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★愛と欲望の果て・能登でちゃぷん(2019総誕全話)

総誕イベント特別編『西門邸物語~ポチが来た~』by GPS

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総二郎に追い出されるような勢いで温泉旅館を出た5人。
類にあきら、司に桜子、そして滋はワイワイと迎えの車が待っている駐車場に向かっていた。


「あ~!楽しかったねぇ!」
「滋さんったらあんなもの先輩に……くすっ、どうなるのかしら」

「えぇ~?そりゃニッシーが頑張るんじゃない?」
「でも昨日だって私のローションで遊んでるはずだもの。西門さんの奥様に必要なのは体力だけですわね

「あははっ!つくし、頑張れ~!」
「うふっ、また痩せますわね」


女性二人の少し後を半分悔しそうな笑顔で歩く男三人。
「つまんねぇな」とあきらが呟けば「…いいじゃん、牧野が笑ってたし」なんて類が答える。

その時にピタッと足を止めたのは司……。
そしていつもの恐ろしい目付きを旅館横の淋しい色に変わった雑木林の中に向けていた。


「どうした?司。車、待ってるよ?」
「何かあるのか?……なにも見えないけど?」

「……いや、あの木の下に何か居る」

「木の下?あぁ……ホントだ」
「あれ?黒っぽいのが動いた?」

「…………見てくる」

「「ええっ!司が?!」」


普段ならそんなものに興味なんて示さないはずの司が長い脚で旅館の植え込みを跨ぎ、その「黒い物体」が動いた木に近づいて行った。
女性陣も気が付いて「どうしましたの?」「司、良いものでも見つけた?」なんて言いながら戻って来た。


大きな身体が木の根元にしゃがみ込んで何かしてる……それを四人は固唾を呑んで見守っていた。

暫くしたら司は立ち上がり、そしてクルッと振り向いたら胸には何かが居る……。


「ねぇ、司……何か持って無い?」
「なんだ?あれ、モゾモゾしてないか?」
「……まさか、生き物ですの?」
「判った!トトロじゃない?」

((((……それ、違うから))))



そんな会話をしながら待っていたら、再び植木をひょいと跨いで司が目の前に戻って来た。
ただ、その腕の中に抱かれていたものを見て四人が固まった……。

「「「「………………」」」」

「よく見たら仔犬だったんだ!俺はこんなの嫌いだけど、牧野好きだったよな?」

「「「「………………」」」」

「噛まなかったから持って来た。こいつ、西門で飼えば喜ぶんじゃねぇか?な?な?!」

「「「「………………」」」」


「わ、私、急用がありましたわ。皆様とは別の車で帰らせていただきます、失礼!」
「あ~~!滋ちゃんも早く帰れってパパに言われてた!桜子、一緒に帰ろっ!」
「あ、じゃあ俺も!急いで片付けなきゃいけない仕事があるから!」

一目散に待機していた車に飛び乗り、この場を去って行った三人……そして残されたのは「黒い物体」を抱えた司と、何故かそれを見ても動かなかった類…。
むしろ司が抱いていた「黒い物体」に顔を寄せて「可愛い…」と言って、クスッと笑った。


「司……それ、どーすんの?」

司は、今出て来た部屋の方を鋭い目で振り返り、舌打ちを一つ。


「よしっ!直接 、総二郎の自宅に連れて行こうぜ♪」
「………マジ?」

「牧野の嬉しそうな顔が思い浮かぶぜ♪」
「本当に?連れて行くの?」

「行くぞ 類!善は大急ぎだっ!!」
「……それ、ちょっと違う…」

「うるせぇな~置いてくぞっ」
「あっ、待ってよ」


こうして、花沢リゾート内で発見された可愛い仔犬(司は そう思っている)は、
東京に着く頃にはポチと名付けられ、首には可愛いリボンが掛けられ、
いつの間に発注したのか?特注のゲージに入れられて、西門城(邸)に到着。

突然過ぎる 司の訪問に驚いたのは 家元夫人。

ゲージにちんまりと座っている見方によっては可愛いのかもしれない仔犬(しつこい様だが、司は そう思っている)ポチに、
盛大な疑問を抱きつつも、
『と、と、取り敢えず…預かるわね…』とひきつり気味の笑顔で対応した。

そして、さして反対もせず西門邸まで付いて来た 類は、終始 司の一歩後ろを離れず沈黙を保ち、家元夫人の助けを求める様な視線を感じつつもスルー。
司が 可愛い仔犬だと思っているなら、それはそれで、いいんじゃない?の姿勢。


─どうせ、牧野に怒鳴られるのは司だし…

大騒ぎになった時の言い訳も万全、対 牧野以外には 実に食えない男である。





「総二郎さんっ、遅いじゃないの!ずっと待っていたのよ!
つくしさん、おかえりなさい。のんびり出来たかしら?」

「…………」
「はい、とっても楽しかったです」


「家元夫人がそんなに慌ててどうしたんだ?」


帰って来るなり家元夫人に怒鳴られ腑に落ちない総二郎だが、にこにこと対応するつくしを見て一呼吸おき疑問を口にした。


「やっと帰って来たのか!?
総二郎!!早くなんとかしなさい!」

「はっ?何を?」

「アレのおかげで大事にしていた松の木が大変な事になっているんだ!
総二郎……コレは高くつくからな!!」
「そうですわ……アレのおかげでお庭にもおちおち出れませんでしたのよ?」

「まずは二人共落ち着けって!
さっきから何を言ってるのかさっぱりなんだけど……?」



心当たりはさっぱりない!とでも言いたそうな総二郎の表情に、見せた方が早いとばかりに家元夫人は総二郎の手を引き庭へと歩き出す。それにつられてつくしと家元も後に続いた。

庭に近づくにつれ、家元夫人は辺りの様子を窺い歩みは遅くなる。


「庭に何があるんだ?」
「司さんが来たのよ………」


質問に対してあべこべな答えだったが、『司』の一言に最早悪い予感しか浮かばない。自然と総二郎の歩みも遅くなった。


「あっ…よかったわ……。ゲージで寝てるみたい……」
「はっ?ゲージで寝てる?」


遠目に見えるのはかなり立派に見えるゲージ。と、その中で丸くなっている黒い物体。


ーあれが司の置き土産か?


「あの黒いの何かしらね?私、見てくるっ♪♪」


総二郎の肩越しに恐る恐る見ていたつくしが、ゲージに向かって走り出していた。


「つっ、つくしっっ」
「つくしさんっ!」


ちょっと待て……っ!!
あのフォルムは小さいが……もしや?

と、総二郎が真っ青になったのを余所につくしはゲージの前でちょこんと座り嬉しそうに中を覗き込んでいた。
でも、何度見てもあれは……だよな?と、後ろでビクついてる家元と家元夫人には言葉に出せず、口パクだけで指を差すと「うんうん!」と頷いている。


だよな?あれは……どう見ても子熊だよなっ?!!


「あんなものを司が持って来たのかよっ!1人で?あいつ、大丈夫だったのか?!」
「類君が一緒に居たわ。でもニコニコしてるだけで何も言わないのよ!」

「……あの野郎っ!類は判ってて知らん顔したのかよ!」
「どうでもいいが、総二郎!どうするのだ?この屋敷で熊を飼う気か!」

「名前はポチだそうよ」
「…………ポチ?犬だと思ってんのか!」

「道明寺家に送ってはどうかな?」
「楓さんに喧嘩売るようなものですわ、家元」



親子3人がワイワイやってるのを知ってか知らずかつくしはゲージに手を入れ、眠たそうな子熊を抱っこ。
それを見た総二郎がクールな顔を引き攣らせ、両手をブンブン振って止めようとしたが声にならない。


愛妻が熊を抱っこ……これ以上の衝撃があるだろうか。


「つっ、つっ……つくっ……」
「ねぇ!総~、この子の名前、ポチでどうかしら~!可愛いワンちゃんだよ~!」


「「「………………」」」

「ポチ~!ここで一緒に遊ぼうか?きゃはははっ!擽ったい~!」

「「「………………(話してもないのに何故同じネーミング?)」」」



こうして司からのサプライズプレゼント、子熊の「ポチ」は西門家の一員になった。



……で、ある訳もなく、真実を知ったつくしに大叱られした司が再び能登に向かったのは2日後だった。

能登では子熊を探している母熊が居たとか居ないとか……。




おしまい♪
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