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また、明日ね

10 計画

12



病院を後にし、使用人が自分に優しく語りかける
そして、教えてもらったその名を何度も呟く

「花沢、、類。 はなざわ、、、」

そうしながら、誰も自分を『花沢類』と疑わないことが、面白くて仕方なかった



あれは、去年のクリスマスイブの事だった
この男が居候している女が働いている花屋に、偶然『花沢類』がやってきた

『これ、、花束にしてくれる?』
『あっ、、はい。 ありがとうございます』

女も、思わず二度見するほどよく似ていた
ただ違うのは、髪の色と目元ぐらいだろうか?
それ以外は、身長も声色も良く似ていた

だから、チラチラと何度も類を見ていたのだが、類自身はそう言う視線に慣れているため、特に不思議とも思わず、無視を決め込んでいた

そして、花束を受け取ると、その外で待っていた黒髪の女性に渡していた

『はいっ。 ママさんに渡してくれる?』

女性は嬉しそうにその花束を受け取り、その場を立ち去ったのだが、、
その女が、クレジットカードの名前を憶えていた

それを、この男に興奮気味に話したのがきっかけだった

『ねぇ、、良。 今日、あんたに良く似た男を見たよ。 
すっごく良く似ていたんだけど、その男性の方が品があると言うか、お金持ちでさ。 
だってブラックカードで支払うんだよ? 初めて見たよ、、ブラックカード。 
まあ、見た目はそっくりだけど、良とは雲泥の差だよね。 
だって、、あなたはまともに働かないし、借金だらけだしね。 
いい加減、あたしのヒモになるのは止めて、きちんと働けば?』

俺にそっくり?
お金持ち?

その時、良の頭の中の悪魔が囁いた

<なら、、この容姿を生かして入れ替われば? そうすれば、借金なんかイチコロに無くなるぜ?>

『なあ、、その男の名前は? クレジットカードで支払ったんなら、名前が書いてあっただろ?』
『はあ? なんでそんな事、知りたいのよ?』

『別に教えてくれたって良いだろ? なあ?』

良は、その女に甘えた声で話しかけ、いつものテクで翻弄し始める
この男は、定職に就く事は無く、この容姿と経験豊富なテクニックで、ヒモとして転々と女性を渡り歩いていた
つまり、生活一切を見てもらう代わりに、そっちの部分で楽しませると言う形だ

そしてこの女から、名前が『花沢類』であることを聞き出した

そこから今回の計画を考え、協力者を募った
もちろん、良の友達がすぐに名乗りを上げた

そして『花沢類』について調べると、花沢物産の御曹司であることが分かった
その時、仲間達も二の足を踏んだ

それを良が言葉巧みに言いくるめた
金銭目的の強盗であり、決して傷つけたりしないし、ましてや殺しなどもしない
しかも、なぜかSPらしき人物もいない為、必ず成功する

本人がそれなりの現金を持っていれば、その場ですぐに解放
無ければキャッシュカードを奪い、暗証番号を聞き出しお金を引き出す
それも無ければ、良が類に成りすまし、自宅から金銭を持ち出す、、と言う計画だ

容姿が一緒なら、家の中に入る事は出来る
ただ、家の事や中にいる人物を何も知らない為、苦肉の策で記憶喪失を演じる事を思いついた

記憶喪失なら、誰の事も知らない、、で通すことが出来る
そして上手く潜りこんだら、金銭を拝借し上手く脱出
その後、本物を解放すれば、良いだけだ

本人が家の金を持ち出したのだから、疑われるはずもない
その間、本人には眠って貰い、解放後に誘拐されたと言っても誰も信じないだろう
なぜなら、、本人は普通に生活していたのだから

それにこれだけの大金持ち
自宅には、かなりの金目の物があるはずだ
その中から数点を持ち出した所で、気付かない可能性の方が高い
と考えた

『そんな素人丸出しの計画で、成功するのか?』
と、仲間内では疑問の声が上がったが…

『だからこそ…成功するんだよ!
誘拐=巨額の身代金のイメージだろうからな!
それに…誰も入れ替わっていると言う発想には、ならねぇだろうし』

その為、良は一重を二重にプチ整形をし、髪の色を茶色に染めた
そうして、この機会を待った、、という訳だ

だが、現実的には想像以上に頭を打ち、数針縫うけがを負ったし、顔も少し腫れている
これは想定外だった

そして…もう後戻りはできない状態だった



車は花沢邸に着いた
そして、佳代に案内される形で中に入った

外観は、何度か見たことはあるが、一歩入った中は、また凄かった
旅館並みの庭に、広い玄関で、武家屋敷のようだ

思わず良は、ゴクリと喉を鳴らす

そして、ツルツルに磨き上げられた廊下を慎重に歩き、一つのドアの前で止まった

「さっ、こちらが類様のお部屋でございます。 
後でお飲み物をお持ちいたしますので、ごゆっくりされて下さいませ」

てっきり和室だと思ったその部屋は、広い洋室だった
そして、きちんとドアを閉めた後、、思わず顔がにやけた

何もかもが、、上手く行きすぎている
後は、現金があればそれを、無ければキャッシュカードを持ち出して、、
と、周りを見渡すが、あまりにもガランとしている部屋に、どこを物色してよいのか戸惑う程だ

大きすぎるテレビは、この部屋のどこからでも無理なく画面が観れそうだ
大きすぎるベッドは、ふんわりとした軽い布団が掛けられ、凄く眠り心地が良さそうだ

思わず顔がにやけるのが分かった



すると、ドアをノックする音が聞こえた
先程の使用人が、お茶でも持ってきたのか?
と、そちらを向くと、、

「おい! 類! 大丈夫か!!!」
「事故にあったんだってな!!」

そこには、良も思わず二度見するくらいのイケメンが二人立っていた

こいつらは誰だ?
だが、、こういう事を想定しての記憶喪失だ
良は、必死に心を落ち着かせる
少しでも動揺している素振りを見せれば、記憶喪失という事が嘘だとばれてしまう

「誰? お前達、、」

「はっ?」
「何言ってんだ?」

驚く二人を見ても、自分に疑いの目を向けない事に、更に自信が湧いてくるが、その二人はズカズカと中に入り、ベッドの端に腰掛けた

その行動に、良は内心舌打ちをする

本来ならば、すぐにこの屋敷を後にし、本物と入れ替わる予定だった
万が一、すぐに見つからなくても、半日あれば家探しできると踏んでいた
それが、、

チロリと見ると、二人は既にお茶に手をつけ、のんびりと寛いでいる
サッサと追い出すわけにもいかず、なんとかボロを出さないように、、と心がけ、良もベッドの端に腰掛けた

「それにしても良かったなぁ。 怪我が大した事なくてよぉ」
「まあ、、記憶の方もすぐに戻ると思うし、深く考えるなよ」

くっそ、、サッサと帰れよな!!
良は、内心イライラしながらも、記憶喪失を演じ続ける

「あぁ。 それで、、お前ら、、誰?」

「おっと、、そうだったな。 俺はあきら」
「俺は総二郎。 お前とは幼稚舎からの幼馴染だよ」

「あきらとそうじろう、、あきら、、と、そうじろう、、」

着ている服装からして、かなり高級品だ
それに幼馴染という事は、こいつらもかなりのお金持ちだと分かる
だが、苗字まで教えてくれなかったため、どこのあきらと総二郎か分からない
迂闊なことは言えない、、と、それ以上の事は口を紡ぐ

あきらと総二郎にとっては、その姿が逆に類そのものに映る
考え事をするときは、ジッと一点を見つめ黙り込む
その為、全然違和感を感じない

「まっ、明日には思い出すかもしれねぇし、深く考えるなよ」
「そうそう。 いつもみてぇに、よく寝ろよ。 考えすぎると逆に良くねぇぞ」

良も、自分を類と全く疑わない親友に、更なる自信を持つ

そして、二人に見えないように口元を手で覆いつつも、にやりと口角をあげた





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12 Comments

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2018-03-02 09:31

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2018-03-02 09:56

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2018-03-02 10:57

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2018-03-02 11:02

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Re: ノエ様

りおりお  

2018-03-02 13:14

こんにちは

プロローグのカラクリが分かると、安心して読めますよね

さて…誰にも気づかれず、うまく潜り込めている偽物
つくしちゃんだけが頼りなんですが…
どうなるでしょうか?

司くんは、耳を傾けてくれるかな?

明日もお楽しみに〜

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Re: ゆきり〜様

りおりお  

2018-03-02 13:33

こんにちは

ひな祭りですね
桜餅も柏餅も大好きです
良いなぁ(๑>؂<๑)۶

さて…
類くんによく似た男性…凄くだらしが無いですね
この素人丸出しの計画が、却って功を奏した感じ?
類くんほどの金持ちなら、断然身代金などの高額を要求しますからね
そして、誰も入れ替わりに気づいていない
つくしちゃんだけが頼りです
早く、類くんを助けてほしいですね

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Re: ゆきた〜様

りおりお  

2018-03-02 13:36

こんにちは

静さんは、関係なかったようです
でも…この偽物は静さんのことを知っていますよね?
なぜでしょう?
そして…誰も入れ替わりに気が付かない!
もちろん、静さんもそうなのでしょう?
と言うか…既につくしちゃんにライバル意識があると言うか…

とにかく、つくしちゃんだけが頼りですね

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Re: り〜様

りおりお  

2018-03-02 13:39

こんにちは

誰も入れ替わっていることに気が付きません
まさか!という思いでしょうね
似ているとはいえ、事故で顔を強打し腫れていることも幸いしていると思います

ただ…このニセモノも、計画が大きくずれてきています
本当ならば、既に金品を持ち出し、類くんを開放していたはずでは?

どうなるんでしょうね?

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2018-03-02 17:19

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Re: おち〜様

りおりお  

2018-03-02 17:46

こんにちは〜

楽しんで頂けているようで、嬉しい限りです
類くんに似ていると言っても、完璧に瓜ふたつではありません!
なのて、プチ整形です!

これで多少なりとも容姿は似せることができましたが、つくしちゃんの目は誤魔化せませんよね!

そして…何故静さんの事は知っていたのか?
それも、後で紐解かれます

そして…類くんのベッド!
これ、おち〜様と同じ気持ちですからご安心を!

明日もお楽しみに〜

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-  

2018-03-02 20:18

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Re: re〜様

りおりお  

2018-03-02 20:35

お久しぶりです!
お元気でしたか?

プロローグ…あれは衝撃的でしたよね!
でも、カラクリが分かれば納得されたかと?
静さんには、区別なんてつかない!
つくしちゃんだから、違いが分かったんですよね!

でも…逆に言えばつくしちゃんだけが疑問に思っている
これ…どうやって本物の類君を探す?
そして…どうやって救出する?
それとも、類君が次力で脱出?

困りました…
でも…何とかしなくては!
頑張ります!

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