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勝負

24 社長との対面

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「社長第五秘書に任命されました、牧野つくしです。 よろしくお願いします。」

入ると同時に頭を下げ、自己紹介をするつくし
その姿勢は、ピタリと30度
背筋が伸び、両手は前に組まれとても綺麗な所作だ

「宮本。 下がってくれ。」
「畏まりました。」

案内した第一秘書の宮本はお辞儀をすると、その場から退出する
そしてパタンとドアが閉まった音がする
それをつくしは、30度のお辞儀をしたまま聞く

「顔をあげなさい。」
「はいっ。」

社長である聡の合図に、つくしはゆっくりと顔をあげた
そこには先ほど挨拶をしていた社長の姿
威圧感たっぷりで思わず体に力が入る

「社長秘書に配属され、どう思ったかな?」
「はいっ。 間違えているのでは?と思たのが第一印象です。 
国際秘書検定を持ってはいますが、まだ会社の事を何も知らない新人です。 
それこそ重役の顔も名前も知りません。 インターンでさらりと会社概要を知っただけです。 
そんな私が、会社の顔である社長の秘書に選ばれるとは想像していませんでした。」

つくしは素直な感想を述べる
その話を、頷きながら聞く聡

「それでは理由を説明しよう。 まず、第五秘書が欲しいと常々思っていた。 
知っている通り、わが社はヨーロッパをメインに仕事をしている。 
従って私もほとんどをフランスやイタリアで過ごしているが、今度第三秘書までを連れて行こうと思っている。 
今までは第一、第二秘書を常に同行していたのだが、去年から息子が仕事をはじめ、私との連絡係をその第三秘書に担ってもらおうと思っている。 
その為、ここの秘書は第四秘書のみとなり厳しい状態になる。 
そこで本社の秘書をいろいろ選定したのだが、良い人材がいなかった。 
そんな中、入社試験を受けた者のリストから上位50人を見て、牧野さんを選んだ。 
試験の成績も良いし、何よりフランス語の発音がかなり良かったらしい。 
フランスへ留学したことがあるのかな?」

「いいえ。 留学経験はありません。 ですが、丁寧にフランス語を教えてくれた先輩がいました。 
その方のおかげで、発音に関してはかなり厳しく指導を受けました。」
「そうか。 努力の成果と言う事か。」

「そうなります。」
「それでその先輩には、わが社を受ける事は伝えたのかな? 合格したことは?」

つくしは、ん?と思う
もしかしてその先輩と言うのが自分の息子と知って聞いているのか?と思ったからだ

だが、断言された訳ではない
単に尋ねただけなら、ここで変な事を言わない方が得策だ
類の傍に居たいが為に花沢を受験したと思われたくない
もちろん多少はそれも含まれているが、何より類が教えてくれた語学を無駄にしたくないという気持ちが大きかった
それに英徳で学んだことを生かしたい
せっかく道明寺がお金を出して行かせてくれた大学だし、別れた後も大学は卒業しろと言われ頑張った
それらすべてを無駄にしたくなかった

「先輩には花沢を受験したことは伝えていません。 ただ就職した事のみ伝えました。
先輩も社会人として日々忙しいと思いますし、余計なことは言わないでおこうと思っています。」
「そうか。 それでは、、私の方からも何も言わないでおこう。」
「えっ?」

聡はスッと表情を引き締める

「社長秘書と言っても、簡単な仕事ばかりではない。 現にここに残る社員はたった二人。 
広報活動も含めやる事は沢山ある。 
日々第一秘書や他の秘書たちと連絡を取り合い、私が安心して仕事が出来るよう頑張ってくれ。」
「はいっ!」

「それと私は一週間後フランスへ戻る。 それまでにある程度の引継ぎを第三秘書から受けておいてくれ。」
「分かりました。」

つくしは45度のお辞儀をすると、サッと社長室を後にする
その後ろ姿を見て、なるほど、、と聡は感心した

息子にはこの会社を任せるのは無理だと思っていた時期があった
それが高校三年の時、突然NYへ行ったと思ったら一人の女性と寝食を共にしたと聞いた
静ちゃんの以外の女性と?と我が耳を疑ったが、その女性が難航していた楓さんの取引を無事成立させたと聞いた

その時彼女は高校二年
NYでも最大手のゲイツカンパニー
その会長とどこで知り合ったのか分からないが、彼女の事をかなり気に入ったらしい

そして彼女を巡り、司君と空港で一悶着あったらしいが、、そこから息子は変わった
穏やかな性格は変わらないが、仕事に意欲を見せ始めた
現に長期休暇を利用して、フランスやイタリアでのインターンを任せたが、率なく熟していた

そこには、彼女の存在があったのだろう
そんな彼女が司君と別れていたとは知らなかった
楓さんもショックだろう
高校時代はかなり反対していたが、NYのゲイツカンパニーとの締結を皮切りに、牧野さんは使える存在と認識しただろうから
それがわが社の内定を貰っていたとは、私自身驚いた

今年度の入社試験情報を閲覧したのは、ほんのちょっとした気まぐれだ
秘書を探していたのは事実
既存の秘書に適任者がいなかったのも事実
だが、新入社員を秘書に迎えるつもりは毛頭なかった

単に今年はどんな優秀な人材が集まったのか
数年後には、その中から優秀な秘書が生まれるか?
と、期待半分で上位から順にチェックしていた
すると10位以内に彼女の名前を見つけた

初めは同姓同名か?とも思ったが、経歴を見て牧野さん本人だと確信した
もしかして司君とは既に?とすぐに気が付いた
その上で、すぐに私の秘書へと考えた

わが社はヨーロッパが主流で、ゲイツカンパニーとの直接的取引はない
だが何らかの接触が出来れば、もしかして良い仕事の話が来るかもしれない
その為にも、牧野さんを近くに置いておく方が得策と考えた

楓さんも今頃焦っているだろう
いや、初めから彼女の事を認めていれば良かったのだ
判断が甘かったというべきか、勝負所を見誤ったのだろう

そういう意味では、類も判断が甘いとしか言わざるを得ない
恋愛に関しては、互いの気持ちもある事からどうすることも出来ないだろうが、早々に諦める必要などない
少なくとも結婚するまではな

そして彼女は潔いというか裏表のない性格のようだ
私の目を見てきっぱりと告げた

『先輩には花沢を受験したことは話していません。』

それが彼女の司君への謝罪と、類への思いなのだろう
司君と別れたからと言って、ほいほい類へと乗り換えるような考えはない
そして類も、彼女が花沢に就職していることを本当に知らないのだろう
なぜなら日本へ帰りたいと一言も言わず、黙々と仕事を熟しているから

英徳でもトップクラスの成績を取るのは至難の業
たとえ類が勉強を見ていたとしても、本人の努力も必要だ
それらの努力が、彼女に自信をつけている
だから入社試験でもかなりの好成績で、面接でもかなり印象が良かったのだろう

面白い女性だ
見た目は普通の女性ながら、惹きつけるものを持っている
それは、相手の目をしっかりと見て話す意志の強さだろうか?

これからどうなるか分からないが、とりあえず私の秘書として頑張ってもらおう
ここなら他の男性がちょっかいを出す事も無いだろうし、私も彼女の仕事っぷりを見ることが出来るからな
その上で、彼女の事を判断しても遅くはない

類、、
諦めるのは早いんじゃないか?

勝負はまだついていないぞ



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10 Comments

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2020-05-29 09:24

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2020-05-29 09:57

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2020-05-29 11:01

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2020-05-29 12:06

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りおりお
Re: ビオ~様

りおりお  

2020-05-29 14:05

そうです
類パパが、つくしちゃんを自分の秘書にしました

類君が高3ごろから変わってきている
その理由もそれとなく耳に入っていたんでしょうね
そしてNYでのあの事件ももちろん知っている様子
その上で、なぜ道明寺は排除したがるのか?と思ったのでしょう

悪い方向に変わったのならすぐさま切ったでしょうけど、類君は仕事も頑張っている
その姿を見れば、すぐに排除する必要はないと判断したんでしょうね
そして近くでつくしちゃんの仕事ぶりを見れば、どんな女性かもわかりますからね

まあ、、なんだかんだで、、類パパは様子見という感じでしょうか?

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りおりお
Re: MAYUMI~様

りおりお  

2020-05-29 14:08

少なくとも、聡の目には悪い印象を持つ部分が無かったんでしょうね
英徳での成績もトップクラス
家柄を考えれば、これほどの成績を残すのは本人の努力が不可欠
そして類君自身が変わってきた
仕事もきちんと熟している
NYでの出来事も知っているし、何故高校生だったつくしちゃんが楓さんとゲイツカンパニーの契約を纏めることが出来たのか?
その謎も、近くに置いておけば分かると思ったんでしょうね
その上で判断しても遅くはないと言ったところでしょうか?

少なくとも、類君を変えてくれたことには感謝をしているんでしょう
楓さんのように家柄だけで判断しない所は良いですよね

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2020-05-29 14:11

まさかまさか・・・
社長は何もかも知っていた・・・
って感じですね

息子が変わってきた
その鍵は、つくしちゃんだった
そのつくしちゃんが花沢物産に居る
なら近くに置いて、つくしちゃんの性格や仕事ぶりを観察しようというところでしょ

その結果、、
反対するとか認めるとか、、結論を出そうというところでしょうね

その間に他の男性に取られたら息子の気持ちが、、って、父親の感情も入っています
頑張ればなんとなりそうですね
まあ本人たちは知らないんですけど

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りおりお
Re: みわ~様

りおりお  

2020-05-29 14:14

類パパは、家柄だけで反対はしないというところでしょうね
類君が変わってきたのは事実だし、そこにつくしちゃんが関係しているのも事実
だったら傍に置き、仕事ぶりを観察し、人柄を見ようというところでしょうね
そこに至ったのは、やはりNYでの事件が関係しているのでしょうね
道明寺とゲイツの契約をまとめた立役者ですから

こちらも6月から学校が始まります
どうなるんでしょうね?
このまま二派が来なければ良いんですけどね
また休校になったら"(-""-)"

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2020-05-30 00:13

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りおりお
Re: シマエナ~様

りおりお  

2020-05-30 15:24

聡は、つくしちゃんを観察するつもりでしょうね
何故、この子に魅力を感じるのか?
しかも類君だけじゃなく、司君やゲイツカンパニーの会長さんまでも!ですからね
そんな人材が自分の会社に居るならば、その理由を知りたいじゃないですか?
ついでに言うと変な男に掻っ攫われたくない(笑)
もし本当に素敵な女性なら、類君が望むなら・・・
でしょうね

とりあえず楓さんとに違いは、家柄で判断しない事でしょうね
もちろん会社にプラスになると思っている部分はありますけどね

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