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また、明日ね<完>

5 恋人

6
車は花沢邸に着いた
そして、佳代に案内される形で、類は中に入った

「ここ?」
「はい、そうでございます」

類は、外観を見て立ち止まる
そして、邸の玄関に入り、再び立ち止まった

ツルツルと磨き上げられた廊下
大きな屏風のような立て板が目に飛び込む
それらをもの珍しそうにぐるりと見渡す

「さっ、お上がり下さいませ。 お部屋までご案内いたしますから」
「あぁ、、」

しずしずと歩く佳代の後ろを、類はついて歩く

「さっ、こちらが類様のお部屋でございます。 後でお飲み物をお持ちいたしますので、ごゆっくりされて下さいませ」

佳代は、部屋のドアを開け、お辞儀をする
それを見た後、その開け放たれた部屋を見る

和室だと思ったその部屋は、広い洋室だった

「ここ?」
「はい、そうでございます。 それでは、ごゆっくりなさって下さいませ」

あまりにもガランとしている部屋
あるのは、大きなテレビと大きなベッド、そして冷蔵庫ぐらいだ

「ここが、、、俺の部屋?」

類は、ベッドの端に座ると、心地よいスプリングが、お尻全体を包み込みフィットしてくれる
その上に置かれている布団も、軽くて温かだ
その布団を、二度三度と撫でる

そして、、思わずニヤッと笑みを漏らす



すると、ドアをノックする音が聞こえた

コンコンコン

先程の使用人が、お茶でも持ってきたのか?
と、顔を引き締めそちらを向き、、

「はい」
と、返事をした

「おい! 類! 大丈夫か!!!」
「事故にあったんだってな!!」

そこには、思わず二度見するくらいのイケメンが二人立っていた






司に連れられて向かった先は、メープルだった
そこのレストランに入ると、注文もしていないのに料理が運ばれてくる

「ねぇ、、あたし、お腹すいていないんだけど?」

類とは、ディナーを一緒にしようと言われていた
そして待ち合わせは13時だった

もちろんそれは、類なりの気遣いだ
親友と言う立ち位置で、昼も夜も食事を共にするのは、つくしが気にするかも?と考えての事だ

つくしも、類は朝が弱い事を知っている
その為、ブランチと言う形で、昼食前に軽く食事をし、13時と言う時間にしたのだろうと思っていた
その為、きちんと食事を済ませていた

「俺が空いてんだよ。 まあ、お前も食べられるだけ食べろよ」

この人は何時もこうだ
どうして始めに何が食べたいか聞かないんだろう?
そうすれば、ケーキセットのような軽い物を頼む事も出来たのに、、

つくしは、目の前の料理を見る

こんな高級料理を目にしても、満腹の今は美味しそうに見えない
それでも、、勿体ないし、、

つくしは、渋々ナイフとフォークを手に取る
そして、ちびちびと食べ始めた

「あのよぉ」
「ん?」

「もうすぐ約束の4年になるだろ?」
「そうだね」

「んでよぉ。 お前、、NYに来るだろ?」
「はっ? あたしが? NYに?」

「あぁ、、」
「ちょっ、、ちょっと待って! あたしはまだ大学3年生で、後一年残ってるし、、そもそも、あんたが日本に帰って来るんじゃなかったの?」

「いや、、元々、NYが本場のような物だし、まだこっちには帰れねぇんだ。 だから、お前が来いよ」

つくしは、どう答えて良いか悩む
元々四年の約束だったが、その頃になれば、司が日本に帰ってくると思っていた
それが、、

「大学は卒業したいんだけど、、だって、せっかくあんたが行かせてくれた大学だし」
「大学は、NYの方に編入すれば良いだろ?」

「無理だよ。 NYの大学なんて、ついてけないよ」
「お前、、かなり成績良いんだろ?」

「それとこれとは別でしょ? だって講師も全部英語で話すんだよ? 聞き取るだけでも不安なのにさ」
「大丈夫だ。 俺でも初めは苦戦したが、それも慣れてきたらスイスイと聞き取れるようになったしさ」

「でも、、」
「俺が限界なんだよ。 やっぱりお前に傍にいて貰いてぇんだ」

熱い瞳でジッと見つめられ、つくしはどう言って良いのか分からない

「今まで、全然連絡すらなかったじゃない? それに、今回だって突然だし」
「それは悪いと思ってる。 でもほんとに忙しかったんだよ。 今回だって、もう無理かも?ってぐれぇギリギリの調整でなんとか時間をもぎ取ったしさ。 それに、連絡を取ろうにも、お前が時差を考えろってよく言ってただろ?」

確かに、初めの頃はよく言っていた
だから、それを気にして連絡をしなくなった事が、今やっと分かった

「電話じゃなくても、メールでも良かったのに、、」
「俺は、お前の声が聞きてぇんだよ。 なんでチマチマと文字を打たなきゃならねぇんだよ」

ちょっと矛盾も感じるが、確かにこいつの性格だと、簡単に連絡が取れる電話を選ぶだろう

「でも、、NYとなると、、あたしはどこに住むの?」
「俺の家に決まってんだろ」

「あの家? あそこにはあんたの母親もいるし、、そもそも、母親が嫌がるでしょ?」
「大丈夫だ。 初めから四年経ったら好きにして良いって約束だし」

そう言うが、母親なりの口から出まかせでは?と疑ってしまう
それぐらいNYのあの邸には、良い思い出が無い

高校生の時の、あの苦い経験は今でも忘れられない
広い広い庭には、綺麗なバラが咲き乱れていたが、、それ以上に、母親の存在が棘の様に深く深く心に突き刺さっている

あの時、、類が来てくれなかったら
あたしは今頃、どうしていただろう?

進は、類にきちんと伝えてくれただろうか?
本当なら、今頃類と楽しいホワイトデーを、、

ん?
楽しいホワイトデー?

じゃあ今は、楽しくないって事?

つくしは、目の前の司を見る
そこには、昔と変わらず熱いまなざしを向ける司がいる

でも、その瞳に何も感じない
昔のような、胸の高鳴りや愛しさのような物が、、

久しぶりだからだろうか?
以前と比べ、かなり精悍な顔立ちになっているからだろうか?


つくしは、自分に問いかけるように、ジッと目の前の恋人を見詰めていた






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6 Comments

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2018-02-25 09:40

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りおりお
Re: ノエ様

りおりお  

2018-02-25 09:48

こんにちは

ノエさん、、お気づきになられましたね(ニヤリ)
そしてその願望、、大切に持っていてください(笑)

つくしちゃん、、やっと自分の気持ちに向き合い始めました
司君もNYで頑張っていたんですね
それは認めます
つくしちゃんとの未来の為ですから

でも、二人さえ良ければ後は、、と言う考え
つくしちゃんの家族の事はどうする?
もう少しつくしちゃんの不安を取り除く考えはないのかな?

明日も是非お楽しみに

ヤフーから引っ越した作品は2488話もありました(笑)
気が遠くなりそうです
とりあえず、簡単な物から作業を始めていきます

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-  

2018-02-25 10:14

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2018-02-25 10:29

こんにちは

ヤフーの話をすべてこちらに移す事にしました
β化になると、どう言った形になるか分かりませんし、今でしたらFCの引っ越しツールが使えたので、踏み切る事にしました
でもまだまだ手直しが必要で、、
順に公開していきますね

さてお話、、
司君は司君で、二人の未来の為に頑張ってきました
それは良く判ります
でも突然すぎますよね
しかもNYへ連れて行くつもりです

もちろん、それは初めからわかっていた事
でも、それならもっと早く連絡をして、心積もりなり家族との対話だった理をするべきところです
それを司君はしてこなかった
出来なかったのか、つくしちゃんしか見えない性格だからなのか、、それは判りません

さて、、類君が事故に遭ったことを知らない二人
この後どうなる?

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-  

2018-02-25 14:13

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2018-02-25 14:22

こんにちは

オリンピックは盛り上がりましたね
こんなにメダルを取るとは思っていませんでした
最近の人達は、メンタルが強いですね
私なんて、クラスの発表会でもドキドキしっぱなしで、失敗するばかりでした(比べる度合いが違いますけどね)

さてお話、、

類君はどうなるんでしょう?
そしてつくしちゃんは、改めて司君との未来に不安を抱き始めています
NYに一人で乗り込む、、傍にいた類君はいない、、やっていける?

やっと考え始めたつくしちゃん
類君が事故に遭ったことをまだ知りません
どうなるかな?

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