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さくらいろ

5 廃小屋

2021/02/18
忘れない忘れないから 6


進ノ介から『信じるよ』という返事を貰いホッとする

「ありがと。」

俺自身、自分の口から感謝の言葉がさらりと出た事に驚きだが、それだけ不安で切羽詰まっていたと分かる
一方、目の前の進ノ介がなぜか頬を染めている

「お前/// 花沢類と言ったか?」
「ん。」
「なんか/// お前って/// 綺麗な顔してるな///」

進ノ介の微妙な誉め言葉に、苦笑いするしかない

「じゃ、俺はそろそろ帰らないと、、」
と言いながら進ノ介が立ち上がる

えっ?
帰る?
ちょっと待って!!
俺はどうしたら、、、
でもそれを口に出しても良いんだろうか?

すると立ち上がった進ノ介がふと俺を見る

「なあ、、俺ん家に来る?」
「良いの?」

俺は即答で尋ねる
だが内心助かったと思っている
この場で別れを告げられたら、これからどうしていいのか分からないから

「言っとくけど働いてもらうからな!」
「ん。 ありがと。 頑張るから。」

もちろん俺とて上げ膳据え膳でのんびりしようとは思っていない
曰くつきの自分を住まわせてもらえるならなんだってするつもりだ

「じゃついて来て。」
「ん。」

「その前に手ぬぐいで頭を隠した方が良い。
その髪の色は目立つから。」
「分かった。」

俺は先ほど頭に被せられた手拭いで髪全体を隠す

「それと服とかも少し汚した方が良い。 あまりにも綺麗すぎるから。」

確かに綺麗すぎるか、、
でもなんで汚す必要が?

進ノ介の服装からすると、農民かな?
しかもかなり貧しい方なんじゃないだろうか?
それともこれがこの時代の普通の服装だろうか?
その服装に合わせる為か?
とにかく進ノ介の言うとおりにしよう

俺は川原の泥を服につける

ん~~
汚れた服を着るのはいささか躊躇われるけど、、仕方ない
俺の時代に戻るまでの辛抱だ

「まあ、これで怪しまれないかな? じゃついて来て。」
「ん。」

俺は進ノ介の後をついて歩く
その後ろ姿は華奢で手足は細く、しかも若い

「進ノ介は何歳?」
「俺は16歳。」

16歳?
昔の人って結婚年齢が早かったよな?
戦国時代のお姫様はは12、3歳で政略結婚させられていたはず
あれは戦国大名に限っての事なんだろうか?
一般庶民はもっと遅いんだろうか?

「花沢類は何歳?」
「俺は17歳。」

花沢類とフルネーム呼び、、
あっ、、確か名前は?と聞かれたよな?
もしかして苗字が別にあると思ってる?
まっ良いか
ここにいる間だけだし、その間に何とか元の時代に戻る方法を探さないと

「えっ? 一歳上? もっと上かと思った。」
「そう?」

「一歳上なら晃司郎と同い歳か。 同い歳でも全然違うんだな。
花沢類は落ち着いているというか大人しいもんな。」

『こうしろう』がどんな人物かは知らないが、俺は前に出るタイプじゃないし、もめごとは嫌いだから無視を決め込むタイプ
でもきちんと話は聞いているし、自分の意見もちゃんと持ってる
でもそれを話すと揉めるかもしれないから口には出さないだけ
面倒だしね
だから存在感がないとよく言われるし、それでも良いと思ってる

進ノ介の後について歩く事約10分?
周囲が広がったと思ったらポツンと小屋がみえる
農具置き場かと思うほどの小さなボロい小屋
昔話に出て来る今にも崩れ落ちそな廃小屋だ
その小屋の前に小さな畑が見える

「あれが俺の家。」
「えっ!」

思わずまじまじと見る
テレビの時代劇とかで見る街の風景は城下町がほとんど
農民が登場する場面ものどかな田園風景で、田植えするシーンぐらいは見た事がある
でもこれほどの廃屋は見た事がない
これがこの時代の家?

よく見ると畑に誰かがいる
その人物が俺たちに気づくと立ち上がった
女性のようだ

「俺の母親。 花沢類の事は山賊に身ぐるみはがされたお侍さんと言うことにしとく。」
「ん。」

だから俺の服を汚すように言ったんだ
こいつ、、案外頭が良いのかもしれない

もちろんこいつの言うことに異論はない
頼れるのは進ノ介しかいないんだから

「ただいま。」
「お帰り、、それより、、」

母親から訝しがる目で見られ、俺はとりあえずぺこりと頭を下げる
挨拶ぐらいすべきか?
でもこの時代の挨拶ってどうやるんだ?
『こんにちは』で良いのか?

「帰る途中でこの人に会ってね。 どうやら山賊に金目の物を盗られたらしくて。」
「ホントなの?」

母親は疑いの眼差しを向けながら、俺の身なりを確かめる
袴を着ている事からどこかの城に仕えているように見えるだろうか?
それに腰回りも見ている
刀など危険な武器を持っていないかチェックしているようだ

「逃げるときに頭を打ったみたいで名前以外何も覚えていないみたいだから連れてきた。
畑仕事などやった事ないだろうけど、多少なりとも役には立つだろ?」
「えっ? じゃあ暫くここに置いとくの?」

「うん。 何か思い出すまでの間な。」

母親は呆れた表情だ
だがすぐに俺の方を見て問う

「あんた名前は?」
「花沢類、、です。」

「変わった名前だね。 それに若いようだし下級武士かしらねぇ?」
「さあ?」

俺は名前以外はとぼけるつもりだ
変な事を口走り、辻褄が合わないことにでもなれば怪しまれるから

「まあ体は大きいし用心棒ぐらいにはなるかねぇ。」

用心棒?
そういえば山賊が出るとか言っていたよな?

「それより槙乃の調子は?」

進ノ介が口にした槙乃という名前から、まだ他に家族がいることが分かる
俺は改めて廃小屋のような家を見る
一体、、何人暮らしなんだ?
という不安を覚えながら



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Comments 6

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2021/02/18 (Thu) 09:27

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2021/02/18 (Thu) 11:43
りおりお

りおりお

Re: ビオ~様

つくしちゃんは、類君を連れて自宅へ
その家にびっくりする類君
まあこの時代の家ですからねぇ
長屋すらないでしょう
でも類君にはつくしちゃんに縋るしかない
これからどうなるんでしょうね

2021/02/18 (Thu) 13:19
りおりお

りおりお

Re: ゆきり~様

類君としては、どんな家でも良いからと言う思いだったでしょう
でもつくしちゃんの家を見てビックリ
廃屋?と思える程のみすぼらしさ
まあこの時代ですからねぇ
そんなに立派な家は、お侍さん以上じゃないとないんじゃないかなぁ?

そして晃司という感じで吉川晃司ですか(笑)
懐かしいなぁ
これ、あきら、司、総二郎の三人の名前を足したんですよ
あきらは漢字に直して晃にしたんですよ(笑)

2021/02/18 (Thu) 13:22

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2021/02/19 (Fri) 01:47
りおりお

りおりお

Re: り~様

とりあえず、類君としてはホッと安堵したはず
何もわからない時代に取り残されたらどうしていいか分かりませんからね

でも進ノ介の家を見てビックリ
廃屋のような家だったから
しかも小さく狭そう

どうするんでしょうね

2021/02/19 (Fri) 12:19
りおりお
Admin: りおりお
こちらは二次小説『類つく』のお部屋となっております
そういった類の物が嫌いな方は、回れ右をしてご退場ください
ヤフーブログ『類❤だ~い好き』から引っ越して参りました
引き続き類君とつくしちゃんの幸せな姿をお届けできればと思っております
尚、ブロ友は現在受け付けておりません
忘れない忘れないから