FC2ブログ

Welcome to my blog

兄妹ラプソディー<完>

38 仕方ない

6


偽家族という関係の三人が、今はすっかり本物の家族に見え、F3は驚く
そしてその中心にいる妹の事を、本気で心配しているのも分かる
そのような家族の温かさや絆を知らないF3は、羨ましく思える程だ

そんな三人に、あきらが声をかける

「類。 今のうちに話しておいて良いか? あいつらの事なんだけどよ。」

類はぴくっと反応を示し、ゆっくり姿勢を戻すとあきらを見る
父親と母親も顔をあげ、あきらを見た

「まず大川だが、銃刀法違反で警察に逮捕された。 もちろん殺人未遂と傷害罪も加わるはずだ。
それと残りの男たちも、未成年略取と淫行罪で引き渡した。」
「ありがと。」

「それと、松村組から念書も貰ってきた。」

あきらは、母親の前に封書を渡す
母親はそれを受け取り中を確認すると、借入金はすべて完済し、今後一切関わらないといったことが書かれた紙と、未提出の婚姻届けが入っていた

「これであなたは本当に自由の身です。」
「ありがとうございます。」

母親は、用紙を持つ手をプルプルと震わせながら、深々と頭を下げた
あきらは再び類に視線を移す

「あの大川って男は、いわゆる買春のためのスカウトマンだ。
んで、狙った女に言葉巧みに近づき逃さねぇ。
買春という形で大金を手に入れ、違法薬物購入の資金源にしたり、質の良い薬を手に入れているみてぇだ。
その為の貢ぎ物扱いだったり、摘発を逃れるための袖の下だったり、いろんな目的で女の体を利用している。
それは使い物にならなくなるまで続けられるんだ。
もちろん、ああいった場所は何か所もある。
妹があの場所に居たのは、本当にラッキーだった。
拉致した時点で、妹はその道具として扱う目的だったんだろうからな。」

類も同感だ
あの場所につくしが居たことはラッキーだった

もし別の場所だったら、二手に分かれ同時に事を起こす必要があった
そうなると、こちら側の戦力も削がれる事になり、もっと重大な事件に発展したかもしれない

それにしても、、
あの時のつくしの表情が脳裏に浮かぶ
あの忌まわしい光景が、、


その時、手術中のランプが消え、中から医師が出てきた
類は、サッと立ち上がると医師に詰め寄る

「あっ、つくしは? つくしの容態は?」

本来なら家族以外に伝えてはならないのだが、ここは道明寺系列
司の姿も見えることから、医師は説明を始める

「手術室に入られてから、急に怖くなったようで震え始めましたので、全身麻酔で処置しました。
ですので今は眠っています。
ナイフは肘下5センチほどの場所の前腕の尺骨に刺さり、止まっている状態でした。
それを抜き縫合。 運よく神経から外れていましたので、傷口が塞がれば動かすことが出るはずです。
今後の処置としましては、三日ほど抗生物質と痛み止めの投与の為、入院していただきますが、その後は自宅療養に切り替えても大丈夫ですので。」

思いのほか軽い怪我で済みそうで、皆はホッと胸を撫でおろす

「それと頬の腫れも数日で治るはずです。
口の中も切れていましたので、しばらくは沁みると思います。
それ以上の暴行の有無は見られませんでしたのでご安心を。」

それを聞き、ホッとする
連れさられ数時間経過している
暴行されていたとしても不思議ではない

「「「ありがとうございました。」」」

類と両親は医師に向かって頭を下げた
そのすぐ後に、つくしがストレッチャーに乗って出てきた

その頬は湿布のようなもので冷やされているが、唇まで腫れ、見るに忍びない
そのまま特別室へ運ばれ、その後ろをみんながついて行く

その入り口で、司が類を呼び止める

「類、ちょっと良いか?」
「ん? 何?」

「あのよぉ。 三沢が言うには、このままこの生活を続けるのは無理だって言うんだ。」

それは何となく類も思っていた
未成年拉致監禁
一歩間違えば、殺人事件にまで発展するような出来事だった

「それで、妹の両親に連絡を入れたらしいわ。」
「えっ!!」

類は驚く
つくしは、親から捨てられ天涯孤独の身になったはず

「妹の履歴書に、母親の携帯番号が書かれていたんだわ。 一応、未成年だしさ。
ダメ元でかけてみたら繋がったらしい。
妹が話していた通り、群馬に住んでいるらしく、腕に怪我をしたが命に別状はないと伝えたら、明日朝一の電車で来るって言っててさ。」
「そっか。 来てくれるんだ。」

類は、ホッと安堵する
少なくとも履歴書に本当の電話番号を書いてくれていた
娘が怪我したと知り、すぐに駆け付けてくれる
それは、まだ愛情が残っているという事

もしかしたら、そのまま連れて帰るかもしれない
もうこんな変なバイトをする必要もないし、手のかかる兄の世話や気を遣う両親と同じ屋根の下で過ごす必要もないし、万々歳なんだけど、、

類は言いようのない悲しみに襲われる
だがつくしの幸せを思えば、仕方ない事と必死に言い聞かせた



にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト



6 Comments

There are no comments yet.
管理人のみ閲覧できます

-  

2020-01-20 09:25

このコメントは管理人のみ閲覧できます

EDIT  REPLY    
管理人のみ閲覧できます

-  

2020-01-20 10:21

このコメントは管理人のみ閲覧できます

EDIT  REPLY    
りおりお
Re: ビオ〜様

りおりお  

2020-01-20 10:25

つくしちゃんの怪我も、思ったほど深刻ではない
偽母親の件も無事解決
普通なら、再び家族ごっこが始まるのでしょうが、これだけの事件になると無理ですよねぇ

類くん、どうするんでしょうか?
離れるのは寂しいですよねぇ

EDIT  REPLY    
りおりお
Re: ゆきり〜様

りおりお  

2020-01-20 10:29

一件落着
再びもとの生活に…
とはいきません

警察沙汰にまでなったし、偽母親の件は決着したけど、つくしちゃんの心の傷も深いし、本当の両親とも連絡が取れたしね

でも…一緒にいたいですよねぇ
どうするかなぁ
麗さんに説明も済んでないし!

明日もお楽しみに〜

EDIT  REPLY    
管理人のみ閲覧できます

-  

2020-01-20 13:54

このコメントは管理人のみ閲覧できます

EDIT  REPLY    
りおりお
Re: り〜様

りおりお  

2020-01-20 16:12

つくしちゃんの傷は、想定していたものより軽かった
その点はホッと安堵です

でも…こういう事件になったら、家族ごっこを続けられない
つくしちゃんの両親にも連絡できた
そうなると…つくしちゃんは群馬に連れて行かれる?

嬉しい反面、何も行動できていない類くん
どうするかな?
問題山積ですもんね

EDIT  REPLY    

Leave a reply