さくらいろ

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親指姫

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夕食の時、、美空が類に花の種を見せた

美「パパ! これもらったの」
類「へぇ、、誰に?」

美「みつる君」
類「みつる? って、あきらの息子が? なんで種?」

美「これを育てると、親指姫が出てくるかもしれないんだって」
類「へぇ、、親指姫ねぇ、、」

つ「類は知ってるの? 親指姫?」
類「まあね、、ちょっと不条理な話だよな?」

つ「不条理? どこが?」
類「あのさ、、」
と、類は幼稚舎時代の話を始めた



先「は~い! 集まって~~! お待ちかねの紙芝居で~す!」
司「楽しみにしているのは、先生だけだろ?」
と言いながらも、4人も集まる
だが、先生は楽しみにしている訳ではない
この4人には、とことん邪魔をされ、まともに話が出来たのは数話ぐらいだけだ

先「じゃ始めるよ。 今日は親指姫です」
総「親指姫? 親指ぐらいの女の子?」

先「そうよ! それぐらいの小さな女の子の話よ?」
あ「それ、、一寸法師の女の子バージョンだろ?」
類「ありきたりの話しなんじゃない?」

早速ぶつくさ言い始めた4人に、先生はしっかりと釘をさす

先「そこ! おしゃべりは禁止! 全然違う話なんだからね。じゃ始めるよ!
  昔、なかなか子供に恵まれない夫婦が居ました。
  そこで、魔女の所に相談に行くと、12ドルと引き換えに花の種を貰いました」

司「なんで魔女の所に行くんだよ? 魔女だぞ? おかしい種に決まってんだろ?」
あ「普通は、病院に相談に行くんだろ?」

先「そうなんだけど、、ここでは、魔女がお医者さんの代わりみたいな物なの!
  それで、その種を植えると、たちまち芽が出て花が咲き、そこから可愛い女の子が生れました」

総「桃太郎みたいじゃね?」
類「桃か花の違い?」

先生は、その呟きを無視し、話を進める

先「その女の子はあまりにも小さいので、クルミのベッドで寝かせ布団は花びらです
  ところがある日、窓からヒキガエルが入ってきて、可愛い親指姫を見初めました
  自分の息子の嫁に丁度いいわ、という事で、親指姫をさらっていきました」

司「うおっ! 犯罪じゃんか!」
総「誘拐事件だ! 警察に行かないと!」
あ「って言うか、窓をきちんと閉めておくのが常識だろ?」
類「ただでさえ小さいんだから、動物に食べられるかもしれないのにね」

先「皆は、寝るときはきちんと鍵を掛けようね。
  それではお話に戻ります!
  次の日目覚めた親指姫は、醜いヒキガエルと結婚させられると泣きはじめました
  可哀想に思った魚たちが、親指姫を睡蓮の葉に乗せ、川に流しました」

司「可哀想に思うけどよぉ、、川に流すのはどうかと思うぜ?」
総「葉っぱだろ? 絶対に沈むに決まってるよな?」
あ「親指姫は、凄いバランス力で、葉っぱに乗っていたって事じゃない?」
類「川に流すって、一寸法師のパクリ?」

先「逃げるためには、後さき考えられないでしょ?
  って事で、先に進めます
  ところが、そこへコガネムシが飛んできて、親指姫を前足で掴んで飛んで行ってしまいます。
  コガネムシの家では『足が2本しかなくて,触覚もない。まるで人間のようでみっともない』と
  さんざん悪口を言われ、結局森の中のヒナギクの上に置き去りにされてしまいました」

司「なんちゅう身勝手な事をするんだ? だったら最初っから、さらうなよ」
総「でも、、あのまま川に流されていたら、そのうち溺れたかもよ?」
あ「って事は、コガネムシは命の恩人って事になるけど?」
類「でも、容姿を貶すのは失礼だよ? 
  親指姫は小さな人間なんだからさ、触覚が無くてもあたりまえじゃない?」

先「そうね、花沢君の言うとおりだね
  容姿をバカにするのは良くない事よ? 
  じゃ、続けるわね
  やがて冬になり、寒さにこごえながら歩いていくと、野ネズミの家を見つけました。
  野ネズミのおばあさんは親指姫を暖かい部屋に入れて,食事も与えてくれました。
  親指姫は親切なおばあさんのもとで楽しい毎日を送りました。」

司「おぉ、、めだたし、めだたし、、だな」
先「ところが、まだあるの!
  ある日,野ネズミのおばあさんは親指姫に言います。
  『お隣のモグラさんはお金持ちだから,お嫁さんになれば暮らしに困らないよ』」

司「まさか! この野ねずみのばあさん! 始めからこういう魂胆があったのか?」
総「優しくしていたのも、モグラと結婚させる為って事か?」
あ「おばあさんは、金に目がくらんだんだ!」
類「親指姫をお金で売ったって事?」

先「まだ続きがあるから、黙って聞こうね?
  ある日、一羽のツバメが怪我をして倒れているのを見つけた親指姫は、かわいそうに思い看病をします
  春になってようやく元気を取り戻したツバメは親指姫に別れを告げながら『一緒に行きませんか』と誘いました」

司「行け! 行くんだ!」
総「それしか助からないぞ!」
あ「モグラと結婚させられるよ?」
類「空だったら、追いかけてこないしね」

先「でもね、親指姫はお世話になった野ネズミのおばあさんの悲しみを思うと、一緒に行 
  くとは言えず、ツバメを見送ります。
  結婚式の準備が進み、いよいよその当日、悲しみにくれる親指姫のところにあのツバメが飛んできて言いました。
  『ぼくの背中に乗って暖かく美しい国へ行きましょう!』
  親指姫は、今度は迷いませんでした。」

司「だったら、最初っから一緒に行けよな!」
総「迷惑な奴だな!」
あ「ほんとだよな」
類「モグラかツバメ、、どちらが良いか決めかねたんじゃない?」

先「親指姫は、心が優しいのよ。
  お世話になった野ネズミさんを悲しませたくないし、、」
司「でも、その野鼠は、モグラに親指姫を売り飛ばそうとしてんだぜ?」

先「でも、お金を受け取ったかどうか判らないでしょ?
  単に、お金持ちのモグラさんだから、幸せになれると思ったのかもよ?」
司「んな事ねえよ! 目の前に金を見せつけられたら、誰だって寝返るだろ? なぁ先生?」

先生はグッと言葉に詰まる

先「とりあえず、、先に進みます
  花や果物でいっぱいの国に着いたツバメは、いちばん美しい白い花の花びらの上に親指姫を降ろしました。
  驚いたことに、その花のまん中には親指姫と同じほどの大きさの、白くすきとおった花の王子様がいて、
  背中には美しい羽がはえています。
  二人は互いに見つめ合い、『僕と結婚してくれませんか?』と王子様がプロポーズしました。
  その言葉に親指姫も受け入れました
  王子様は親指姫の背中に大きな白い羽をつけて飛べるようにし、何時までも仲良く暮らしました。 
  めでたしめでたし」

司「ちょっと待った~! どこがめでたしなんだよ?」
先「どこがって、、親指姫は幸せになったでしょう?」

司「甘いな! 今までの昔話も、いろいろあったけど、その親も幸せにしたじゃねぇか?
  でも親指姫は、自分しか幸せになってねぇだろ?
  その親はどうしたんだ? 今もぜってぇ泣いてるぜ?」

総「そうだよな? 子供が欲しくて魔女の家に行ったんだろ?
  しかも12ドルも出して種を買ったんだよ? 
  それなのに、どこかに行ったままだなんて、今も探し回ってるはずだ!」

あ「そうだよ! 自分の子どもだよ? それが突然いなくなったら、凄く辛いよ?
  それなのに、この親指姫は、自分の両親の悲しみが分からないの?」

類「それに、ヒキガエルやモグラはダメで、花の王子なら良い訳?
  それって、見栄えが良いからって事? この親指姫って最低だね
  さっき先生も言ったよね? 容姿で判断してはいけませんって!」

先生は、ウッ!と言葉に詰まる
確かにそうだ
親指姫は、花の王子の容姿に惹かれているし、たぶん王子と言うだけあってお金に困らないと踏んで結婚したのかもしれない

やばい!
非常にやばい!

先「えっと、、紙芝居は終わりです! はいっ! 次はブロックで遊びましょう」
と、さっさと別の遊びに切り替えた



類「あのさ、、親指姫って、最後は花の王子と結婚しただろ?」
つ「うん、、そうね」

類「それだと、育ててくれたお母さんが寂しがるんじゃない?」
つ「う~~ん。 でも、子供の幸せが親の幸せでもあるから、、親指姫が元気で幸せに暮らしているんなら、
  それで良いんじゃない?」

類「それをどうやって親に知らせるの? 
  カエルにさらわれてから、一度も連絡してないよね?」

その事に、つくしもやっと気が付く

美「それはお話の親指姫でしょ? 
  もし、この種から親指姫が生れても、カエルに連れ去られないように、
  しっかりと窓に鍵をかけておくから大丈夫だよ?」

その言葉に、二人は微笑む

類「そうだな。 とにかく、、我が家の防犯対策をしっかりとしよう」
つ「そうだね。 泥棒には気を付けないとね!」
美「うん♪ じゃあ、植えよう?」

こうして、庭の花壇に、その種を植えた



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2017/10/04 (Wed) 08:10 | EDIT | REPLY |   

りおりお  

ゆきた~様

このお話、、
幼い頃は、素敵なお話、、と思っていました
いろいろあったけど、王子様と一緒に暮らせるようになったんだし、、
って感じです

でも、よくよく考えたら、、あれ?です
ちょっと待って? 親指姫のご両親は?とね、、
親になってわかる気持ちですよねぇ

子供の幸せは、親にとっても凄く嬉しい物
でもその親は、今も必死に親指姫の行方を捜しているのかもしれない
じゃあ、せめて何らかの方法で、元気で暮らしている事を教えてあげようよ~~
と思ってしまいました

このシリーズを書き始め、昔話を色々と深読みするようになりました(笑)

2017/10/04 (Wed) 08:25 | EDIT | REPLY |   

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