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さくらいろ

7 不便

2021/02/22
忘れない忘れないから 9


この時代に電気がないのは当たり前
ランプは明治時代、行灯(あんどん)は江戸時代に普及したと記されていたが、この時代の明り取りは窓の月明かりのみ?

だがその窓もぴっちり締めロックしている
もちろん入り口のドアも棒でロックをかけた

季節は夏
夜は多少涼しくなるだろうが、密閉はさすがにきついのでは?
まあ隙間がたくさんあるんだけど、、

「じゃ、おやすみ。 花沢類はそこで寝ると言い。 俺はこっちで寝るから。」
「ん。」

もちろん布団はない
あるのは藁で作られた筵というぺらぺらした物だけ
枕もない

囲炉裏を囲み筵の上に三人はゴロンと横になった
それを見て俺も横になる

寝る事が好きな俺でも、ほぼ板の上では体が痛く眠気が襲ってこない
しかも枕がなく頭が痛い
今は何時だ?
まだ20時ごろじゃないだろうか?
寝るにしては早い時間だけど、、やる事がない

それに気になったのは入り口に寝ている進ノ介だ
枕元に短刀のような小刀を置いている
何かのまじないだろうか?
それとも俺を安心させ寝込みを襲うつもりだろうか?
どちらにせよ眠れないことに変わりはない

締め切った家だがすき間風が入り、板間はヒンヤリし、それなりに体は休めそうだ
俺は布ずれの音、槙乃の咳き込む音、獣や鳥の鳴き声など聞きなれない音と、これからの先行き不安を感じながら、眠れない一夜を明かした



家の隙間から洩れる光が朝の訪れを告げると、進ノ介はムクッと起き上がった
その気配を感じ俺も起きる

「おはよ。 眠れた?」

ほとんど寝ていないとは言えないし、体のあちこちが痛いとも言えない
少なくともその辺で野宿をするよりマシだから

「それなりに? それより何か手伝うよ。」
「じゃ水汲みに行こ?」
「分かった。」

進ノ介に渡された木のバケツの様な物二つと椀と棒を渡された
バケツのようなものは分かるが、棒と椀は何?
と思いながら進ノ介の後ろをついて歩く

家の裏側を回り少し歩くと水の音が聞こえてきた
その音のする方へ近づくと山肌から湧水が出て小さな小川になっている

そういえば別荘の使用人が色々な滝があると言っていた
現に昨日出会ったのも滝のある川だった
という事は、この辺は水脈が豊富と言うことだろう

「ここの水を汲むんだ。」
「分かった。」

と返事をしたものの、山肌の水は勢いも弱く桶を宛がってもちょろちょろとしか貯まらない
そこから流れる小川も川幅が狭く浅い
桶を入れてもほんの少しの水しか貯まらない
とりあえず一つの桶を使って、もう一つの桶を満杯にする

じゃあ残りの桶にはどうやって水を貯める?と思っていると、、
進ノ介が椀を使って桶に水を入れ始めた
なるほど、、
その為の椀か、、

「あのさぁ。 昨日の滝の方が早くない?」
「アッチよりここの方が近いだろ?」

確かに断然近い
それに桶一杯になった水を担いで家に帰るには重いか?
二つもあるし、、

「それにあそこは飲み水にはちょっと。」

口を濁す進ノ介
衛生的ではないと言うことだろうか?

「洗濯とか体を洗うとか、、、そんな時に使うから。」

確かに昨日泳いでいたもんな

「あの滝の上に山賊がいるんだけど、時々流れていたりするんだ。 襲われた人とか、、いろいろ、、」

言葉を濁しているけど、つまりは襲われ切られた人が漂っていたり、川の水に血が含まれていたりって事?
でもそんな滝で泳いでいたんだろ?
こいつ、、大丈夫か?
真っ裸で泳いでいる所をもし山賊に見つかったら、それこそ身の危険があるんじゃないか?

「これくらいで一旦帰ろう?」
「一旦?」

「うん。 とりあえずこれで朝ご飯を作って、その後畑に水をあげないとさ。
そして薪を拾って村へ売りに行く。」

この時代の若者は大変だな
幼いころから働かされているんだろう
子供も生活の担い手だから

その為に沢山の子供を作る
もちろん病気で無くなる率も高い

とりあえず少しでも進ノ介の負担を減らすためにもしっかり手伝おう
一宿一飯の恩義もあるから

俺は進ノ介から渡された棒の両端に桶二つをかけるとヨイショッと立ち上がる

「重っ、、」

思わず声が漏れる程重い
こういう経験は初めてでコツが掴めていないだけだろうと思いたい
決して力がないとは思いたくない

それに確かに滝の場所からこれを担ぎ上げ歩くのは大変だ
と再認識した


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Comments 9

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2021/02/22 (Mon) 09:54

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2021/02/22 (Mon) 10:38
りおりお

りおりお

Re: ゆきり~様

寝るのが大好きな類君ですが、流石に寝不足に
布団も無ければ硬い床の上ですもんね
しかもすぐ隣には見知らぬ人がいる
進ノ介の傍には小刀があるし、、
一体何のため?と思ってびくびくしたのも無理はありません

そして朝もすぐに置きました
仕事を手伝うという約束ですし、家に泊まらせてもらいましたしね

さて、、
この時代電気も無ければ水道もありません
水も汲みに行く必要がある
大変な重量どうです
類君、頑張れるか?

2021/02/22 (Mon) 13:52
りおりお

りおりお

Re: ビオ~様

類君、慣れない環境に戸惑い、眠れませんでした
あの類君が眠れないなんて!!!
そりゃあ、時代が違いますもんね
分からないことだらけです

電気が無いし水道もない
早朝から水を汲むという作業に
桶に水を汲み、それを両肩に乗せるという作業も初めての事でしょう
しかも重いんですよね
改めてこの時代の大変さが分かった事でしょうね

2021/02/22 (Mon) 13:54

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2021/02/22 (Mon) 14:12

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2021/02/22 (Mon) 14:13
りおりお

りおりお

Re: シマエナ~様

鼾とか寝言って、本人は全く分からないですよね
一緒に寝ている人が指摘してくれて初めて知る事実です
でもその大きさとか全く想像できない(笑)
私も時々鼾をかいているそうです
旦那も鼾をかくんですけど、鼾テープという物を買ってきました
口を塞ぐように縦に貼るんですよね

旦那がそれを付けて寝たところ、夜中に無意識に外していました(笑)
息苦しく感じたんでしょうね(笑)
意味ないじゃん!と笑った物です

類君、板の間で寝る経験なんて一度もないですし、周りは知らない人ばかり
そんな環境で流石の類君も寝られなかったようです
それに時代も違いますしね
ジェネレーションギャップどころではない状況に心休まらないでしょうね

2021/02/22 (Mon) 14:18

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2021/02/22 (Mon) 23:37
りおりお

りおりお

Re: 麦~様

今までとは違った感じのお話ですね
戦国時代へタイムスリップですからね
 
その上、本編は類君視点、小話につくしちゃん視点です
まあたまにはこんな趣向も面白いかな?と思っています

是非是非、摩訶不思議なお話をお楽しみくださいね

2021/02/23 (Tue) 20:01
りおりお
Admin: りおりお
こちらは二次小説『類つく』のお部屋となっております
そういった類の物が嫌いな方は、回れ右をしてご退場ください
ヤフーブログ『類❤だ~い好き』から引っ越して参りました
引き続き類君とつくしちゃんの幸せな姿をお届けできればと思っております
尚、ブロ友は現在受け付けておりません
忘れない忘れないから