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また、明日ね<完>

4 事故

10
牧野家を出た後、そのまま川沿いへ向かって歩く
春には桜が咲きほこる川沿いも、まだ固い蕾のままだ
その為、土手で遊んでいる者もいない

それらを見ながら、予定が無くなった俺は、どこへ行くでもなくとぼとぼと歩く
すると、ポケットに突っ込んだ手に、ある物が触れた

あっ、、

おもむろにそれを取り出す
ホワイトデーのお返しとして選んだ、桜色のリップクリーム

『唇がかさついて、リップクリームが手放せないんだよね』

それを聞いた時、迷わずこれを買い求めた
これなら消耗品だし、口紅でもない
流石に口紅を渡すのは気が引けるが、リップクリームなら安価だし、義理チョコのお返しには丁度良いかも?
そう思ったが、、結局渡すことが出来なかった

これなら、進にでも預けておくんだった
俺が持っていても仕方ないし、、

そのリップクリームは、包装はされていないものの、小さな蝶々結びのリボンがつけられている
そのリボンを見て、類は淡く微笑んだ




類は携帯を手に、運転手に電話を掛けた

「悪いけど、、迎えに来てくれる?」
『かしこまりました』

電話を切った後、ゆっくりと迎えの場所まで歩いて行く

今日もかなり寒い、、
類は、しっかりとマフラーを首に巻き直し、両手をポケットの中に入れ、大きな歩調でサクサクと歩く

待ち合わせの場所に着くと、ほどなくして花沢の車が到着する
そして類の前に停まると、運転手が急いで出てきて、後部座席のドアを開ける

「お待たせいたしました」

類は、両手をポケットからだし、その中へ乗り込んだ

「どちらへ行かれますか?」
「家に」

運転手は、言われるがままにゆっくり走りはじめた
類は、右側の窓から流れゆく景色をジッと見つめる

至る所で春を思わせる色とりどりの花が、プランターを賑わせている
それらを、ボーと眺めていた

すると、花沢の車を追い越すワゴン車がいた
そして何かをばら撒いたまでは分かった
途端、ガタンッと車体が大きく揺れた

「うわっ、、」
「えっ?」

運転手の大きな叫び声と共に、急ブレーキをかけた時のキキィ―と言う大きく音、そして車体が右にぶれ体が振られたのまでは分かった
だが、そこで類の意識は途絶えた


車は、勢いよくガードレールにぶつかって停まっていた

運転手のハンドル部分からは、エアバックが飛び出し、後部座席の類は、額から血を流しぐったりとしていた

「類様? 類様、、お怪我は、、、大変だ。 救急車を、、、」

運転手は、呆然と呟き、類の姿に青くなる
もちろん、音を聞きつけた周りの人々が、救急車を呼び、類はそのまま病院へ運ばれた




病院に運ばれた類は、頭を数針縫う怪我をしたものの、脳に異常はなかった
ただ、、

「あのっ、、俺は、、誰ですか?」

その言葉に、医師も、、そして運転手も驚く

「こちらの方は、覚えておられませんか?」

医師は、運転手を指さす
それに類は、ゆっくり頭を横に振る

「分かりません。 あのっ、、俺は誰? なんでここに?」

その類の言葉に、医師はゆっくり首を横に振る
そして運転手に告げた

「頭を強打したことによる記憶喪失だと思われます。 脳に異常は見られませんし、事故によるショックだと思われます。
一過性の者ですので、しばらくすれば思い出すと思いますが、しばらく様子を見ましょう」
「記憶喪失、、ですか、、」

そう呟き、運転手は類の顔を見る
頭に包帯を巻き、顔も少し腫れた類が、うつろな表情を向けている

そこに、佳代が息を切らせてやってきた

「類様!! お怪我は?」

飛び込んできた佳代も、類の姿を見ると言葉を失くす
そして、、キョロキョロと周りを見渡す

「あの、、牧野様は?」
「それが、、類様お一人でして、、」

出かけるときは、牧野家への料理とケーキ片手に、ウキウキとした表情だった
それが、こうして一人、、しかも事故の所為か、あきらかに表情が乏しいように思える

「それと、、頭を強打したことにより、記憶喪失になられておりまして、、」
「えっ?」

これには佳代もびっくりだ
だが、すぐ医師から一過性の物と聞かされホッとする

「とりあえず、、邸に帰りましょう」
「あのっ、、私はもう、、お暇を頂きとうございます」

運転手は、今回の件でかなりショックを受けていた
大切な跡取りである類を、このように大怪我させてしまった責任は重いと思っている

「私には、判断しかねます。 何分、それを判断する類様が、今は記憶喪失なのですから。 それに誰かが、車に向けいたずらをした為に起きた事故だと伺っております。
そのような中で、あなたの運転技術が功を奏し、この様な軽傷で済んだと思っております。
ですから、類様かご主人様の判断を待つことに致しましょう。
さっ、類様、、ご自宅に戻りますよ?」

佳代は、そっと類の腕を持つ
そして、労りながら乗ってきた車で、自宅へと戻る



車内では、佳代が類に優しく語りかけていた

「類様、、お名前は、花沢類と申しまして、、ただ今大学四年生でございます。 きっと、事故のショックで記憶が曖昧なのでございます。 すぐに思い出しますので、心配はいりませんから、、」
「花沢、、類?」

「はい。 そうでございます」
「花沢、、類。 はなざわ、、、」

類は、何度も名前を呟く
それは、自分の事を必死に思い出そうとしているように、、佳代の目には映った





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10 Comments

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2018-02-24 09:23

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2018-02-24 09:36

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2018-02-24 10:50

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2018-02-24 11:08

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2018-02-24 14:11

こんにちは

今日は、こちらはポカポカとしています
花粉とPM2.5が凄く飛び交っているらしいです
春は嬉しいのですが、それらが嫌ですよねぇ

って、それどころではない!!

事故です
類君のピンチ!!
しかも、記憶喪失に!!

色々とこの先の展開が考えられますが、、
それらの上を行きたいと思います(笑)

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りおりお
Re: ノエ様

りおりお  

2018-02-24 14:18

春の温かさを感じられる一日ですね
でも、花粉とPM2.5が凄いらしいですよ
それさえなければ、、何ですけどね

そしてお話、、
まさかまさかの事故です
あきらかに、花沢の車を狙っています

そして記憶喪失?
どうなる?
だからS嬢と?

いろいろ考えられますが、これから先のストーリーで「あっ」と気が付くかな?
お楽しみに

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2018-02-24 14:20

こんにちは

花沢の車が事故に遭いました
それは、、狙ったかのようです

類君は、事故により怪我をし、そして記憶喪失に(>_<)
だからS嬢と?

いろいろ考えられますが、私はS嬢が嫌いなんですぅ(ご存知の通りです)
ですから、頑張りますね

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りおりお
Re: ショコ~様

りおりお  

2018-02-24 14:25

こんにちは

新連載始まっています
と言っても、クリスマスとバレンタインの短編からの続きとなります

あの時から、ずっと切ない類君
つくしちゃんや牧野家を気遣いながらも、そっと支えてきました
でもそれは、つくしちゃんが好きだから
その気持ちに気付かないつくしちゃん、そして自分の心にも気付きません

そんな中、まさかの事故
しかも記憶喪失

今後の展開が読めそうですが、、「えっ」と思って頂ける様に頑張ります
是非お楽しみに~~

ヤフーブログは、ツイッターのような形になり、全公開になります
なので、こう言った二次小説向きではありません
私も、β化になったらこちらに引っ越しが難しくなるかもしれないので、今のうちにお話を移しました
これから、チマチマと編集作業をして順に公開していきますのでお楽しみに
頑張りますね

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-  

2018-02-24 23:43

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りおりお
Re: ゆきた~様

りおりお  

2018-02-24 23:56

こんばんは

花沢の車を狙ったかのような事故です
運転手も何とか回避しようとしましたが、類君に傷を負わせ記憶喪失にまでさせ、自信を無くしています

類君の方は、どうなるんでしょう?
現実逃避なのか、、それともなにかあるのか、、

是非この後もお楽しみくださいね

とりあえず、、ヤフーブログからの作品の手直しで一日パソコンとにらめっこ
目がショボショボしています

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