していた大川のロープがハラリと解け、キラリと光る物をこちらに向かって投げてきた

それは一瞬の出来事

えっ?と思った瞬間、つくしは類の腰から背中へと腕を瞬時に移動させた
類の体をどかせる余裕などなかった
でも、類を守りたかった
その一心だ

大川が投げたナイフは、つくしの左腕に刺さる
それは折り畳み式の小型ナイフ

「痛っ。」
「ちっ、外したか、、」

類の耳には、つくしの声と共に、後方から大川の声が聞こえる
同時に、ボディーガード達の『花沢様』という切羽詰まった声
親友たちの『類!』という声
両親の『つくしちゃん!』という声が一斉に発せられる

そんな中、目の前のつくしの顔が歪む
類はゆっくり体を離すと、つくしの左腕にナイフが突き刺さっている

「つくし! すぐ病院へ!」

類は焦る
確かに、背中に圧力を感じた
それが、妹が自分を庇って負傷していたなんて!!
という思いだ

一方のつくしは、顔をゆがめながらも類に問う

「お兄ちゃんは、大丈夫?」
「あぁ。 どこも痛くない。」

すると、フッと表情が和らぐ

「良かった。」
と、一言告げると、再び眉間にしわを寄せ苦渋の色を浮かべた

類に刺さらなかったことにホッとすると、急に腕が痛み始めたようだ



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6 Comments

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-  

2020-01-18 09:26

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りおりお
Re: ビオ〜様

りおりお  

2020-01-18 09:39

道明寺のSPも、安堵して気が抜けた?
それとも大川が凄かった?
とにかくつくしちゃんは助かったけど、手に怪我を!

父親はかなり変わりましたね
母親を守りたい
つくしちゃんを守りたい
その一心でしょうね

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-  

2020-01-18 09:44

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りおりお
Re: ゆきり〜様

りおりお  

2020-01-18 11:46

間に合ってよかったですよね
類くんも自然に『つくし』と呼ぶことができました
それ以上に、偽父親がカッコよかった
母親と娘を守りたい一心でしょうけど、血のつながり以上の物が生まれていますよね
それもこれも、つくしちゃんのおかげでしょう

そのつくしちゃん…
まさかの負傷
どうなるのかは、明日のお楽しみで!

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-  

2020-01-18 12:33

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りおりお
Re: り〜様

りおりお  

2020-01-18 21:35

初めは司達が考えた悪戯
それが…偽家族のはずが、本当の家族のような絆が出来ています

弱々しかった父親は、家族を守るために盾になり、母親も過去の汚点を認め、つくしちゃんを助けようと必死で…
類くんも愛する人を守るために行動を起こし…
つくしちゃんは、大好きな類くんを守るために、腕で庇いました
家族ですよね

負傷したつくしちゃん
早く病院へ!

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