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さくらいろ

1 第一章

2020/07/29
愛する人にバラの花を 6
第一章


「おっ、ここじゃね?」
「みたいだな。」

総二郎と類は、人でごった返しているショッピングモールに来ている
ここは美作が出資している大型ショッピングモール
映画館や温泉まで併設したかなり大きなものだ

社会人丸一年になるあきらは、このショッピングモールのホワイトデーイベントを任され、二人はそれを見に来たというわけだ

「しかし、凄い人だな。」
「イベントが行われるから凄い人なのは分かるけど、なんでこんなに若い男女ばかり?」

イベントブースは若い男女ばかりだ
家族連れイベントでは無い事が分かる

目の前には大きな黒い幕があり、誰かのライブが始まりそうな熱気がある
すると類が横にあるポップに気づき、総二郎にそれを指差す

「フィーリングカップル?」

総二郎は疑問形の声を発するが、カップルが何かをするイベントだと分かる
だから若い男女が多いのか、、と納得した

「こんなに人が多いと、あきらを探せないんじゃない? もう帰ろ?」

あまりの人の多さに、類は既に辟易していた

「何を言ってんだよ! お前が見に行こうと言い出したんだろ? 
同じジュニアの立場として、どんなプロデュースをしているのかチェックしたいと言ってさ。」

その通りだ
同じジュニアの立場として、あきらがどのような催し物をプロデュースしたのか知りたかった
いつか自分も、こういう物を企画立案する必要があるだろうから

だが、場所がショッピングモール
しかもホワイトデー前と言う休日
既に春休みに入っている学生もいるし人が多い
その為、総二郎を誘ったのだが、、

「そうなんだけど、、」
「少なくとも成功だな。 これだけの人を集め、更に盛り上がっているしさ。」

類はぐるりと見渡す
イベントブースは吹き抜けになっている
二階や三階からも大勢の人が覗き込んでいるし、キャーキャーと黄色い声も上がっている

確かにこれだけの人を集め、尚且つ興味を持ってもらえている時点で成功と言える
じゃあ、どんな事をするのか?まで確認しないと、ここに来た意味がないのだが、、
既に類は疲労困憊だ

「人の多さに酔ったみたい。 悪いけど、俺はここで見てるから、総二郎はあきらを探してきて。」
「はあ? まあ分からないでもねぇけどよぉ。 じゃ、ちょっと探してくるからここで待ってろよ!
勝手に帰るんじゃねぇぞ!」

「分かった。」

類は返事をすると近くの柱に体を預けた
それを見て、総二郎は人でごった返す中へと入って行った



あきらは舞台の隅に居た
今回のイベントの為にプロジェクトチームを作り、今日に臨んだ
春休みやGWと言えば家族連れのイベントが多いが、ホワイトデーと言えば特にイベント物はない
あってもバレンタインデーのお返しの商品を並べているだけ
それだと他のショッピングモールと変わり映えがない

異色を放つもので、尚且つ大勢の人が集まってもらえるイベント
それもホワイトデーらしい物と考えた結果、対象は若い男女となった
そして今回の『フィーリングカップル』を立案した

それが功を奏したのだろう
かなりの人が集まっている
あきらは内心嬉しくて仕方ない

そんなあきらの元に、スタッフが慌ててやってきた

「大変です! 男性が二人戻ってきません。」
「はあ?」

今回の参加者は高校生から30歳までの男女各20名
当日開店と同時に男女に別れて抽選で選ばれ、それぞれのテント内でスタンバイしている、、、はずだった

「どういうことだ? 20名数えたんだろ?」
「はい。 ですがトイレへ行くと言って出て行った者が帰ってこないようで。」

つまり冷やかしか?
まさか当たると思わなかった?
それとも、彼女がいたのかもしれねぇ

その為に、前日までのレシート5000円分を持参
年齢確認必須
フリーの方、、とある程度の規制はかけたが、彼女彼氏の有無は自己申告だ
もし彼氏彼女がいたとしても、このイベントの間だけ参加して貰っても良い
景品目当てでも全然OKだ
その為、トンズラする事は想定外だった

「今から追加で抽選も無理です。 既に抽選は済んでいると沢山の人を断っています。
スタッフを二名紛れ込ませましょうか?」
「それは不味いだろ? 一応景品が出るし。」
と話していると、自分の名を呼ぶ声が聞こえた

「あきら!」

そちらを見ると総二郎が手を振っている

「おっ! 渡りに船!」

あきらはポツリと呟くと、総二郎に向かってにこやかに片手を挙げ、少し大きな声で問う

「一人か?」
「いや、類と一緒!」

総二郎の言葉にあきらは内心ほくそ笑む
そしてスタッフに告げた

「二名確保してくる。 定時で始めるから準備しといてくれ。」
「分かりました。」

あきらは総二郎の元へ向かうと、雑談しながら二人で類の元へ向かう

「よく来たなぁ。」
「あぁ。 類の奴が見たいと言ってよぉ。 でもこの人の多さに早くも滅入ってる。」

「ぷっ! あいつらしい。」
「でもこれだけの人を集められたら成功なんじゃね?」

「まあ、それもお前らの協力次第なんだけどよ。 おっ!類!」

あきらは柱に体を預けている類を見つけると片手を挙げる

「よぉ類! 来てくれてサンキューな!」
「たまたまだよ」

「どんなイベントか興味があったんだろ?」
「別に、、」

類はプイッと横を向く
その通りだし、見透かされているし、何より成功を収めているあきらに腹が立つからだ
そのあきらの口から信じられない言葉が発せられた

「そんな二人に、このイベントを実体験させてやるよ!」
「えっ?」
「はっ?」

総二郎と類は、虚を突かれた表情であきらを見る

「丁度二名の空きが出たんだよ。」
「体験って何をするんだよ!」

総二郎はあきらに問う
するとあきらは、ニヤリと笑みを見せる

「女の子とイチャイチャだよ!」

その言葉に、総二郎はニンマリと笑みを見せる

「仕方ねぇなぁ。」

一方で類は壮大な拒否を見せる

「絶対ヤダ! 無理! 頭痛いし動けない!」
「仕方ねぇなぁ。 車いすを用意してやるから。」
と告げると、すぐにスタッフに車いすを持ってくるよう指示を出す

「スタッフがやれば良いだろ?」
「それが出来ねぇんだよ! 景品が出るから関係者は無理なんだ。 なっ? 頼む! とにかく数を合わせてぇんだ。」

類は悩む
確かに自分で体験した方が分かりやすいが、こんな大勢が注目している中では嫌だという思いが強い
そんな中、類の目の前に車いすが置かれる

「とりあえず最初だけで良いからさ。 お前は座っているだけで良いから。 なっ? 頼むよ!」

類はチラリと車いすを見る
どういう事をするのか分からないが、車いすに乗っているだけでいいなら、、と判断する

「これ借りだから!」
「分かった。 サンキューな。」

類はふ~と深い溜息を吐くと、渋々車いすに座った


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Comments 6

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2020/07/29 (Wed) 09:38
りおりお

りおりお

Re: ビオ~様

そうです
今回の設定は、F4が社会人一年目
と言うことはつくしちゃんが大学4年生となります
そしてどこで登場するのか?
是非お楽しみに

2020/07/29 (Wed) 09:40

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2020/07/30 (Thu) 09:53

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2020/07/30 (Thu) 15:53
りおりお

りおりお

Re: ゆきり~様

そうなんです
類君、車いすに座りました
だって、あきら君の説明が「女の事イチャイチャ?」
それを聞いたら、類君はゲンナリですよねぇ
やる気もない!
でも、どんなことをするのか興味はある
もどかしいところです

さて、、今後の展開も楽しんでくださいね

2020/07/30 (Thu) 16:35
りおりお

りおりお

Re: シマエナ~様

懐かしいですよねぇ
フィーリングカップル

さて、、総ちゃんと類君が登場したら、そりゃあパニックでしょうね
どうなるんでしょう?
でも類君は車いすに乗ってますよ?
そのままでいるんでしょうか?

お楽しみに

それにしても暑いです
コロナにも熱中症にも注意って、、、
大変だぁ

2020/07/30 (Thu) 16:37
りおりお
Admin: りおりお
こちらは二次小説『類つく』のお部屋となっております
そういった類の物が嫌いな方は、回れ右をしてご退場ください
ヤフーブログ『類❤だ~い好き』から引っ越して参りました
引き続き類君とつくしちゃんの幸せな姿をお届けできればと思っております
尚、ブロ友は現在受け付けておりません
愛する人にバラの花を