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また、明日ね

1 約束

10
つくしは相変わらず千石屋のバイトを続けていた
時給は安い物の、なかなか辞めるきっかけを見つけられず、ズルズルと続けている

そんなバイトが終わり、外に出るとブルっと身震いをする
3月だと言うのに、空からはチラチラと雪が舞い降りている

つくしは、空を見上げながら、、
「なごり雪なんて振らなくても良いのに」
と、呟いた

「ぷっ! 空に愚痴ってる?」
「えっ?」

つくしのすぐ後ろから声が聞こえ、びっくりしたつくしが振り返ると、そこには類が立っていた

「えっ? なんで?」
「ん? 散歩? それより、、ほらっ首元が寒いだろ?」

類は、自分の首に巻いていたマフラーを外し、つくしの首にぐるぐると巻く
途端、類の香りが鼻孔をくすぐり、ポッと頬が染まる

「あっ、ありがとう。 でも、類が寒いんじゃない?、、」
「俺は大丈夫。 寒いの好きだし、、それに、あんたが風邪をひいたら、司が困るだろ?
もうすぐ約束の4年になるんだし、、そろそろ迎えに来るだろ?」

「どうだろ?」
「くすっ、、あいつも忙しいんだろうな。 でも、、きっと迎えに来るよ」

こうして、フラッと偶然を装って、家まで送り届けてくれるようになったのは何時頃からだろう?
そして、今日もこの寒空の下、一体どのくらい待ってくれていたんだろう?

つくしは、ふと隣の類を見る
すると、つくしの視線に気づき、ん?と言う風に首を傾けてくれる

きっと、、あいつがいない寂しさを、紛らわそうとしてるんだろう
親友の恋人なら、、何時までも親友でいられると言っていたし、その親友の代わりを務めようとしているのかもしれない

「ちょっと時間ある? 寒いから少し暖まって帰らない?」
「ん、、良いよ」

二人は、少し足を伸ばして駅前のショッピングモールへ向かう
そこは、ホワイトデーの飾りつけがされ、今も若い男の子がウロウロしている

「バレンタインは赤いハートなのに、ホワイトデーは青や白のハートになるんだね」
「だな」

青や白の装飾は、クリスマスに見たイルミネーションを思い起こさせる
そしてなぜか温かな気持ちになる
もちろん、隣にいる人がそうさせるんだろう、、、と感じる
何も言わなくても、全てを判ってくれるような安心感があるから人だから

きっと、、あいつとでは、こういう気持ちにはならないんじゃないだろうか?
あいつとは、ずっと走り回っていたイメージで、こうしてゆっくり過ごす時間が無かったし、NYへ行ってからと言うのも、会ったのはほんの二回だけ
それもほんの数分?

そろそろ約束の4年になろうとするけど、あいつは覚えているんだろうか?
一応、、ホワイトデーにはバイトを入れていないんだけど、今の所何も連絡がない
あいつにとって、、私はいったい何なんだろう?

すると、、頭上から声がかかる

「もし、、ホワイトデーに司が帰ってこなかったら、、一緒に過ごす?」
「えっ?」

つくしは、ゆっくりと顔を上げる
するとそこには、頬笑みを称えた類がいる

「もし、、だよ? あんた、毎年ホワイトデーにはバイトいれていないだろ? 
ホワイトデー以外にも、行事ごとには予定を入れないだろ? 
だから、司が帰って来なかったら、何か美味しい物でも食べに行こうか? 
俺も今年で最後だと思うんだ。 こうしてのんびり過ごすホワイトデーって言うのもさ」
「そっか、、もうすぐ正式に社員になるんだよね?」

それを考えると、何か寂しくなる
でも、それは仕方がない事だ

それに、今までがおかしすぎたんだ
類は親友であって、彼氏ではないんだから

「だね。 今年は、類と過ごす最後のホワイトデーだもんね」
「ん、、じゃそうしよ?」
「うん」

寂しくなるけど、楽しいホワイトデーにしよう
きっと類も、あたしが一人で過ごすホワイトデーは寂しいだろうと思って、声をかけてくれたんだから

つくしはにっこりと笑う
それに応えるように、類もにっこりと笑った




インターンシップが終わり帰宅していた所、空からチラチラと雪が舞い始めた
今日は、、牧野がバイトの日だったはず、、
と思うと、着替えを済ませ、急いでバイト先まで向かっていた

そして、店の中が見渡せる場所まで来ると、牧野の姿を確認する
ちょこまかと店内を動き回り、お客さんに笑顔で接客する姿は、長年勤めているだけあって、堂に入っている
女将さんに頼まれるとなかなか辞められないと、お人好しの牧野は言っていたっけ
確かに、機敏に動き回る優秀なバイトを、辞めさせたくはないだろうな

そうこうするうちに、閉店作業に入ったようで、暫くすると裏口から牧野が出てきた
そして、首をすぼめ空を見上げた

くすっ、、やっぱり寒そうにし、空に向かって愚痴を言ってる
来て良かった

「ぷっ! 空に愚痴ってる?」

牧野の後ろから話しかけると、びっくりした牧野の顔が目に飛び込んでくる

「えっ? なんで?」

そりゃ、、あんたに会いたかったからに決まってるだろ!とは言えなくて、、当たり障りのない言葉を告げる

「ん? 散歩? それより、、ほらっ首元が寒いだろ?」

俺は、自分の首に巻いていたマフラーを外し、つくしの首にぐるぐると巻く
頑張りすぎる牧野が風邪をひかないように、、

「あっ、ありがとう。 でも、類が寒いんじゃない?、、」
「俺は大丈夫。 寒いの好きだし、、それに、あんたが風邪をひいたら、司が困るだろ?
もうすぐ約束の4年になるんだし、、そろそろ迎えに来るだろ?」

必ず帰ってくるだろう
なぜなら、、約束の四年だし、今後の事を話すには丁度良い機会だしさ
すると、牧野から思いがけない言葉が出た

「ねっ、、時間ある?  寒いから少し暖まって帰らない?」

時間なんて、、あんたの為ならいくらでも作るよ、、

「ん、、良いよ」

二人は、少し足を伸ばして駅前のショッピングモールへ向かう
そこは、ホワイトデーの飾りつけがされ、今も若い男の子がウロウロしている

「バレンタインは赤いハートなのに、ホワイトデーは青や白のハートになるんだね」
「だな」

青や白の装飾は、クリスマスに見たイルミネーションを思い起こさせる
牧野は覚えているだろうか?
たぶん、、覚えているだろう
あの時、、忘れないと言ってくれたから

だから、、言ってみようか
ずっと言えなかった事を、、

「もし、、ホワイトデーに司が帰ってこなかったら、、一緒に過ごす?」
「えっ?」

あんたが、行事ごとにバイトや予定を入れないのは、司が帰って来るかも?と期待していたからだろ?
でも、その全てに司は帰ってこなかった
だから、、俺と過ごさない?

「そっか、、もうすぐ正式に社員になるんだよね?」

正社員って事じゃなくて、もうすぐ、あんたはNYだろ?
だから、、今年で最後なんだ
こうしてあんたとホワイトデーと言う行事を過ごせるのは

牧野は、親友の恋人
そんな判り切った相手なのに、既にこの恋は四年もくすぶり続けている
それもきっと、、もうすぐ終わるだろう
俺の手の届かないNYへ行くんだから

「だね。 今年は、類と過ごす最後のホワイトデーだもんね」
「ん、、じゃそうしよ?」
「うん」

司が帰って来るよ、、と言っておきながら、帰ってこないでほしいと願う俺がいる
もうすぐNYへ行く、、と思いながら、行かないでほしいと願う俺がいる

そして、、それを口に出せない俺がいる


牧野は、俺を見上げてにっこりと笑う
それに応えるように、俺もにっこりと笑った


――最後のホワイトデーを一緒に過ごしたい

そして牧野が、俺の結んだ蝶々結びを解くその日まで、あんたの傍に居させて






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10 Comments

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2018-02-21 09:26

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2018-02-21 09:31

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りおりお
Re: ノエ様

りおりお  

2018-02-21 09:52

おはようございます

プロローグを見て驚かれたでしょうね
あれ、、わざと入れました(笑)
何故?って思われるでしょうけど、、
実は、、
おっと、これからのお楽しみにとっておかないと(笑)

クリスマスとバレンタインから繋がっています
どこがどう繋がっているのか
布石が隠されています

さて、、つくしちゃんは、類君の事が好きですよね
でも自分の気持ちに気付かない
類君も、まさか自分の事を好きになっているとは気づかない
そんな二人がどうなるのか?
お楽しみに~~

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2018-02-21 09:57

こんにちは

二分の一成人式、、うちの子供達もやりました
もうそんな歳なのね、、と思いました

そして、本物の成人式も直ぐですよ!!
後10年とのんきに構えていたら、高校卒業と同時に振袖の案内がバンバン届くようになります(笑)
早めに予約すると、特典があったりして、、それにお気に入りの着物が無くなるかも?と周りから言われて、
既に予約しました
今年の成人式のように、当日もぬけの殻なんて事にならない事を祈るばかりです
レンタルでもかなり高いですからね

さてお話、、
類君と静さんが?と目を見張る場面からのスタート
なんで?と思われますよね
でも、路線は変えません
静さんなんてお呼びでは無い!!との気持ちですからご安心を

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2018-02-21 10:35

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Re: り〜様

りおりお  

2018-02-21 13:00

プロローグは、衝撃的でしたね
でも…敢えて入れました

今回は、自分の気持ちになかなか気づかないつくしちゃん
そのつくしちゃんは、誰よりも類くんのことが好きなのだ!
って感じのストーリーです

途中で「なるほど」と、思ってもらえれば嬉しいです
最後までお付き合いくださいね

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2018-02-21 18:03

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りおりお
Re: おち~様

りおりお  

2018-02-21 18:18

はじめまして

今回のプロローグを読み、我慢できなかったのでしょうね
スミマセン(>_<)

数々のコメントの中に、過去の出来事とおっしゃる方が多かった中、夢の中での出来事は初めてです
でも、それぐらい衝撃的で心臓バクバク物で、つい大声をあげてしまいそうになる場面ですね

私も、S嬢が大っ嫌いで(知っていますよね)
私のお話の中での彼女の立ち位置は悪女しかなく(もちろん知っていますよね)
そんな彼女と類君のイチャイチャなんてとんでもない事で(なら何で書く?ですよね)

我慢して読んで頂きありがとうございます
きっとこの後、、何でこんな場面を?の謎が解けると思います
それまでどうぞお付き合い下さいませ

過去の作品も愛して下さりありがとうございます
その作品も、こちらのブログへ持って来るべく奮闘中です

これからもどうぞよろしくお願いします
コメント有難うございました

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2018-02-22 08:57

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りおりお
Re: ゆきた~様

りおりお  

2018-02-22 11:39

こんにちは

絶句するプロローグですよね
何で? 何があった?
だと思います

でもご安心を
私は、S嬢が大嫌いなのです(御存知ですよね)

これからの展開をご期待ください

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