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さくらいろ

49

2023/09/26
運命の恋なんて信じない<完> 6



翌日、メープルの社員に見送られながらタクシーに乗り空港へ向かった。
とてもお土産を買う気にもなれず、まっすぐ国際線へ向かう。
すると、、名前を呼ばれた。
振り返らなくても分かる声。
つくしは無視してまっすぐチェックイン機へと向かった。
すると腕を取られる。

「おい。 ちょっと待てよ!」
「何?」
「まだ時間あんだろ? きちんと話をしようぜ。」
「何の話? 既にあんたとは終わってるんだけど?」
「俺は終わったと思ってねぇよ。」

つくしはゆっくりと振り返る。
そこにはスーツ姿の司。
仕事の途中で来たと分かる。

「悪かった。 遠距離や仕事の鬱憤を理由にして、やってはいけない事をやってしまった。 
本当に申し訳ねぇ。 許してくれ。 お前の事が好きなんだ。 ホントにお前だけが好きなんだ。」

司は必死に懇願する。
その司を冷めた目で見るつくし。

ホントに好きならなぜ他の女性と関係を持った?
しかも何度も何度も同じ女性、、、あたしの良く知る女性と、、、。
その言葉がどれだけ薄っぺらい物か理解してないの?
まあ道明寺にとってあたしはそれだけの女性だったって事。

「ねぇ、、、一年半前に日本で3時間会った時に買ってもらった靴覚えてる?」
「もちろんだ。 特待生になった祝いのプレゼントだからな。」
「あれ凄く気に入ってるんだよ。」
「あぁ。 白のパンプスだろ?」
「あんたにはこの靴が白に見えるんだね。」
「えっ?」

司はつくしの足元を見る。
そこにはキャメル色のパンプス。

「このパンプスを買ってもらったんだよ? 
気に入ってずっと履いてるのになかなかくたびれないの。 やっぱり高級パンプスは違うなぁ。」
「悪りぃ。 あの時仕事が入ってよく見ていなかった。 すまねぇ。」

ほらね。
あの時からあたしの事はおざなりだったんだよ。
それなのに何故あたしに拘る?
サッサと滋さんの元へ行けばいいのに。

「確かに緊急案件が入ったとかで仕事をやってたよね。 
でもこの靴にしようかな?と言って確認を取った時、あんたはしっかりあたしの方を向いた。 
そして『青のワンピースに良く似合う』と言った。 
けど、あたしが貰ったのはオレンジのワンピースだよ? 
青のワンピースなんて持っていない。 持ってるのは滋さんだよね? 
この前、着てきたもんね。 そう言えば滋さんは白とか青の服が多いよね。」
「違っ。 それは単に言い間違えただけだ。 
それに仕事の事で頭がいっぱいで適当な事を言ったかもしれねぇ。 悪りぃ。」

司はその時の会話を覚えていない。
ただ許して貰おうと必死に言い訳をする。
つくしはその言葉に、司が自分に抱いていた気持ちがどんなに薄っぺらい物だったかを知る。
――仕事で頭がいっぱいで適当な事を言った。
つまり久しぶりの再会、しかも約三時間と言う短い時間にも拘らず適当にあしらえる存在だったという事実に。

「高価なアクセサリーもピアスだった。 あたしまだ穴をあけてないんだよ? 見る?」

つくしは髪を掻き上げ耳を見せる。
司は言葉にならない。
つくしは司に話しながらも、疑問に思っていたことが全て滋に当てはまっていく事に虚しさを感じる。

「パーティードレスもどこで着るんだろうと思ったけど、考えたら滋さんの大学卒業の時期と被るよね? 
もしかして間違えて送った? それに映画の試写会に一緒に行ったでしょ? 
あの時日本のテレビでも放送されたんだけど、滋さんの履いていた靴は道明寺が送ってきた靴と全く一緒だった。 
つまりあんたはあたしを思ってプレゼントを選んでいない。 
すべて滋さんを思って選んでる。 
遠距離だしバレないと思った? 二人であたしを騙せると思った?」
「そんなつもりはねぇ。 ホントに俺は、、お前の事を第一に思って。」

「そんな上っ面な言葉はいらない。 あんたも自分で言っていて虚しくない? 
あんたの口から出る『愛してる』という言葉がどれほど軽い物か分かるでしょ?」
「なぁ、、もうダメなのか? 今まで頑張って来たのに、、、もうダメなのか?」

「あたしは頑張ったよ。 ホントに頑張った。 あと半年であんたと一緒に未来を歩めると思った。 
でもそれを壊したのは紛れもなく道明寺、あんただよ! 
それにあんたの性格を知ることが出来てホッとした。 結婚した後にこんな事されたら地獄だったから。」

司は何も言えずガックリと項垂れる。

「じゃあね。」

つくしはクルッと反転し、今度こそチェックイン機へ向かって歩き出す。
そのつくしに向かって司が問う。

「なあ。 もしかして類の所へ行くのか?」

その言葉は弱々しい。
だがつくしには引っかかるものを感じた。

なんで類が出る?
関係ないでしょ?

「お前は何時も類と一緒に居たよな。 遠距離中も類はずっと傍にいたんだろ?」

こいつ、、何が言いたい?
確かに類には助けられた。
塞ぎこんでいるあたしを勇気づけてくれた。
それも全て、「司も頑張ってるから」と親友を思っての言葉ばかりだった。

「類に何か吹き込まれたんじゃねぇよな?」

こいつ、頭がおかしいんじゃない?
何でここまで類を悪く言える?

「確かに俺も悪かったが、俺と別れてあいつの元へ行く魂胆じゃねぇよな。」

つくしは手が震える。

こいつ、最低だ。
何もかも最低だ。

そしてこいつのあたしへの思いが分かった。
こいつはあたしを愛していたんじゃない。
類と言うライバルに勝ちたかっただけだ。
だから、、、あたしのことはおざなりだったんだ。

フラフラするな!
俺様だけをみろ!
よく言ってたけど、それも類に取られたくないという気持ちの表れだったんだ。
類に対して優越感を抱いていたんだ。

こいつはバカだと思っていたけど、あたしもバカだ。
こいつの『愛してる』と言う熱い言葉を真に受けて、腹の底にある類に対するライバル心だけで行動するどうしようもない男と言う部分に全く気づかなかったんだから。

つくしは顔を上げ空港内を見渡す。

思えばこの空港で類に救われた。
『お前の愛し方はそれか!』
そう言って道明寺を殴った。
『帰ろう。 日本へ。』
そう言って優しく導いてくれた。

記憶を失くして海チちゃんとイチャイチャしている時も、類だけが真剣に向き合ってくれた。
『へらへらすんな。 らしくないんだよ。』
何とも言えない困った顔でそう言った。

いつもいつも、類は真剣にあたしを見てくれていた。
それが分かっていたから道明寺は強引にあたしを引っ張ったんだ。
類に取られたくないという一心だけで。
それに魅せられたあたしは、、、バカだ。
類の優しさを踏み台にして、、、何度も何度も踏み台にして、、、道明寺と言う見せかけの愛に真剣になった。

バカみたい。
ほんと、、、バカみたい。
こんな男を信じて。

「あんた、自分が何を言っているか気づいてる? 
気づいていないなら教えてあげようか? 
あんたはあたしの事なんかこれっぽっちも愛していない。 
単に類に対するライバル心があっただけ。 自分でも思い当たることがあるんじゃない?」

司はえっ!と驚く。
だが思い当たる節は沢山ある。
その一つが幼い頃のテディベアだ。
類が大切にしているテディベアがなぜか欲しくなった。
ぬいぐるみなんか別に好きじゃねぇのに、なぜか欲しくて奪い取ろうとした。

「そういう事だよ。 気づけて良かったね。 
あたしを愛していた訳じゃないと分かったし、滋さんとの関係が止められなかったのはそこに愛情があったから。 
これであたしに気を遣うことなく好きなだけやりたいときに出来るね。 
でも使い終わった避妊具はゴミ箱に捨ててよね。 掃除するとき大変なんだから。 
じゃあ、、、もう会う事も話すことも無いと思うけど、元気でね。」

つくしは今度こそ歩き出す。

何もかも終わった。
5年近く道明寺との未来の為だけに頑張ったけど、絶対に無駄じゃなかった。
沢山の物を吸収できた。

そう思おう。
そう思わないとやってられない。

日本に帰ったらやることが沢山あるんだから。
頑張れ!!
つくし!!

たかが失恋じゃない。
うん、、、たかが失恋。
本気の失恋。

辛いな、、、。




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2023/09/26 (Tue) 09:59

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2023/09/26 (Tue) 10:54

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2023/09/26 (Tue) 12:18
りおりお

りおりお

Re: ちんちく~様

空港に来た司君。
最後に思いの丈をぶつけましたが、つくしちゃんはそれに振り向きません。
当たり前ですよね。
今さら何を言っても白々しく聞こえるだけ。
ここは謝罪だけをすれば男をあげたかもしれないのに、『愛してる』なんて言葉を言うんだから笑っちゃいますよね。

そしてしきりに類を意識する司君。
その言葉につくしちゃんは類君へのライバル心に気づきました。
思えば高校時代から二人はつくしちゃんを巡って一触即発だったような気がします。
それでも司君が熱い言葉を投げかけてつくしちゃんを振り向かせていたんですけど、本心は類君に取られたくない一心だったのかもしれませんね。
少なくともつくしちゃんはそう感じました。

そして自分を振り返り、どれだけ類君を踏み台にしていたかと反省しました。
この気持ちが日本へ帰ってからどうなるのか?
是非お楽しみに。

2023/09/26 (Tue) 13:53
りおりお

りおりお

Re: ゆきり~様

司くん、何を言いたくて空港に来たのか?
あんな場面を見られて『愛してる』と告げれば元のさやに戻ると本当に考えていたのならバカですよね。
それこそつくしちゃんの気持ちを理解していない。
司くんの熱い気持ちは既につくしちゃんには届かないんですから。

更に『類の所へ行くのか』と言ってしまった事。
これで司君の本心がバレたような物です。
完全に類君をライバル視していますからね。

本当につくしちゃんの事が好きだったのならば、この場できちんと謝罪し類君との恋路を応援するというスタンスを見せるべきでした。
その方が男をあげた気がしますけどね。

でもこの事でつくしちゃんは司君の本心が知れて良かったのかも。
きっぱり忘れられそうですね。
もちろん辛いでしょうけど頑張って欲しいですね。

2023/09/26 (Tue) 13:58
りおりお

りおりお

Re: Chawa~様

司くんとつくしちゃんの対峙。
これが最後でしょうね。

そこで司君がいくら『愛している』と言ってもつくしちゃんの心に響きません。
逆に薄っぺらい愛の言葉として受け取られるだけ。
それすらも気づいていない。
その上、『類君の元へ行くのか』という言葉。
明らかに類君の元へ行って欲しくないと取れます。
それを聞いて、類君へのライバル心から自分を繋ぎとめていたのか?と思われました。

つくしちゃん、約5年近い日々は無駄では無いと自分を鼓舞していますけど、そうしないとやってられないですよね。
しかも就職が白紙に戻った今、日本に帰ったらすぐ終活をしなければなりません。
F3に頼ればすぐに就職できるでしょうけど、つくしちゃんはなかなか人に頼れない性格だから困り者。
類君が気づいてくれると良いですね。

2023/09/26 (Tue) 14:02
りおりお
Admin: りおりお
こちらは二次小説『類つく』のお部屋となっております
そういった類の物が嫌いな方は、回れ右をしてご退場ください
ヤフーブログ『類❤だ~い好き』から引っ越して参りました
引き続き類君とつくしちゃんの幸せな姿をお届けできればと思っております
尚、ブロ友は現在受け付けておりません
運命の恋なんて信じない<完>