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また、明日ね

28 祝杯

10
あきらと総二郎は、病院からバーに場所を移した
類が目覚めた事、そして二人が思いを遂げた事に安堵し、後は佳代に任せそっと病院を後にした
それは、今は二人っきりにさせたいと言う気持ちからだ

そして、二人で祝杯を挙げる

「良かったな。 類の意識が戻ってさ」
「あぁ、、丸二日も眠っていたしな」

「しかし、、あいつ凄いな。 誰も類が偽物だなんて思わなかったのにさ」
「あぁ、、それもあいつの勘? それと、類の事を良く見ていたんだな。 
だから、偽物との僅かな違いに気づいてさ」

良と共に捕まえた男から、類が奥多摩の山中から逃げ出し、滑り落ちたと聞いた時はかなり驚いた
そこから、すぐにその場所へ向かい捜索したところ、確かに人が滑り落ちた形跡があり、その先の沢に仰向けになった類を見つけた

そして急いで病院に運んだのだが、低体温症一歩手前と、右足を捻挫していると言う診断だった
そこからずっとつくしが付き添っていた

それは、もう絶対に離れない、、と言う思いがヒシヒシと伝わるものだった


二人は、グラスに口をつけ、喉を潤す
少しアルコール高めの酒は、喉がピリピリと焼ける感じがする

「あいつ、、凄いよな。 俺なんて、全然分からなかったぜ」
「あぁ、俺も。 あいつより長年一緒に居たはずなのにさ、、」

二人は、琥珀色のグラスを見詰めながら、類に付き添うつくしの様子を思い出す

穏やかな顔で眠る類の頬に触れ、その温もりを確かめてはホッと安堵し、そしてずっと手を握っていた

『お前も、家に帰って寝たらどうだ?』
『うん、、でも、もしまた誰かが入れ替わったら、、って思うとね。 だから目を覚ますまでは、ずっとついていたい。』
と、穏やかな表情で類を見詰めながら告げていた

『ここにはSPも配置したし、もう二度とそういう事にはならないぜ?』
『うん。 分かってる』

『しかし、、こいつ、目覚めたらびっくりするだろうな。 ただ一人、お前が偽物を見破たって聞いたらよ』
『だろうね。 だって類は、あたしがそこまで類の事を見ていたとは知らないはずだし。』

『だよな。 こいつも俺達も、お前は司の事が好きで、この四年間頑張ってきたとばかり思っていたからな』
『私も、そのつもりだったよ? でも、、蝶々結び?みたいな感じかな?』

その言葉に、あきらと総二郎は顔を見合わせ、頭を捻る
訳が分からないと言った感じだ

『あのね、、赤い糸ってよく言うでしょ?』
『あぁ、、運命の人と繋がっているって言うやつだよな?』

『そう。 その赤い糸ってね、、たぶん類と静さん、あたしと道明寺が繋がっていたと思う』
『おいおい、、それは無いと思うぞ?』

何を言いだすんだ?
と、あきらは急いで否定の言葉を口にする

だがつくしは、あきらの言葉にゆっくり首を横に振り、先を続ける

『その自分の赤い糸と、類の赤い糸を共に手繰り寄せ、むりやり蝶々結びを作ったのよ。
初めは、私の方の輪が大きくてね、、凄く不格好で、、それを綺麗な輪になるように必死に結んで。 
でも類が静さんを追ってフランスに行った時に、その糸は解けたんだよね。 
そうしたら今度は道明寺がNYでしょ? 
寂しくなったあたしは、また勝手に類の赤い糸を手繰り寄せて、勝手に輪を作って無理やり結んで、、
無意識にその糸が解けないように固く固く結んでいたのよ。 
それを今回の件で、道明寺に指摘されて、初めて気が付いた。
あたしは、道明寺との未来の為に四年間頑張っていたんじゃなくて、類と過ごす日々が楽しくて、無意識に横恋慕していたんだって。』

なるほど、、と二人は思う
だが、それを言うなら、類の方もしっかりと横恋慕と言う蝶々結びをしていたと感じる

確かに、初めは牧野の方が手繰り寄せ、蝶々結びをしていただろう
でも、類がフランスへ行ったとき、その糸は自然に解けた
そして類がフランスから帰った時、今度は類の方が糸を手繰り寄せ、蝶々結びを作った

その糸は、何度も解けそうになったが、それを類がギュッと結び直し、そして綺麗なハートの輪になるように微調整をしていたように感じる
もちろん、牧野は無意識に調整をしていたんだろう
共に、、解けないように、、と固く固く結んでさ

『じゃあ、、結んだその先の糸はどうしたんだ?』
『あたしは、既に切ってるよ。 
後は、、その蝶々結びが、未来永劫綺麗なハートであり続けると嬉しいんだけど、、どうだろ?
勝手にあたしが結んだだけだし、類もまさか勝手に結ばれているとは、思わないだろうし』

そう呟くつくしは、至極真面目だ
鈍感にもほどがあると思うが、それがつくしであり、そんなつくしを二人の男が好きになったのだから仕方ないとも思う

そして、、
類の方も、既に切っているぜ、、
と知っているが、それは自分たちが告げる事ではない

類が、きちんと告げる事だから


と、その時は思っていたが、案の定目覚めた類は、すぐに自分の気持ちを告げていた

――好きだよ
 ずっと、、ずっと、好きだった


「しかし、、あいつも面白い表現をするよな」
「あぁ、、蝶々結びだろ?」

「あぁ、、あれを聞いた時、納得したんだ。 
確かに、互いの糸を手繰り寄せ、蝶々結びを作ったんだけど、それは二人で結んだんだろうな」
「あぁ、、初めは牧野が勝手に結んだんだが、類がフランスへ行った時点で一度解かれ、そして今度は類がフランスから帰ってきて、その解かれた糸を必死で結び直して、、
初めは互いに不格好な輪っかだったものが、次第に綺麗なハートになってきて、、
今ではしっかりとボンドで固められているんじゃね?」

二人は、目覚めた時の二人の雰囲気を思い出す
互いにしっかりと見詰め合い、周りは全然見えていなかった
そして類の言葉や姿には、つくしを思い遣る部分が多々あり、二人にしか分からない独特な空気が漂っていた

それは、言葉が無くとも二人だけに伝わる思いだ

「それにしても、犯人グループは安直的な発想だよな。 
しかも、盗む金額が200万って、少なすぎだよな? 
手伝った奴らなんて10万円で引き受けたんだろ? 考えられねぇぜ」
「あぁ、、類を誘拐したんだから、億ぐらい要求しろよな!!」

「まあ、それだけ小心者って事だろうし、だからこそ類は無事だった訳だしさ」
「確かにな。 これが本当の悪人なら、即殺しただろうし、、まっ何にしろ、良かったな」

あの時、つくしだけが偽物だと気付いていた
もし、つくしが気付かなければ、今も偽物が類に成りすまし、そして本物の類は、きっと生きてはいなかっただろう

それを思うと、司はもう太刀打ちできない
それが分かっているからこそ、司も類が捻挫だけで発見された事に安堵し、そして『あいつの事、、頼むな。 しばらく仕事に没頭するわ』と、あきらに告げたのだろう

「あいつも大人になったよな」
「あぁ、、四年間、頑張ったって事だろうな」

と、二人はNYの親友に思いを馳せた
そして今度は、、静に思いを馳せる

「あいつ、、全然太刀打ちできなかったな」
「あぁ、、最後まで、偽物の類に気付かなかったし、フランスへ行くための荷造りをして待っていたんだろ?」

「まあ、静にとっても女の意地?って感じだったんじゃね? 
少なくとも、初めは類の心を得ていたのに、いつのまにかそれを牧野に取られたんだからさ」
「って言うか、それが牧野だったから嫉妬したんじゃね? 自分が負ける筈がないって言う驕りがあったんだろうからよ」

「それに、偽物ってかなりのテクを持っているらしいな。 定職につかず、ヒモ状態で女を転々としていたんだろ?」
「それを考えると、静にとっても良かったんじゃね? 
それこそ、偽物の標的になり、静のヒモとして暮らす事になったかもしれねぇしよ」

「って言うかさ、、静の奴、かなりショックだったらしいな。 表面上は必死に取り繕っていたけどよ」
「だろうな。 あいつと寝る相手は、バックグラウンドがしっかりした奴だろうし、それこそ金持ちだろ? 
だが偽物は、その辺は全然だし、あるのは女を喜ばせるテクニックだろうしさ」

「まっ、自業自得なんじゃね? 疑いを持たず、嫉妬の果てに、やる事だけはしっかりとやったんだからよ」
「だな。 牧野の様に、早々に偽物と気づけば良かっただけの事だしさ」

「しかも、、偽物の裸も見てんだろ? なんで気付かねぇんだ?」
「それだけ、、いろんなモノを見てんじゃね? 
だから誰がどう言うモノをしていたのか気付かねぇんだろうよ。 お前もそうだろ?」

ウッと言葉に詰まる総二郎
確かに、、過去の女性の裸を覚えてはいない

「ふんっ、、お前もだろ!」

総二郎は、あきらにも同じ言葉を口にする
それに対し、あきらも苦笑いを浮かべるにとどまった

そして二人は、アルコールの高いお酒を一気に煽り、その話を終えた



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10 Comments

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2018-03-20 09:33

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2018-03-20 09:49

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2018-03-20 10:51

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2018-03-20 12:13

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りおりお
Re: ノエ様

りおりお  

2018-03-20 14:44

こんにちは

あきら君とそうちゃんは、改めて二人の絆を思い知らされましたね
その点、自分達は、、静さんと同じで肌を重ねても気が付かない、、、
まあ、そんな付き合いしかしてこなかったと言う事ですよねぇ

類君とつくしちゃんは、ずっと親友と言う名の元、愛を育んでいた
少しの異変も見逃さないでしょうね

塾の保護者会でも、きっと良い事は言われないでしょうね
でも本番さえ良ければよいのです!
せめて凡ミスだけはしないように、今からキチンと問題をよく読む癖をつけておかないと、、ですよね
『頑張れ』は負担になると言うし、どう励ましていいのか難しいですね
そんな時は、笑顔で抱きしめる?

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2018-03-20 14:49

こんにちは

つくしちゃんが話した『蝶々結び』のたとえですが、そんな歌があったんです
その歌に感銘を受けました(笑)

でも、類君とつくしちゃんの恋模様にソックリだな、、と思ったんです
二人で必死に糸を手繰り寄せ、結び合い、綺麗な輪っかになる様に微調整して、それがいつしかハートの模様になっていった
そんな感じですよねぇ

だからこそ、今回の事件で、つくしちゃんは直ぐに類君に違和感を感じた
しっかり結んだ糸は、この人の糸では無い!と言う所です

明日もお楽しみに

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りおりお
Re: ゆきた~様

りおりお  

2018-03-20 14:52

こんにちは

蝶々結びと言う歌ありますよね
その歌詞が、まさしく今回のお話ピッタリで、それを聞きながら作りました
あの歌に感銘を受けました

うちの子供達は、蝶々結びが下手では無いのですが、
恋に関しては、かなり下手です
と言うか、まだ恋をしていない(笑)

彼女や彼氏と言った物を、早く作ってくれ~~と言いたいです(笑)

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りおりお
Re: り~様

りおりお  

2018-03-20 15:00

あきらも総ちゃんも、つくしちゃんに頭が上がりません
ずっと一緒に過ごしてきた自分たちでさえ、類君が偽物とは全然感じていなかった
もちろん、静さんもです

それなのに、つくしちゃんは直ぐに違和感を感じていたんですから、、

あれ、つくしちゃんが違和感を感じなければ、本当に偽物が類君として過ごしていたかもしれません
怖い話ですね

そして、、二人の絆の強さを感じ、これには司君も太刀打ちできないと悟りました
もちろん、司君もそう感じたからこそ、悪あがきする事無く諦めました

さて、、お話もそろそろ終わりかな?
明日もお楽しみに

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2018-03-20 23:39

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りおりお
Re: kei~様

りおりお  

2018-03-21 08:08

そうです
Aimerの『蝶々結び』です
エメと呼ぶんですね
それすら知らなかったです(笑)
エイマーとばかり思っていました(笑)

PV特集を見ていると、この曲が流れて来て、一度で引き込まれました
この人の歌詞と歌声が良いですよね
でもショートバージョンしかないんです(どの曲もですよ)
なので、全部を聞いたらどんな感じなんだろう?と思っています

コンサート行ってみたいなぁ
チケットが取れないのも頷けますが、その前にこんな田舎には来てくれない(笑)
全国回ってくれると嬉しいなぁ(演歌歌手のようにね)

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29 相愛
27 安堵