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また、明日ね

29 相愛

17
類は、無事退院する事となった
捻挫も、後は自宅で湿布を代えるくらいで済む程度にまで回復している

そんな退院にも、つくしは付き添っている

「ねぇ、、足は痛くない?」
「ん~~、、少し?」

「あたしの肩に捕まって? あまり痛めた足に体重をかけない方が良いんじゃない?」
「ん、、ありがと」

類は、そっとつくしの肩に手を置く
ずっと、、こうして肩を抱いて歩きたかった
それが親友の立場からは憚られた

でも今は、、、
その思いから置いた手に力が入り、グイッと自分に引き寄せる

「えっ? あっごめん。 離れすぎてた?」

だが、つくしは何も気づかない
しきりに類を気遣う
そんな鈍感なつくしも、愛おしくて仕方ない

「大丈夫。 ありがとう、、牧野」
「どう致しまして」

そして花沢の車に乗り込む
そして今度は、つくしの手をそっと握る

「あのっ、、」
「ん?」

「手、、をね、、」
「ん?」

「ここは車内だし、何も繋がなくても/////」
「だって、もしまた偽物に入れ替わったら困るだろ?」

類はもっともな理由を告げ、ニコリと笑う
その笑顔に弱いつくしは、ポッと頬を染める

確かにそうなのだが、車中だし、ましてや運転手の横にはSPも一人いる
もう、入れ替われる事態は二度と起こらないと思わないのだが、、、
少しヒンヤリとした手に、つくしも安心するし繋いでいたいと思う



類は、目覚めた翌日に、あきらと総二郎から、今回の一件を詳しく聞いていた
そして、つくしただ一人が、偽物であると気付いてくれたと知った
それが無ければ、今もまだ偽物が花沢類として居座っていたかもしれないと知った時は、かなり驚いた

それほどソックリな奴が、堂々と成りすましていた
しかも、短絡的な犯行
だが逆にそれが、皆の目を逃れた結果になったのかもしれない
これが、大金を要求するような輩だった場合、確実に自分は生きていないだろうし、犯人も早急に捕まっただろう

その上、偽物との大立ち回りでは、つくし自らが犯人の胸倉を掴み、涙ながらに叫んでいたと聞いた
それは鬼気迫るものがあり、心底心配していたとまで、、

と同時に、つくしが語った『蝶々結び』の話も聞いた
自分も同じことを思ったと話したときには、二人も驚いていた

そして、『やっぱりお前ら、、似た者同士って言うか、こうなる運命だったんだな』と告げられ、『大切にしろよ』と言われた

もちろん、、大切にするし、、二度と離さないと誓った
と同時に、今回の犯人グループに、少しだけ感謝した

この件が無ければ、牧野は今頃NYだったかもしれない
それでなくとも、後一年後には確実に司の元へ行っただろう
それだけ鈍感な奴だし、無鉄砲な奴だ

だが、、そんな牧野だからこそ、、俺は惹かれた
無謀な恋をしていると思いながらも、諦められなかった


すると隣から小さな声が聞こえる

「類?」
「ん?」

「これ、、類のだよね?」

つくしは、ポケットからゴソゴソと何かを取り出す
それは、あの時落としたリップクリームだ

「あっ、、それ、、」
「これね、、家の近くの川沿いに落ちていたんだけど、、何となく類が落としたように感じてね」

「そう。 それ、ホワイトデーに渡そうと思ったんだ。 
あんた唇が荒れるって言っていたし、口紅は嫌いだって言っていたから」

するとつくしは、嬉しそうに微笑む

「やっぱり、覚えてくれていたんだ」
「うん。 ガサツって言葉が印象に残ってさ」

「そこ? まあ、、ガサツなんだけどね。 
これを見つけた時に、類はここで誘拐されたんじゃないか?って思ったら、やっぱりあの類は偽物だって実感してね」
「ありがと。 あんただけが、偽物だって気づいてくれたおかげで、今こうして俺は無事でいられる。 
でも、決定的な証拠が無かったのに、良く思い切った事したよな」

「そりゃ、、容姿はそっくりだったんだけど、、いろいろと小さい点が違うし、それに何より瞳の色が違っていたからね。 
類の瞳は、あたしの大好きな色だから」

類は、その言葉に微笑む
そう言えば、何時の頃か『まるでビー玉みたいだよね』と言われたことがある
それぐらい、お気に入りの瞳だった訳だ

「ん、、俺もあんたの瞳、、好きだよ? 吸い込まれるような黒曜石のような色だしさ」
「あっ///ありがと////」

類は、ゆっくり顔を近づける
そして、そっと可愛い唇にキスをする

「あの時、、寒空の下で、あんたにまた会いたいとずっと思ってた。 
それが今こうして会うことが出来、触れることが出来、キスまで出来るなんて、、凄く信じられない気持ち」
「あたしも同じ。 
偽物の類が平気な顔して類の部屋に居た時には驚いたし、本物の類の行方が心配だったけど、、
こうして無事で、今、触れることが出来て、、」

つくしは、ジッと類の瞳を見つめる
そこには、少しハシバミ色をした綺麗なビー玉の瞳がある

「良かった。 何事も無くて」

ホッと安堵の声で告げるつくしに、類もジーンと胸が熱くなる

「ありがと、、牧野」
「ううん、、どういたしまして」


車は、ゆっくりと花沢邸の前で停まった
二人は、手を繋いだままゆっくりと降り、中に入って行く
そして、類の部屋の前まで来ると、つくしが立ち止まった

「どうかした?」
「あっ、、ううん」

つくしは、一度ギュッと瞳を閉じる

ここは、偽物が静と愛し合った部屋だ
偽物と言えども、類ソックリの容姿で静と愛し合った事に、キリキリと胸が痛む
それは、、、今もだ
まるで、本物の類が静と愛し合ったような錯覚に陥る

つくしは心の中で必死に呟く
あれは偽物
偽物、、偽物、、偽物、、

類は、あたしの事が好きだって言ってくれたし、、
類が、静さんと寝た訳じゃない

と思うのだが、過去にはそういう事をしていたはず
と、今度は過去の二人にも嫉妬してしまう

そして無意識に繋いだ手が、小刻みに震えてしまう
どうか悟られませんように、、と祈らずにはいられないほどに、、

「どうかした?」
「ううん、、何でもない」

「そう? じゃ、入ろ?」
「うん、、」

類は、そんなつくしの手をギュッと握り、部屋のドアを開けた

「えっ?」

つくしは、入り口で固まる
その部屋は、つくしが知っている物とはまるで違っていた

カーテンの色、壁紙の色、床の色、、
冷蔵庫もテレビも姿見も、、、そしてベッドまでも、、
何もかもが、全て変わっている
それだけではない
配置も違っており、まるで別部屋のように見える

「ここで、、何が行われたか知ってる。 偽物の俺が、静を抱いたんだろ? 
そんな部屋って、気持ち悪くて仕方ないしさ。 
ほんとは、別の部屋に移動したかったんだけど、他は全て和室で、リフォームするのに時間がかかるって言われてさ。 
だったらって事で、この部屋の全リフォームで譲歩したんだ」
「リフォーム?」

「そう。 別人が使った物なんて触れたくもないし、ましてや、、赤の他人が愛し合ったベッドなんて見たくもないしさ。 
それときちんと言っとくけど、あれは俺じゃない!」
「えっ」

「あんた、、ずっと手が震えてた。 それって、そいつと静が俺と静に見えるからだろ?
俺は、、あんたを好きだと気付いた時から、誰ともそういう事していないし、ましてや静がどうだったかだなんて覚えてもいない。 
だから、忘れろ! あれは全くの赤の他人。 
そんな気持ち悪い男と、バカな静が関係を持っただけ!」
「バカ、、って、、」

余りの言い方に、つくしは驚く

少なくとも容姿端麗で頭も良い
とても太刀打ちできない人物だ
しかも類は、過去に憧れを抱いていたし慕っていた
そこに愛情も含まれていたと思う
そんな静さんを、バカ呼ばわりするなんて、、

「そうだろ? 
何を勘違いしているのか知らないけど、俺と偽物の区別もつかず、単に快楽を貪るだけの為にそう言う行為をしたんだからさ。 
バカ以外の何物でもない!! それより俺は、あんたの方が心配。 
これから先、、俺を見ると心を痛めないかってさ」
「類、、、」

つくしは、どう言葉にして良いか分からない
確かに、偽物と静さんが関係を持った
その偽物と類が、さも同一人物の様な錯覚に陥ってしまう

「良い? 俺は、あんたが好きだ! 愛してる! この気持ちはもう4年にもなる! 
そしてこれからも、あんたしか愛さない! だから、、偽物と静の事なんて忘れろ!! 俺だけを見ろよ!!」

瞳を反らすことなくジッと見つめ、真剣な表情と言葉で告げる類は、初めて見る物だ

――こんな男らしい顔もするんだ

そして、、

――その瞳に吸い込まれる
本物の言葉に惹かれる

――これからも、、類を、、類だけを見つめたい

「うん、、」

やっと納得を見せたつくしの返事に、類はホッと表情を緩める

「って事で、、ここが、これから俺とあんたが住む部屋になるからさ」
「えっ? 今なんて?」

「ん? 俺とあんたが住む部屋って言ったんだけど?」
「へっ? なんで? ここは類が住む部屋で、、」

「だって、、あんたは俺のボディガードだろ? ずっと見張っていてくれるんだろ?」
「あっ、、それは、、」

つくしは、それは言葉の綾で、、と、急いで否定しようとするが、それを類が制する

「まさか、口から出まかせ、、とか言うんじゃないよね? 俺の事が心配なんだよね?」
「でも、、パパとママがなんて言うか、、」

「それは大丈夫。 ほらっ、、既に了解を貰って、ここにあんたの荷物も運ばせてる。 
あっ、後で勉強机も運ばせるから。 ここから大学に通うと良いよ。」

類は、クローゼットを開ける
そこには、つくしの服や荷物が整理され入っている

用意周到な類に、つくしも諦めざるを得ない
それに、類はこういう人物だ

普段はのらりくらりとしているが、一度決めたら行動が素早い
そして、そんな類に惚れているんだから仕方ないし、今は離れたくないと言う思いも確かにある

「もう//// なんか、私の気持ちなんて御見通しみたいだね」
「分かった? だって俺、、あんたの事愛してるし」
「ふふっ、、あたしも///」

二人は微笑みあう
そして、自然に唇が重なった


これからは、、『また、明日ね』と言う言葉も、寂しさも訪れないだろう
なぜなら、、『おはよう』で始まり『おやすみ』で一日が終わるんだから




< 完 >

えっと、、ホワイトデー編はこれにて完です
次は類君誕生日編へ続きます
ちょっとお待ちくださいね



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17 Comments

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2018-03-21 09:39

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2018-03-21 09:40

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2018-03-21 09:51

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2018-03-21 09:52

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2018-03-21 10:13

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りおりお
Re: ノエ様

りおりお  

2018-03-21 10:18

昨日、今日と寒いですね
インフルエンザもチラホラ聞きます
最後の悪あがきでしょうか?

さて、、終りよければ全て良し? 怪我の功名?
類君にしてみれば、棚からぼたもちみたいな感じで、つくしちゃんと両想いに(笑)
そうなると、つくしちゃん包囲網発令ですよね
逃がす事無く、しっかりと❤

類君誕生日までもうすぐです
しっかりラブラブ甘々をお届けしたいです
リレー共々お楽しみくださいね

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2018-03-21 10:22

類君は、キチンと考えていました
あの部屋は、自分の偽物と静さんが愛し合った部屋
そんな部屋で過ごすなんて、、類君も耐えられない!!
もちろん、つくしちゃんも同じ気持ちと感じて、入院中にあっという間にリフォームです

何もかも変わり、新しい部屋でのスタート
つくしちゃんも言葉の綾から、まさかまさかの同性になるとは思っていいなくて、、
でもやはり、もう二度と入れ替わるような事が合ったら心配で、、
それに、両想いになった今、やはり少しでも一緒に居たい訳で、、

嬉し恥ずかし同棲生活スタートですね
これで完結と思いきや、まさかまさかの類君誕生日へと話しは続きます
お楽しみに

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りおりお
Re: おち~様

りおりお  

2018-03-21 10:29

ホワイトデー編は、衝撃的なプロローグでした
でも終わってみれば、なるほど、、と納得できる物ではないでしょうか?

そして、クリスマスとバレンタインデーにも布石が隠されていた
まさかクリスマスの時に立ち寄った花屋で、良の彼女が働いていたとは、、
その花屋に立ち寄らなければ、今回の事件は起こらず、つくしちゃんは今頃NYへ行っていた?
色々な分岐が、隠されていました

偽物と静が愛し合った部屋、使った物などは全てリフォームです
それは、類君自身も気持ち悪いだろうし、つくしちゃんも耐えられない事だと直ぐに判ったから
類君の深い愛がそこにはあります
そして、『俺を見ろ』ときちんと言葉にして伝えました
今まで我慢していた気持ちも、今では堂々と声を大にして言えますからね

二人のラブラブは、このまま誕生日編へと続きます
是非お楽しみに

リレーも、頑張りましたよぉ
今までのリレーとは一味違う物になるかと?
拍手小話も是非お楽しみに

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りおりお
Re: ゆきた~様

りおりお  

2018-03-21 10:32

衝撃的なプロローグで、『何を血迷った?』『心が沈む』などなど、耐えられない時間を持たせてすみません
でも終わってみれば、、これを敢えて書いた意味が判りますよね?
静さんでは、類君を見破れない!!と言いたかったのです
そして、静さんの滑稽な行動を書きたかった(笑)
どれだけ静さんが嫌いなんだろう?と思わずにはいられません

そして、、
リフォームをした部屋に連れていき、きちんと『俺だけを見ろ』と伝えます
ここも重要ですよね
偽物と言えども自分そっくりの人が、静さんと愛し合ったと言う事実は、あたかも自分と静さんが愛し合ったように見えます
でも、、自分はつくしちゃんだけを見ている、、と、ここにきてきちんと伝えました
こんな男らしい類君、、好きだなぁ

って事で、類君誕生日編もお楽しみに
甘々で行きますね

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りおりお
Re: まりぽ~様

りおりお  

2018-03-21 10:39

確かに、衝撃的なプロローグでしたから、ハラハラドキドキですよね?
どう言う事?と、いろいろ考えられるし、、
で、なかなか偽物だと判らない(笑)

つくしちゃんが違和感を示さなければ、、そのままだったんですからねぇ
つくしちゃん様様です
それだけ、類君を見ていたと言う事ですし、愛していたんですよねぇ

それに応えるように、類君もサッとリフォームして同居生活スタートです
カレカノになれば、我慢する必要もない!!って事ですよね?

って事で、このまま類君誕生日編へ向かいますね
甘々の二人をお楽しみに

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2018-03-21 11:45

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2018-03-21 12:29

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Re: り〜様

りおりお  

2018-03-21 13:58

やっと…二人が幸せに暮らせそうです

今回の事件は、良かったのか?悪かったのか?
でも、あの事件が無ければ、つくしちゃんは自分の心の内を知らず、司君と流されるように一夜をともにして今頃NYだったかも?
それを考えると…結果良ければ全て良し!ですよね?

それに、カレカノとなった今、類くんは一時も離れたくないようだし!

家で同居生活とは、どんな感じなんでしょうね?
二人のラブラブをまだ見たいですよね?
って事で、類誕生日をお届けします

リレーと共にお楽しみくださいね

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2018-03-21 14:08

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りおりお
Re: mizu~様

りおりお  

2018-03-21 15:20

寒いですね
こちらは雨なんですが、寒いです
気温差が激しくて、着る物に困りますが、体調を崩さないよう頑張りますね

さて、、
今回のお話、、ホワイトデー編は、衝撃的なプロローグだった為、ハラハラドキドキですよね
纏め読みしたくなる気持ちも分かります

で、、結果が分かれば、なるほど~と納得できるプロローグでした
と言うか、静さんの浅はかな行動と、それ程類君の事を愛していないと言う部分を描きたかったんです

つくしちゃんを見下す静さんですが(原作からそうでしたよね?)、実はつくしちゃんには敵わないんですよ
それが今回の作品で如実に表す事が出来たかな?と思っております

で、類君誕生日編へと向かいますが、こちらはラブラブ甘々な二人をお届けできればと思っております
是非是非お楽しみに

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2018-04-05 21:04

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りおりお
Re: 木の葉な様

りおりお  

2018-04-05 22:47

こんにちは

リレーは、今回コメディでしたから、楽しんで書く事が出来ました
いつもシリアスっぽくて、かなり悩むんですけどね(笑)
そして今回のリレーは、サブキャラの甲斐山さんが良い味を出していましたよね?
しかも、そのリレーの打ち合わせ中に、メンバーに色々な事が起こるし、、
それを全て暴露したのが私です(笑)

こちらのお話は、つくしちゃんの直感と言うか、類君と一緒にいたからこそ分かる違いがありました
丁度司君も現れて、グイグイと迫ってくるのに、自分の方は、、と、改めて自分の気持ちに向き合うきっかけになりましたしね

静さんも、つくしちゃんに対するライバル心から、本質を見抜く事が出来なかった
と言うより、類君の事を何も分かっていない

つくしちゃんは類君を、類君はつくしちゃんを、ほんとによく分かっています
それが如実に表れたお話かな?

コメント有難うございました

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