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また、明日ね<完>

1 手を繋ぐ

7

あれから、、牧野は俺の家に住んでいる
そして、あれほど辞めることが出来なかったバイトを、あっさりと辞めた

『バイトに行く』、、と言う牧野の事が心配で、俺は送って行った
『終わる頃に迎えに行くから』と伝えて、、

そして予定の時間より少し早めに迎えに行った
ほんとは、辞めてほしいと思っていた
でも、『辞められないし』、、が口癖の彼女の気持ちも分かる
だから、せめて大学生の間は、納得するまでさせてあげようと思っていた

それが、、
何時もと同じ場所で、牧野のバイトが終わるのを待っていると、、
ダッシュで牧野が出てきた
そして、キョロキョロと辺りを見回す

「何? 何かあった?」
「うん、、SPさんはいる?」

「あぁ、、あそこ」

類が数メートル先を指さすと、物陰に隠れていたSPがぺこりと頭を下げた
それを見て、牧野はあからさまにホッとした表情を見せた
それが印象深かった

「ごめん。 待たせたよね。 じゃ、帰ろう?」
「あい」

類は、サッとつくしの手を取る

ずっと、、
ずっと、、
こうして繋ぎたかった

今までは、理由が無ければ繋ぐことが出来なかったあんたの手、、
でも今は、俺が繋ぎたいから、、で、堂々と繋ぐことが出来る

凄いよな、、
恋人って


すると牧野が、しっかりと指を絡めてきた

ほんと、、
あんたって凄いよ

どんなふうにすれば、俺の心を満たせるのか分かっているんだからさ

「あのねっ、、」
「ん?」

「あたし、バイト辞めてきた」

突然の告白
それにかなり驚いた
ずっと『辞められない』が口癖だったから

「えっ? 良いの?」
「うん。 だってね、、類が心配で、、
もしまた、誘拐されたらどうしよう、、って考えたら、仕事が手につかなくてね。
あたしにとって、バイトよりも類の方が大切だから、、」

あんたって、、やっぱり最高だ!!
俺をどれだけ喜ばせたら気が済むんだろう

けど俺って、そんなに危なっかしく見える?
まあ、それだけ牧野の心に、深い傷を負わせたからだろうけど、、

でも、それだけ俺の事が心配で、、
そして大好きって分かるから、、
これほど嬉しい事は無い

「ん、、ありがとう。 でも、SPはきちんとつけるから、そんなに心配しないで?」

元々、不毛な恋をしていたし、そんな所を監視されたくなくて外していただけだ
こうして両想いになった今では、そんな事をする必要が無いし、勝手に牧野にもSPをつけていると知ったら、怒られるだろうか?

だって、、俺も心配だしさ

「あっ、、そろそろ桜も咲き始めたんじゃないかな?」
「かもね、、じゃ、ちょっと見に行く?」 

「ついでに、あんたん家にも寄ろうか?」
「ほんと?」

「あぁ、、じゃ、何か手土産を買って行こう?」
「うん」

こうして俺達は手土産を持ち、あの時の川沿いをブラブラと歩いた
もちろん、しっかりと手を繋いで


三月初めは、なごり雪が降る寒い日だった
でもそれからは暖かい日が続き、固い固い蕾が一気に開花していったようだ

今は、、あの川沿いが嘘のように華やいでいる

「うわっ、、咲いてる咲いてる」
「やっぱり綺麗だよな」

「うん。 それに人が多いよね」
「あぁ、、ほらっ、ぶつかるから、こっちへおいで」

類は、繋いだ手に力を込め自分の方へ引き寄せる
肩が触れあう距離に、思わず微笑みあいながら、再び桜の木へと目をやる

そうしながらも、俺が誘拐された場所付近では、思わずその手に力が入る

「ここで、突然頭から黒い袋を被せられてさ、、」
「うん」

「俺って、、何処かで驕りがあったんだと思う。 小さい頃ならいざ知らず、今はこんなだろ? 
それにそれなりの武道も習っていた。 だから、誘拐なんて有りえないってさ」
「だよね、、誘拐って言ったら、小さな子供って感じがするもん」

「迂闊だったよな」
「それに、タイミングが悪かったかも? 今ならほらっ、こんなに人通りがあるし、、」

確かに、今は凄い人が行き交っている
これでは誘拐など無理だろう

「でも、、俺が誘拐されたから、今がある」
「確かにね。 でも、もう嫌だからね、、あんな思いするのは、、」

「分かってる。 俺ももうこりごりだから」

あの時、、
牧野が気付いてくれなかったら、、
俺は今、こうしてあんたの手を繋いでいないだろう

それを思うと不思議でたまらない
偽物を見破るくらい、牧野は俺を見てくれていたのに、それに俺は気付きもしなかった

親友と言う位置に慣れ過ぎていたのかもしれない
諦めていたのかもしれない
司と対峙する勇気が無かったのかもしれない

もうこりごりだけど、、決して忘れられない事件だった



二人は川沿いを通り抜け、牧野家へ向かった
そして、退院後初めてとなる牧野家を訪れた

「まあ、つくし、、それに類さん」
「ただいま、、」
「近くに寄ったもので、、あっこれ食べて下さい」

類は、手にしていた土産を千恵子に渡す

「まあまあ、、ありがとうございます。 それより、どうぞ上がってくださいな。 つくしも元気そうね」
「うん」

二人は、勧められるがままに、牧野家に上がり込んだ
そこには、晴男と進もいる

「いやあ、、類さん。 体調はどうですか?」
「はい、、足の方も痛みは無くなりましたし、順調です」

「類さん、、姉ちゃんはどう? 一緒に居て嫌になってない?」
「全然、、それより、、無理を聞いていただきありがとうございました」

類は、挨拶が遅れたことを詫びる
退院前に、使用人を通してつくしを預かる旨を告げ、それを実行した
その為、まだ牧野家に挨拶すらしていない
少なくとも、同棲と言う形になるのだから、きちんと挨拶したいと言う思いがあった

だから偶然を装い、今日ここへ来た

もちろん、、
牧野とあの川沿いを歩きたかった

今までは親友として歩いたあの川沿いを、、

今度は俺の恋人として、、

しっかりと手を繋いでさ




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7 Comments

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2018-03-23 09:40

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2018-03-23 10:03

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2018-03-23 11:53

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りおりお
Re: ノエ様

りおりお  

2018-03-23 13:03

こんにちは

こちらも、小中学校の終業式です
そして、宿題があるらしいです(笑)
自分の子供達の時には、春休みには宿題は無くて遊びまわっていたのに、、
教育委員会?の鶴の一言で、宿題を渡す事になったそうです
でも、次の学年になると先生も変わっているのに、、と思うのですが、単に子供達を遊ばせない?と言う意味合いなのでしょうか?
簡単な物らしいのですが、プリントが配られるそうですよ
大変だなぁ、、と思っております

さて、、
あの後からの二人をお届けしています
類君とつくしちゃんにとっては転機となった事件です
そして、確実に二人にとって恐怖を感じた事件です
その教訓から、SPは大切と学んだのでしょうか?
まあ、類君にとってつくしちゃんに何かあっては大変ですからね
GPSももちろん付けているでしょうね

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りおりお
Re: ゆきり~様

りおりお  

2018-03-23 13:07

久し振りの晴れですよね
私も、張り切って洗濯物を外に干しましたよ~~
これからは、暖かい日が続くようですし、洗濯物の心配はいりませんが花粉が大変ですね
私はまだ花粉症になっていませんが、ムズムズとするので外出時はマスクを手放せません

さてお話、、
類君とつくしちゃんにとっては、トラウマになってしまった事件ですが、あの事件が無ければ二人は両想いにならなかった
それを考えると、、良かったような?
これからは、慎重に行動するだろうし、、まあ、二人がラブラブならそれでも良いかな?

って事で、二人のラブラブ生活をお楽しみくださいね

EDIT  REPLY    
りおりお
Re: り~様

りおりお  

2018-03-23 13:10

そうなんですよね

あの事件が転機になり、つくしちゃんは自分の気持ちに気付く事が出来、類君も心の奥にしまっていた気持ちを吐露できたんですよね
それだけ信じられない事件でした
だからこそ、つくしちゃんはバイトを辞める事に
類君が送り迎えをするとなると、再び誘拐されるのでは?と何度も頭をよぎりますからね
類君も申し訳ない気持ちでしょうけど、これ幸いとつくしちゃんにもSPを付ける事が出来、一安心と言った所でしょうか?

もちろん、、この後は二人のラブラブをお届けしたいと思います
お楽しみに

EDIT  REPLY    
りおりお
ミキッ~様

りおりお  

2018-03-23 23:42

どうなんでしょうね?
でも、、杞憂に終わるはずです

なぜなら、、つくしちゃんがいなければ、今頃類君はこうしてここに居なかったはずですからね
ですよねぇ、、

って事で、ホワイトデーのもやもやを吹き飛ばすような甘々ラブラブで行きたいと思います
お楽しみに

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