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兄妹ラプソディー<完>

46 良し!

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それから三日後の12月23日
つくしは退院し、花沢の車に乗った

「ここだよ。」

類は、ニコニコしながらつくしに告げる
つくしは車から降りると、家の大きさに驚く
かなり大きい家だろうと想像していたが、更にその上をいく大きさだ

「荷物は既に運んでいるらしい。」
「うん。 お邪魔します。」

つくしは類にエスコートされながら門を潜り玄関へ
そこには類の母親と使用人たちが揃っていた

「お帰り、類君。 いらっしゃい、牧野さん。」
「「お帰りなさいませ。」」

使用人たちは上半身を同じ角度で曲げる
その統率の取れた行動に、つくしは圧倒される

麗はにこにこしながら使用人に紹介する

「こちら、牧野つくしちゃん。 よろしくお願いするわね。」
「「畏まりました。」」

「牧野つくしです。 お世話になります。 よろしくお願いします。」
と、つくしはすぐに自己紹介し、頭を下げる

「こちらが佳代。 分からないことは何でも聞いてちょうだい。」
「佳代と申します。 何なりとお申し付けください。」
「はい。 よろしくお願いします。」

こうして挨拶を済ませ、二人は上がり込んだ
そして麗の案内の元、その後ろをついて歩く

「ここが牧野さんの部屋ね。」

麗がドアを開けると、明るい洋室が目に飛び込む
そしてかなり広い
その上、家具などのインテリアはシンプルながらも可愛い

「運ばせた荷物のうち、服はクローゼットに入れてあるわ。 その他はそこに置いているから後で片付けてね。」
「はい。 ありがとうございます。」

「母さん。 これ母さんの趣味だろ?」
「あらっ、分かる? だって女の子を預かるんですもの、張り切らないでどうするの?」

洋室の客間が、あっという間にプリティ仕様に変わっている
しかもベッドにイルカの抱き枕
ソファーの上にも大きいぬいぐるみ
出窓にも可愛いオブジェが置かれている
ハッキリ言って、要らない物ばかりだ
というより、つくしの趣味じゃなかった場合どうするんだろう?と心配になる

「とにかく牧野さん。 ご自分の家と思って寛いで頂戴ね。」
「ありがとうございます。 でもこんな素敵な家に無料で住まわせてもらうのはおこがましくて、、
何かあたしに出来る事はないですか? あっ、使用人さんのお手伝いをしても良いですか?」

つくしの発言に、麗はにこりと笑う

「じゃあ申し訳ないんだけど、私の仕事のお手伝いをしてもらえるかしら?」
「はいっ。 あたしで出来る事なら。」

「私と主人はヨーロッパで暮らしているの。 主にフランスとイタリアなんだけどね。
そこで現地の魅力を伝える活動をしているの。
旅行雑誌に載っているような大それた物じゃなくて、道端で見つけた花が綺麗だとか、ふと入ったカフェが居心地良いとか、雨上がりの道がキラキラしているとか、些細な事だけど素敵な場所やひと時の紹介ね。」
「はい。」

つくしは真剣に耳を傾け返事する
一方の類は頭を捻る
母親がそのような活動をしていると聞いたことがないからだ

「それでね。 日本の魅力を現地の人に伝えられたらどんなに良いだろうと思っていたんだけど、私は滅多に日本に帰らないし、類君は面倒臭がってどんなに頼んでもやってくれないのよ。」

類は心の中で憤る
そんな話を聞いたこともないし、もちろん頼まれた事も無い!
だが、何か思惑があって言っているのだろうと思い黙っている

「じゃあ、日常のちょっとしたことを伝えれば良いんですね?」
「えぇ。 この家の中の事でも構わないの。 例えば食事が美味しかったとか、シャンプーの使用感がイマイチとかね。
海外の人って、日本人がどんな生活をしているのか知らないでしょ?
なんでも知りたいと思うし、興味を持ってもらいたいの。」

「そうですよね。 私もフランスやイタリアの日々を知りたいです。 それはどこで紹介するんですか?」
「ブログよ!!」

類は驚く
それ、単に母さんが趣味でやっているブログじゃない?
と思ったからだ

「でね、ここからが重要なんだけど、フランス語とイタリア語で書いてほしいの。」
「!!!」

その発言に、やっと類は母親の意図を理解した

「えっ! 無理です!! あたし、英語も覚束ないのに、フランス語やイタリア語なんて、とてもとても。」
「大丈夫。 講師を付けるから。 
今、フランスに住んでいるから、とりあえずフランス語から始めましょ? 
あっ、撮れたら写真もお願いね。
英語の方は、類君にお願いしましょう。」

「分かった。」

類は嬉しくて仕方ない
母親は全面的に協力してくれる

こうしてつくしにフランス語とイタリア語を自然な形で覚えさせようとしているのが何よりの証拠
つくしも、母親の手伝いとなれば、やる気も出るだろう
真面目な性格から、毎日でも写真付きで日常の出来事を報告するのが目に見える

だが、離れていても俺たちの行動が母親に筒抜けになるのは否めない
まあ仕方ないと割り切るしかない

「私宛に送ってくれたら、私が添削してアップするから、どんどん送ってね。
えっと送り先は、、ちょっとパソコンを立ち上げるわね。」

パソコンの前でルンルンしている母親を見ると、類は何も言えない
こうして俺たちの未来の為に、さりげなく手を貸してくれている
そしてきっと、、大学進学も勧めるはず

母親が味方になってくれると、これだけ心強いと初めて知ったし、それだけつくしは魅力があり、潜在能力を秘めていると感じたんだろう

「それで、私の事は麗って呼んでちょうだい。 花沢さんだと類君も花沢さんだし、奥さまだとヨソヨソしいでしょ?
私も、つくしちゃんと呼ぶことにするからオアイコね!」

何がオアイコなのか判らないが、仲良くするに越したことはない
類がアレコレ思っている間にも、二人のやり取りは続いている

「じゃあ、麗さんと呼ばせてもらいます。 よろしくお願いします。」
「えぇ、もちろんよ。 類君ともども、仲良くしてちょうだいね。 つくしちゃん♪」

二人は共に笑顔だ

つくしの笑顔は見た事あるものの、母親の笑顔はほとんど見た事がない
それが見られただけでも良しとしよう、、
と類は思った


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6 Comments

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2020-01-28 09:20

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2020-01-28 09:24

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2020-01-28 13:20

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りおりお
Re: ビオ~様

りおりお  

2020-01-28 14:02

麗さんとしては、つくしちゃんに興味があるんでしょうね

類君をたった二か月で変えた
偽両親も変わっているらしい
そして、自分にも叱責した
そのパワーはどこからくるのか?
そして、全然嫌な気持ちにならないのはつくしちゃんの人柄
そんな人、、今まで見た事ないでしょうからね

その為には、囲い込みですよ(笑)
とにかく、反対されなくて良かったです

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2020-01-28 14:04

関東は寒いんですね
こちら関西は、温かいです
ほんとうに1月?と言う感じです
最高気温が15度予報ですから、、
風邪ひかないでくださいね
風邪以外にも、、今話題になっているウイルスがありますから外出も注意ですよね
こちらもあまり人込みにはいかないようにしています

さて、、お話、、
麗さん、、
さり気なくつくしちゃんに頼み事、、
楽しくフランス語とイタリア語を学ばせるようですね
それはやはり、、二人の将来の為、、
類君も喜んで手伝ってくれるでしょう

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2020-01-28 14:07

麗さん、、つくしちゃんの事を気に入ってますね
さり気なくフランス語とイタリア語を教えるようです
つくしちゃんも仕事と思えば手を抜かないだろうしね
楽しく学んでほしいですね
もちろん類君も嬉々としているでしょう

とにかく今は、こうして同じ家に過ごせることだけでも満足しなくちゃね
その後の事は、時期を見て、、ですよねぇ

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