2017
16
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翌日、、、、

「牧野、、昨日は遅くまでサンキューな」
「いいえ」

「あぁ、、んで、、どこまで進んだ?」
「えっと、、後、、表を入れて、、あっ、グラフの方が良いですか?」

「そうだな、、円グラフの方が分かりやすいか?」
「ですよね、、じゃ、それも作りますから」

「おうっ! 頼むな、、んじゃ俺は、こっちの反省点の方を纏めとくからさ」
「はい、、」

「あっ、、コーヒー飲む? 買ってこようか?」
「いいえ、、先にこっちを終わらせておきたいので」

「まあ、、そう言うなよ。 俺が奢ってやっからさ
んで今夜は、、、美味しい物を食べに行こうぜ!
お前がびっくりするような場所を、予約しといたからよ」
「はぁ? 予約ですか?」

「そっ! これで逃げ出せないだろ!!」
「そんな無理しなくても、、」

「いや、、いつもお世話になっているからな、、楽しみにしとけよ
んじゃ、、ちょっとコーヒーでも買ってくるからよ」

ポンポンと肩を叩き、青峰は席を立った


「はぁ、、、予約までする?」

つい、ぼやき口調になってしまう


青峰先輩は、決して悪い人ではない
明るいし、人当たりも良い

仕事をするうえでは、凄くやりやすい人
ただ、、

――それだけの人


私の感性がおかしいのかもしれない

やっぱり、、
あんな人たちと4年間も過ごしたら、
なかなか普通の感性に戻らないのかも?


手の届かない人を想い続けてもどうしようもないのに
それでも、、
なぜか忘れられない


良い機会なのかな?


それに、そんなに身構える必要もないのかもしれない
だって、これのお礼、、ってだけなんだし

美味しい物を食べて、、
そしてまた仕事を頑張ろう



カタカタ、、
円グラフを作っていく

一心不乱に、、


だから気付かなかった
部署内が、静かになっていたことに



突然、パソコンに影が出来る

「もう! 青峰先輩! 邪魔です!」

すると、、
ふわりと後ろから抱きしめられた

途端、、
ドキッと心臓が跳ね上がる


なんで?

なんでここに?


忘れもしない、、
彼のコロンの香り


「やっと、、やっと、、会えた」

耳元にかかる吐息に、ドキドキと心臓が忙しなく動く
手は止まり、、
頭が働かない


「る、、、い? なんで、、ここに?」

「それは俺の方、、あんたこそ、なんでここに?」
「なんでって、、」


「なんで司と別れたことを言わなかった?
なんで、俺の会社に就職したことを言わなかった?」

「なんでって、、それは類の方でしょ?
私とは、、ただの知り合いってだけで、、」

おかしいぐらい、声が震える
おかしいぐらい、目がかすんでくる


「知り合いだなんて、、思ったことは無い
俺はずっと、、あんたが好きだったんだから」

「えっ?」

今、、好きって言った?

「だって、、ずっと距離を取っていたし、、
イタリアへ行くときも、何一つ言ってくれなかったし」

「ん、、それはあんたが、司の事を待っていると思ってたから
でも本当は、何度もあんたの手を手繰り寄せようと思ってた
そして、、何度もあんたに、気持ちを伝えようと思った
でも困らせたくなくて、、どうしてもそれが出来なかった」

同じ気持ちだったって事?

堪えきれなくなった涙が、、
ポロリと零れ落ち
類の手にポタリポタリと零れ落ちる

「瞼と閉じたら、あんたの顔ばかり浮かんでさ
困った顔だったり、寂しそうな顔だったり、照れた顔だったり、、
そして、、俺の大好きな笑顔だったり
同じように牧野も、瞼を閉じれば、俺の顔が浮かんでくれたら嬉しいな
って思ってた」

「あたしもそうだったよ
何時の頃からか、、瞼を閉じれば、類の笑顔があった
そして、、
同じように類も、瞼を閉じた時に、私の顔が浮かんでくれたらと思ってた」

「何やってたんだろ、、
あの時、必死になって一握り分の距離を開けていたけど
そんな必要なかったのにさ、、
ごめんな、、
丸三年も、ずっと一人ぼっちにさせてた」

つくしは、ただ首を横に振る

「あのさっ、、
俺、、今でもあんたが好きなんだけど、、
このまま、、俺の物になってくれない?」

「えっ?
俺の物って?」

「ん? そのままだけど?
俺と結婚しよ?」

「えっ?」

「ほらっ、、俺、イタリア勤務中だろ?
今回も、俺の好きな人を迎えに行ってきます、、って両親に言ってきただけなんだ
だから、すぐに戻らないといけないんだけど、、
俺についてきてくれない?」

「っ、、、」

「あんたが来てくれないと、、俺、ただのサボりにみられるんだけど?
あっ、、心配しないで良い
ほらっ、、婚姻届も持ってきたし」

類は、腕を緩め、ポケットから婚姻届を出す
そこには、類の両親のサインもきちんと書かれている

「やっぱり、、異国の地に連れていくのに、きちんとしておきたいだろ?
それに、あんたの両親にもあいさつしないとさ、、
だから悪いんだけど、、今すぐあんたの家に行きたいんだけど、、、ダメ?」

つくしは、ぶるぶると首を横に振る

「ダメ、じゃない、、けど、あれから丸三年だよ?
ほんとに私で良いの?」

「当たり前だろ! 他に誰がいるって言うのさ、、
あんたが好きなんだ、、ずっとずっと、、あんたの事だけを思っていた
だから、、俺と結婚して」

「うん、、、ありがとう」

小さな言葉を何とか紡ぐ
その小さな声が聞こえた途端、類はつくしの椅子を引き、クルッと回転させる

そして、そのつくしの目の前に屈みこむ

「良かった
もう、、間に合わないかと思った
待たせてごめん、、
でもありがと、、
まだ、、俺の事を好きでいてくれて」

しっかりと目を見て話す類に、つくしは照れながらも満面の笑みを見せる

「私の方こそありがとう
ずっと思ってくれていて
そして、一握り分の距離を縮めてくれて」

「ん、、」

類は、つくしの手を取りゆっくりと立ち上がらせる

「悪いけど、、ほんとに時間がないんだ
パスポートは家だろ?
あんた、、ママさんたちに連絡取ってくれない?
俺、課長に話をつけてくるから」

「あっ、、分かった」

類は、サッと課長の元へ向かう
そしてつくしは、携帯を取りだし家にかけ始めた
まだ家にいた千恵子は、電話口で絶叫し喜んでいた

そんなつくしの元に、青峰がコーヒーを持ってきた

「あれって、、、イタリアにいる専務じゃ?」

青峰は、コーヒーを買いに行っていて、先ほどまでの様子を見ていない
コトッと机の上にコーヒーを置きながら、つくしに話しかける

「あっ、、青峰さん、、悪いんですが、ちょっとこの資料が終わりそうもなくて、、
他の人に頼んでもらえますか?」
「えっ?」

青峰が、どうしたんだ?と言う顔を見せた時、課長のデスクから類が声をかける

「牧野! 大丈夫だって!! 行くよ!」
「あっ、、うん!!」

青峰は、二人のやり取りに頭を捻る

「あの、、牧野さん?」
「えっとね、、ちょっとイタリアに行くことになって、、
じゃ、、青峰さん、、頑張ってね、、
あっ、円グラフはここまで出来ているから、、」

そんな二人の元に、類がやってきた

「何? こいつがどうかした?」
そう言いながら、類は青峰を睨み付ける

「あのね、、ちょっと資料の手伝いをしていたんだけど、、途中になるから」
「それぐらい、後はこいつが一人でも、出来るだろ?」

類に睨まれた青峰は、背筋を伸ばし直立不動だ
言葉もなく、、ただ首を縦に動かしている

「はい、、もちろんです」

「だってさ、、じゃ行くよ」
「うん、、じゃ、青峰さん、、誰か他の人に頼んでくださいね
そして、その方を労って、一緒にレストランへ行ってください
バタバタですみません。
あの、、お世話になりました」

と簡単に挨拶を済ませ、二人はバタバタと出て行った

残された青峰
彼が真相を知るのはそのすぐ後、、

まだコーヒーが湯気を上げている頃だった



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6 Comments

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2017/06/16 (Fri) 09:11 | EDIT | REPLY |   

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2017/06/16 (Fri) 12:34 | EDIT | REPLY |   

りおりお  

ノエ様

こんにちは

類君、、危機一髪でしたねぇ
確かに、後一日遅かったら、、どうなっていたかな?

それにしても、類君が行動を始めたら素早いですよねぇ
あっと言う間に、根回しを済ませて掻っ攫っていく
その点は、抜かりはないようですね

やっと一握り分の距離が縮まり、、
これから幸せいっぱいの生活が待っています

わざわざ仕事を抜け出し、つくしちゃんを迎えに来るだけの為に日本に帰国した類君
確かに、そのつくしちゃんを連れてこられなければ、ただのサボリですよねぇ

良かった良かった(*^_^*)

2017/06/16 (Fri) 13:20 | EDIT | REPLY |   

りおりお  

ロン~様

こんにちは

類君、、ダッシュできましたね
しかも、つくしちゃんを迎えに来るためだけに帰国です
凄いです

しっかり根回しをし、チャッカリ婚姻届も持って来て、、
つくしちゃんの両親に挨拶をした後、直ぐにイタリアでしょう?
はぁ、、羨ましい

まあ、それだけの行動力を見せるのは、つくしちゃんオンリーなんですよね
そして、類君の後ろからのハグ、、たまりませんね(笑)
一度やって貰いたいですね


レタス、、我が家もやっています
安くなったし、夏場のサラダはやっぱりレタスですよねぇ
去年は、葉物野菜が高くて、なかなかレタスを買う事が出来なかったのですが、今年はレタスサラダばかり(笑)
爪楊枝も、割り箸についていた物を再利用しているし(笑)

2017/06/16 (Fri) 13:24 | EDIT | REPLY |   

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2017/06/16 (Fri) 18:00 | EDIT | REPLY |   

りおりお  

みるき~様

類君、さすがです!
行動が早いです!!

つくしちゃんを迎えに来て、直ぐにイタリアへ帰るんですねぇ
三年も離れていて、連絡の一つもしていないのに、確実に自分の事を思ってくれていると言う自信があったんでしょうか?

まあ、花沢物産に就職していた時点で、確信していたかな?

それにしても、オフィスでのプロポーズです
その部屋は、シーンとしていたでしょうね
そして一言一句、聞き漏らしていないはず
今頃、花沢物産本社は、フィーバー(死語かな?)になっているでしょうねぇ

いやぁ、、凄いプロポーズ
この目で見たいですねぇ

2017/06/16 (Fri) 18:30 | EDIT | REPLY |   

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