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また、明日ね

14 別離

8
司とつくしが東の角部屋に入り、司がスーツのジャケットを脱ぎネクタイを外す
いつの間にかスーツ姿も板につき、ネクタイを外す姿も見惚れるほどだ
だが、、どこか遠い人のようにつくしの目には映る

「何、、見惚れてんだよ!」
「みっ、、見惚れてなんか/////」

司の軽いジャブに、つくしは真っ赤になりながら目を反らす
司は、Yシャツの袖をまくり、つくしの前のソファーに腰掛けた

「悪かったな、、なかなか連絡取らなくてよ」
「ううん、、忙しいって分かってたし」

「それでよぉ、、レストランでの続きになるんだが、、お前は、この春からNYに来たくねぇんだよな?」
「うん」

「どうしてもか?」
「うん、、やっぱり大学はきちんと卒業したい」

司は悩むものの、確かにずっとつくしの傍にいる事も出来ない
出張もあるし、家に帰宅するのも深夜に及ぶこともある
その間、つくしがNYの邸に居ずらいと言う気持ちも分からないでもない
それに自信が付くまで後一年なら、、、それで気兼ねなくNYに来てくれるのなら、、待ってやっても構わない

「じゃあ、、お前が大学を卒業するまで、NY行きは待ってやるわ」
「うん。 ごめん、、」

「でも、、それと身体の関係は別だからな! 俺達、、このまま清い交際っつうのもおかしいだろ? 
好きなら、そういう事をしてぇと思っても不思議じゃねぇだろ?
高校生の時は、お前が熱を出すし、俺も時間がねぇし、そのままになっちまったけど、、今夜なら充分時間もあるしさ。」

つくしも、司の言う事は良く分かる
今まで待ってもらっている
高校生の時には、まだ早いと思っていたが、あれから約4年と言う月日が流れている
そう言う行為をしても不思議ではない年齢なのだが、、
なぜだか、、どうしても二の足を踏む

「初めてなのは分かってる。 
俺も、、この年までやってねぇし、初めて同士で上手くいくのかっつう不安もある。 
それらもひっくるめて、俺達一歩前進しようぜ?」
と、まず自分の不慣れな部分を謝りつつも、そうしたいと真摯に告げる

その言葉を聞き、つくしは益々申し訳なくなる
司の言葉から、自分を凄く大切にしてくれている事が分かる
だから、他の女性とそういう事をしなかったのだろう

だが、、どうしても悩んでしまう
なんでなんだろう?

それに、、今は類の事が気になる
家に居たのは類ではない
じゃあ本物の類は、今どこで何をしているのだろうか?
早く見つけないとまずいんじゃないだろうか?

「あのねっ、、その事はちょっと置いといて、、類の事なんだけど、、」

司はピクリと片眉をあげる

「あの家に居た類は、、絶対に違う人だと思うの。 
だって、あんた達の事は覚えていないのに、静さんの事だけは覚えていたじゃない? 
そりゃ、静さんは類にとっては大切な人だと思うけど、それならあんた達の事を覚えていてもおかしくないでしょ? 
それにね、、」
「牧野!!」

つくしが、更に話を続けようとするのを、司が強い口調で制止する

「お前、、何言ってんだ?」
「何、、って?」

「なんで類の話をするんだ? 今、俺達は大切な話をしている所だろうが?
それを、その話は置いといて、、と、簡単に片づける方がおかしいんじゃねぇのか?」
「あっ、、ごめん。 でも、あの類は偽物だと思うんだ。 
じゃあ本物の類が今どうなっているか、早く見つけないと大変な事になるでしょ?」

司は、テーブルをドンッと叩く

「類が偽物のはずがねぇだろ! 車に乗っていての事故だぜ? 
そこから病院に運ばれて家に帰宅しているだろうが! 
確かに、今は顔が少し腫れていたが、それでも類は類だっただろうが!! 
それに、類が違うのなら、運転手や使用人だって気付くだろうが!!」
「でも、、」

それでも、つくしは自分の自論を述べようと口を開いた
だが、それよりも先に司が言葉を発した

「お前、、まさか類の事が好きなのか?」

つくしは思わず驚愕の表情を見せる

「何を言って、、、」
「そうだろ? 類が静の事だけを覚えていたのが気に食わねぇんだろ!! 
それをなんというか知ってるか? 嫉妬って言うんだよ!」

「ちがっ、、違う!!」
「いや、違わねぇよ!! 類が未だに静の事が好きだと分かり、ショックを受けてんだよ!! 
それを認めたくねぇから、類が別人だと思い込むんだよ!! 
そりゃ、俺がいねぇ間は、ずっとお前の傍で優しく接していたのかもしれねぇけど、、
それは、お前は俺の彼女だからだよ!! それなのに、お前はまたフラフラしやがって!」

「違う!!」
「何が違うだ!! そうだろうが!! でなけりゃ、久しぶりの恋人との甘い一夜を断ろうとするか? 
お前、その話の時、どれだけ嫌そうな顔をしていたか知っているか?
挙句の果てに、類は別人だとぬかしやがって!!」

「ごめん。 そんなに嫌そうな顔をしたつもりはないんだけど、でもなぜかそういう事は考えられなくて、、
それがどうしてなのかあたし自身も良く分からないんだけど、、」
「それは、俺より類の事が好きって事だろ!! 
普通、好きなら、、しかもこれから後一年も離れ離れになるんなら、少しでも互いの温もりを味わいたいと思うのが普通だろ? 
それがどうしてそう思わないんだよ!!」

司に言われ、初めてその事に気付く
確かに、、後一年も離れ離れになるなら、好きな人の温もりを感じたい

つくしが黙り込み、何かを考えている間も、司の悲痛な叫びは続いていた

「類は、記憶が無くても、心の奥底にあったのは静の事だけだったっつう事だろ!! 
それをお前は認めたくねぇんだよ!! だから、類は偽物だと思い込もうとしてんだよ!!」

この人に、、どんなに類は別人だと伝えた所で、確証が無ければ信じてはもらえない
それに、確かに遠距離恋愛中の恋人と久しぶりに会ったと言うのに、類の事が気になる
それは、あたしが類との約束をすっぽかしたからだけではない
あの類は、絶対に類ではないと言う自信があるからだ

そして、恋人よりも類の事が気にあるあたしは、、こいつの言うとおり類の事が好きなのかもしれない
ずっと寄り添ってくれた親友だ
今も、ただの親友としか思われていないだろう
でもあたしは、、

つくしは、しっかりと司の顔を見つめる
その瞳は、既に気持ちが固まったのか、ブレていない

「そうかもしれない。 
あたしは、類の事が気になるのは事実だし、あんたと一夜を共にとはとても考えられない。 
あんたがそれを『類の事が好きだからだ』と言うのなら、そうかもしれない。 
それが今のあたしの気持ち。
そして、静さんに嫉妬していると思うのは、あんたの自由だし、そう思われても構わない。 それが答え。
現にあたしは今、、類の事が凄く気になる。
じゃ、帰るね」

「えっ? おいっ!! ちょっと待てよ!!」

司としては、もっと食って掛かると思っていた
『そうじゃない! 好きなのはあんただけ! 事故に遭った類が、少し心配だっただけ』
その言葉が返ってくると思っていた
ところが、今にもつくしは帰ろうとしている

「おい!! 今日はせっかく半日休みをもぎ取って、明日にはまたNYへ帰らないといけねぇんだぞ!! 
こんな事で喧嘩なんかしている場合じゃ、、」
「確かに、あんたにとっては『こんな事』なのかもしれない。 
でもあたしは、今の類は違うと感じてる。 そして、それを確かめたいと思ってる。 
あんたは、あたしとの一夜を楽しみにしていたのかもしれないけど、あたしにはやはり気が重い。 
とても肌を合わせ温もりを確かめたいとは思わない。 
それが時期尚早なのか、それともあたしの気持ちが既に冷めているのかは判らない。 
ただ、あんたとの一夜よりも、類が気になるあたしは、、、やはり類の事が好きなのかもしれない」

つくしは、司の目をしっかりと見て告げる
それを告げれば、もう二度と恋人に戻れないと感じている
だが、、それが正直な気持ちなのだからどうしようもない

「お前、、俺と別れるっつうのか?」
「そうなるね。 ごめんね、、今まで待っててくれたのに、、」

「おい、、本当にそれで良いのか? 類は、静の事が好きで、、今頃、あいつらは、、」
「温もりを感じ合っている、、と言いたいんでしょ? 
確かに、ホワイトデーは恋人が愛を語り合う日って言うんなら、そうなんでしょうね。 
それを言うならあたしは、、あんたと一緒にホワイトデーを過ごすことはできない。 それが答え」

「っつう事は、、別れるで良いんだな?」
「うん」

「お前、、バカか? 類は静を、、」
「バカで結構!! あたしはあたしの信じた道を行くから。 
ただ、あんたには感謝する。自分の奥底に眠っていた気持ちを判らせてくれたから。 
ありがとね。 じゃあね。」

つくしは今度こそ司に背を向ける
そして、ほんの30分ほど前に入ったドアを開け、出ていった

その後ろ姿を、司は放心した状態でただ見つめていた




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8 Comments

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2018-03-06 09:31

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2018-03-06 11:40

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Re: ゆきり〜様

りおりお  

2018-03-06 13:01

こんにちは

つくしちゃん…司くんの言葉に、初めて自分の気持ちが分かりました
だから…司くんと別れました

司くんも、まさかの展開だったでしょう
でも、目の前で類君の心配ばかりをされては、頭に血が上ってもおかしくありません

つくしちゃん…類くんに違和感を覚えつつも、司くんの言うとおり静さんに対する嫉妬から?とも思っていますが、とにかく違和感を見極めたいのでしょう

どうする?
でも…流されて司くんと関係を持つのは避けられましたね

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Re: リ〜様

りおりお  

2018-03-06 13:04

こんにちは

司くんの言葉に、やっと自分の気持ちが分かりました
だから…きっぱりと司くんと別れました
自分の中に生まれた類くんへの違和感
頭の中には、それを確かめたい一心のようです
でも…どうやって?
誰も信じてくれないし、司くんの言うとおり、自分に良いように感じているだけかも?とも、思いますよね?
静さんに対する嫉妬も否めないし…

でも、つくしちゃんだけが頼りなんですよね!
頑張れ〜

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2018-03-06 14:05

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Re: ノエ様

りおりお  

2018-03-06 16:12

こんにちは
授業態度は…もうどうにもならないかも?
性格もあるし…
教師も大変ですよね
確かに昔は、立たせるとか、廊下に出すという手段も取れたのですが、今は何をしても虐待と言われて教師が裁かれる…
それも、どうかとおもうんですが…

司くんの言葉に、つくしちゃんは自分の気持ちがわかりました
司くんとの未来よりも、類くんへの違和感の方が気になっている事実!
それは、静さんに対する嫉妬もあるのかも知れませんが、モヤモヤとした違和感を何とかしたくて仕方ない!
もちろんそれは、類君がニセモノなのでは?との思いですよねぇ…

誰も信じてくれないし、これからどうする?

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2018-03-06 16:44

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Re: ゆきた〜様

りおりお  

2018-03-06 17:28

こんにちは

司くんの器量が試された感じですね
でも…相手が類君
嫉妬しないほうが無理ってものでしょう

司くんの言葉に、つくしちゃんも時分の気持ちに気が付きました
気がついたからには、このまま司くんとなんていられない!
キッパリと別れを選択し、自分の中の違和感を信じて動こうと…

でも…どうやって? 
誰も信じてくれないし…

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