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また、明日ね<完>

バレンタイン

4
「姉ちゃん、、それ類さんの?」
「うん、、そう。 あっ、パパのと進のを作るついでだからね」

「分かってるって」

そう言いながらも、形の良い物を紙製の小箱に入れている

確かに、類さんは良い人だ
久しぶりにクリスマスに来てくれて、僕たちとトランプをして楽しんだ
料理も、姉ちゃんの作った庶民料理を、美味しいと言ってパクパク食べていた

そして何より、、
姉ちゃんを見つめる目が、愛おしそうだった

なんで姉ちゃんはそれに気付かないんだろう?
それに、、なんで姉ちゃんは、類さんと友人でいられるんだろう

今も、すごく嬉しそうな、、何とも言えない表情をしているのに



つくしは、小箱にキュッとリボンを結ぶ
100均で買った小箱だが、しっかりしているしとても100円には見えない

白地の小箱に、小さなハートが無数に散らばっている柄
いかにも、、な柄なのだが、別に他意は無い
この時期はこういう柄ばかりが主流だし
そう、、たまたまこの柄になっただけだ

チョコにしたって、いつもお世話になっているし
毎年あげているし
義理チョコのような物だし

と自分に言い聞かせている



つくしの姿を見ながら、進は皿の上に乗っているチョコに手を伸ばす
ほろ苦いチョコレート

僕もパパも、ミルクたっぷりの甘いチョコが好きなんだけど
これって、、
誰が見ても、誰のために作ったのかが分かり易いと思うんだけど

姉ちゃんは、何も言わない

それに、恋人である道明寺さんには、百貨店で買ったチョコを送っていた
本人曰く
『日数がかかるから、手作りは万が一って事があるかもしれないでしょ』
らしい

確かにそうかもしれない
でも、、やっぱりちょっと違うと思うのは、、僕が類さん贔屓だからなのかもしれない



「じゃ、ちょっと出かけてくるね」
「は~~い。 類さんによろしく」

「うん」

少しばかりのオシャレをして、スカートを翻し出ていった姉ちゃん

恋人は道明寺さん
親友という類さん

僕には、逆にしか思えないんだけど、、どうなんだろう?
遠距離恋愛ってこんな物なんだろうか?

今年のバレンタインは水曜日
そして今日は、その前の12日の月曜日
これが恋人と親友の違い、、と一線を引いているみたいだけど
曜日ではなく、気持ちを伝えるチョコの差が、重要なんじゃないだろうか?

片や高級市販品
片や手作り品

どちらが貰って嬉しい?
値段や形よりも、、手作りだと思うんだけど?

鈍感すぎる姉ちゃんだから、気づかないだけだろうか?


進は、もう一つチョコを摘まみ、口に放り込む

「苦っ、、」

思わず顔をしかめ、このチョコを贈る相手の味覚に嫉妬した





「る~~い!!」
「あっ、、牧野!!」

「ごめん。 待った?」
「いや、、今来たとこ」

牧野の顔を見ると、いっぺんに疲れが吹き飛ぶ
ほんと、俺って現金だよな

二人は、近くのカフェへ入る
そして、類はコーヒーを、つくしはココアを頼む

「司から、連絡あった?」
「ううん、、全然、、」

そろそろ約束の4年だろ?
なんで、未だに連絡してこないんだろう?

「あっ、、類、、これ」

つくしは、鞄から紙製の小箱を差し出す
それは見るからに分かる代物だ

これを、、俺に?

「良いの?」
「うん。 いつも類にはお世話になっているから」

お世話になっているから、、か
どっちかと言うと、好きだから、、と言って欲しかったな
まあ、無理だって知っているけど
義理でも嬉しいし

「司には?」
「あぁ、、あいつには既に送ってるから」

そうだよな
あたりまえだよな

「あいつには、百貨店で買った高級品を送ったよ。 だって、味にうるさそうだしね」
「確かに、、そうかも」

確かに味にはうるさいけど、あんたが作った物なら嬉しいと思うよ?
でも、買った物を送ったと聞くと、何となくホッとしてしまう
ダメだな、俺って
確実に司に嫉妬しているんだから

「バイト代が飛んだよ。 送料もあわせたら、結構な値段になるよね」
「まあ、、そうだな」

質素倹約の牧野が、恋人にはお金をかけるんだ
あたりまえか

「あっ、類のは、、そのっ、、、ちょっと、、」
「何? 開けてみても良い?」

類は、つくしの返事を聞く前に、リボンに手を掛けた
すると、それをつくしが止め、緩んだリボンをしっかりと結び直す

「家に帰ってから、、開けてくれる? ちょっと、恥ずかしいから」
「ん、、分かった」

どんなチョコだ?
義理チョコだし、、牧野の好きな100均って所で買った物だろうか?
だよな?
恋人に高級チョコを送り、お金が無いって言っているんだから、、

まっ、どんなチョコでも、牧野からの物なら格別だ
家に帰って、ちょっとずつ食べよう




その日、、
類は、つくしに貰った小箱を手に取る
そして、小箱を開ける為、リボンに手を掛けた

それは、つくしがギュっと結んだリボン
そのリボンの輪が均等で、まるでハートに見える

――まるで俺達の関係みたいだ

初めは、片方の輪が大きすぎて
何度も解けそうになって
それでも俺が必死にギュッと結び直して
今では、こうして均等な輪になるまでになった

――親友と言う名の綺麗な輪に

そうやって保ってきた綺麗なリボンも、そろそろ牧野の手で解かれるのかな?
それとも、、このようにギュッと固く結べば解けない?

類は、リボンの輪に手を掛けギュッと硬く結ぶ

そしてツンツンとリボンを突いた後、そっと両方の端を引っ張った
サラッと解けるリボン

何やってんだろ?

類は苦笑しながら、小箱の蓋を開けた

すると、小さなチョコが5つ入っていた

「手作り?」

それだけでなんだか嬉しくなる

そして一粒手に取り、パクッと口に放り込む

ほろ苦い味が口いっぱいに広がり、幸せな気持ちになれる

「ん、、美味し」



< つづく >


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4 Comments

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-  

2018-02-12 14:06

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Re: ノエ様

りおりお  

2018-02-12 14:15

こんにちは

そのとおりですよねぇ
高級チョコより手作りチョコ
オシャレするほどときめく相手
その事実にきちんと向き合い、自分の気持ちを認識しなくちゃ!
なんだけど…鈍感つくしちゃんは、いまいち解っていない
(๑-﹏-๑)ウーン

さて…
もちろん続きます…
バレンタインときたら?
ホワイトデー?
この続きもお楽しみに〜

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管理人のみ閲覧できます

-  

2018-02-13 16:52

このコメントは管理人のみ閲覧できます

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りおりお
Re: り〜様

りおりお  

2018-02-13 17:03

そのようです
いつの間にか…気持ちが変わってきている事に気付いていません
それに気付いたのは進だけ

類も、まさか!という気持ちでしょうね
きちんと司宛のチョコを送っていますし、連絡はないけど待っているみたいだし

こちらの続きも、ぜひお楽しみに!

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