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また、明日ね

15 謝罪

8

つくしが、司の部屋を出て、まっすぐ玄関に向かっていると、後方から物が割れる音がする
それを耳にしながらも、立ち止まる事なく真っ直ぐ歩く

誰も信じてはくれない
バカげた発想と思われている

でも、、あたしは別人だと感じている
あれは、絶対に別人だ

それをどうやったら判って貰えるんだろう?
そして、本物の類は、今頃どこにいるのだろう?


すると、音を聞きつけたタマが飛び出してきた

「あっ、、つくし!」
「タマ先輩、、お世話になりました。 帰りますね」

「えっ? 今夜はここに泊まっていくんだろ? 食事もまだ用意が出来ていないんだ」

それにつくしは、黙って首を横に振る

「何があったんだい? 坊ちゃんの事だ、いきなり押し倒そうとしたのかい? 
ごめんよ、、タマに免じて許してやってはくれないか? 
あの子も、あんたとそういう事をしたくて仕方が無かったんだと思うんだ。 
ずっと離れて頑張ってきたからね。 だからムードも何もなく性急になりすぎたんだと思うよ?」

タマが必死に司を庇い謝る姿に、つくしはただ申し訳なく思ってしまう
悪いのは自分だ
こういう事があって、初めて自分の気持ちに気が付いたんだから

そう言えば、類からクリスマスイブを一緒にと言われた時、凄く心躍った事を覚えている
あれが、単に親友と過ごすクリスマスイブと、どうして思ったんだろう?

今日もそうだ
前日から洋服を気にし、当日も何度も鏡の前でチェックして、、
あれはどう考えても、好きな人と過ごすホワイトデーじゃないか!!

それを、、
今頃になって、気付くなんて、
しかも、忙しいにもかかわらず、わざわざあたしに会いに来て、こっぴどく振るなんて、、あたしは最低だ

ごめんね、、道明寺

「タマ先輩、、すみません。 あたしが全部悪いんです。 道明寺は全然悪くないんです」
「つくし?」

「あたしは、、あいつより気になる人がいるんです。 
その事に、やっと気が付いたいんです。 もちろん、その人とどうこうなりたいとは思いません。 
ただ、あいつとこのままでもいられないんです。 だから、、別れました」
「つくし、、その人の事は本気なのかい? 坊ちゃんが、あまりにも性急すぎて、断る言い訳にしていないかい?」

すると、つくしは淡く微笑む

「本気です。 それに、あたしの勝手な片思いです。 彼は、ただの友達と思っているはずです。
でも、、あたしが好きなんだから、どうしようもないです。 それを道明寺に気付かされました。 
そしてタマ先輩、、今までありがとうございました。 あいつの事を、これからもよろしくお願いします」

つくしは、ガバッと頭を下げる
その言葉に、タマはただ目頭が熱くなる

真面目すぎるつくしらしい言葉
嘘がつけない性格だからこそ、自分の気持ちに気付いた時、坊ちゃんとはやっていけないと感じたんだろうねぇ

坊ちゃんも、まさかこうなるとは思わなかっただろうね
事を急ぎ過ぎ、つくしの中に眠っていた気持ちに気付かせちまったのかねぇ

あたしゃ、坊ちゃんも大切だけど、つくしも大切なのさ
だから、つくしが坊ちゃんよりも好きな人が出来たんなら、それを応援してやりたいねぇ

タマは、つくしの背中を優しく摩る

「そうかい、、片思いでも自分の気持ちに気付いたから、坊ちゃんを振ったのかい?
ほんと、、あんたらしいねぇ。 あたしなら、両想いになるまで坊ちゃんとの付き合いを続けるけどねぇ。 
まっ、坊ちゃんの事はあたしに任しな! あんたは、後悔のない人生を歩めば良いからさ。 
もちろん、もう二度と元には戻れないと分かっての行動だろ?」

つくしは、目元を手の甲でごしごしと擦り、ガバッと顔を上げる
「はい! 分かっています。 いろいろとお世話になりました」

そう告げた後、タマに笑顔を見せる
そして軽くお辞儀をした後、サッと玄関へ向かった

そのつくしの姿を見送りながら、、
真っ直ぐすぎる二人の恋路が、上手くいかなかったことを、残念がるタマだった






花沢邸では、良と静がベッドに腰掛けて話をしていた

「久しぶりに来たけど、相変わらず殺風景な部屋ね」
「そう? って事は、よく来ていたんだ」

「えぇ、、類が小さい頃からよく遊びに来ていたわ。 私の後を、黙ってついてきていた物よ」

静は、昔の事を思い出しながら告げる
その表情は、昔を懐かしみ穏やかな表情だ
そう言う表情を見るのも初めての良は、新たな一面を見たようで嬉しくなる

「俺が? 静の後を?」
「えぇ、、私達は幼馴染で、、類は、、」

静はここで口を噤む
そして、ただ視線で語りかける

「静の事が好きだった?」
「くすっ、、えぇ、、そうね」

「残念だな。 そう言う気持ちすら、全然思い出さないや」
「大丈夫よ。 きっと思い出すから」

そう言いながら、良の頭を優しく撫でる
その、幼子をあやす様な仕草に、静にとって花沢類は、弟の様な扱いやすい人物だと分かる
そして、記憶の無い今なら、自分の想いのままにできると思っているんじゃないだろうか?
だから、昔は自分の事が好きだった、、と肯定した

「じゃあ、、親が寂しがっているから数日ここで過ごすと言っていたけど、本当は、俺と一緒に過ごしたかったとか?」
「あらっ、、どうしてそう思う訳?」

「ホワイトデーと言う行事に、静のような女性なら、沢山の男性から言い寄られているはずだし、
甘い時間を過ごす相手は沢山いるだろ?
それでも、それらの誘いをキャンセルし、俺の為にこうして駆け付けた
それって、、どんな男性よりも、俺の事が大切って事だろ?」
「まあ、、、でも、そうなるわね。 どんな男性より、類の事が大切だもの。」

静は、綺麗な頬笑みを見せる
それは、グラビアでよく見た頬笑みだ
という事は、作り物の笑顔だと分かる

何があったか知らないが、この花沢類にきっぱりとフラれているはずだ
でなければ、日本に帰っていながら、この家に足を運んでいないなんて考えられない

それに、静のプライドがそれを許さなかった?
別れた男性の事を、何時までも追いかけたりしない
自分は、、いくらでも良い寄ってくる男性がいる、、そう言う所だろうか?

でも、、今はその『花沢類』は記憶喪失中
いくらでも、記憶を書き換えられる?
それこそ、、もう一度関係を持つ事によって、復縁を迫る事ぐらい容易いと踏んだのか?

と同時に、牧野と言う女に、かなりのライバル心を燃やしている
だからこそ、肌を重ねたい訳だ
『花沢類』は、、昔も今も、、自分の物だと誇示したいんだろう

まあ、、俺は花沢類じゃない
静が俺とやりたいと言っているんだから、、喜んで肌を重ねてやろうじゃないか

こんな極上な女と関係を持てるなんて、、もう二度とないだろうし

「良かった。 静と一緒に過ごすことが出来て。 
これで入院にでもなっていたら、それすらも無理だっただろうしさ」
「えぇ、事故に遭ったと聞いた時はビックリしたけど、大したことが無くてよかったわ」

ここで佳代が食事の用意が出来たと呼びに来た

「じゃ、、楽しいホワイトデーを過ごそうか?」
「えぇ、、そうね」

二人は揃って立ち上がる
そして、静はそっと類の腕に自分の腕を絡め、身体を預けた

そう言う行動をしながらも、自分を花沢類と疑わない静に、良も笑いが止まらない
しかも、、今夜は最高の夜になるのだから




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8 Comments

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2018-03-07 09:28

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2018-03-07 09:32

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2018-03-07 09:38

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Re: ノエ様

りおりお  

2018-03-07 11:39

こんにちは〜

つくしちゃん…司くんに対し、申し訳ない気持ちでいっぱいです
自分との未来のために頑張ってきた
その為、なかなか連絡も取れなかった
その間に、自分の心は類くんに向いていて…
悪いのは全て自分…と思っています

でも、気づいたんだから戻れない
と同時に、自分が感じた違和感を確かめたいんだと思います

さて…どうする?
協力者はいないのかな?

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Re: おち〜様

りおりお  

2018-03-07 11:46

こんにちは

類くんへの思いに気がついたつくしちゃん
それを隠して主くんと付き合うことができない性格
しかも…類君が自分のことを好きかどうかもわからない
親友という位置でずっと側にいてくれたから…
それでも、司くんとの縁をキッチリ断って前へ進み始めました
事故に遭った類君への違和感…
単なる嫉妬で、そう思ったのか?
とにかく確かめてみたい!と思っています
さて…どうする?

S嬢は、何も気づかないまま勝ち誇ってますしね!

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Re: ゆきり〜様

りおりお  

2018-03-07 11:51

こんにちは〜

つくしちゃんは、司くんに対して申し訳ない気持ちでいっぱいです
司くんも、もっとつくしちゃんに寄り添った言葉を発していれば、こうして別れることはなかったはず!
二人ともまっすぐすぎるんてしょうね

別れたものの、類くんとは親友関係と思っているつくしちゃん
ただ…あの類くんに対する違和感が拭えません
静さんが現れて、二人の姿を目にして嫉妬もしている
だから…あの類君はニセモノ!と思っているのか?
つくしちゃんの心も揺れています

さて…どうする?誰か味方になってくれないかな?

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2018-03-07 12:26

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Re: り〜様

りおりお  

2018-03-07 13:53

こんにちは

良は、静の思惑などお見通し…
さすが、ヒモとして生活しているだけのことはある
女の心情などお手の物のようです

その良からの連絡がない限り、類くんの解放は無い!

つくしちゃんだけが頼りなんですけど、つくしちゃん自身も確証が無い為、おおっぴらに言えない…
それに、話に耳を傾けてくれる人がいない

どうする?

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