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さくらいろ

12 水筒

2021/03/04
忘れない忘れないから 4


空になった籠を背負い、元来た道を戻る二人
その間も類は村の様子を見る

鎌や刃物などを打っている人、野菜を売っている人、籠などの竹細工、鍋などの調理器具等、ここに来ればほとんどの物が揃うし、蕎麦屋やうどん屋もある
服は古着のようなものが売られているが、ハギレのような布は新品の物もある

そして通貨が使われている
もちろん物々交換もあるようだ
なぜなら先ほど薪と何かを交換していた

「さっき交換していた物は何?」
「あぁ、赤米(大唐米)」

米? あれが?

「昨日は薬を買ったから米が買えなくてさ。」

なるほど
いつもあんな食事というわけではないんだ

「今日はちょっと食材も買って帰ろう?」
と言うことで、味噌と葉物野菜も買った

それらを見てあることに気づく
肉類や魚類が全く売っていない
冷蔵庫が無いからだろうけど、、

「あのさ。 肉とか魚とか食べた事ある?」

すると一呼吸おいて返事が返ってきた

「あるよ。 イノシシ肉とか魚の干物とか。」

それお聞きホッとする
雑穀や野菜だけでは進ノ介も体力が付かないだろう
だが肉や魚も食べているのなら安心だ

「安心した。 野菜ばかりだと進ノ介も体力が付かないしさ。」
「うん。」

この時の槙乃の小さな返事に違和感を覚えた
てっきり明るく元気よく返事すると思ったから

すると槙乃は竹細工を売っている店先に立ち止まった
そして竹で出来た水筒を手に取ると金を支払った

「はい! 花沢類の水筒!」
「えっ?」

「これだけ暑いと要るだろ?」

確かに暑い
だがお金はないし水筒が欲しいとか喉が渇いたとは言えなかった

「良いの?」
「だって手伝ってくれるんだろ?」
「まあ、、」

何時、元の時代に戻れるか判らない
その間、槙乃の世話になりたいし、もちろん手伝いは買ってでもやりたい

「それにこれは花沢類が稼いだ分だから! 水が飲めなくて倒れたりしたら俺も困るしさ。
だってこの辺で倒れても運べないし、病人が二人になったら俺の身がもたないし。」

本当なら居候の身なんだから俺の分も槙乃の懐に入れれば良い物を、こうして明るく気遣ってくれる
そういえば働いてお金を稼いだのって初めてかも
槙乃の為に何かしたいと言う思いが、俺の為にという気持ちで返させると嬉しくなるし、もっと頑張ろうとやる気も増す

「ありがとう。 これからも一生懸命働くから。」
「うん。 でも我が家に拘らなくて良いからさ。 他に行きたい場所が見つかればそこに行きなよ。」

「そんな場所があるはずないだろ?
俺の正体を知りながらも、こうして住むところを提供してくれて感謝してるんだからさ。」
「そんなこと言ったら扱き使うぞ?」
「いくらでもどうぞ!」

売り言葉に買い言葉
もちろん槙乃の指示ならなんだってするつもりだ
最初に出会ったのが槙乃で良かったとつくづく思う



その後、まっすぐ家に帰り買った物を置く
槙乃は町で買った煎餅の様な食べ物を進ノ介に渡していた

「今日は花沢類がいたおかげで直ぐに薪が売れたの。 しかもいつのも倍もね。 
だからこれ買ってきた。」
「姉ちゃんの分は?」
「あたしのは良いの。 それより一つしか買えなかったから、母さんが帰ってくるまでに食べておくのよ?」

もしかして俺の水筒を買ったから進ノ介の分しか買えなかったんじゃ?
それより母親はどこへ行ったんだ?
畑にも姿は見えなかったけど、、

「じゃ、山へ行って枝を切ろう?」
「あぁ。」

買ったばかりの水筒に水を入れると、再び薪を拾った山へと向かう
そして鎌を使って枝を打ち落とすのだが、これがかなり難しい
電動のこぎりでもあれば、、
最低でも滑り止めのついた軍手のようなものが欲しいところだ

それに細い枝が少なくそれなりの太さの物ばかりが目に付く
細い枝は既に槙乃が切り落としたからだろう
それならもっと奥へ行くか木を登り高いところの枝を打ち落とすしかないのだが、、

「あのさ。 もう少し奥へ、、」
「奥は駄目!」

山賊が出るからだろうか?

「じゃ、梯子ある? 少し高いところの枝を切りたいんだけど。」
「家にあるから取ってくるよ。」

「じゃ一緒に行くよ。 運ぶのが大変だろ?」
「だな。」

こうして一度家へ戻る事にした
その時、視界の隅にチラリと男の姿が映る

山賊か?と思ったがよく見ると村の人っぽい
その為、どこかに出かけていたのだろうと、あまり気にも留めることなく槙乃の後について家へ向かった



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Comments 4

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2021/03/04 (Thu) 09:17

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2021/03/04 (Thu) 11:32
りおりお

りおりお

Re: ビオ~様

薪を売ったお金で水筒を買う槙乃
それは大切なお金
それこそ食材を買えるのに、、と思うと、類君としては申し訳ない気持ちですね
でも、、だからこそこれからも頑張ろうと思えたはず
ここでお世話になる間は、しっかりと仕事をしないとね
いつ戻れるか分からないんだから

2021/03/05 (Fri) 10:29
りおりお

りおりお

Re: ゆきり~様

槙乃ちゃんも何かしたかったんでしょうね
いつもよりも早く、そして多くの薪が売れたんですから
そのお金で水筒を、、
本当ならそのお金で食材を、、と思っても不思議ではないんですけどね
そこが槙乃ちゃんらしい

類君も頑張らないとね
一宿一飯の恩義です!

2021/03/05 (Fri) 10:31
りおりお
Admin: りおりお
こちらは二次小説『類つく』のお部屋となっております
そういった類の物が嫌いな方は、回れ右をしてご退場ください
ヤフーブログ『類❤だ~い好き』から引っ越して参りました
引き続き類君とつくしちゃんの幸せな姿をお届けできればと思っております
尚、ブロ友は現在受け付けておりません
忘れない忘れないから