FC2ブログ

Welcome to my blog

むか~しむかし

人魚姫

11
残業で帰宅が遅くなった類は、つくしの出迎えを受ける

つ「お帰りなさい」
類「まだ起きていたんだ。 寝ていてくれて良かったのに」

つ「そうなんだけどね。 今日はいろいろあって」
類「ん? 何かあった?」

つくしから聞く話によると、幼稚舎から帰ってきた美空の様子がおかしく事情を聞くと、幼稚舎で『人魚姫』の話を聞き、悲しくて悲しくて涙が止まらなかったらしい
家に帰っても、「どうして?」「なんで?」を繰り返し、さめざめと涙を流しやっと寝た所だと言う

そっと美空の部屋を覗く
そこには、就寝している美空がいる

その美空の元にそっと近づき、「ただいま」のキスをする
そのまつ毛は、濡れているのが分かる
そして昔の事を思い出す




先「今日は『人魚姫』と言うお話です」

司「人魚って、足が魚なんだろ?」
総「架空の生き物だろ?」
あ「昔話あるあるだね」
類「でも、、どこかにいるかも? まだ見つかっていないだけかもよ?」

架空の生き物だが、もしかして実在するかも?と言う夢を見るのは良い事だ
先生は微笑みながら絵本を開いた

先「遠い遠い海の底に、人魚のお城がありました。
  お城には王様と6人の人魚姫が住んでいました。
  この世界では、人魚姫は15歳になると海から出て人間の世界に行くことができるようになります。
  末の人魚姫は、お姉さんたちが見てきた人間の世界の話を聞いて、自分も人間の世界へ行くことを
  楽しみにしていました。」

司「俺も、人魚の世界を見てみてぇ、、」
総「おっ、、司がそんな事言うのは珍しいな」
あ「僕も見てみたい」
類「憧れるよね。 人魚の世界って」

司「なんでだろうな? 竜宮城と違うイメージがあるんだが、、」
総「そりゃ、、鯛やヒラメの踊りなんかみたくないからだろ?」
あ「確かに、、鯛やヒラメの泳ぐ姿より、人魚の泳ぐ姿の方が嬉しいと言うか、きれいなような?」
類「鯛やヒラメは水族館で見る事が出来るけど、人魚は見れないからじゃない?」

先生は微笑む
確かに、人魚の世界があるならば見てみたい
乙姫様より人魚姫に会いたいと思うのは、どうしても西洋のお話だからだろうか?
と頭を捻る
決して、某テーマパークのアリエ○に憧れているとは思いたくない

先「確かに、人魚の世界を見て見たいわね。
  どこかにあるかもね、、って事で、話しを続けます
  
  ついに15歳を迎えた末の人魚姫が海の上に顔を出すと、そこには沢山の明かりをつけた船が浮かんでいました。
  船には王子様が乗っており、人魚姫は王子様をひと目見て恋をしました。」

司「知ってるぜ! 一目惚れって言うんだよな」
先「そうそう、、一目見て好きになる事を、一目惚れって言うのよ! 良く知っているわね」

すると司は自慢げに告げる

司「姉ちゃんが良く言っているからな。 一目惚れに憧れるってよ」
総「椿ねぇちゃんが? それ、、無理じゃね?」
あ「うん。 だって、、、恐いもん」
類「恐い人ほど、夢見がち?なのかも?」

すると司は怒り始める
姉を崇拝している司は、姉の悪口は言語道断だからだ

司「おい! お前ら! もう一回言ってみろ! 姉ちゃんは、すっげぇ恐いけど、すっげぇ優しいんだぞ!」
先「道明寺君、、落ち着いて! 確かにお姉さんは凄く優しい人よね。 それにすごく綺麗な人だと思うよ?
  だからきっと、、凄い恋をして幸せになるよね、、」
と宥め、話しを続ける

先「その時、突然嵐が船を襲い、王子様は海へ落ちてしまいました。
  人魚姫は海に落ちた王子様を助け、浜辺まで運びました。
  人魚姫は王子様が目を覚ますまで声をかけ続けました。
  するとそこへ、どこからか娘がやってきたので、人魚姫は驚いて海へ身を隠しました。
  娘が王子様を抱き上げると同時に王子様が目を覚まし、王子様は目の前にいる娘に助けられたと
  勘違いしてしまいました。」

司「ちょっと待った! なんで、人魚姫は隠れるんだ?」
総「そりゃ、、姿を見られたら、、、困るからだろ?」
あ「うん、、だって足が魚だし?」
類「誰かに囚われたら、見世物にされるからじゃない?」

司「じゃあ、なんでこの王子は、娘に助けられたと思うんだ?
  娘の服は濡れていねぇだろ? おかしいだろ?」
総「娘にしてみれば、、ラッキーだったんじゃね?」
あ「王子を抱えた時に、服が濡れたかもよ?」
類「その王子が、バカなんだよ!」

先生は話のストーリーを知っている
確かに、この時、王子が誤解しなければ、、、人魚姫と幸せになっていたかもしれない
でもこれは世界中が知っている悲恋のお話
この子達が何かを感じてくれれば、、それはそれで心の成長につながる

先「何で王子は気づかなかったんだろうね。
  人魚姫も辛いよね、、じゃ、話しを続けるわよ

  それを見た人魚姫は、自分も本当の人間になって王子様の傍にいたいと思うようになりました。」

司「おう!! 行け!! まだ間に合うぞ!」
総「そうだな、 王子の傍に行けば、王子も助けたのが人魚姫だって分かるんじゃね?」
あ「一目惚れだし、好きな人の傍に行きたいよね? それに『私が助けた』と言えば良いんじゃない?」
類「そんなに簡単な事? だって人魚だよ? 足が魚だよ?」

先「それはこれから話すわね
  
  人魚姫は魔女のところへ行き、人間にしてほしいと頼みました。
   魔女は、人魚姫の美しい声と引替えに、人間にしてくれることを約束してくれました。
  しかし、魔女が出した条件はそれだけではなく、王子様が他の女性と結婚すると2度と人魚姫には戻れず
  海の泡になって消えてしまうとも言われました。」

司「ちょっと待った! おかしいだろ? 声だけでも充分引換の代償になるぜ?」
総「それに、声を失ったらどうやって王子に『助けたのは私です』と伝えるんだ?」
あ「人魚姫って文字が書ける? 外国語も沢山あるんだから、人魚語と人間の言葉って違うよね?」
類「この魔女、、どれだけ意地汚いの? 
  ってか、なんで王子が他の人と結婚したら、人魚姫は海の泡にならないといけないの?
  そこがおかしい! 魔女だったら、何だってできるよね?」

何時になく、人魚姫に加勢する四人に、先生も嬉しくなる
それに、珍しく真剣に耳を傾ける四人に急かされる形で、続きを読み進める

先「人魚姫は全ての条件を吞み、人間になることを決めました。」

司「愛だな、、愛」
総「一目惚れってすっげぇなぁ」
あ「命がけの恋って事だよね?」
類「僕には無理かも?」

先「浜辺で人間になる薬を飲んだ人魚姫は、いつの間にか眠ってしまいました。
  しばらくして目が覚めると、傍に王子様が立っていました。
  しかし、声を出したくても人魚姫は声が出せません。
  王子様は何も話さない人魚姫を自分のお城まで連れて行き、人魚姫を妹のように可愛がってくれました。」

司「やったな! これで王子様と結婚出来るぜ!」
総「だよな。 これが他の男に連れられて行ったとしたら、望みが無かったもんな」
あ「久しぶりに良い話を聞いたな」
類「ん、、だね」

これで物語が終わったかのような四人に対し、先生は一抹の不安を覚える
先生も、これで『めでたしめでたし』と言いたい
だが、、続きがまだある
先生は、思い切って次のページを捲る

先「ある日人魚姫は、王子様から溺れた時に助けられた娘と結婚することを聞かされました。
   助けたのは私だと言いたくても、人魚姫には声がありません。」

司「ちょっと待った! 何でだ? 何で王子は気が付かねぇんだ?」
総「じゃ、何の為に人魚姫を連れて行ったんだよ!」
あ「人魚姫に声が出せたら、、そうしたら上手くいったって事?」
類「複雑だね。 これ、人魚姫の目の前で、王子と娘のイチャイチャを見せつけられていたんだよね?
  そんな物を見る為に人間の姿になった訳じゃないのに、、なんか可哀想」

四人の心の中に、モヤモヤが溜まってくるのを感じるが、先生は先を続ける

先「王子様の結婚式が近づいたある夜、海にお姉さんたちがナイフを持って現れました。
  お姉さんたちは、このナイフで王子様の胸を刺して殺せば、人魚姫は海の泡にならなくて済むと言いました。
  人魚姫はナイフを受け取り、王子様が寝ている部屋へ忍び込み殺そうとしましたが、愛する王子様を殺すことが
  できませんでした。
  人魚姫はナイフを海へ投げ捨て、自分も海へ飛び込み、海の泡になってしまいました。」

司「王子を殺せば死ななくて済む? それ究極の選択じゃねぇか!」
総「そうだよな。 好きな男を殺せる訳がねぇよな」
あ「もし殺したら、、人魚姫はこの先、重い十字架を背負って生きていくって事だよね?」
類「どっちをとっても、、辛い人生って事だよね? だから自ら死を選んだって事?」

司「それで? 先生、、早く続きを言えよ!」

急に話を振られた先生は、エッと言う顔をする

先「ごめん、、これで終わりなんだけど?」
司「んな事ねぇだろ! 昔話のラストは『めでたしめでたし』で終わる物だろ?
  これのどこが『めでたしめでたし』なんだよ!!」

先「そうなんだけどね、、でもこれは、これで終わりなの」

司「はあ? じゃあなんだ? 王子様は、娘と幸せに暮らしたのか?」
総「この娘の性格って、すんげぇ悪いんじゃね?」

あ「そうだよな。 絶対に王子から『助けてくれたのはあなたですか?』って聞かれているはずだよね?
  その時『はい、私です』って言ったんだよね?」
類「そんな性悪女と結婚して王子は幸せに暮らした訳? おかしい!!
  王子は何で気付かないの? 人魚姫が助けてくれたってどうして分からないの? ねぇ! どうして?」

四人と共に、園児が一斉に先生を口撃する
だが、先生もどう言って良いか判らない
と同時に、、今度からは『めでたしめでたし』で終わるお話にしようと、心に強く誓った



翌朝、、
美空は浮かない顔で起きて来た

類「おはよう、、美空」
美「おはよう、、」

類「美空、、ここにおいで?」
と言い、自分の膝の上を指差す
その膝の上に、美空はちょこんと座ると、類は後ろからゆるく抱きしめる

類「昨日、、幼稚舎で人魚姫の話を聞いたんだって?」
美「うん」

類「あれは悲しいお話だよな。 パパも、モヤモヤしたんだ」

美空は振り返る

美「パパも? ねぇ、どうして王子様は、助けてくれたのが人魚姫だって気が付かなかったの?」
類「それはきっと、、王子様は本物を見る目が無かったんだよ」

美「本物を見る目?」
類「そう。 本当に自分を助けてくれたのはこの人なのか?
  それを確かめる事をせず、単にその場にいた女性が助けたと思った。
  つまり、、王子にとって、自分の目で見た物だけが真実だと思う浅はかな人間だったんだ。
  もっと考えたらすぐに判るだろ?
  どうやって女性が助ける?服も濡れていないのに?
  ほんと、、バカな王子だよ。
  この王子は曇った目しか持っていなかったんだ。
  だからすぐ傍にいる人魚姫の澄んだ心にも気付かなかった」

美「なんか、、悲しい」
類「この場合、本物を見極める目を持たない王子を好きになった人魚姫が哀れだよな。
  でもきっと、、人魚姫は後悔していないと思うよ?
  これだけ好きだと思える人に出会えたんだからさ。
  だから、、水の泡になってまでも、自分の気持ちに正直であり続けたんだよ」

美「好きって、、大変なんだね。 恋って、、複雑だね」

美空の少し大人びた発言に、類は苦笑する

類「だな。 でも決してそんな人ばかりじゃない。
  人魚姫と同じように澄んだ瞳を持った男性が沢山いるんだから、そんな人と恋をすると、きっとすごく幸せだと思うよ?」
美「パパは? パパはどうだったの?」

類「それは、、美空が良く判っているだろ?」
美「うん。 パパもママも、、すっごく澄んだ瞳をしているんだよね?」

類「くすっ、、そう。 だから、、最高に幸せな日々だし、、こうして美空って言う宝物まで授かった」
美「美空も、、いつかパパとママのような恋をしたい。 そして幸せになりたい」

類「頑張りな。 きっと美空なら出来るから」
美「うん」

類は微笑む

恋は素敵な事
そんな素敵な恋を、、いつか美空もして欲しい

俺とつくしのような、、

素敵な恋を、、








にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

11 Comments

There are no comments yet.
管理人のみ閲覧できます

-  

2018-04-01 09:35

このコメントは管理人のみ閲覧できます

EDIT  REPLY    
管理人のみ閲覧できます

-  

2018-04-01 09:43

このコメントは管理人のみ閲覧できます

EDIT  REPLY    
Re: ゆきり〜様

りおりお  

2018-04-01 10:18

確かに、今の人魚姫はアリエルのイメージですよね
うちの娘も保育園時代…大きくなったら人魚姫になる!と言っていました
そして、お風呂の湯船で、両足を閉じて泳ぐ練習をしていました(笑)
真面目な顔で告げられた時は、とう言ってよいのか分からず…
頑張って!と言いましたが、小学二年の頃に、人魚になれないと悟りました(笑)
今では良い思い出です
ちなみに…長男は、大きくなったら牛になる!と、高らかに宣言し、こちらも爆笑の渦となりました

EDIT  REPLY    
Re: ノエ様

りおりお  

2018-04-01 10:22

人魚姫は、童話にしては納得いかない作品です
どうして?なんで?これで終わり?
と、何度思ったことか!

それを、類くん、静さん、つくしちゃんに当てはめると切ないですね
寝れそうにありません

でも…この作品では、しっかりと見極める目を持った類君です!
成長しましたね!

さて…他に童話や昔話あるかなぁ?

EDIT  REPLY    
管理人のみ閲覧できます

-  

2018-04-01 11:22

このコメントは管理人のみ閲覧できます

EDIT  REPLY    
管理人のみ閲覧できます

-  

2018-04-01 11:50

このコメントは管理人のみ閲覧できます

EDIT  REPLY    
Re: り〜様

りおりお  

2018-04-01 14:45

小さい子供は、何で?と聞き返しますよね!
何で?と聞かれても…と、シドロモドロになる事もありますよね!
先生は大変だなぁ…
上手く説明しないと駄目ですしね

昔話も、よく聞けば何で?と思う事が多々あります
しかも今回は、メデタシメデタシじゃないし…
切なく悲しいお話に、子供達も大人の階段を一歩登ったかな?

EDIT  REPLY    
Re: わん〜様

りおりお  

2018-04-01 14:52

人魚姫は、今でも納得できません(笑)
なんで?どうして?
王子様は他の人と結婚するの?

なんで、人魚姫を選ばないの?

女の子の憧れは、王子様との結婚
それが叶えられなかった唯一?の作品のような気がします

声を出すことができれば、違った結末になった?

結果は、謎のままですよね…

類くんは、きちんと見極められた!
だから、つくしちゃんと幸せに暮らせている!
ですよね!

EDIT  REPLY    
管理人のみ閲覧できます

-  

2018-04-02 11:57

このコメントは管理人のみ閲覧できます

EDIT  REPLY    
Re: 凪子様

りおりお  

2018-04-02 13:58

旦那さん…強者ですね
学校行事や役員連絡など、ラインがほとんどなのにねぇ…
ラインぐらい良いじゃない?
じゃあ、旦那さんはラインをしてないの?
そこ聞きたい(笑)

人魚姫は切ないですね
命がけの恋ですが、始めは足を貰う代わりに声を失うだけと思ったはず…
それが…
側にいれば自分のことを好きになってくれる?と思ったのかは、分からないけど…
王子が気づいてくれないなんて…
(´Д`)ハァ…

切ないって、嫌だなぁ

EDIT  REPLY    
管理人のみ閲覧できます

-  

2018-04-02 14:35

このコメントは管理人のみ閲覧できます

EDIT  REPLY    

Leave a reply